Gatsby-44
このサイトは、英語で書かれた物語を一作品、最初から最後まで少しずつ読んでみようという試みです。
取り上げる作品は『The Great Gatsby』です。100年近く前に米国で出版された小説ですが、現代の日本人にも共感したり心を動かされるところが多々あると思います。
ぜひ一緒に、英語の原書を読んでみませんか。
(なお、このコンテンツはその著作者の解釈に基づくものであり、必ずしも正しいとは限らないことをご承知おきください。)
前回まで……どうやらウィルソン夫人は、今の夫との結婚が間違いだったと思っているようです……きっと、トムと結婚することが正しい?正解?だと思っている?のではないでしょうか?……で、グジグジと?今の夫と結婚したのは失敗だったわ?なーんて愚痴るものだから?妹のキャサリンがとうとう?鋭い追及を始めた?ようです……お姉ちゃん、そもそもどうして今の夫と結婚したのよ……誰も、お姉ちゃんに無理矢理、結婚させたりなんかしてなかったわよ……と……この指摘に、どうして私、今の夫と結婚したのかしら?と考え始めた?らしいウィルソン夫人――さて、何と答えるでしょうか?……みていきましょう。
原文はOne More Libraryの『The Great Gatsby』を使用します。
第44回の範囲は29ページ6行目から29ページ末尾から14行目途中まで("I married him because 〜から、good on nothing at all." まで)をみていきます。
まず、今回の考えるヒントを上げます。
- 29ページ 7行目 he knew something about breeding とはどういうことを言っているのか
なお、特に断っていなければ、基本的に次に上げる辞書の訳語や定義・意味に基づいて説明します。
主に使用する辞書
『リーダーズ英和中辞典(第2版)』(野村恵造)(研究社 2017)
『Pocket Oxford English Dictionary (Eleventh Edition)』(Maurice Waite) (Oxford University Press 2013)
『岩波国語辞典(第七版新版)』(西尾実 岩淵悦太郎 水谷静夫)(岩波書店 2017)
それでは今回の範囲をみていきましょう。
① “I married him because I thouht he was a gentleman," she said finally.
「『私は、結婚した……今の夫と……なぜなら・理由は……私が、思ったからだ……今の夫が、ある状態だと……それは、紳士だ……』ウィルソン夫人が、言った……とうとう・やっと……」
I は(すべて)、前回の最後に妹の指摘を受けて考え始めた?らしいウィルソン夫人のセリフのようなので、ウィルソン夫人を指しているのではないでしょうか?
he は、ウィルソン夫人の(今の)夫を指すのではないでしょうか?
gentleman は、a courteous or honourble man という意味を、courteous は、polite and considerate という意味を表すようです。この場合、あの灰の谷の自動車修理工場・ガソリンスタンドの店の主には、礼儀正しくて思いやりがある紳士?という印象をウィルソン夫人は受けた?のではないでしょうか?
she は、ウィルソン夫人を指すのではないでしょうか?
前回の最後に妹のキャサリンに鋭い指摘を受けて?考え始めた?らしいウィルソン夫人が、やっと、口を開いた?ようです……で、出てきた言葉?答え?が、ウィルソン夫人が今の夫と結婚した理由は、今の夫が紳士だと思ったからだと……ウィルソン夫人に対して礼儀正しくて思いやりがあった?のかもしれません……というか、別に、今だって何も変わっていない?かもしれない?でしょうか?……第32回・第33回の様子を見ると、まあおとなしいというか?気が弱そうな?感じもする?でしょうか?……トムみたいな横暴な奴に対して、まあ力関係もあるかもしれませんが、無駄に争わない?というか、夫人に横柄な口をきかれても怒りもせず逆らいもせず、夫人の助言?指図?に従っていた?ようでした……なんでしょうねえ……夫人にそんな夫の文句を言う資格が果たしてあるのだろうか?という気も?しないでも?ないかも?しれない?……なんでしょうねえ……わかりませんが、もしかしたら、ウィルソン夫人は、今の夫のような優しめ?の男性にやさしく?柔らかく?静かに?穏やかに?そっと?寄り添うように?大切に?まるでお姫様みたいに?扱ってもらった?ことがなかった?かもしれない?でしょうか?……で、そんな扱いを受けたことがなかったから?ほろっと?きた?……で、恋に落ちた?……もうメロメロ?……夢中?……私の王子様?みたいな?……で、一気に結婚へと突っ走った?かどうかわかりませんが、考えてみると、トムは、今の夫と真逆のタイプ?の可能性が?あるでしょうか?……ウィルソン夫人って、ないものねだり?の傾向が?あったりする?……今の夫にある優しさを手に入れたら、今の夫にない経済力に目が向いた?……だけど、今の夫を失えば、それは優しさを失うことになる?のではないでしょうか?……今の夫の優しさがあって当然になってしまい?意識しなくなってしまった?かもしれないけれど、トムと結婚すれば、今の夫にない経済力を手に入れられても?トムには今の夫にあるような優しさは皆無?ではないでしょうか?……トムほど優しさから遠いクズ?ダメ男?ゲス野郎?はいないんじゃないか?っていうくらい?じゃないでしょうか?……ウィルソン夫人て、なんていうか、すごく近視眼的?というのでしょうか?……目先の無いものにしか目がいかない?意識が向かない?……きっと、トムと結婚したら、前の夫は優しかった、とか思ったり?しない?でしょうか?……優しいけどお金がない?甲斐性がない?男から、お金はあるけど優しくない?それどころか残酷?残虐?かもしれない男に乗りかえるの?……なんか、両極端じゃない?……大丈夫?……優しくて大金持ちじゃなくてもそれなりにお金があって甲斐性もあって、っていう、ある程度バランスの取れた、もうちょっとマシな?というかもっとずっと違ういい男?を探した方がよくない?……冷静に、よく考えた方がよくない?……また、失敗しない?大丈夫?……なんでしょう……マッキー夫人が結婚に失敗しなかった?のは、もしかしたら、マッキー夫人がちゃんと見極めたから?かもしれない?でしょうか?……冷静に、マッキー夫人自身に本当に合った似つかわしい相手はどんな人か?マッキー夫人が結婚に望み求めるものは何なのか?マッキー夫人が幸せだと思える相手はどんな人か?……もしそこまで冷静に考えられなかったにしても、もしかしたら、マッキー夫人は、ウィルソン夫人のように目先だけ見て舞い上がったりはしない?のでしょうか?……なんでしょう……マッキー夫人は、夫の写真が、そして写真家の夫が、本当に心の底から?自慢?のようじゃないですか?……そして、夫の写真のために、写真家の夫のために、チャンスを逃さず?どころかチャンスを作ってでも?マッキー夫人なりにできることを精一杯?やっている?ように見受けられませんか?……もしかしたら、そこは案外、大きな違いかもしれない?でしょうか?……ウィルソン夫人は、夫にしてもらう?ことばかり?に意識が向いている?……マッキー夫人は、勘違いやピントがずれてる?みたいなことがあったとしても、夫のために全力を尽くそうとしている?(まあ、それが結局引いては、マッキー夫人自身の力のおかげとマッキー夫人自身の功績になって自慢する?