Gatsby-30
このサイトは、英語で書かれた物語を一作品、最初から最後まで少しずつ読んでみようという試みです。
取り上げる作品は『The Great Gatsby』です。100年近く前に米国で出版された小説ですが、現代の日本人にも共感したり心を動かされるところが多々あると思います。
ぜひ一緒に、英語の原書を読んでみませんか。
(なお、このコンテンツはその著作者の解釈に基づくものであり、必ずしも正しいとは限らないことをご承知おきください。)
前回まで……とうとう「自分」は、一方的にではありますが、どうやらギャッツビーとの初対面を果たした?ようです……それも、ギャッツビーの内面に隠された秘密を、もしかしたら目にしたのではないかという形で……しかしそこまでで、またもやギャッツビーはいなくなってしまい、おあずけ状態?……さて、Chapter 2 はこれまでとまったく趣きの異なる、まるで"死"を連想させるような場所からお話が始まるようです……みていきましょう。
原文はOne More Libraryの『The Great Gatsby』を使用します。
第30回の範囲は20ページ9行目から20ページ末尾から4行目まで(Occasionally a line of gray cars 〜から、Tom Buchanan’s mistress.まで)をみていきます。
まず、今回の考えるヒントを上げます。
- 20ページ17-19行目 They look out of no face, but, instead, from a pair of enormous yellow spectacles which pass over a nonexistent nose. とはどういうことを言っているのか
なお、特に断っていなければ、基本的に次に上げる辞書の訳語や定義・意味に基づいて説明します。
主に使用する辞書
『リーダーズ英和中辞典(第2版)』(野村恵造)(研究社 2017)
『Pocket Oxford English Dictionary (Eleventh Edition)』(Maurice Waite) (Oxford University Press 2013)
『岩波国語辞典(第七版新版)』(西尾実 岩淵悦太郎 水谷静夫)(岩波書店 2017)
それでは今回の範囲をみていきましょう。
① Occasionally a line of gray cars crawls along an invisible track, gives out a ghastly creak, and comes to rest, and immediately the ash-gray men swarm up with leaden spades and stir up an impenetrable cloud, which screens their obscure operations from your sight.
「時々、一列の灰色の車が、はうようにゆっくりと動いている……どこをかというと、目に見えない舗装されていない道をたどるように……その一列の灰色の車はそうやってはうようにゆっくりと動き、なおかつ出しているものがあるのだけど、それはとても嫌な不快なきしむ音で……そうやってとても嫌な不快なきしむ音を出して、それからある状態になる……それはどんな状態かというと、停止した状態で……そうやって一列の灰色の車がはうようにゆっくりと動き、とても嫌な不快なきしむ音を出し、それから停止した状態になると、今度は、すぐに、灰色の人(男)たちが群がってきて(よじのぼり)……ある道具を持った状態で……それは何の道具かというと、鉛製のスコップ・シャベルで……(そのスコップ・シャベルを使って)かきまぜる……見通せない一面のほこりを……その見通せない一面のほこりが、人目からさえぎる……その灰色の人(男)たちの不明瞭な活動を……何からかというと、(読者も含めて)一般の人たちの視界から……」
which は、直前の an impenetrable cloud を指して言いかえているのではないでしょうか?
swarm up は、よじのぼるという意味もあるようです。
their は、the ash-gray men を指しているのではないでしょうか?
your は、読者も含めて一般の人たちを指しているのではないでしょうか?
