Gatsby-39
このサイトは、英語で書かれた物語を一作品、最初から最後まで少しずつ読んでみようという試みです。
取り上げる作品は『The Great Gatsby』です。100年近く前に米国で出版された小説ですが、現代の日本人にも共感したり心を動かされるところが多々あると思います。
ぜひ一緒に、英語の原書を読んでみませんか。
(なお、このコンテンツはその著作者の解釈に基づくものであり、必ずしも正しいとは限らないことをご承知おきください。)
前回まで……トムとウィルソン夫人の二人の部屋に、「自分」の他に呼ばれたらしいお客が到着したようでした……まず、ウィルソン夫人の妹であるキャサリン――夫人は妹のことを very beautiful と言っていたようでしたが(第36回 24ページ12行目)、「自分」には美人とか可愛いとか魅力的とかそういう要素は皆無?だったようです……次に、トムとウィルソン夫人の二人の部屋の下の階に住んでいるらしいマッキー氏――一般人には難解な?芸術作品を撮影する写真家?のようです……リビングに飾ってあったらしい写真はどうやらマッキー氏の作品のようです……最後に、マッキー氏の妻――夫の写真が自慢?のようです……三人とも、「自分」の印象は良くなかった?ようです……特に、キャサリンとマッキー夫人はいけ好かない?感じ?……この顔ぶれを見ただけでも、気が滅入るよう?……お酒に会話を楽しめるにはほど遠い?……だから言わんこっちゃない……帰るって言ったのに……と「自分」が思ったかどうかわかりませんが、切りのよいところまで?付き合うしかない?でしょうか?……続きをみていきましょう。
原文はOne More Libraryの『The Great Gatsby』を使用します。
第39回の範囲は25ページ末尾から5行目から26ページ19行目まで(Mrs. Wilson had changed her 〜から、I don’t care what I look like. まで)をみていきます。
まず、今回の考えるヒントを上げます。
- 26ページ4-5行目 until she seemed to be revolving on a noisy, creaking pivot through the smoky air. とはどういうことを言っているのか
なお、特に断っていなければ、基本的に次に上げる辞書の訳語や定義・意味に基づいて説明します。
主に使用する辞書
『リーダーズ英和中辞典(第2版)』(野村恵造)(研究社 2017)
『Pocket Oxford English Dictionary (Eleventh Edition)』(Maurice Waite) (Oxford University Press 2013)
『岩波国語辞典(第七版新版)』(西尾実 岩淵悦太郎 水谷静夫)(岩波書店 2017)
それでは今回の範囲をみていきましょう。
① Mrs. Wilson had changed her costume some time before, and was now attired in an elaborate afternoon dress of cream-colored chiffon, which gave out a continual rustle as she swept about the room.
「ウィルソン夫人は、変えていた……ウィルソン夫人の服装を……短い時間の……前に……そうやって服装を変えた後、今度は装っていた・正装していた……手の込んだ・入念に作られた午後に用いる衣服・ドレス・正装・礼装で……その衣服・ドレス・正装・礼装は、薄い白色または薄い黄色のとても薄い柔らかな生地の絹でできていた……その衣服・ドレス・正装・礼装が、出していた……継続的な・とどまることのないサラサラ・カサカサ・衣擦れの音を……そうやってその衣服・ドレス・正装・礼装が、継続的な・とどまることのないサラサラ・カサカサ・衣擦れの音を出していたのは、あるときだった……それは、ウィルソン夫人が、服の裾を引いて歩いたときで……どこをかというと、あちこちとリビングを……」
her は、Mrs. Wilson を指すのではないでしょうか? she も同様ではないでしょうか?
which は、an elaborate aftternoon dress of cream-colored chiffon を指して言いかえているのではないでしょうか?