わけですが……)……マッキー氏も、そんな妻の思いだけは、ちゃんと受けとめている?ありがたいと思っている部分もある?のではないでしょうか?……その辺りが?マッキー夫人とウィルソン夫人では異なっている?かもしれない?でしょうか?……なんでしょう……人間誰もが、"自己中(心)"になりがちだけど、それも程度があって、その度合いによって、何かが?変わってくる?でしょうか?……もしかしたら、マッキー夫人は、マッキー氏と結婚するときに、私はこの人の力になろうと?私はこの人を一流の写真家にしてみせようと?私はこの人の才能に賭けようと?思ったかもしれない?でしょうか?……ウィルソン夫人とマッキー夫人の違い――もしかしたら、単に結婚で、夫選びで間違えたかどうかだけではない?かもしれない?……マッキー夫人には、夫のために私が力を尽くそうという気持ちがあり、そしてその気持ちを行動に表している?……ウィルソン夫人には、そうした気持ちも行動もない?……夫の優しさにすがり、トムのお金にすがるだけ?……もし本当にそうであるならば、結婚とか夫とかが失敗なんじゃなくて、ウィルソン夫人自身のあり方にこそ問題があり、そこが失敗してる?かもしれない?……マッキー夫人は、この人のために力を尽くそうと思える相手と結婚したから?後悔することがない?幸せだと思える?……そもそも相手を当てにしていないから?……ウィルソン夫人は、相手に求めてばかり?相手を当てにしてばかり?……だから、後悔する?不幸になる?……完璧な人などいるはずがないから、どんなによくできた人であっても、足りないところは必ず出てきて、そういうところにばかり目が向く?ウィルソン夫人は、誰と結婚しようとも無いものを見つけては後悔し?不幸だと思う?……永遠にないものねだり?……で、気づいたら人生が終わってる?……いやいや、そこまでは言い過ぎ?……足るを知る、という先人の知恵は、時代や国を問わず?真理?なのでしょうか?……。
② “I thought he knew something about breeding, but he wasn’t fit to lick my shoe."
「『私は、思った……今の夫が、知っている・わかっている・熟知している・精通している……何をかというと、はっきりと言葉では説明できないけど漠然と何かを……あるものに関する……それは、りっぱな行儀作法・教育・しつけ・血統だ……そんなふうに、今の夫がりっぱな行儀作法・教育・しつけ・血統にまつわる何かをよくわかっていると思ったわけだから、普通に考えると、今の夫が私に似つかわしくないとかいうことにはならないと思うところだけれど、実際には違って、今の夫は、ある状態ではなかった……それは、適していることだ……何にかというと、私に媚びる・おべっかを使う・へいこらすることだ……』」
今回の考えるヒントに上げた箇所が出てきました。
I は、①に続けてウィルソン夫人の言葉のようなので、ウィルソン夫人を指しているのではないでしょうか? my も同様ではないでしょうか?
he は(すべて)、ウィルソン夫人の今の夫を指すのではないでしょうか?
①に続けて、ウィルソン夫人が今の夫と結婚した理由を説明しているようです……今の夫がりっぱな行儀作法・教育・しつけ・血統にまつわるものを何かよくわかっていると思ったと……どういうことでしょうか?……ウィルソン夫人には具体的に言葉にして説明できないけれども、何か、りっぱな行儀作法だったりしつけだったりにまつわるものを何か、今の夫がよくわかっているように思えた?ようです……ウィルソン夫人には何だかよくわからないのだけど、言葉で説明できないんだけど、何かりっぱな行儀作法だったりしつけに関することを今の夫はよく知ってるなあ、わかってるなあ、とウィルソン夫人が感じるところがあった?のではないでしょうか?……で、そういうところをステキだと思った?のかもしれない?のではないでしょうか?……あたりが柔らかかったり?物言いが穏やかだったり?女性を尊重するところだったり?そうしたところに行儀が良いなあとか礼儀正しいなあとか思いやりがあるなあとかそういうことを思った?かもしれない?のではないでしょうか?……たしかに、結婚前は?そんなことを思ったのだけれども、今はどうなんでしょうか?……夫は適していないと……私に媚びておべっかを使ってへいこらするにはと……なんとまあ……ウィルソン夫人に媚びておべっかを使ってへいこらするのに夫が適していないと……ということは、トムは、ウィルソン夫人に媚びておべっかを使ってへいこらするのに適している?というのでしょうか?……っていうか、そもそも、誰であれ夫に対して、妻であるウィルソン夫人に媚びておべっかを使ってへいこらすることを求めている?……驚きじゃないですか?……1925年当時の米国人女性で、はたしてどれだけの人がこんな考えでいたのかわかりませんが、ウィルソン夫人は、本気でこんなことを思っていたのでしょうか?……こういう感覚は、現代の?というより昔でも今でも?日本人女性にはちょっと?どうなんでしょう?……ちょっと?考えられない?ありえない?ような?……どうでしょうか?……すごくないですか?……いったいどこからそんな発想が?生まれるのか?……何かこう、感覚を疑わずにはいられないような?……どうやら、これこそが?ウィルソン夫人が結婚と夫に求めるもの?のようでは?ないでしょうか?……なんでしょうねえ……ウィルソン夫人がご主人様?といったところ?でしょうか?……ウィルソン夫人に仕えることを?夫に求めている?……ということは、トムにウィルソン夫人に仕えることを求めている?……いや、それは無理でしょ?……トムが誰かに仕えるなんて天地がひっくり返ってもありえない?……もう、結婚する前から、トムとウィルソン夫人の二人は絶対うまくいかないのが目に見えてない?でしょうか?……すごいですねえ……今は、ウィルソン夫人の方がトムに絶対服従?みたいなものだから?一見?うまくいってる?……だけど、これが違ってしまえば、ウィルソン夫人がトムに従わなくなったら、おしまい?じゃない?でしょうか?……しかも、トムがウィルソン夫人にしがみつくことなんて、絶対にない?と言ってもいい?のではないでしょうか?……そうすると、あくまでも、ウィルソン夫人がトムに従う限りでトムとの関係は成立する?のであって、ウィルソン夫人がトムに従えなくなれば、二人の関係は終わる?と……なんか、ウィルソン夫人、絶対間違えてませんか?……結婚に求めるものが、夫がウィルソン夫人に仕えることなのであれば、今の夫こそ、最善?最良?の夫?かもしれない?……それなのに、お金に目がくらんで?真実?が見えなくなっている?……危なくないですか?……今の夫と結婚したことが間違いで失敗だったというのなら、トムとの結婚なんて致命的な一生に一度の世紀の?大失敗?と言ってもいいくらい?だったり?しませんか?……ウィルソン夫人、もう、今の夫との結婚で、すでに夫人が結婚と夫に望み求めるものを手に入れている?のではないでしょうか?……ウィルソン夫人の問題は、夫でも結婚でもなく、夫人自身の愚かさ?ではないでしょうか?……でも他人のことはこうやってよく見えたりわかったりする?かもしれないけど、誰でも当人自身のことはわからないし気づかない?もの?だったり?する?……いざ本人の立場に立ったら、自らの愚かさに気づかない?気づけない?……人って誰でも?そんなふうに?愚かなもの?でしょうか?……。
③ “You were crazy about him for a while," said Cathrine.