前回、何もかもが灰だらけの灰の谷という場所があるようだということをみてきました……そして、今回の①では、その灰だらけの場所で、どんなことが行われているのかが説明されているようです……まず、時々、(縦?)一列に並んだ灰色の車がはうようにゆっくりと動いているようです……それもまっすぐに?でしょうか……その様子は、目に見えないけれど舗装されていない道でもたどっているように見えるようです……その一列に並んだ灰色の車は、とても嫌な不快なきしむ音を出して、停止するようです……で、その灰色の車の列が停止すると、灰色の人(男)たちがわーっと押し寄せてくる感じでしょうか?……どうやら手には鉛製のスコップ・シャベルを持っているようです……そのスコップ・シャベルで、見通せない一面のほこりをかきまぜるようです……もしかしたら、かきまぜているというよりは、車に積んで運ばれてきた?灰?をスコップ・シャベルですくって移動でもしている?のかもしれません……だけど、はたから見ている分にはまるでかきまぜているように見える?のかもしれません……現に、その見通せない一面のほこりが、その灰色の人(男)たちのよく見えない活動を人目からさえぎっていると言っているようです……要は、何もかもが灰だらけなので、ご想像いただけると思いますが、あっちもこっちも灰が舞っていて辺り一面が灰でかすんで見えないような状態なのではないでしょうか?……で、その灰色の人(男)たちがスコップ・シャベルでやっているはずの活動も不明瞭…つまり見えないのではないでしょうか?……別に灰をかきまぜようとしているわけではないのでしょうが、結果としてかきまぜたのと同じ状態になっているのではないでしょうか?……結局、灰だらけと……何をしても灰だらけで、その灰のせいで何をしているのかわからないと……ちなみに、鉛も灰色?ではないでしょうか……まさに灰(色)づくし?……とにかくこの灰の谷という場所の"灰"という要素をよほど強調しておきたいように思えます……ところで、聖書に出てくる言葉で、the valley of the shadow of death (死の影の谷)という決まり文句?があるようです……やはり、この場所を表現するのに a valley of ashes と valley という語が使われているのは、その"死"のイメージを想い起こさせたいからではないでしょうか?……。
② But above the gray land and the spasms of bleak dust which drift endlessly over it, you perceive, after a moment, the eyes of Doctor T. J. Eckleburg.
「こうやって灰(色)ばかり強調してきたので、普通に考えたら、その場所(灰の谷)を見た人の目に一番とまるものは、やはり灰(色)に決まっているだろうと思いそうなところだけど、実際には違って、じゃあどうなのかというと……あるものの上部に……何の上部かというと、灰色の土地とひとしきり発生する気が滅入るようなほこりの上部で……そのひとしきり発生する気が滅入るようなほこりは、漂っている……果てしなく……何かを覆うように……何を覆うかというとその灰色の土地を……そんな灰色の土地とその土地を覆っているひとしきり発生する気が滅入るようなほこりの上部に、(読者も含めて)誰でも気づくものがあるのだけど……少し時間をおいたら……それは何かというと、両目だ……誰の両目かというと、ドクター(先生)と呼ばれているT・J・エッケルバーグだ……」
which は、直前の (the spasms of) bleak dust を指すのではないでしょうか?
it は、the gray land を指しているのではないでしょうか?
you は、読者も含めて、その場所を見た人なら誰でも、というニュアンスで使われているのではないでしょうか?
Doctor は、必ずしも医者とか博士とか実際に偉い本物の先生に限らず、周りから一目置かれた存在とか、そういう敬意を込めたようなニュアンスでも使われるようです。
①では灰の谷でどんな動きが見られるのかを説明していたようでした……次に②では、①で強調してきた"灰"ではなく、灰の谷を見た人なら誰でも、他に目にとまるものがあるのだと、説明しているようです……それが、どうやらドクター(先生)と呼ばれている人の両目のようです……不思議な気がしませんか?……前回も含めて、灰の谷は、とにかく灰だらけで、何をやっているのかすら見えない、わからないと言っていたのに、灰の谷を見た人がきっと一番最初に何よりも目につくのが、ドクター(先生)と呼ばれて一目置かれているらしい人の両目だと……他のものは見えないのに、その人の両目だけは、もしかしたら目立っていてぱっと目につく?のではないでしょうか……何もかもが灰だらけの中で、その人の両目だけが……それに、一目置かれているらしい人の両目というところも気になるところです……この人とその両目だけは特別?というか別格?というか扱いが違う?ような……そういう人がいて、そういう存在らしいということを、とりあえず頭においておきたいと思います……。
③ The eyes of Doctor T. J. Eckleburg are blue and gigantic — their irises are one yard high.
「ドクター(先生)と呼ばれているT・J・エッケルバーグの両目は、青くて巨大だ――その両目の眼球の虹彩は、一ヤード(約一メートル)の高さだ……」
their は、The eyes of Doctor T.J. Eckleburg を指しているのではないでしょうか?