前回は、「自分」の他に来ていたお客の説明をしていたようでしたが、今回は、ウィルソン夫人の様子から説明するようです……どうやら、またもや服を着替えていた?ようです……そうやって服を着替えてから間もなかった?のではないでしょうか?……で、今度の服は、午後に着る正式なドレス?なのでしょうか?……色も、今までは暗い濃い色だったのが、今度は薄い明るい色?のようです……テロテロ?の生地?でしょうか?……で、どうやら、すそが床まで届く長さ?だったのではないでしょうか?……リビングの中をあちこちと動き回ると、すそを引くことになり、それでずっと音が出ていた?ようです……要は、ズルズルと引きずり続けていた?……山ほど家具があって身動きが取りにくい中で?……またもや、無理してる?……それほどのドレスを着るほどじゃないのに?……夫人にしてみれば、めいっぱい?おしゃれ?してる?のでしょうか?……やっぱり、ウキウキ?ルンルン?……もう嬉しくて嬉しくてたまらない?……この部屋では、夫人は奥様?王妃?主役?……灰の谷の家との落差が大きいですねえ……夫人のテンションが上がるのも無理はない?……だけど、ドレスがリビングの部屋に合ってない?……夫人がこの部屋にふさわしくない?似つかわしくない?……またもや、作者はそう主張している?ようです……。
② With the influence of the dress her personality had also undergone a change.
「あることが原因で……それは何かというと、影響で……何のかというと、薄い白色または薄い黄色のとても薄い柔らかな生地の絹でできていたその衣服・ドレス・正装・礼装で……ウィルソン夫人の性格・人柄が、ある状態になっていた……服装を変えたのと同じように、経験していた……変わることを……」
her は、①で出てきた Mrs.Wilson を指すのではないでしょうか?
①でウィルソン夫人の見た目が変わったことを説明していたようでした……そして、その見た目と同時に、中身まで変わったようだったと説明しているのではないでしょうか?……身につける服を変えたら、性格・人柄まで変わっていたと……どんなふうに変わったのでしょうか?……。
③ The intense vitality that had been so remarkable in the garage was converted into impressive hauteur.
「強烈な活力・元気が……その強烈な活力・元気はとても目立っていた……灰の谷のそばにあるウィルソン夫人の家である自動車修理工場・ガソリンスタンドの店で……変えられていた・変換されていた……何にかというと、強い印象を与える・印象的な……横柄・尊大・傲慢だ……」
that は、直前の The intense vitality を指して言いかえていると思われます。
「自分」が初めてウィルソン夫人に会った灰の谷のそばにある自動車修理工場・ガソリンスタンドの店では、強烈な活力・元気がとても目立っていたと……そのとても目立っていた強烈な活力・元気が、服を変えたら、別のものに変わっていたようです……では、何に変わっていたのか――強い印象を与える・印象的な横柄で尊大で傲慢な様子?のようです……なんか、トムみたい?似てる?……トムもとにかく体に腕力?だけが?自慢?……ウィルソン夫人も、元気いっぱい?身体中から今にも爆発しそうなほどの活力が目についていた?ようでした……それが、①で服を変えたら、強烈な活力と元気がすべて、強い印象を与える・印象的な横柄で尊大で傲慢な性格?に変換された?ようです……たしか、トムの傲慢な性格も、体や腕力に自信があったからこそ?そこから来たのでは?なかったでしょうか?……夫人も同じ?……なんだか、妙な具合ですねえ……類は友を呼ぶ?……トムと夫人は似た者同士?……二人の関係は、まるで必然?……。
④ Her laughter, her gestures, her assertions became more violently affected moment by moment, and as she expanded the room grew smaller around her, until she seemed to be revolving on a noisy, creaking pivot through the smoky air.
「ウィルソン夫人の笑い方、ウィルソン夫人の身振り手振り、ウィルソン夫人の主張(する態度や言動)……そのすべてが、ある状態になった……それは、前よりももっと激しくひどく……見せかけのきざな芝居がかった様子になった……時間が経つごとに……そうやってウィルソン夫人の笑い方も身振り手振りも主張(する態度や言動)も前よりももっと激しくひどく見せかけのきざな芝居がかった様子になった後、あることが起きたのと同時に……それは、ウィルソン夫人(のそんな様子)が膨張・発展したことで……リビングの部屋がある状態に変化した……それは、前よりも小さくなった……ある場所の周囲で……それは、ウィルソン夫人のいる場所で……そうやって、ウィルソン夫人の笑い方・身振り手振り・主張(する態度や言動)が前よりももっと激しくひどく見せかけのきざな芝居がかった様子になる有り様がますますエスカレートしていき、リビングの部屋のウィルソン夫人の周囲の部分が前よりもどんどん小さく狭くなっていき、最後には、ウィルソン夫人が、ある状態になったように思われた……それは、くるくる回っている状態で……どこでかというと、騒々しいきしる音を立てている軸の上で……それはどんな場所の中かというと、煙のような空気だ……」
Her (her) はすべて、②と同じく、①で出てきた Mrs. Wilson を指すのではないでしょうか? she も(すべて)同様ではないでしょうか?