「『あなたは、ある状態だった……夢中で・いかれて……あるものに関して……それは、今の夫だ……しばらくの間……』と言った……キャサリンが……」
You は、妹のキャサリンが話している相手、姉のウィルソン夫人を指すのではないでしょうか?
him は、①②と同様に、ウィルソン夫人の(今の)夫を指すのではないでしょうか?
①②でウィルソン夫人がどうして今の夫と結婚したのかと説明したのに対して、またもや妹のキャサリンが遠慮なく?感じたまま?をズバズバと?手加減せずに?お姉ちゃんにぶつけている?ようです……純粋で?無垢で?幼い?というのは残酷?でもある?ということ?……今の夫がお姉ちゃんには適してないって言うけどさ、お姉ちゃん、夢中でいかれてたじゃない、今の夫に……それもしばらくの間……どうやら、妹のキャサリンの目から見て、姉のウィルソン夫人が今の夫にのぼせ上がっていた?時期もあった?ようです……そのことをわざわざ口にしてお姉ちゃんに正面から突きつけている ⁉ ……手厳しい?ですねえ……キャサリンはもしかしたら、そういう経験がない?のかもしれない?……キャサリン自身が誰かに入れ込む?ような経験がないから、そうした気持ちの変化や変動がわからない?……異性が絡んだ心の機微?みたいなものがわからない?……あるいは、キャサリンはそういうところが淡白?なのか?……そういう気質ではない?……冷静でしっかりとした自己を?持っていて?異性も含めて誰にも何ものにも揺らがない?動かされない?惑わされない?決して本来の自己を見失わない?感情に飲まれたりしない?自己の主導権を絶対に誰にも渡さない?自らを律する心の強さがある?……まあ、どうかわかりませんが、もしかしたら、ちゃんと自立して?社会で働いて収入を得ていく上で、そうした自己を確立している必要が?あったのかも?しれない?でしょうか?……ウィルソン夫人は別に感情に流されても夫の収入で生活するわけですが、妹のキャサリンは、本人が働いて収入を得なければならない?わけでしょうから?感情に流されるわけにはいかない?感情に流されている暇はない?かもしれない?のでしょうか?……まあ、お姉ちゃんのウィルソン夫人の姿をずっと?見ていて、私はこうしていこうとか?私はこうならないようにしようとか?いろいろ思うところもあったり?お手本にしたり?反面教師にしたり?していたかも?しれない?でしょうか?……そういうこともあって?キャサリンは独身?だったり?異性との(踏み込んだ?)関係?を望まなかったり?してきた?ところも?あったり?するの?でしょうか?……。
④ “Crazy about him!" cried Myrtle incredulously. “Who said I was crazy about him? I never was any more crazy about him than I was about that man there."
「『(ウィルソン夫人が)……夢中で・いかれて……あるものに関して……それは、今の夫だ……』と叫んだ……マートルが……疑うような様子で……『誰が、言った……私が、夢中で・いかれた状態だったと……今の夫に関して?……私は、絶対になかった……どれくらいの程度であっても、今の夫に関して夢中でいかれた状態が上回っていたことが……何と比べてかというと……私が夢中でいかれた状態だったことだ……あるものに関して……それは、あの男だ……そこにいる……』」
him は(すべて)、①②③と同じく、ウィルソン夫人の(今の)夫を指すのではないでしょうか?
I は(すべて)、このセリフをしゃべっている、ウィルソン夫人を指すのではないでしょうか?
that と there が何を指すのか?――その答えは、実は次の文にあります……が、ここでは、ウィルソン夫人が、トムとウィルソン夫人の二人の部屋のリビングに集まっている人たちの中で、誰か特定の男性を指したらしい、ということ(だけ)をおさえておけば?よいのではないでしょうか?……ムムム?誰か指したらしいぞ?一体誰だろう?と……。
③で妹のキャサリンに、お姉ちゃんは今の夫に夢中になっていかれていたときがあったと、またもや鋭い指摘を受けて?反射的に?感情のままに?ウィルソン夫人が反論?しているようです……その妹の言葉が聞き捨てならない?そんなことを言われるなんて信じられない?とでもいうように?……このあたしが!あの男に夢中でいかれていたですって ⁉ そんな(ふざけた)こと誰が言ったのよ!ちょっと、そんなこと言った奴、ここに連れてきなさいよ!じっくり話をしようじゃないの!聞き捨てならないわ!何を根拠にそんなこと言ってるのよ!えっ!ケンカ売ってんの?いいわよ、買ってやろうじゃない!いいことっ!あたしはね、あんな男に夢中でいかれたことなんてこれっぽっちもないんだからね!ほら、そこの男子、あたしがそいつに夢中でいかれてるように見える?えっ!見える?見えないでしょっ!それと一緒っ!あたしがそこの男子、そいつなんか相手にするわけないでしょ?それと一緒っ!あんな男、あたしが相手にするわけないでしょっ!えっ!わかったっ?……という調子だったかどうかはわかりませんが、とにかく、今の夫にウィルソン夫人が夢中でいかれていたなどと言われることは我慢がならない?捨て置けない?きっちり否定しておかないではおさまらない?ということだった?のではないでしょうか?……でも、どうでしょうか?……意地が悪い?かもしれませんけど?やっぱり?真実は?妹のキャサリンの言うとおり?だった?のではないでしょうか?……だけど、今のウィルソン夫人にしてみれば、たとえ過去に実際今の夫に夢中でいかれたときがあったとしても、それをもう肯定などできない?のではないでしょうか?……ウィルソン夫人は、おそらく?もうトムと結婚するのだと決めて?それなりの覚悟?を持って?デイジーにも向き合っている?かもしれない?……だとしたら、今の夫は全否定する以外の選択肢はない?のではないでしょうか?……ウィルソン夫人が妹の指摘にこれだけムキになっているのは図星だからこそだという見方ももちろんできるとは思いますが、それ以上に、この場にはトムがいるわけで、ウィルソン夫人がこれから本気で結婚しようと思っている男を前にして、昔の男に夢中でいかれていたときがあったと認める女性など、考えられない?ありえない?のでは?ないでしょうか?……だからこそ、殊更に、(たぶんトム以外の男を指して)そいつに夢中とかいかれてたとかありえないでしょ?それと一緒で、今の夫に夢中とかいかれてたとかそんなの絶対ないのと、トムを意識して?精一杯?否定していた?のではないでしょうか?……この辺が、妹のキャサリンも、如才ないようでいて、抜けている?ような?……お姉ちゃんがこれから本気で結婚しようと思っている相手が目の前に?いるのに、それなのに、今の夫に夢中でいかれてたときあったじゃん、とさらっと?言ってしまうなんて……お姉ちゃんのウィルソン夫人にしてみれば、そりゃ慌てたんじゃないでしょうか?……あんたは、なんてこと言うの!と……だけど、この機会にトムに対して、今の夫にはこれっぽっちも未練はないと、ウィルソン夫人の気持ちを伝えておけば、トムとの結婚を早める?ことができる?かもしれない?……わかりませんが、もしかしたら、そんなことも思ったり?したかも?しれない?……キャサリンはやっぱり、異性絡みは弱い?わかってない?ような?……そういうところはあるけれど?それでも?ウィルソン夫人には大事な身内で?強い味方?でしょうか?……さて、ところで、that man って、誰を指しているのでしょうか?……。
⑤ She pointed suddenly at me, and every one looked at me accusingly. I tried to show by my expression that I had played no part in her past.
