Gatsby-27
このサイトは、英語で書かれた物語を一作品、最初から最後まで少しずつ読んでみようという試みです。
取り上げる作品は『The Great Gatsby』です。100年近く前に米国で出版された小説ですが、現代の日本人にも共感したり心を動かされるところが多々あると思います。
ぜひ一緒に、英語の原書を読んでみませんか。
(なお、このコンテンツはその著作者の解釈に基づくものであり、必ずしも正しいとは限らないことをご承知おきください。)
前回まで……ベイカー嬢が寝ると言っていなくなったら、途端にトムがしゃべりだし、デイジーとやりあった?ようです……ところが、てっきりいつものように俺様の勝ちだとたかをくくっていたらしいトムが、デイジーの思いがけない反撃に合い、デイジーに敗北かという不面目に直面し、動揺?と焦り?から思わず本音をぶつけてしまった?ようでした……それだけ追い詰められた?ようです……さあ、珍しく?有利になった?デイジー――どうトムに向かっていく?のでしょうか……続きをみていきましょう。
原文はOne More Libraryの『The Great Gatsby』を使用します。
第27回の範囲は18ページ6行目から18ページ末尾から14行目まで("Did I?" She looked at me. 〜から、being rumored into marriage.まで)をみていきます。
まず、今回の考えるヒントを上げます。
- 18ページ20-21行目 surprising me by opening up again in a flower-like way とはどういうことを言っているのか
なお、特に断っていなければ、基本的に次に上げる辞書の訳語や定義・意味に基づいて説明します。
主に使用する辞書
『リーダーズ英和中辞典(第2版)』(野村恵造)(研究社 2017)
『Pocket Oxford English Dictionary (Eleventh Edition)』(Maurice Waite) (Oxford University Press 2013)
『岩波国語辞典(第七版新版)』(西尾実 岩淵悦太郎 水谷静夫)(岩波書店 2017)
それでは今回の範囲をみていきましょう。
① “Did I?" She looked at me. “I can’t seem to remember, but I think we talked about the Nordic race. Yes, I’m sure we did. It sort of crept up on us and first thing you know —-“
【One More Library の原書データでは、"I can’t seem 〜で段落が変わっていますが、Scribner の書籍によれば、段落が変わらないのが正しいようですので、訂正しておきます。】
「『私がしたかしら(ニックにささやかな率直な心を打ち明けた話をベランダで伝えた)?』と言ったデイジーが目線を向けた……「自分」に……『私はあることができないように思われる……それは何かというと、覚えている(思い出す)こと(ベランダでニックにささやかな率直な心を打ち明けた話を伝えたことを)……デイジーがベランダでニックにささやかな率直な心を打ち明けた話を伝えたことを思い出せないように思われるのであれば、普通なら何も覚えてないと考えるのが自然だけれど、実際には違って、デイジーにはこうじゃないかと思うことがあるのだけど、それは、デイジーと「自分」が話をしたことで……じゃあ何を話したかというと、北方人種に関する話だったと思う……そうだ……デイジーは確信を持っている……デイジーと「自分」が北方人種に関する話をしたと……トムが心配している有色人種に乗っ取られる事態が、なんていうか忍び寄っていて、成り行きまかせにしておいたらたちまち――』」
I は、前回の最後にトムに問いかけられた、デイジーを指すのではないでしょうか? 次の She も同様ではないでしょうか? それ以降の I も、同様にデイジーを指すのではないでしょうか?
Did I の後には、前回の最後にトムが言ったセリフの、give Nick a little heart to heart talk on the veranda が省略されているのではないでしょうか?
また、I can’t seem to remember の後にも、(that) I gave Nick a little heart to heart talk on the veranda が省略されているのではないでしょうか?
we は、このセリフを話しているデイジーと、ベランダで話をしていた「自分」を指すのではないでしょうか? 次の we も同様ではないでしょうか?