今回の考えるヒントに上げた箇所が出てきました。
ウィルソン夫人が服を変えたら性格まで変わったと……それも前よりも悪い方に……横柄で尊大で傲慢な性格になったと……そうやって性格が変わった様子を、どうも具体的に説明しているようです……笑い方だったり、身振り手振りだったり、夫人の自らに注目を集めようとするような態度や言動だったり?が、時間が経つごとに前よりももっと激しくひどくわざとらしいものになっていった?のではないでしょうか?……そうやって、周りの気を引く?というか?……で、そんなわざとらしさがどんどんひどくなっていって、夫人の身振り手振りも声もどんどん大きくなっていった?場所も取るようになった?……だから、夫人の周囲の空きスペース?がどんどん小さくなっていった?……で、とうとう最後には、まるで夫人が立っている一点だけが空きスペースになった?……つまり、夫人の周囲には空きスペースがなくなった?……そこまで夫人の身振り手振りが大きくなりすぎた?場所を取りすぎた?……で、その様子が、たとえていうならば、くるくると目まぐるしく?回っているように見えたと……夫人が立っている一点にある軸の周りをぐるぐるまわり続けているような様子?……で、そうやってぐるぐる回るときに、騒々しいきしる音がすると……そしてその周囲には、煙があると?……原始時代とか?火を起こすときに?細長い棒をくるくるとものすごい速さで(両手で)こするように動かしたりしていた?ようですが、そんなイメージが近い?でしょうか?……それくらい、ウィルソン夫人の一人で大げさに芝居がかった振る舞い?が目についた?ということでしょうか?……で、あまりに目まぐるしく次から次へとそういう周りの気を引こうとする大げさでわざとらしい動きを見せる様子が、そんな火を起こすときの細長い棒を動かす時の様子に似ていた?のではないでしょうか?……で、夫人のそんな大げさでわざとらしい動きがどんどんエスカレートしていって、終いには煙が出てきて火がついて燃えだすのではないかというほどの勢いだった?と言っているのではないでしょうか?……怖いですねえ……本人も疲れるでしょうけど、見ている方も疲れそうです……「自分」はきっと、そんな気分になったのでは?ないでしょうか?……なんだか、ウィルソン夫人自身も、ブレーキが止まらないような、行きつくとこまで行ってしまいそうな?自らの勢いに圧倒されていたり?もしかしたら?していたかも?しれない?……それくらい凄まじい?印象じゃないでしょうか?……きっと、こんなドレスを着たり、こんな王妃様みたいな気分は今まで味わったこともなかった?のではないでしょうか?……だからもう、有頂天のあまり、止まらなくなってしまった?のではないでしょうか?……絶頂?頂点?に到達して酔いしれている?……それが、「自分」の目には、横柄で尊大で傲慢な性格に変わったように見えたと……そうしてみると、この部屋での様子を見れば、第33回で随分夫をバカにしてコケにしていたようだった、あの様子も納得がいきませんか?……これならね、さもありなん、と……トムとこの部屋に来るたびに、横柄で尊大で傲慢な性格に拍車がかかって、灰の谷の家に帰るたびに、ますます夫をバカにしてコケにしていった?のかもしれない?でしょうか?……こういう姿を見せられると、人生、一見うまくいってればいいってもんじゃない?とか?思わされたり?する?でしょうか?……夫人にしてみれば、人生、一気にバラ色?みたいな感じ?じゃないでしょうか?今……だけど、はたから見ていると、それでいいのかな?本当に大丈夫かな?みたいな気持ちに?なったり?しませんか?……なんか、危なっかしい?ような?……下手をすると、本当に火がついて、燃えたりしませんか?……で、挙句の果てに、本当に燃えてしまったら、大火傷を負ったり?しないでしょうか?……トムと付き合う前よりも、もっとずっと酷いことになったり?しないでしょうか?……見てると、不安を覚えませんか?……。
⑤ “My dear," she told her sister in a high, mincing shout, “most of these fellas will cheat you every time. All they think of is money.