「ウィルソン夫人が、指し示した……突然……どちらの方かというと、「自分」だ……そうやってウィルソン夫人が突然「自分」の方を指し示したので、一人一人全員が、目を向けた……どちらにかというと、「自分」で……その様子は、非難するようだった……「自分」は、やろうとした……何をかというと、示そうと……どんな方法でかというと、「自分」の表現・顔つきだ……何をかというと、「自分」が、ある状態だったことを……それは、どんな本分・役目もまったく果たさなかったことだ……いつかというと、ウィルソン夫人の過去だ……」
She は、④でしゃべった、ウィルソン夫人を指すのではないでしょうか? her も同様ではないでしょうか?
that は、「これから文が続く」ことを示し、何を show 示そうとしたのか具体的に説明しているのではないでしょうか?
④で that man there そこのあの男と言った相手を、⑤でどうやらウィルソン夫人は指し示した?ようです……それが、なんと!なぜか「自分」と……「自分」にしてみれば、突然どうして「自分」がウィルソン夫人に指名?されたのか訳がわからない?ただただ驚くばかり?だったのでは?ないでしょうか?……見方によっては、おもしろい?……いやいや、「自分」の気持ちになってみたら、そんなこと言えない?……で、ウィルソン夫人が、そこの男子なんかに夢中になっていかれていたなんてありえないでしょ?そこの男子なんか相手にするわけないでしょ?と言い放った?と思ったら、「自分」を指し示した?ので、その場にいた一人一人全員の目線が「自分」に向かった?ようです……しかも、それが非難するような目だった?と……だけど、これはどうでしょうか?……まず、ウィルソン夫人が、「自分」をやり玉?に上げた理由は何でしょうか?――おそらく、この日が初対面の「自分」に夢中になっていかれたなんてことは百パーセント絶対にありえないわけで、それと同じように、ウィルソン夫人が今の夫に夢中になっていかれたなんてことは百パーセント絶対にありえないのだと、もう必死で?何がなんでも?否定している?という感じ?でしょうか?……だから、別に他意があったわけではなく、あくまでも初対面で絶対に夢中になっていかれたなんて可能性が考えられない相手として「自分」が選ばれただけ?ではないでしょうか?……他には男性はトムとマッキー氏しかいませんから、マッキー夫人がいて、しかも写真を撮ってくれてウィルソン夫人の虚栄心を?満足させてくれる?良くしてくれてる?マッキー氏をそんな今の夫を完全否定するためのだしに使うわけにもいかなかったでしょうから、まあ、「自分」が手頃だった?というところ?でしょうか?……もちろん、「自分」にしてみれば、迷惑なことこの上ないでしょうけれど……次に、非難するような目だったのか、ということですが、これはあくまでも「自分」がそう感じた?そう思った?というだけの話ではないでしょうか?……そりゃ、「自分」の立場に立ってみれば、突然名指しされて?それも不名誉な?言いがかり?をつけられたようなもの?ではないでしょうか?……居心地悪い?っていうか?落ち着かない?っていうか?なんとも身の置き所がないような?気分だった?かもしれない?でしょうか?……だけど、周りの人は、おそらく誰も、そんな風に思ってはいない?のではないでしょうか?……まず、トムがそんなこと思うはずがありません……ウィルソン夫人と「自分」がこの日が初対面なのは誰よりもよく承知しているはずですから……それから、ウィルソン夫人の妹キャサリンにしても、お姉ちゃんからあれやこれやといろいろ話をよく聞いているようですから、どうしてお姉ちゃんが「自分」を名指ししたのか?――その真意は、お姉ちゃんにだしに使われたな、ということも含めて、よくよくわかっている?お姉ちゃんのことなら基本的には察しが良い?はずなので?別に変に「自分」を疑ったりなどしなかった?のではないでしょうか?……最後にマッキー夫妻ですが、まあ、たしかなところは想像しようがありませんが、でも、ほんの数時間一緒に過ごしただけでも、「自分」の好青年ぶりは、十分夫妻にも伝わっていた?のではないでしょうか?……だいたい、「自分」のような人柄の良い男子が、誰であれ女子にそんなこと言わせるなんてちょっと考えにくい?のではないでしょうか?……で、夫妻もそれくらいのことはわかる?想像がつく?のではないでしょうか?……ということで、ウィルソン夫人の真意も、トムとウィルソン夫人の関係も踏まえた上で、よくわかっている?のではないでしょうか?……だから、その場の誰も、決して「自分」に非難がましい目を向けた人はいなかった?のではないでしょうか?……あくまでも、そんな言葉をいきなりぶつけられて驚き動転した?「自分」がそう感じただけ?の話?ではないでしょうか?……だけど、「自分」は、非難されているように感じてしまった?ようなので、もしかしたら反射的に?いや、「自分」はウィルソン夫人とそんな間柄になどなったことはないのだと、顔つきで伝えようとした?ようです……おそらく、ウィルソン夫人が、「自分」には夢中になっていかれたことなんてないと言ったので、そんなことを言ったら、まるで「自分」とウィルソン夫人がそういう仲?になったことがあるように聞こえるじゃないか?と思った?のではないでしょうか?……それで、いや、そんな仲になったことなどないのだと、必死で?訴えようとした?のではないでしょうか?……これまた、本当に人がいい?……この場合、ウィルソン夫人が「自分」を名指ししたことに怒ってもいい?ような気もしませんか?……だって、失礼じゃないですか?……それなのに、なんて好青年?……またもや?「自分」の人柄の良さがうかがわれる?でしょうか?……逆に、ウィルソン夫人は、どうなんでしょうねえ……きっと、トムと結婚することしか考えてない?のでは?ないでしょうか?……そんなことを言えば、「自分」を困らせるとか迷惑をかけるとか、そういう発想はない?……というより?そんなこと知ったこっちゃない?……トムとの結婚より大事なことなんてないし?それ以外のことなんて何も気にならない?気にしない?どうでもいい?……トムに夢中で?いかれてる?でしょうか?……ねえ……でも、ウィルソン夫人のそうした思いは、もしかしたらちゃんと、トムに伝わってる?かもしれませんね……だけど、はたしてトムがその気持ちに応えてくれるでしょうか?……トムって、そんな男でしょうか?……俺様に夢中でいかれてる……その思いを俺様の都合のいいように利用する?方が?ありそう?じゃありませんか?……ねえ……トムって本当に、ねえ……どうなんでしょう……。
⑥ “The only CRAZY I was was when I married him. I knew right away I made a mistake.