It は、第18回でトムがしつこく話していた有色人種に乗っ取られる話を指しているのではないでしょうか? おそらく、デイジーはもしかしたら、耳にタコができるくらいその話をこれまで聞かされてきたかも?しれない……うんざりするくらい……で、覚えてしまった?……で、ここで持ち出しているのではないでしょうか?……でも、どうしてでしょうねえ?……。
次の us は、デイジーも、トムも、自分も、ベイカー嬢も、白人みんなを指して使っているのではないでしょうか?……なぜなら、トムのお気に入り?の有色人種に乗っ取られる話の流れで使われているから……。
the first thing you know というのは、慣用句として使われるようです……ここでは、you は、まあ、トム?を指してデイジーは使っている?でしょうか……。
前回の最後に、トムが邪推して、デイジーいったいベランダで何をニックに話したんだ、デイジーに都合のいい話をニックに吹き込んだんだろ、どうせ……みたいな嫌味を?言っていたようでした……それに対する返答が、この①のようです……まず、デイジーはとぼけたようです……あら、私そんな話したかしら?……覚えがないわ……でもそうね、そういえば、北方人種の話をしたような気がするわ……そうそう、北方人種の話をしたわ……有色人種に乗っ取られる事態が忍び寄っているから、成り行きまかせにしておいたらたちまち……とまあ、トムが取り憑かれている?話をあてこするようなことを言って、トムをおちょくってからかっている?のではないでしょうか……トムは、デイジーがトムの悪口をニックに言ったと思っているのではないでしょうか?……そのトムの思いを見透かした?承知の上で?デイジーは、何を言われたのか気にしているらしいトムをからかって面白がっている?ように聞こえませんか?……有色人種に乗っ取られる話を、デイジーは完全にバカにして?ないでしょうか……まあ、トムがデイジーに共感してもらいたいと求めても無駄でしょうねえ……だって、そもそも、トムがトムよりも弱いと思った相手をいじめてトムが勝者になることにこだわるから、敗者になる恐怖に怯えることになる?わけで、デイジーは別に勝者とか敗者とかにこだわってないので(トムがデイジーを泣かすようなことをやめてほしいと思っているだけで)、敗者になる恐怖などないでしょうから、敗者になる恐怖がなければ、当然怯える必要もありませんから(ただ、トムに泣かされるのではないかと怯える可能性はある?かもしれませんが……)……だから、そういう意味では、トムはどこまでも孤独?かもしれません……でも、自業自得?じゃないでしょうか……。
② “Don’t believe everything you hear, Nick," he advised me.
「『するな……信じることを……すべてを……「自分」が聞いた……ニック』とトムが忠告した……「自分」に……」
you は、Nick と呼びかけているので、「自分」(ニック)を指すのではないでしょうか?
he は、前回の最後にデイジーに問いかけた、トムを指すのではないでしょうか?
①でデイジーがまた嬉しそう?に――トムが動揺しているらしいのに喜んでいる?デイジーの方が優位に立てている実感で喜ばずにはいられない?――べらべらとトムをからかって挑発?するようなことを言っているようです……ほっとくと、いくらでもしゃべりそうなので、トムは①のデイジーの言葉を遮って、②で「自分」に、デイジーから聞いたことを何もかも信じるなと、伝えたようです……advise という語をみると、「自分」が"忠告"と受け止めているところに、またもや「自分」の人柄の良さがうかがわれないでしょうか?……トムにしてみれば、このままデイジーのペースで運ばれてたまるか、「自分」(ニック)は男同士、俺様の味方になるんだ、デイジーの思い通りになんかさせないぞ……と思っていた?かもしれません……だから、そのために、「自分」に、デイジーの話を信じるなと、言い聞かせた?ぐらいのつもり?かもしれない?こともありうる?と思いませんか?……なんだか、超然としている?「自分」をはさんで、勝ち負けにこだわるトムと、あきらめず譲ろうとしないデイジーが張り合っている?ように思えませんか?……こんなの、「自分」はいい迷惑でしかないように思われますが……トムもデイジーもそのことに気づかない?というより、トムもデイジーも"自己中(心)"だから、「自分」のことなどまるで考えてない?というのが本当のところ?でしょうか……。
③ I said lightly that I had heard nothing at all, and a few minutes later I got up to go home. They came to the door with me and stood side by side in a cheerful square of light.
「「自分」はさらっと言っておいた……「自分」が聞いたことは何もまったくなかったと……そうやって「自分」はまったく何も聞かなかったとさらっと言った後、数分後に、「自分」は腰を上げて家路についた……トムとデイジーが玄関に来た……「自分」と一緒に……そうやってトムとデイジーが「自分」と一緒に玄関に来た後、トムとデイジーは二人並んで立った……明るく気持ちのよい、明かりが照らし出す四角い部分に……」
that は、「これから文が続く」ことを示し、said の内容を説明していると思われます。
They は、前回の最後から今回の①②とずっとやりあっていた、トムとデイジーの二人を指すのではないでしょうか?