「『ねえ、キャシー』ウィルソン夫人が話した……夫人の妹に向かって……どんなふうにかというと、高い声で、上品ぶったきざな言葉使いで、大声で叫ぶように……『たいていの最近の奴らは、ごまかす・不正をはたらく……誰をかいうと、一般に誰でも……毎回……あるもののすべては……それは何かというとそういうたいていの最近の奴らが考えることで……金だ……」
My dear は、親しい人に呼びかけるときに使うようです……ねえ、〇〇ちゃん、とか……ここでは、妹に話しかけているようなので、もしかしたら、キャサリンだから、キャシー?とか呼んでた?かもしれない?……他にも、いろいろ考えられると思います……。
she は、②④と同じく、①で出てきた Mrs. Wilson を指すのではないでしょうか? her も同様ではないでしょうか?
these は、その場にいる誰かとかではなくて、漠然と現在・今の時代・最近を表すのではないでしょうか? this は一人を指しますが、these は二人以上を指すという違いだけで、他の意味とか使われ方とかはほとんど同じと思ってもいいのではないでしょうか?
fellas は、fellow のくだけた言い方のようです。ただ、こういうくだけ方は品がないような?印象も?あるでしょうか?……。
you は、妹の立場に立った物の言い方をしているだけで、一般に誰でも指すのではないでしょうか?
they は、most of these fellas を指すのではないでしょうか?
ウィルソン夫人の大げさでわざとらしい様子を、具体的に挙げているようです……まず声が高く、上品ぶったきざな言葉使いで、しかも大声で叫ぶように妹に呼びかけたようです……でも、代表として妹に呼びかけたのであって、実際にはその場にいた全員に呼びかけていたのと同じ?ではないでしょうか?……もしかしたら、いつもは、妹に対して、My dear なんて呼びかけることはなかったのかも?しれません……こういうところが、上品ぶったきざな言葉使い?なのでしょうか?……だけど、続けて口にした言葉に、品を感じさせないような物言いが出てきている?ような?……やっぱり、どんなに上辺を取り繕って飾ろうとしても、いつもの物言いが出てしまう?隠しようがない?……で、何を話しているのか?……どうやら、どいつもこいつもごまかして不正をはたらくような奴らばっかりだと……誰もがそのかもにされていると……そういう奴らの考えていることはお金しかないと……なんでしょうねえ……ウィルソン夫人がかもにされたと思うような経験でもしたのでしょうか?……だけど、ここにも、作者の意図を感じませんか?……いや、どの口がそういうのかと……まず、夫人は夫を裏切ってごまかしているのでは?ないでしょうか?……そして、トムのことも、夫人が金目当てでトムをたぶらかした?のではないか?……そして、デイジーと別れさせて、大金持ちのトムと夫人が結婚しようとしているのではないか?と……いや、夫人こそ、まぎれもなく金目当てでしょ?と……痛烈に?皮肉ってる?……怖いですねえ……でも、案外、他人の気になるところこそ、本人に当てはまっていたりしている?……夫人にしてみれば、このところ悪い奴らが多くて本当に困ったものだと、夫人が悪者ではないような物の言い方をしている……夫人はいい人・立派な人で、たちの悪い奴らに困らされていると……いやいや、違うでしょ、どこがいい人?立派な人?なのよ、と……あなたも一緒でしょ?たち悪いじゃない?……と指摘している?ように感じられませんか?……辛辣ですねえ……。
⑥ I had a woman up here last week to look at my feet, and when she gave me the bill you’d of thought she had my appendicitis out."
「私は、ある状態だった……ある女に来させた……この部屋に……先週……何のためかというと、調べるためで……私の両足を……で、そうやってある女にこの部屋に来させて、私の両足を調べさせた後、あることがあったとき……それは、その女が渡したことで……誰にかというと、私で……何をかというと(そうやって私の両足を調べた料金の)請求書で……あなたも一般に誰でも、あることを思っただろうと思う……それは、その女が、ある状態にさせたことで……何をかというと、私の虫垂炎を切除した・取り除いた状態だ……』」
I は、⑤に続いてウィルソン夫人のセリフなので、ウィルソン夫人を指すと思われます。 my も(すべて)、そして me も、同様ではないでしょうか?
she は(どちらも)、a woman を指すのではないでしょうか?