「唯一いかれた・正気とは思えない・気が狂った・むちゃくちゃな人(の状態)……私が……そのような状態だった……それは、あるときだった……私が、結婚した……今の夫と……私は、わかった・悟った……すぐに……私が、行った・した……間違いを……」
CRAZY は、大文字にすることで強調してあるのではないでしょうか?
I は(すべて)、ずっと話をしているらしい、ウィルソン夫人を指すのではないでしょうか?
him は、ウィルソン夫人の今の夫を指すのではないでしょうか?
③で妹のキャサリンに言われた crazy という言葉に、ウィルソン夫人が強く?反応している?ようです……④でウィルソン夫人が crazy ではなかったと主張した?上で、今度は、crazy だったのは、あるときだったと話している?ようです……ただ、③の crazy は、異性に夢中になるという意味で使われていた?ようでしたが、④の crazy は、頭がいかれていた、おかしくなっていたという意味で使われている?ようです……で、唯一その頭がいかれておかしくなった人の状態にウィルソン夫人がなっていたのが、ウィルソン夫人が今の夫と結婚したときだと……つまり、頭がいかれておかしくなっていたからこそ、今の夫と結婚したのだと……それくらい、今の夫と結婚したことは間違っていた、失敗だったと言いたい?ようです……で、おそらく、結婚してすぐに?わかったと……ウィルソン夫人が間違いをしたことがと……頭がいかれておかしくなっていたから今の夫と結婚したけど、結婚後すぐに今の夫と結婚したことが間違いだったとわかったと?言っている?のではないでしょうか?……結婚するまではのぼせ上がって舞い上がって他には何も(肝心なことが?)見えてなかったから結婚したと……だけど、いざ結婚してみたら、正気に戻った?ということ?でしょうか?……で、まずったと……間違えたと……結婚は間違っていたと……正気に戻ったら、見えてなかったものが見えて?物事の有り様を?正しく見られるようになって?良し悪しとか?わかるようになった?ということ?でしょうか?……ウィルソン夫人の説明によれば、そのようです……が、本当は、単に、ウィルソン夫人が結婚前には気づいていなかったあらが見えてきた?だけの話?ではないでしょうか?……そのあらを指して、ウィルソン夫人は間違いだったと言っている?のではないでしょうか?……なんでしょう……本当に都合がいい?ご都合主義?……で、そのあらを正して?埋めてくれるような?別の結婚相手にトムを選んだ?といったところ?でしょうか?……だけど、案外、これって、よくあったりする?でしょうか?……それに、女性に限らず?男性でも?……誰でも?似たようなことがありうる?……決して?他人事ばかりでもない?……なんでしょう……作者は、身勝手な人間の姿を読者の前に突きつけて?問いかけてる?……ウィルソン夫人ってのはとんでもない女だ、なんて思いながら読んでいるそこの貴方、ご自身にも似たところ?や思い当たる節?があったりしませんか?どうですか?と……なんでしょう……作者はいったい、何が言いたいのでしょうか?……。
⑦ He borrowed somebody’s best suit to get married in, and never even told me about it, and the man came after it one day when he was out.
「ウィルソン夫人の(今の)夫は、借りた……誰かの最も良い三つ揃いを……結婚するために、着ていた……そうやってウィルソン夫人の(今の)夫は結婚するために着ていた誰かの最も良い三つ揃いを借りた後で、決してしなかった……あることすらも……それは、話すことだ……ウィルソン夫人に……何についてかというと、そうやって結婚するために着ていた誰かの最も良い三つ揃いを借りたことだ……そうやってウィルソン夫人の(今の)夫は結婚するために着ていた誰かの最も良い三つ揃いを借りた後で、そうやって借りた事実について決してウィルソン夫人に話すことすらもしなかった後で、男(その誰か)が、やって来た……あるものを求めて……それは、そのウィルソン夫人の(今の)夫が借りた誰かの最も良い三つ揃いだ……ある日……その日は(そのとき)、ウィルソン夫人の(今の)夫が出かけていた(家にいなかった)……」
He (he) は(すべて)、ウィルソン夫人の今の夫を指すのではないでしょうか?
me は、⑥に続いてウィルソン夫人のセリフのようなので、ウィルソン夫人を指すのではないでしょうか?
it は、He borrowed somebody’s best suit to get married in を指すのではないでしょうか?
the man は、somebody を指すのではないでしょうか?
it は、somebody’s best suit (to get married in) を指すのではないでしょうか?