②で説明した新情報――ドクター(先生)と呼ばれているT・J・エッケルバーグの両目――について、詳しく説明しているようです……何もかもが灰色だらけの灰色の谷で、巨大な青い目が光っている?のでしょうか……しかも、その目の眼球の虹彩がどのあたりの位置にあるのかという説明まであります……どうしてそんな説明をしているのでしょうか?……虹彩というのは網膜に達する光の量を加減する働きがあるそうです……そして網膜は、簡単に言えば眼球に入ってきた情報を視覚化?映像化?するところと考えたらわかりやすいでしょうか?……そうすると、約一メートルの高さに両目の眼球(の虹彩と網膜?)が来るような位置にドクター(先生)と呼ばれる人がいるということを、ここでは伝えようとしているのでしょうか?……その高さで辺りの様子を見ていると……その高さで視界に入ってくるものを視覚化?映像化?して把握している?ということでしょうか……作者は、この情報をわざわざ読者に伝える必要があると考えたようです……何か特別な意味があるのか?……それともただ単に、椅子に腰を下ろしたときの目の高さがそれくらいになるので、その目の高さを伝えることによって、そのドクター(先生)と呼ばれる人が椅子に座って辺りを見ているのだということを伝えようとしているだけなのでしょうか?……まあいずれにしろ、虹彩などという、あまり聞き慣れない?言葉が出てくると、読者の印象に強く残るのは間違いない?のではないでしょうか……"灰(色)"と"巨大な青い目"という組み合わせ?対比?……灰だらけも印象に残るし、その中で唯一異なる色の青い目も印象に残る?ように思われませんか?……作者はどちらも読者に印象づけたい?のかもしれません……。
④ They look out of no face, but, instead, from a pair of enormous yellow spectacles which pass over a nonexistent nose.
「ドクター(先生)と呼ばれているT・J・エッケルバーグの両目は、視線を向けている……どこからかというと、存在しない(見えない)顔から……普通に考えたら、存在しない(見えない)顔から目線を向けているなどありえないと思うだろうけれど、実際には違って、確かに存在しない(見えない)顔から目線を向けているのだけれど、その存在しない(見えない)顔の代わりに、あるものから目線を向けているのだけれど、それは何かというと、一対の巨大な黄色いレンズ(メガネ)からで……その一対の巨大な黄色いレンズ(メガネ)は、横切っている……あるものの上を……それは何かというと、存在しない(見えない)鼻だ……」
今回の考えるヒントに上げた箇所が出てきました。
They は、③に出てきた The eyes of Doctor T. J. Eckleburg を指すのではないでしょうか? ドクター(先生)と呼ばれている人の両目は、存在しない(見えない)顔から目線を向けているようです……どういうことでしょうか?……このドクター(先生)と呼ばれている人に顔がないはずはないので、要は、何もかもが灰だらけで、前回(20ページ8-9行目で)the powdery air とあったように、辺りの空気まで粉だらけのようでしたから、今回の①でもみたように、一面のほこりで見通せない状態で、とにかく両目だけは見えるのだけど、顔が見えないと……だから、まるで顔がなくて、視線が動くと両目だけが動いているように見える?のではないでしょうか……ただ、顔は見えないのだけれど、顔の代わりに見えるものがあったようです……それが、巨大なレンズの黄色いメガネ?なのではないでしょうか……つまり、巨大なレンズのおそらくフレームが黄色いメガネと、そのメガネの奥から見える、これまた巨大な青い目だけが、何もかも灰だらけの中に浮いて見えている?ような状態でしょうか……。
which は、直前の enormous yellow spectacles を指して言いかえているのではないでしょうか? そして、その巨大なレンズのおそらくフレームが黄色いメガネは、当然目と目の間の鼻の上部を横切って顔にかかっている(メガネをつけている)状態のはずですが、やっぱり鼻も見えないと……だから、目に入るものは、灰色一色にかすんだ?空間に、地面から約一メートルの高さに浮かんでいる巨大なレンズのおそらくフレームが黄色いメガネとその奥に見える巨大な青い目だけ?という状態なのではないでしょうか……。
③に続いて④でもドクター(先生)と呼ばれている人の両目について、追加情報が説明されているようです……それにしても、怖いですねえ……四角い画面全体が灰色一色にかすんだ?状態で、ただ巨大なレンズのフレームが黄色いメガネとそのレンズの中心に見えるであろう巨大な青い目だけが浮かんで見えている?……しかも、じっと静止しているのではない?のではないでしょうか……目線は動いている?のではないでしょうか……ホラー映画?状態……こんなふうに見えるメガネと目の人物――それだけでも、なんとなく一目置かれるのがわかるような気がしませんか?……ちょっと?かなり?普通ではない……なにか特別な印象を受ける人物だと……それにしても、作者は"灰(色)"に続いて、メガネと目という、"見る"という行為を連想させるものを、ここでは強く印象づけたいように思われませんか?……このドクター(先生)と呼ばれる人の目を基準に考えれば、この人物の大きなメガネのレンズを通して見る大きな目の網膜に映るもの――いったい何が、どんな映像が映るのか――もしかしたら作者は、そこに(読者の)注意を向けたい?のかもしれません……その点も頭において、この物語を読んでいきたいと思います……。