you は、話しかけている相手の妹を指すと同時に、一般に誰でも同じ立場に立っていたら、というニュアンスで使われているのではないでしょうか?
you’d of thought は、本当は you’d have thought となるべきところが、夫人の物言いが間違っている?ことを表しているのではないでしょうか?……またもや、学のないところをさらけ出した?でしょうか?……。
appendictis は、虫垂炎という病気を表すようなので、その虫垂炎を切除した・取り除いたという物の言い方は、正しくはない?間違っている?のではないでしょうか?……appendictis の代わりに、appendix を使っていれば正しかった?でしょうか?……。
⑤のセリフの続きです……具体的に金目当てでかもにされたときの話をしているようです……だれか女性にその部屋まで来てもらったようです……ウィルソン夫人の両足を調べてもらった?ようです……なんでしょう……具合の悪いところなどがないかどうか?でしょうか?……で、そしたら、その料金がきっと高かったのではないでしょうか?……ウィルソン夫人じゃなくても、妹でも誰でもきっと、虫垂炎を切除・取り除いてもらったのかと思っただろうと、(それくらい高かったと)言っているのではないでしょうか?……ところで、夫人がかっこつけて?さも偉そうに?すごいところを見せようとしながら?しゃべってたかもしれないけれど、実は随所で、言葉の使い方が正しくなかったり?不自然だったり?といったぼろが沢山?出ていた?ような?……上記の他にも、look at という表現も、本当は see を使うのが適切なところを――診察のつもりで言っている?――、夫人が正しい物言いを知らなくて、本当は不適切な表現を使っているのではないか?という見方もできるでしょうか?……有頂天で?かっこつけて偉そうにべらべらとしゃべっている分、余計にみっともないのが際立つ?でしょうか?……なんだか作者は随分と意地が悪い?ような?……だけどこのセリフ、そうやってしらっとしてもっともらしく診察らしき?診察まがい?の代価にべらぼうに?高い金をせしめた女こそ、ウィルソン夫人だと、揶揄している?のではないでしょうか?……夫人だって、大したこともせずにトムをだまくらかして?大金をせしめているじゃないかと……しかもそれも最近の?話?なのではないでしょうか?……夫人が口にしていること(内容)が、全部?夫人自身に当てはまる?……本当に、これでもかこれでもかと畳みかけるように責めて責めて責めまくっている?ような印象を?受ける?でしょうか?……。
⑦ “What was the name of the woman?" asked Mrs. McKee.
「『何だったのか?……名前は……その女の……』と尋ねたのはマッキー夫人だった……」
⑤⑥とべらべら一人でしゃべっていたウィルソン夫人に、マッキー夫人が話しかけた?ようです……その足を調べてもらった女の名前は何というのかと……ウィルソン夫人に⑤で話しかけられていたはずの妹は黙っていたのでしょうか?……どうも気配が感じられませんが……案外、姉の意図を汲んでいた?のでしょうか?……本当は、妹に話しかけているのではなく、妹はあくまでもだしで、その場の人たちに聞かせたいのだという姉の真意をわかっていたのでしょうか?……だから、黙って口を挟まずに?姉の邪魔をせずに?おとなしくしていた?のでしょうか?……なんでしょう……よく心得ている?……如才ない?……。
⑧ “Mrs. Eberhardt. She goes around looking at people’s feet in their own homes."
「『エバハート・エーベルハルト女史?だ……エバハート・エーベルハルト女史?は、あちこち歩き回る・ちょっと訪ねる……調べて……人々の足を……その人々の家で……』」
Mrs. は、既婚女性につける敬称のようです……必ずしも、奥様・夫人・未亡人には該当しなくても、既婚女性であれば使われるのではないでしょうか?……ここでは、たしかに誰かの奥様・夫人・未亡人に該当するのでしょうけれど、そういう意味ではなく、あくまでも既婚女性だからその敬称をつけているというだけではないでしょうか?……足の診察?にでも来た人のことを、奥様とか夫人と呼ぶのは?どうでしょうか?……。
She は、Mrs. Eberhardt を指すのではないでしょうか?
their は、people’s を指すのではないでしょうか?