⑥でウィルソン夫人が結婚してすぐに結婚は間違いだったと気づいたと言っていた?ようでしたが、その根拠?らしいエピソード?を話している?ようです……どうもウィルソン夫人の今の夫は、結婚式?で着た一張羅?三つ揃い?を誰かから借りていた?ようです……で、ウィルソン夫人はどうもそのことをまったく聞かされていなかった?のではないでしょうか?……で、ある日ウィルソン夫人の夫が(家に)いなかったときに、その一張羅?三つ揃い?を貸した?らしい誰かが、返してくれと?取りに来た?のではないでしょうか?……そりゃまあ、ウィルソン夫人にしてみれば寝耳に水?でしょうか?……何それ?どういうこと?はっ?返してくれって?夫のものじゃない?そんな……そりゃあ、がっくり?きたり?する?でしょうか?……なんか、力が抜ける?かもしれない?……まず、あの式で着ていた服が人から借りたものだったなんて……というショック?が一つ?でしょうか?……おそらく、厚意で?つまり無料で?貸してもらっていた?……そして、そのことについて何も話してもらえていなかったことで、二重の?ショック?でしょうか?……さらに、その事実を知ったのが、その服を貸した人が返してくれとわざわざ取りに来たときに、その貸した本人から聞かされた?――ということは、貸した本人と顔を合わせた?ということで、ウィルソン夫人にしてみれば、恥をかいた?言いかえれば夫に恥をかかされた?と感じた?のではないでしょうか?……で、これで三重の?ショック?でしょうか?……そりゃあ、新婚間もない時期に、こんなことがあると、女性としては、なんだか?心を思いっきり殴られたような?衝撃を?感じたり?するかも?しれない?……せめて、すぐに話してくれていれば、借りたものはすぐに返す、という対応を取ることができていたかもしれないし?そうすれば貸した人に催促されるような恥もかかずにすんだ?かもしれないし?……なんでしょう……もしかしたら?最悪のパターン?だった?かもしれない?でしょうか?……女性の立場?目線?で見れば?……夫のウィルソンはこういうことをあまり気にかけない?なんとも思わない?のかもしれませんが、こうした世間体?みたいなもの?は、普通の女性はだいたい気にする?のが一般的?でしょうか?……で、そうした部分では、ウィルソン夫人も普通の一般的な女性の常識?に近い感覚?みたいなものを?持っていた?……だから、この一件で、ウィルソンとの結婚は間違いだった、失敗だったと思った?のではないでしょうか?……えーっ ⁉ こんな人だったの ⁉ ……みたいな?……もうこれだけで?うんざり?したかも?しれない?……特に独身の男の人にはこういうことをあまり気にしない人がけっこう?いたり?するでしょうか?……だけど、女性は、人の目にどう映るか、人にどう思われるか、ということを気にする方が普通?かもしれない?……だから、結婚してすぐ?これがきっかけで?ウィルソン夫人と夫の間にはもうすでにズレというか溝というかできてしまって?……で、夫のウィルソンの方は、何も思っていなかったかもしれないけど、妻のウィルソン夫人の方は、もうこの一件だけで、まず夫が信じられない?信用する気にならない?という気持ちに?なっていた?かもしれない?……なまじ、①②で言っていたように、りっぱな行儀作法だったりしつけに関することをよく知っている紳士だと思って結婚したわけですから、それなのに、ウィルソン夫人にしてみればわかっていて当然だと思っていることを夫のウィルソンがわかっていなかったりしたら、その評価はもうだだ下がり?……そんなこともわからない人と私は結婚したのかと……まさしく幻滅?でしょうか?……たった一着、結婚式で着る服を知人に?借りただけのことで、何をそんなに大げさに騒いでいるのかと思った男性の方!お気をつけください!女性というものは、そんな?些細な?取るに足りない?微々たる?小事?を決して?疎かにせず?大事に?大切に?思う?考える?重要視する?ものなのかも?しれませんよ!……さて、ウィルソン夫人のこの話がまだ続くようです……先をみていきましょう……。
⑧ 'Oh, is that your suit?’ I said. 'This is the first I ever heard about it.’ But I gave it to him and then I lay down and cried to beat the band all afternoon."
【One More Library の原書データでは、’oh, と小文字で始まっていますが、Scribner の書籍によれば、’Oh, と大文字で始まるのが正しいようなので、訂正しておきます。また、同様に、One More Library の原書データでは、’this と小文字で始まっているところも、Scribner の書籍によれば、’This と大文字で始まるのが正しいようなので、訂正しておきます。】
「”おやまあ……その三つ揃いは、あなたの三つ揃いか?”と私は、言った……”これが、最初だ……私が、これまでに……聞いた……何についてかというと、その三つ揃いだ”……そうやってそのときが、私がその三つ揃いについて聞いた最初だったわけだから、普通に考えると、夫からその三つ揃いについて聞いたことがなかったわけだから返せなかったのではないかと思われそうなところだけれど、実際には違って、私は渡した……その三つ揃いを……その男(誰か)に……そうやって、その三つ揃いをその男(誰か)に与えた後、次に私は、横たわった……倒れて……そうやって横たわって倒れた状態になった後、声を上げて泣いた……他を圧倒する・群を抜くところまで……全部の午後の間……」
that は、⑦で出てきた somebody’s best suit (to get married in) を指しているのではないでしょうか?
your は、⑦で出てきた somebody すなわち the man を指しているのではないでしょうか?
I は(すべて)、ウィルソン夫人の話が続いているようなので、ウィルソン夫人を指すのではないでしょうか?
This は、somebody が somebody’s best suit を返してほしいと(灰の谷の自動車修理工場・ガソリンスタンドの店の)家にやって来た、その瞬間を指しているのではないでしょうか?
it は、your suit を指すと同時に、⑦の He borrowed somebody’s best suit to get married in を指しているのではないでしょうか?
次の it は、your suit を指すのではないでしょうか?
to beat the band は、cried の程度を表しているのではないでしょうか?……どれくらい声を上げて泣いたかというと、誰よりも?と例えてもいいくらい声を上げて?激しく?泣いた?と言っている?のではないでしょうか?
ウィルソン夫人が、その夫が借りた?らしい一張羅?三つ揃い?を返したときのことを思い返して?いるようです……まず、夫が借りたらしい?一張羅?三つ揃い?を返してくれと言われて驚いた?ようです……そして、(本当に?)あなたの一張羅?三つ揃い?なのか?と訊いた?確認した?ようです……で、私はその一張羅?三つ揃い?について聞いたのが、まさしくこれが最初だと言い訳?したようです……そりゃあ、夫が結婚式で着ていた一張羅?三つ揃い?が(本当に?)あなたのものなのか?と訊いたわけですから、そのとおり貸してもらったものであれば、その返しにもらいにわざわざやって来た人に失礼です……だから、いや、知らなかったから訊いたのだと、断らざるをえなかった?のでは?ないでしょうか?……本当に困った夫だと?内心思っていた?のではないでしょうか?……だけど、いちいち夫に確認もできなかったのか?とにかくその場ですぐ返した?ようです……で、大ショック ⁉ ……ソファか?ベッドか?わかりませんが、とにかくもう体の具合まで悪くなっちゃった?みたいな気分?でふとんに?クッションに?顔を埋めて?わーわー?声を上げて泣いた?と……しゃくり上げたりとか?して?……しかも午後の間ずっと?……すごいですね……ノックダウン?状態?……結婚してすぐ、ノックダウン?……起き上がれない?立ち上がれない?……じゃあ、リングから下りる?しかない?……で、幻滅した夫を捨てて?別の男に目を向けるようになった?のでしょうか?……ということで?行きつくところは?トム?だと言いたい?のでしょうか?ウィルソン夫人は?……なるほど……ちゃんと、筋が通っている?……う〜〜〜〜ん……トムはこの話、どんな気分で聞いていたでしょうねえ……ウィルソン夫人は、もう?必死で?私にはトムしかいないと?アピールしている?ようですが、トムの方は?……ウィルソン夫人と本気で腰を据えて向き合う気など毛頭ない?のでは?ないでしょうか?……ちょっと気まぐれに?立ち寄った?酒場の一つ?程度?だったりして?……トムってのは、場当たり的というか?その場その時?俺様が満足してればそれでいい?……そういう刹那的?というか快楽しか興味がない?……誰にも何にも真剣に向き合うことがない?……お手軽な楽しみばっかり求めてるから?生きてる実感が持てない?虚しい?日々?毎日?人生?……一度楽に流れたばっかりに?結局自らの首を自ら締めている?ようなもの?……どうなんでしょう……。
⑨ “She really ought to get away from him," resumed Catherine to me. “They’ve been living over that garage for eleven years. And Tom’s the first sweetie she ever had."