①ではデイジーがとぼけてふざけてトムをからかって挑発するばかりで、それにもしかしたら焦った?トムはなすすべもなく?②で直接「自分」に信じるなと言い聞かせる?しかなく……そうやってやりあっている二人のどちらのペースにもはまらず、「自分」は、さらっと、何も聞いてないと伝えてすませたようです……そう聞けば、トムの気持ちは多少でも落ち着く?でしょうし、デイジーは何も話していないという建前を通せばトムに責められずにすむ?し、「自分」にしてもデイジーから何も聞いてないことにしておいた方が面倒に巻き込まれずにすむ?でしょうから、すべて丸く収まる?のではないでしょうか……これで、喧嘩はおしまい、ということでしょうか?……そうやって、トムとデイジーが夫婦喧嘩に巻き込もうとするのをさらっとかわして?数分ほど世間話でも?したのでしょうか(角が立たないように?)……そして立ち上がり、家路についたと……「自分」が帰るとなったら、トムもデイジーもどちらにとっても「自分」は(利用?)価値ある貴重な大切な存在?なのでしょうねえ……夫婦二人そろって「自分」に付き添い玄関に出て、見送ったようです……そのとき、玄関先の明かりに四角く照らし出された場所があったようです……「自分」の目には、明るく気持ちのよい印象だったようです……そこにトムとデイジーの二人が並んで立ったようです……きっと、そこから「自分」を見送ったのでしょうね……。
④ As I started my motor Daisy peremptorily called: “Wait!"
「「自分」が「自分」の自動車を始動したとき、デイジーが有無を言わせぬ調子で大声で呼びかけた『待ちなさい!』」
「自分」が乗ってきた車――中古のダッジ?(第5回 6ページ9行目)――で帰ろうと運転席に座ったところでしょうか?……ハンドル脇にある?鍵穴に車の鍵を差し込んで回したところ?でしょうか……そのタイミングで、デイジーが何が何でもいうことを聞かせるぞという調子?で大声で呼びかけたようです……ちょっと待ったぁ!みたいな感じ?でしょうか……ん?忘れ物?……なんだ?……。
⑤ “I forgot to ask you something, and it’s important. We heard you were engaged to a girl out West."
「『私は忘れていた……あなたにあることを尋ねることを……私があなたにあることを尋ねるのを忘れていたと伝えた上で、さらに伝えれば、その私があなたに尋ねるのを忘れていたあることは、大切なことだ……デイジーとトムの夫婦は聞いた……あなたが婚約したと……ある女の子を相手に……ここから離れた西部にいる……』」
I は、このセリフを口にしている(④で叫んで「自分」を呼び止めた)、デイジーを指すのではないでしょうか?
you は、この言葉を投げかけている相手、④で呼び止められた、「自分」を指すのではないでしょうか?
it は、直近の something を指すのではないでしょうか?
We は、このセリフを口にしているらしいデイジーと、「自分」の見送りに一緒に出てきたトムの二人を指しているのではないでしょうか?
最後の you も、「自分」を指すのではないでしょうか?
④で無理やり「自分」を呼び止めたデイジーが、⑤でその理由を説明しているようです……大事なこと訊くの忘れてた、と……「自分」が婚約したと聞いたのだけど……ニューヨークじゃなくて、米国西部にいる女子と……それって本当?と訊こうとしたのでしょうか……それも、その話を聞いた説明をするときに、ここでは We 夫婦二人という言葉を使っているようです……③でも夫婦そろって"並んで"一つの明かりに照らし出された場所に立っていたようでした……見送りに出てきたトムとデイジーは、なんだか夫婦が一つになっている?かのようです……なんでしょうねえ?……トムとデイジーが一致団結するときもある?こともある?……作者はそのことを読者に知らせたい?のでしょうか……ここでは、「自分」の婚約という話なら、トムとデイジーが世間並みの?夫婦らしく一つになり?足並みを揃える?同じ思い?同じ考え?同じ感覚?同じ価値観?になっている?のでしょうか……というより、利害とか興味とかが一致すれば、こんなふうに一心同体?みたいになる?のでしょうか……結局そんな理由かよ?……。
⑥ “That’s right," corroborated Tom kindly. “We heard that you were engaged."