⑦で名前を聞かれたウィルソン夫人が、マッキー夫人に答えているようです……まず、名前を……それから、その女が何者なのかを?説明しているようです……⑥の前半で言っていたことと大差ないような気がしますが……もしかしたら、そうやって、その部屋に来てもらって、ウィルソン夫人の足を診察してもらったことが自慢?なのでしょうか?……いや、足を診察してもらったことではなくて、そうやって診察してもらう人の家――その人の我が家――を訪れるのだ、という点がウィルソン夫人が強調したい?ところ?でしょうか?……まさしく、この部屋こそ、夫人の"我が家"なのだと、殊更に?言いたい?……灰の谷の家は夫人の家ではないのだと?……もう、あの生活からは抜け出すのだと?……だからこそ、夫人が鼻高々でご自慢の"我が家"に、客を招きたい?……自慢の"我が家"を見てもらいたい?……いや、"我が家"よりも、その"我が家"の主役である夫人の姿を見てもらいたい?……だからこそ、不似合いなほど飾り立てて、わざとらしく大げさに振る舞って人の注意を引き注目を集めようとしていた?のでしょうか?……そうやって、夫人以外の人たちの目を通して、夫人がまぎれもなくその"我が家"の主人?であることを夫人自身も確かめたかった?……なぜなら、まだ完全に夫人のものになったとは言えないから?……まだ、トムと結婚できていないから?……まだ、灰の谷の夫と別れてはいなかったから?……いわば、砂の城?……"我が家"であって、まだ正式に"我が家"にはなっていないから……いつ崩れるとも知れない、危うい"我が家"だったから、そうやって主張していないと不安だった?……夫人の華やかすぎる?ドレスに大げさな言動は、そんな夫人の不安が反映されている?かもしれない?でしょうか?……。
⑨ “I like your dress," remarked Mrs. McKee, “I think it’s adorable."
「『私は、好きだ……あなたのドレスが……』と(感想を)言ったのは、マッキー夫人だった……『私は、思う……そのドレスが、魅力的だ・かわいらしい……』」
I は(すべて)、マッキー夫人のセリフのようなので、マッキー夫人を指すのではないでしょうか?
your は、⑤⑥⑧としゃべっていたらしい、ウィルソン夫人を指すのではないでしょうか?
it は、your dress を指すのではないでしょうか?
⑧とはまったく別の話に変わっているようです……マッキー夫人がウィルソン夫人の着ているドレス?をべたぼめ?しているようです……①で着替えていたドレスのことではないでしょうか?……どうやら、マッキー夫人はそのドレスに違和感を覚えなかった?のでしょうか?……そのリビングには不似合いな?大きすぎる?多すぎる?家具に埋もれたような空きスペースの少ない?ところで、ズルズルと?引きずって歩くようなミスマッチ?なドレスに……こんなドレス着て、この人、おかしいわ…とか思わなかった?のでしょうか?……本気で良いと思っている?のでしょうか?……。
⑩ Mrs. Wilson rejected the compliment by raising her eyebrow in disdain.
「ウィルソン夫人は、退けた・受けつけなかった・受け入れようとしなかった……マッキー夫人のほめ言葉を……どういう方法でかというと、上げることで……何をかというと、ウィルソン夫人の(片方の)眉で……どんな様子でかというと、軽蔑・尊大・侮蔑の状態で……」
⑨でマッキー夫人がウィルソン夫人のドレスをほめたら、ウィルソン夫人は、なんと!そのほめ言葉をはねつけた⁉ ようです……片方の眉をつり上げた?のでしょうか?……そのドレスを軽蔑したような?それほどすごいものでもないと軽くあしらうような尊大な態度で?……なんでしょうねえ……本当は、自慢のドレスなのだけど、それをほめられたからって露骨に喜んだらみっともない?かっこ悪い?みたいな気持ちでも?あるのでしょうか?……内心では跳び上がらんばかりに?小躍りして?喜んでいる?……だけど、素直に喜んでしまったら、こういうドレスを滅多に着られない、今までこういうドレスを着るような生活をしてこなかった、そういう夫人の素性?がわかってしまう?のではないか?……だから、喜ぶわけにはいかない?のでしょうか?……そもそも、こういうドレスを着慣れていたら、まず、このリビングでそのドレスを着ていなかった?のではないでしょうか?……いわゆる?TPOに合ってない?から……だけど、それがわからないのか、わかっていても、着ずにはいられないのか?……それに、こういうドレスをいつも着るような生活をしていたら、夫人のように取り繕う必要がないので、素直に適度に?喜んでいたのではないでしょうか?……夫人はいつも灰の谷で生活しているわけです……その生活は、夫人自身にとっても、もう認めがたい、否定したい現実?なのではないでしょうか?……だけど、そっちの生活をしてきた夫人の姿こそが本来の夫人であり、夫人の素性とはそういう生活をしてきた姿?ではないでしょうか?……だから、そんな姿も素姓も、絶対に隠し通さなければならない……夫人はそんな思いでいたのでは?ないでしょうか?……だから、そんなドレスなどいつも着ているようなふりをしなければいけない、と思ったのでは?ないでしょうか?……だから、こんな魅力的なドレスを日頃からいつも着ているから、珍しくもない、この程度のドレスはほめるほどのものではない、という態度を取った?のではないでしょうか?……見方によっては、痛々しくないですか?……作者も酷なことをする?……すべては、デイジー=お姫様?という設定のため?……。
⑪ “It’s just a crazy old thing," she said. “I just slip it on sometimes when I don’t care what I look like."