「『お姉ちゃんは、本当に・まったく・確かに、当然すべきことがある……それは、行動を起こして……離れることだ……何からかというと、今の夫だ……』再び始めた……キャサリンが……誰に向かってかというと、「自分」だ……『お姉ちゃんと今の夫は、ずっとある状態だった……それは住むことで……あるものの上に……それは、あの例の自動車修理工場・ガソリンスタンドで……その期間は、十一年間だ……そうやってお姉ちゃんと今の夫があの例の自動車修理工場・ガソリンスタンドの上に十一年間住んでいた状態を経た後に、トムが……最初の恋人だ……お姉ちゃんが、これまでに、持った……』」
She (she) はすべて、ウィルソン夫人を指すのではないでしょうか?
him は、ウィルソン夫人の夫を指すのではないでしょうか?
They は、ウィルソン夫人とその夫の二人を指すのではないでしょうか?
that は、「あの」「例の」というニュアンスで使われているのではないでしょうか? そしてここでは、灰の谷にある自動車修理工場・ガソリンスタンドを指すのではないでしょうか?
③で妹のキャサリンに受けた鋭い指摘に対する回答?言い訳?を⑧でウィルソン夫人が終えた?らしいところで、妹のキャサリンは納得した?のかどうかわかりませんが、またもや「自分」に向かって話しだした?ようです……ウィルソン夫人はまったく・本当に・確かに今の夫から離れるべきだと……つまり、別居?ってこと?……ウィルソン夫人と今の夫は十一年間、あの灰の谷にある自動車修理工場・ガソリンスタンドのお店の上に住んできたと……で、そういう結婚生活を?送ってきた後で出会った?らしいトムこそが、ウィルソン夫人がこれまでに持った最初の恋人だと……つまり、今の夫は恋人じゃないの?……というか、トムほど好きになった人は他にいない?ということが言いたい?のではないでしょうか?……で、このキャサリンの言葉は、ウィルソン夫人が妹に言った言葉?ではないでしょうか?……トムはね、あたしが初めて本気で好きになった人なのよ……こんなに誰かを好きになったのは初めて……トムこそ本当の運命の人だわ……な〜んて?妹にのろけてたり?してたのでしょうか?……もう、完全に?恋する乙女?状態?……で、単純明快?なキャサリンの理屈では?どうしてお姉ちゃん別居しないのよ、と……もう今の夫がそんだけ嫌なら、さっさと別居しちゃったら?で、トムと同居?同棲?すればいいじゃない?みたいな……いやいや、そこがそう簡単にはいかないのよ?現実は……できることなら今すぐにでもそうしたいけど、でも、ちゃんとトムとの結婚が正式に決まらなければ、身動き取れないのよ?……だって、生活があるじゃない?……お金はどうするの?……収入がなければ生きてけないじゃない?……トムとの正式な結婚、いや、せめてトムが今の妻と別れることが先決?……そこが決まらなければ、動けないわ?……と思っているのかどうか?わかりませんが、現実には、十一年間も、たとえ形だけであったとしても、愛情のない冷え切った夫婦関係であったとしても、それでも結婚を継続してきたわけで、その関係を解消し終わらせるというのは、頭で考えるようにはいかない?実際は思ったよりもっとずっと大変?……仮にトムがデイジーと別れたとしても、それでウィルソン夫人と即結婚?とはたしてなるかどうか……ところで、ほとんどまったく考えてきませんでしたけど?ウィルソン夫人の夫はどうなんでしょう?……ウィルソン夫人がもし、別れを切り出したら、どうするんでしょう?どんな反応を見せるのでしょうか?……すんなり別れに応じるのでしょうか?……なんでも?ウィルソン夫人の言いなりで?おとなしそうな?感じでしたけど?どうなんでしょう?……まあ、そこまで事態が進んでいるわけではないし?わざわざ無駄に取り越し苦労なんかすることない?でしょうか?……。
⑩ The bottle of whiskey — a second one — was now in constant demand by all present, excepting Catherine, who “felt just as good on nothing at all."
「トムが出してきたボトルが……ウィスキーの――二番目・二つ目のウィスキー――ある状態だった……それは、今では、ある状況だった……継続した要求の……誰によってかというと、(その場の)すべての存在する人たちだ……ただあるものを除いて……それは、キャサリンだ……キャサリンは、『感じた……まったく・ほんとに……あるものと比べて同じ状態で……幸福な・愉快な・心地よい……あるものを食べて・飲んで……それは何もまったく(食べ・飲ま)ないで……どの食べ物・飲み物もこれっぽちも・ほんの少しも……』」
The bottle of whiskey は、第37回(24ページ末尾から2行目)でトムが出してきたものを指すのではないでしょうか?
all は、「すべての人」を表しているのではないでしょうか?……そして、直後の present が、どんなすべての人なのかを説明しているのではないでしょうか?
who は、直前の Catherine を指しているのではないでしょうか?
felt just as good on nothing at all の後に、as good on whiskey[alcohol] などの語が省略されているのではないでしょうか?……(felt just) as は、何かと比べて同じ程度であることを表すために使われているのではないでしょうか?……そして、何と比べてなのかという情報が書かれていないようですが、それは書かなくてもわかるだろうと思われたからではないでしょうか?……キャサリンは何も飲まなくても、ウィスキーを飲んだときとまったく同じように幸福な・愉快な・心地よい状態だと言っているのではないでしょうか?……。
⑨までみてきたような、具体的な名前を出すのがはばかられるような話をするまでに場の空気が緩んできた?というか座がくだけてきた?というかみんなのタガが外れてきた?というか、そんな状態になる頃には、トムが出してきたウィスキーのボトルが、その場にいた人たちがみんな絶えず求める状況になっていたと……それも、二つ目だった?と……要は、みんなが次から次へとウィスキーを煽るように?グビグビと?飲みまくっていた?のでしょうか?……そして奪い合うように?競争で?飲みあげていた?のでしょうか?……そのみんなには、どうやら「自分」も入っていた?のでしょうか?……なんでしょう……場の空気に流された?のでしょうか?……そんなに飲むのは意外なような気も?しませんか?……だけど、たしか第37回(25ページ1-2行目)で、人生で二度目に酔っ払ったのがこのときだった?と説明していた?ようでした……で、「自分」までもがお酒に溺れていた?らしい中、唯一?キャサリンだけは、例外だった?と……普通、お酒を飲むのは酔っ払って気分が良くなる?からお酒を飲む?でしょうか?……だけど、キャサリンの場合は、お酒を飲まなくても、気分は良いと?……まあ、自制?したのでしょうか?……とにかく、そう言って、お酒を飲まなかった?ようです……この辺り、周りに流されずしっかりとした自己を持ち?自立して?自ら働いて収入を得て生活している?感情に流されず?自らを律することができる?といった?、姉のウィルソン夫人とはずいぶん対照的な?ところがうかがわれる?でしょうか?……そうした違いはあっても、突っ込みは手厳しいけど?あくまでもお姉ちゃんの味方で?お姉ちゃんに寄り添い?お姉ちゃんの幸せをどこまでも願っている?妹の姿が浮かび上がってくる?でしょうか?……。
おつかれさまでした。どうでしたか?