⑤ Evidently some wild wag of an oculist set them there to fatten his practice in the borough of Queens, and then sank down himself into eternal blindness, or forgot them and moved away.
「見たところ(推測されるのは)、どこかの(誰か)無法なばか者である眼科医が、据えた……その巨大なレンズのフレームが黄色いメガネを……そのドクター(先生)と呼ばれている人の両目に……その目的は、大きくするためで……何をかというと、そのどこかの(誰か)無法なばか者である眼科医の診療事業を……どこの場所でかというと、自治区のクィーンズで……そうやってそのドクター(先生)と呼ばれている人の両目にその巨大なレンズのフレームが黄色いメガネを据えた後、今度は身を沈めて見えなくした……何をかというとそのどこかの(誰か)無法なばか者である眼科医自身を……そしてある状態に変えたのだけど……それは、永遠に隠れた状態で……そうでなければ、忘れてしまった……何をかというと、そうやってそのドクター(先生)と呼ばれている人の両目に据えたその巨大なレンズのフレームが黄色いメガネのことを……そうやってそのメガネのことを忘れた上で、移動して離れていった(どこかに)……」
them は、④に出てきた (a pair of) enormous yellow spectacles を指しているのではないでしょうか? 最後の them も同様ではないでしょうか?
there は、④に出てきた a nonexistent nose つまり見えない鼻の両側にある両目を指すのではないでしょうか?
his は、some wild wag of an oculist を指すのではないでしょうか? himself も同様ではないでしょうか?
the borough of Queens クィーンズという自治区は、ロングアイランド島の中でもニューヨークのマンハッタンに近い所にあるようです。
④で出てきたメガネの話を⑤で広げているようです……ドクター(先生)と呼ばれている人の両目にその巨大なレンズのフレームが黄色いメガネを据えたのは、見たところどこかの(誰か)無法なばか者である眼科医だろうと……どうしてそんなことをしたのか――それは、決してそのドクター(先生)と呼ばれている人の両目にその巨大なレンズのフレームが黄色いメガネが必要だったからではなく、あくまでもそのどこかの(誰か)無法なばか者である眼科医が、自身の診療事業を大きくしようとして、要は売りつけた?のではないかと……で、そんな違法な?法外な?商い?をした後、身を隠して?消えた?か、そうでなければ、その売りつけたメガネのことを忘れた状態で、どこかへ去っていった?と言っているようです……そのドクター(先生)と呼ばれている人に、そんな巨大なレンズのメガネは必要ないんじゃないかと、たぶん見たところそのように見受けられる?のではないでしょうか……だから、無法なばか者だと言っているのではないでしょうか?……じゃあ、必要ないように見受けられるメガネをどうしてドクター(先生)と呼ばれる人はつけることになったのか――それは、無法なばか者である眼科医が自身の診療事業を大きくしたいがためだと……そして本当は不要なものを売りつけた眼科医は、違法な法外な商いだったから身を隠して消えた?か、そうでなくても、その本当は不要なメガネを放ったらかしたまま忘れてどこかへ去っていった?……とにかくどっちにしろ、本当は不要なのに、取るべき適切な措置は何も講じないまま、その眼科医はいなくなったと……で、そのドクター(先生)と呼ばれている人は、本当は不要なメガネをずっとつけたままでいる?のではないでしょうか……本当はメガネがなくても見えるのか?それともメガネの度数が合わないだけなのか?……普通は、目に合わないメガネだとかえって目が悪くならない(つまり見えにくくならない)でしょうか?……でも、作者はどうしてそんな巨大なレンズのメガネをわざわざつけさせているのでしょうか?……やっぱり、巨大なレンズで大きく見えると推測される巨大な目を強調することで、その巨大な目に映るものに注意を引きたい?のでしょうか……それほど大きな目なら、何ものをも逃さず、すべて何もかもを捉えるはず?という解釈もできるでしょうか……あるいは、巨大なレンズで、普通の人の目には映らないものまで大きく拡大されてはっきりと目に映るのではないか?という解釈もできるでしょうか……。
⑥ But his eyes, dimmed a little by many paintless days, under sun and rain, brood on over the solemn dumping ground.