「『ウィルソン夫人のドレスは、ただ・ほんの……欠陥の多い・不できの……古い代物だ……』とウィルソン夫人が言った……『私は、ちょっと……急いでぱぱっと着ている……そのウィルソン夫人のドレスを……(そして)身に着けた状態にする……ときどき……ある状態のときに……それは、私が、あることをしないときで……それは何かというと、気にしない・気にかけないことで……何をかというと、ある様子・見た目で……私が、見える……どんな様子・見た目に……』」
It (it) は(すべて)、⑨で出てきた your dress つまりウィルソン夫人の着ているドレスを指すのではないでしょうか?
she は、⑩に出てきた、無言で眉をつり上げたらしい Mrs. Wilson を指すのではないでしょうか?
I は(すべて)、ウィルソン夫人のセリフのようなので、ウィルソン夫人を指すのではないでしょうか?
⑧でべたぼめ?してもらったのに、⑨で小難しい顔?しかめっ面?で軽く流した?後、⑪のセリフを言った?ようです……このドレスはね、上等の品ではないのだと……なんでしょう……ほんの安物よ?みたいな?……最新の流行ものでもないし?みたいな?……ちょっとね、ぱぱっと着てるのよと……ときどきね……なんていうか、格好を気にしない、かまわない、どんな格好でも別にいいや、みたいなときに着てるの、と……要は、ちょっとそこまで買い物とか、別に服装・見た目にこだわらなくてもいいときに、気軽に?手軽に?着ているものなんだと……ぜ〜んぜん、特別な洋服じゃないのよ……いつも着てるの……つまり、いつも私はこんなに上等な服を着ているのだと言いたい?のではないでしょうか?……本当は、人生でいったい何回?着ただろうか?というほど、着たことのない馴染みのない、以前の夫人だったら、まるで高嶺の花?みたいな存在のドレス?なのではないでしょうか?……だけど、それがバレてはいけない……もう必死で精一杯?見栄を張ってる?……無理してますねえ……確かに、作者の言うとおり、ウィルソン夫人には、無理がありますねえ……だけど、夫人にしてみたら、もうなんとしても、何がなんでも、つかんでみせるわ、この夢のようなお城での贅沢三昧の優雅な生活?……でしょうか?……。
おつかれさまでした。どうでしたか?