「『そのとおり』と補強し確認したのはトムだった……ねんごろに……『トムとデイジーの二人は聞いた……「自分」が婚約したと……』」
That は、⑤でデイジーが言った言葉 We heard you were engaged to a girl out West を指しているのではないでしょうか?
We は、⑤の We と同じ、トムとデイジーの二人を指しているのではないでしょうか?
that は、「これから文が続く」ことを示し、heard の内容を説明していると思われます。
you は、⑤の you と同じ、「自分」を指すのではないでしょうか?
⑤のデイジーの言葉に完全に合わせる形で、⑥でトムが口を開いているようです……夫婦二人が完全に一致しているようです……なんだか、さっきまでの喧嘩はどこへやら?なのでしょうか……なんだか不思議ですねえ……こんなもんなんでしょうか?……そうしてみると、あんなに激しくやりあっていたように見えたのはいったいなんだったのでしょうか?……子供のケンカ?……なんでもないきっかけですぐに仲直り?できる?……いや、いくらなんでも……ねえ……一応、大人でしょ?……ねえ……。
⑦ “It’s libel. I’m too poor."
「『「自分」が婚約したという話は、「自分」の評判を傷つける嘘を言いふらしたものだ……「自分」はあまりに貧弱だ』」
It は、⑤⑥で出てきた you were engaged (to a girl out West) を指しているのではないでしょうか?
I は、⑤⑥で問いかけられた相手である、「自分」を指すのではないでしょうか?
⑤⑥と立て続けに?追い込まれるように?デイジーとトムに、婚約したんじゃないかと、問い詰められた?らしい「自分」が、⑦で、その話は「自分」の評判を傷つける嘘を言いふらしたものだと、否定したようです……続けて、その理由でしょうか?……「自分」はあまりに経済的余裕もないし?できも悪い?と謙遜?しているようです……だから、婚約なんて、結婚なんて(できない?しない?)……と言っているようです……驚きましたねえ……そういう話もあったんですね……それもあっての夕食会?ということだったのでしょうか……なんだか、本当にどうしても「自分」でなければならないような話は、この帰り際の、それもすんでのところで忘れそうになった、この話だけじゃないでしょうか?……肝心の夕食会では、トムとデイジーがやりあうばっかりで……いったい何やってんだか……ねえ……でも、「自分」としてはどうなんでしょうか?……⑦の言葉を聞く限りでは、もしかしたら忘れてくれていてちょうど良かった?かもしれない……それとも、帰る間際にそんな話するか?と思ったり?したかも?……。
⑧ “But we heard it," insisted Daisy, surprising me by opening up again in a flower-like way. “We heard it from three people, so it must be true."
「『「自分」が婚約したという話は嘘だと言うのであれば、普通に考えたらそんな話を耳にしないはずだと思うけど、実際には違って、デイジーとトムの二人は聞いた……「自分」が婚約したという話を……』と主張したのはデイジーだった……そうやって主張すると同時に、「自分」を驚かせた……話を広げることによって……再度……もっと詳しく大きな話に展開させる形で……『デイジーとトムの二人は聞いた……「自分」が婚約したという話を……三人の人から……そうやって三人もの人から「自分」が婚約したという話を聞いたのだから、「自分」が婚約したという話は、きっと本当に違いない……』」
we は(すべて)、⑤⑥の We と同じ、トムとデイジーの二人を指すのではないでしょうか?
it は(すべて)、⑤⑥⑦と同じ、you were engaged (to a girl out West) を指すのではないでしょうか?