「そうやって眼科医にも診てもらって?本当は必要ないけどメガネもつけてもらっているのだから、普通に考えると目が悪くなるとか見えなくなるとかはありえないように思われるけど、実際には違って、そのドクター(先生)と呼ばれている人の両目は、見えにくくなっていた……少し……その原因は、数多くの色のない日々で……あるものの影響を受けた状態で……それは何かというと、太陽と雨で……じっと座り込んでいる(ような)状態だ……あるものを見下ろす位置で……それはくすんで陰気なごみなどを投げ捨てるための場所だ……」
his は、⑤と同様に、②③に出てきた Doctor T. J. Eckleburg を指すのではないでしょうか?
paintless という語は、辞書を引いてもないように思われますが、おそらく、paint = a coloured substance which is spread over a surface to give a thin decorative or protective coating (装飾とか保護膜とするために表面に塗り拡げる色付きの物質)塗料とか着色とかが、-less = without (存在しない状態)欠けている、ということから、色のない毎日――灰色だらけの場所で過ごしている――ということを表しているのではないでしょうか? また、そうした塗装には"保護(膜)"の機能や役割もあるようなので、そうした保護手段を持たない日々というニュアンスも表している?のかもしれません……。
この文は、his eyes brood on が一番言いたいことで、その間に his eyes がどんな状態にあるのかという説明を補足的に追加しているという形になっているのではないでしょうか?
⑤で、そのドクター(先生)と呼ばれている人が両目につけている④で出てきたメガネは、眼科医に診てもらって据えてもらったものだという説明があったようです……そうやって眼科医に診てもらって据えてもらったものなのに、それなのに、少し見えにくくなっていたと……色のない(目を保護する対策を取らない)日々が原因で……加えて、太陽と雨の影響を受けた状態にあり……そうやって少し見えにくくなった状態で、なおかつ太陽と雨の影響を受けた状態で、そのドクター(先生)と呼ばれている人の両目は、じっと座り込んでいる(ような)状態だと……(灰色だらけで灰の谷と呼ばれる)くすんで陰気なごみなどを投げ捨てるための場所を見下ろす位置で……灰色だらけの灰の谷で、灰色以外に目につく唯一の物である巨大な青い目が、眼科医からあてがわれた?売りつけられた?メガネをつけているのに、毎日(灰だらけで)色のない場所で(目を保護する対策も取らずに)過ごしているから少し見えにくくなっていて、それでも相変わらず?太陽と雨の影響をもろに?受けたまま、その巨大な青い目が、灰色だらけで灰の谷と呼ばれるくすんで陰気なごみ捨て場を見下ろす位置に居座っている……その巨大な青い目が、毎日片時も?休むことなく?通称?灰の谷と呼ばれるごみ捨て場を見下ろしている?……要は、監督?監視?しているような状態でしょうか?……灰の谷はごみ捨て場で、焼却した後に残る灰を処理している?……そしてドクター(先生)と呼ばれる人は、そのゴミ捨て場で灰が処理される様子を監督?監視?しているのでしょうか……だから、殊更に"目"が強調されていたのでしょうか?……そしてもしかしたら、灰だらけで普通の人には見えないものでも、このドクター(先生)と呼ばれる人の巨大な青い目には、巨大なレンズのフレームが黄色いメガネをつけていることもあって、普通は一面のほこりで見通せないようなものまでも見通せてしまう?かもしれない?でしょうか……他の人には見えないものでも、この人物だけには見える?……だから、もしかしたらそういう点も含めて、ドクター(先生)と呼ばれて一目置かれている?のかもしれない?でしょうか……。
⑦ The valley of ashes is bounded on one side by a small foul river, and, when the drawbridge is up to let barges through, the passengers on waiting trains can stare at the dismal scene for as long as half an hour.