見方によっては、おもしろい?笑える?滑稽?……だけど、同時に、見てられない?痛ましい?……たぶん、ウィルソン夫人が主役のお芝居?一幕?でも見せるために、「自分」も他の客も呼ばれた?のではないでしょうか?……たったそれだけ?のために?……「自分」にしてみたら、たまらないでしょうねえ……貴重な時間を……勘弁してくれよ……と思ったかどうかわかりませんが、こういう人の姿を、「自分」はずっとじーっと、ただ黙って見ているようです……酔っ払っても……いわば"観客"の役をまっとうしている……あれですね、トムもデイジーも、ウィルソン夫人も、ただただ話を聞いてほしいばっかり……で、たしかにこの人たちは、"自己中(心)"の傾向がずいぶん普通の?一般的な?人たちよりも?強い?ひどい?でしょうか?……だけど、案外、程度の差はあれ、誰でも似たりよったり?五十歩百歩?……人はみんな、話を聞いてほしいばっかり?になりがち?……「自分」のように、相手の話を黙って辛抱強く聞いてあげる人の方が、めずらしい?……知ってほしい、見てほしい、わかってほしい、気づいてほしい、認めてほしい……と、際限なく?誰かに何かやってほしい?欲求が多かれ少なかれある?のでは?……だとしたら、なんだか、トムもデイジーもウィルソン夫人も、他人事ではなくなる?……人の嫌な面だったり見苦しいところを見せられるのは、気持ちのいいものではない (?) だろうと思いますが、それなのに作者は、そんなマイナス面?ばかりをどうして殊更に誇張までして読者の目の前に突きつける?のでしょうか?……そうした作者の意図にも少し意識を向けながら、先を読み進めていきたいと思います。
さて、今回の考えるヒントに上げたお題 「26ページ4-5行目 until she seemed to be revolving on a noisy, creaking pivot through the smoky air. とはどういうことを言っているのか」 ですが……④で説明したとおりです。灰の谷の家から数十分?電車に乗ってタクシーを飛ばしたらあっという間に着いてしまったニューヨークの高級アパート?……ほんの短時間で、まるで色のない生きてるのか死んでるのかわからないような光の届かない暗く深い海の底のような世界?から、キラキラと光り輝くまるで天国を思わせる?夢のようなバラ色の天上の世界?に、タイムマシンか何かであっという間にワープ?瞬間移動?でもしたように、ウィルソン夫人の環境が急激に変化した様が、この表現で描かれている?ようにも?思われたり?しませんか?……ものすごいスピードでくるくるくるくるっと回転したら、あら不思議、そこにはトムが……ニューヨークのアパートなのね、マンマの写真が見えるわ……そして、トムがいなくなると――デイジーのいる自宅に戻ると――あ〜〜〜っ!嫌よっ!帰らないわっ!このままここにいる!あそこにはもう戻らないっ!いや〜〜〜〜っ!やめて〜〜〜〜っ!止めて〜〜〜〜っ!あ〜〜〜〜〜っ!……ふと目が覚めたら、いつもの灰の谷の家……夫の声が……んっ?……何これ?……どうして焦げてるの?……あら嫌だ、何?……タバコの火でもつけたのかしら……っていうか、煙くない?……何?真っ白?いや、真っ黒?……えっ!何っ!燃えてるのっ⁉ ねえ!燃えてるのっ⁉ ねえ!どういうことっ?どうしてよっ⁉ 何っ?何が起こったっていうの⁉ なんでよっ⁉ ねえ!あっ!熱っ!熱いってばっ!ちょっと!助けてっ!ねえっ!誰かっ!助けてってばっ‼ ああっ‼ ああああああっ‼‼ ……手遅れ?……。
次回は、えっ!まさかの?そんな?展開?かもしれない?……ぜひまた一緒にみていってください。
第40回の範囲は26ページ20行目から27ページ6行目まで("But it looks wonderful on you, 〜から、awaited her orders there. まで)をみていきます。
次回の考えるヒントは……
- 26ページ20行目 If you know what I mean とはどういうことを言っているのか
次回も、おもしろい?かもしれない?……ぜひまた一緒に読んでみてください。
最後に、物語を読むときに心にとめたいポイントをまとめます。
・どうして作者はその言葉を使用したのか
・それぞれの登場人物に作者はどんな役割を割り当てているのか
・それぞれの登場人物のセリフや物語の展開を通じて作者は何を言おうとしているのか
このコンテンツはこのサイトでのみ公開いたします。
このコンテンツの著作権はすべて著作者が保有いたします。
このコンテンツは閲覧以外の利用をすべて禁止いたします。
【お願い】
このコンテンツは無料で閲覧いただけますが、このページ末尾にある"お心付け"ボタンからぜひお心付けをいただけませんでしょうか。100円からお願いしております。ご検討いただけましたらありがたく存じます。
なお、今回の範囲の訳文を有料(700円)で掲載いたします。この連載はだいたい250回くらいになる予定なので、毎回訳文を購読いただいた場合には30回で2万円を超え、トータルでは18万円近くになることをご承知おきください。またいかなる場合も返金には応じられません。また購読いただいた訳文にご満足いただけるとは限らないことをあらかじめご承知おきください。なお、問い合わせなどはご遠慮ください。お断りいたします。