今回の考えるヒントに上げた箇所が出てきました。
flower には、develop fully and richly という意味があるようです……そこから考えると、⑤では単に、婚約したと聞いたとしか言っていなかったものが、他にも知っている情報を「自分」に明らかにしたということを表しているのではないでしょうか?……「自分」は、まさかそんな追加情報が出てくるとは思わなかったのでは?……⑦で否定した時点で、それで「自分」の婚約の話は終わるものと思っていたのではないでしょうか?……ところが、デイジーが引かない……妙な話です……だって、当の本人が否定しているのですから……デイジーが引き下がらなかったことも、驚いた理由の一つ?かもしれない?ですね……でも、それ以上に驚きでしかなかったのが、まさかそのうわさ話を三人もの人から聞いていたとは……ということじゃないでしょうか?……しかも、デイジーは、当の本人が否定しているにもかかわらず、その当の本人を前にして、三人もの人が言っていた話だから絶対にうわさは正しいと言い張っているようです……デイジー、何を言っているのか、自覚あるのでしょうか?わかっているのでしょうか?……そんなこと言われたら、「自分」がどう思うか、想像がつかない?ようです……。
⑤⑥でデイジーにもトムにも畳みかけられるように、婚約したんだって?と問い詰められて、⑦で「自分」は否定したのに、⑧でデイジーがなおも譲らず、でも聞いたもん、と言い張って……しかも、「自分」が驚いたことに、さらなる追加情報を繰り出してきた?ようです……その話をしたのは一人ではないと、三人もの人から聞いたのだと……だから、絶対本当のはずだと……ということは、デイジーは「自分」が嘘をついていると言ってるのと同じじゃないでしょうか?……⑦で「自分」が否定しているのですから……なぜ「自分」の言葉を素直に信じない?……「自分」が婚約したことをデイジーに隠したがると思うような理由でもあるのでしょうか?……デイジーは「自分」に信用されてないとか思っているのでしょうか?……それとも、単にデイジーが人づての話を信じやすいだけのことでしょうか?……本人から聞いた話には嘘をついているかもしれないと疑う癖がある?本人以外の人から聞いた話は本当に違いないと思い込む癖がある?しかも何人もの人から同じ話を聞いていればなおさら絶対に間違いなく本当に決まっていると信じ込んでしまう?……。
⑨ Of course I knew what they were referring to, but I wasn’t even vaguely engaged.
「当然「自分」はわかっていた……何のことかを……デイジーとトムの二人が言及しているのが……そうやってデイジーとトムが何に言及しているのかをわかっていたのであれば、普通に考えたら、その話のとおりじゃないかと思われてしまうだろうけど、実際には違って、「自分」は、婚約らしきことすらしていなかった……」
what は、本来 they were referring to の後に来るはずなのが、前に引っ張られて出ているのではないでしょうか? デイジーとトムが言及している内容を表しているのではないでしょうか?
⑦で「自分」が否定しているにもかかわらず、⑧でデイジーが婚約したって聞いたと言い張って譲らないので、どうやら「自分」はそれ以上何も言わなかった?のではないでしょうか……で、⑨で、作者は、「自分」の言葉で、読者に?本当のところを説明させている?のではないでしょうか……当然わかってる……デイジーとトムがなんの話をしているのか……その話には思い当たる節があるからね……だけど、まるっきり嘘だ……「自分」は婚約にかすりもしてない?婚約らしきことすらしてないのだから……そうやって、聞く耳を持たないデイジーは別にして、読者には本当のことを伝えている?のではないでしょうか……。
⑩ The fact that gossip had published the banns was one of the reasons I had come to East.
「その事実が……具体的にはどういう事実かというと、人のうわさ話が広めた……その結婚予告を……という事実が、理由の一つだった……何の理由かというと、「自分」が米国東部にやって来た理由だ……」
that は、「これから文が続く」ことを示し、fact の具体的な内容を説明していると思われます。
⑨で「自分」は、婚約したというのは本当に嘘だと――婚約などしてないのに、婚約したという嘘が広まったと――説明し、そしてそこから話を広げて、⑩でこれまでみじんもそんな気配など感じさせなかった意外なことを言い出しているようです……実は、そうやって"「自分」が結婚します"と公式に発表するかのごとくに人のうわさ話が独り歩きして世間ではあたかも「自分」が婚約した事実があるかのような状況に変わってきた……そのことも、「自分」が米国東部に来た、故郷を離れた理由の一つだと、これまで秘してきた?伏せてきた?事情を「自分」は読者に告白しているようです……そうか、故郷にいずらくなったんだ……それもあったんだ……。
⑪ You can’t stop going with an old friend on account of rumors, and on the other hand I had no intention of being rumored into marriage.