「灰の谷は境界を接している……一方の側で……小さなきたないよごれた川と……そうやって灰の谷が一方の側で小さなきたないよごれた川と境界を接している状態にあるので、あることが行われるとき……それは(上方向に)可動する橋が上に上がることで……何のためかというと、平底の?荷船を通過させるためで……そうやって可動する橋が上に上がって平底の?荷船を通過させるときに、乗客が……何のかというと、待機状態にある電車で……じろじろと見ることができる……その(灰の谷の)陰気な暗い景色・状況を……どれくらいの時間かというと、長い間……具体的には三十分もの間……」
⑥までは、灰の谷と呼ばれる場所の中がどのような状態なのかが説明されていたようです……今度は、その灰の谷の周囲に視点が移っているようです……灰の谷と一方の側で境界を接しているものに、小さなきたないよごれた川があるようです……ただ、小さいといっても、上方向に可動する橋がかかっているようです……その川を平底の?荷船が通るようです……ただ、橋の下をそのままくぐって通り抜けることはできないのではないでしょうか?……だから、おそらく橋の中央で割れる形で両方向に橋が上向きに動くのではないでしょうか?……そうやって、橋が上に向かって動いて開くと、橋の下をくぐらずに、平底の?荷船が川を通過することができるのではないでしょうか?……で、たぶん、そうした平底の?荷船が通過したら、また橋が両側から降りてきて、橋がかかった状態になり、川を渡れる……つまり、じっと待機状態にあった電車が川を渡って通過し動けるようになる?のではないでしょうか……で、そうやって荷船?が通過する間は橋が上がるので、電車は川を渡れず待たざるをえない?のではないでしょうか……だから、その間、電車の乗客は、じーっと待つしかないと……その川と境界を接している灰の谷が目に入る位置で……で、その時間は長かったりすると三十分もかかったりすると……きっと、灰の谷は、見ていて気持ちのよい場所ではないのではないでしょうか?……そんなところで足止めを食らうなんて、誰も望まないのでは?ないでしょうか……でも(物語の世界の中での)現実にはそういう場所があるということのようです……。
⑧ There is always a halt there of at least a minute, and it was because of this that I first met Tom Buchanan’s mistress.
「あるものがあると……必ず……それは(電車が)停止することで……その灰の谷が見える場所で……少なくとも一分間……そうやって必ずその灰の谷が見える場所で少なくとも一分間は(電車が)停止するという前提があった上で、あることが起きたのは、そうやって必ずその灰の谷が見える場所で少なくとも一分間は(電車が)停止することが理由だった……じゃあ、何が起きたのかというと、「自分」が最初に会ったことで……誰に会ったのかというと、トム・ブキャナンの情婦だ……」
there は、⑦に出てきた The valley of ashes を指すのではないでしょうか?