人間は、理屈じゃない、感情で生きてるんだ、ということを思わされたり?しませんか?……特に?結婚?などは、その最たるもの?だったり?するかも?しれない?……ウィルソン夫人も、味方になり?力になってくれる?妹だからこそ、黙って流している?のでしょうが?、キャサリンの指摘するようには現実はいかない?のが普通?でしょうか?……ウィルソン夫人も、決してそんなつもりではなかった?のではないでしょうか?……夢や?希望に?満ちあふれて?今の夫と結婚した?のではないでしょうか?……だけど、現実は?厳しい?……で、ウィルソン夫人の場合は、今の夫を早々と?見限って?他に乗りかえる?道を選んだ?ようです……で、どうやら、またもや、夢や?希望に?満ちあふれた?結婚をトムに期待している?賭けている?……はたして、仮にウィルソン夫人の望みどおりにトムと正式に結婚できたとしても、ウィルソン夫人が思い描いた通りの結婚になるでしょうか?……だけど、人間とは皆?愚かなもの?……作者も意地が悪い?……好意的に解釈すれば、ウィルソン夫人を反面教師にすればいいんだよと、作者は読者に教えようとしている?かもしれない?……だけど……他人のことはわかっても、自らのことになったら思いが至らなかったり?自らに結びつけて考えられなかったり?する?……そもそも、自らに当てはまると思わず、他人事で終わることも多い?……それに、仮に他人事じゃないなと思えたとしても、頭や理屈で理解することと、実際に実行できるかというのは、また別の話?……そう簡単には無理?……そんなことできればみんなやってる?……みんなわかっててもできない?……だから、人間とは皆?愚かなもの?という結論に戻る?……作者はいったい、何が言いたいのでしょうねえ……。
さて、今回の考えるヒントに上げたお題 「29ページ 7行目 he knew something about breeding とはどういうことを言っているのか」 ですが……②で説明したとおりです。相手がどういう人間なのかを見抜くのは、なかなかに難しい?……ただ、まんざらウィルソン夫人は見誤ったわけでもない?かもしれない?でしょうか?……仮にも生涯の記念になるであろう晴れの日に着る服を、お金がなかったのか?お金があっても別に無料で借りられるならそれがいいと思ったのか?わかりませんが、いわば夫が軽く?考えていた?ことがショックだった?というのもある?かもしれない?でしょうか?……なんだか、二人の出発と言ってもいい大切な(結婚式の)思い出を汚されたような?気持ちにも?なったのかも?しれない?でしょうか?……まあ、よりにもよって、夫のウィルソンもこんな手痛い?不始末?やらかさなくても?と思う女性はもしかしたら?けっこう?いたり?する?でしょうか?……ウィルソン夫人の方が並々ならぬ強い思い入れを持って結婚式に臨んでいればいるほど、夫のウィルソンはそんなにも軽い気持ちでいたのかと、そのショックが大きくなったりする?かもしれない?でしょうか?……新婦がめちゃくちゃ大切に思っていた"二人の"式を、新郎が粗略にないがしろにしていた節が後になってバレたりしたら、新婦にしてみれば新郎が新婦の思いを共有してくれていなかったのかと、失望したり?新婦一人が取り残されたような寂しい思いを味わったりする?のかもしれない?でしょうか?……一方、新郎にしてみれば、おそらく別に式がどうでもいいわけではないし?ましてや新婦がどうでもいいことなどあろうはずがなく?単に新郎の服にはこだわりがなかった?という程度にすぎない?かもしれない?……新郎には、結婚してほしいと望んだ女性が自らの妻となってくれた、ただその事実だけで十分?満足?別にそれ以上望まない?……もしかしたら?夫のウィルソンはそういう新郎だった?かもしれない?……誰にでも当てはまるわけではないのでしょうが、傾向として?そんなふうに?男性と女性では求めるものだったり?感じ方だったり?が違って?そこからズレ?だったり誤解?だったり生まれたりする?のでしょうか?……ウィルソン夫人が夫のウィルソンに感じた、りっぱな行儀作法だったりしつけだったりをよくわかっていて?礼儀正しくて思いやりがある紳士?という印象は、おおむね外れていなかった?のではないでしょうか?……だからこそ、第32回・第33回でみたように、夫のウィルソンは、失礼きわまりない?夫人の扱いにも不服を唱えるでもなく、黙って従っていた?のではないでしょうか?……これ、トムだったら、どうでしょう?……黙って従うなんて百パーセントありえない?と思いませんか?……だけど、ウィルソン夫人には、夫の別の大きな?あらが目についてしまい?しかも結婚式の晴れの服で致命的な?ケチがついてしまい?もうそれだけで?夫のウィルソンを受け入れられなくなった?心理的な抵抗が生まれてしまった?……あ〜あ〜、もう嫌っ!……みたいな?……で、トムが現れた?……それって、本当に良かったのでしょうか?……。
次回は、ちょっと文学的?な一節?があったり?する?……ぜひまた一緒に読んでみてください。
第45回の範囲は29ページ末尾から14行目途中から30ページ6行目途中まで(Tom rang for the janitor 〜から、advertisement over his head. まで)をみていきます。
次回の考えるヒントは……
- 29ページ末尾から9-6行目 Yet high over the city our line of yellow windows must have contributed their share of human secrecy to the casual watcher in the darkening streets とはどういうことを言っているのか
次回は、酔っぱらいってのは困ったもんだ?なんて思わされたりする?……ぜひまた一緒にみていってください。
最後に、物語を読むときに心にとめたいポイントをまとめます。
・どうして作者はその言葉を使用したのか
・それぞれの登場人物に作者はどんな役割を割り当てているのか
・それぞれの登場人物のセリフや物語の展開を通じて作者は何を言おうとしているのか
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なお、今回の範囲の訳文を有料(700円)で掲載いたします。この連載はだいたい250回くらいになる予定なので、毎回訳文を購読いただいた場合には30回で2万円を超え、トータルでは18万円近くになることをご承知おきください。またいかなる場合も返金には応じられません。また購読いただいた訳文にご満足いただけるとは限らないことをあらかじめご承知おきください。なお、問い合わせなどはご遠慮ください。お断りいたします。