it は、漠然と後から具体的に説明することがあることを表しているのではないでしょうか? あることが起きたのだけど、そのことが起きたのは必ず灰の谷が見える場所で少なくとも一分間(電車が)停止することが原因だったのだけど、じゃあ、必ず灰の谷が見える場所で少なくとも一分間(電車が)停止することが原因でいったい何が起きたのかというと、それは、that 〜の内容だと、何が起きたのかを最後に持ってきて(引っぱっている?)読者に知らせているようです。
that は、「これから文が続く」ことを示し、it が指すものを具体的に説明していると思われます。
⑦で灰の谷の周囲に視点が移り、灰の谷が見える場所で電車が止まるという説明があったようでした……で、⑧では、そうやって電車が止まるものだから、あることが起きたと……じゃあ、いったい何が起きたのか――それは、「自分」が初めてトム・ブキャナンの情婦に会ったことだと……灰の谷が見える場所で電車が停まったから、トムの情婦(女)に「自分」が初めて会ったと、言っているようです……いったいどう関係するのでしょうか?……なんだか意味がわからない、訳がわからない……トムの女って、灰の谷の近くにでもいる?のでしょうか?……たしか、Chapter 1 では(第24回 14ページ末尾から3-2行目)、ベイカー嬢がニューヨークの女と言っていたように思いましたが……それに、灰の谷って、前回(20ページ3-4行目) a certain desolate area of land (荒涼とした住む人がいない人気のない)と言っていたような……そんなところの近くにいる?女なのでしょうか?……なんだか……ねえ……またもや大丈夫でしょうか?……トムってつくづくどうなんでしょう?……ねえ……。
おつかれさまでした。どうでしたか?
まさかの展開……じゃありませんか?……"死"を想い起こさせる場所の話が長々と続いたあげくに、トムの女が出てきました……しかも「自分」はその女に会ったと……さらにあろうことか、"死"を想い起こさせる場所が見えるところで電車が止まったから、「自分」はその女に会ったと……いったいどういうことでしょうか?……なんにしてもなんだか縁起でもないものが次々と重なっていっているようにも思えなくもないような……これだけでも不安になりますねえ……そしてまたもやトムです……なんだかろくでもないことばっかり?みたいな気がしないでも?ないような?……ねえ……。
さて、今回の考えるヒントに上げたお題 「20ページ17-19行目 They look out of no face, but, instead, from a pair of enormous yellow spectacles which pass over a nonexistent nose. とはどういうことを言っているのか 」 ですが……④で説明したとおりです。"死"を想い起こさせる場所に、"目"が異常に強調されているような人物がじっと居座って?監督?監視?の任に?ついている?のでしょうか……結局、灰の谷というのはごみ捨て場?ということのようですが、それにしても、何もかも徹底的に灰だらけのようで、なんだか見方によってはこの世のものとは思えない?……そこの重鎮?みたいな人物の見た目も怖そう?特に目が(メガネも含めて)……その目で、何もかもを見通せてしまう?のでしょうか……そして、その近くに?トムの女がいる?のでしょうか?……トム、大丈夫?……なまじアメフトで天下取ってるから、なんでもナメるようにでもなった?……お金も有り余るほど?あって、大豪邸に住んで、美人で可愛いたまらなく声が魅力的な奥さんもいて、きっと可愛らしいにちがいない幼い娘もいて、どう考えても恵まれているようにしか思えないのに、なんだかおかしな方に逸れない方がよくない?……大丈夫?……そんな気持ちになりませんか?……。
次回は、「自分」がトムの女に会うことになった経緯が語られるようです……ぜひまた一緒にみていってください。
第31回の範囲は20ページ末尾から3行目から21ページ20行目まで(The fact that he had one 〜から、and I followed Tom inside. まで)をみていきます。
次回の考えるヒントは……
- 21ページ8-10行目 The supercilious assumption was that on Sunday afternoon I had nothing better to do. とはどういうことを言っているのか
次回は、なんだか馴染みのある感覚?がよみがえる?ような……ぜひまた一緒に読んで確かめてみてください。
最後に、物語を読むときに心にとめたいポイントをまとめます。
・どうして作者はその言葉を使用したのか
・それぞれの登場人物に作者はどんな役割を割り当てているのか
・それぞれの登場人物のセリフや物語の展開を通じて作者は何を言おうとしているのか
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なお、今回の範囲の訳文を有料(700円)で掲載いたします。この連載はだいたい250回くらいになる予定なので、毎回訳文を購読いただいた場合には30回で2万円を超え、トータルでは18万円近くになることをご承知おきください。またいかなる場合も返金には応じられません。また購読いただいた訳文にご満足いただけるとは限らないことをあらかじめご承知おきください。なお、問い合わせなどはご遠慮ください。お断りいたします。