「読んでいる人にもわかってもらえると思うけど、誰でも(読んでくれている人でも)できないと思うのだけど……何をできないのかというと、昔からの友人との付き合いを(いきなり)止めることを……婚約していないのに婚約したといううわさ話が(広まったという)理由で……そうやって婚約してないのに婚約したといううわさ話が広まったからという理由で昔からの友人との付き合いを止めることはできないのはたしかだけど、同時にその一方で、「自分」にはまったくそんなつもり(意志・気持ち)はなかった……どんなつもり(意志・気持ち)かというと、(嘘の)うわさ話を広められて、そこから(実際に)結婚に至るつもり(意志・気持ち)だ……」
You は、「自分」が読者に共感を求める気持ちで使われているのではないでしょうか? 「自分」の立場に置かれた人なら誰だってそうすると思うのだけど、という気持ちが込められているのではないでしょうか?
⑩で不本意な?うわさ話のせいで故郷にいずらくなった?と、だから東部に来たとまず新事実を告白してから、⑪ではさらに詳しい実情を明かしているようです……要は、「自分」との結婚をもしかしたら望んでいた昔から友人であった女子がいた?…で、その女子なのか?取り巻きなのか?それ以外に誰か気を利かしたのか?とにかく誰かが、ありもしない噂を流した?ようです……「自分」はその女子と結婚するのだと……噂という非公式な"結婚予告"により……で、「自分」の故郷の町では、世間では、まるで「自分」の婚約が事実のようになってしまった?……勘弁してくれよ……と思った?かもしれませんねえ……ただ、これまでみてきた「自分」の人柄から想像がつくとおり、その女子に恥をかかせたり傷つけるようなことはしたくないしできなかった?のではないでしょうか……だから、嘘のうわさが広まったからという理由で、その昔から友人であった女子との付き合いを止めることはできなかった……かといって、噂どおりに結婚する気もない……じゃあ、どうしよう……どうしたらいいだろうか……と考えて、「自分」の出した結論が、故郷を離れて東部に行くことだった…のではないでしょうか……現実に距離を置くことで疎遠になろうと……「自分」はどうやら、東部で、心機一転、新たな人生の出発をしようとしていた?ようです……過去を故郷において?未来を切り開く新たな出会いを求めて?……まだ若いし、今までの延長線上の人生では飽き足らなかった?挑戦したかった?自分を試したいという思いももしかしたら?あった?……知った人ばかりの狭い世間にももしかしたらうんざりしていた?抜け出したかった?……
おつかれさまでした。どうでしたか?
デイジーは、いつもトムにやられてばっかりいた?から、はしゃがずにはいられなかった?のでしょうか……①でトムに相当辛辣な?当てこすり?を浴びせていた?……ところが、「自分」が帰るとなったら、不思議なことに、それまで険悪といってもいいほどやりあっていたトムとデイジーが、まるで仲の良いごく普通の夫婦のように、二人そろって並んで、玄関先で「自分」を見送り、しかも、二人そろって、まるで一致団結して?同じことを「自分」に尋ねていたようでした……泣いたカラスがもう笑った…じゃないですけれど、なんだか二人ともコロッと態度が変わっちゃって、いったいどういうこと?なんでしょう……案外、トムとデイジーの絆?は強い?どんなにもめても、結局元のさやに収まる?……はた迷惑で人騒がせな夫婦?にも思える?……。
さて、今回の考えるヒントに上げたお題 「18ページ20-21行目 surprising me by opening up again in a flower-like way とはどういうことを言っているのか」 ですが……⑧で説明したとおりです。結局、デイジーもやっぱり"自己中(心)"?……少なくとも、「自分」に対する思いやりには欠けている?ように思われるでしょうか……。「自分」も、残念な気持ちじゃないでしょうか?……この晩は、トムとデイジーの夫妻宅を訪れた最初からずっと、車に乗り込んでいざ帰ろうとした最後の最後まで、残念なことだらけだった?のではないでしょうか……まるで利用されに行っただけ?……単なる a perfect rose っていうより、もうここまできたら神仏のレベル?……こんな神レベルの「自分」が、"ギャッツビー"だけは我慢がならないと第3回で話していました……が、ギャッツビーはどうしたのでしょうか?……ベイカー嬢が触れただけで、それ以外はまったく存在感がありませんでしたが……肝心のギャッツビーはどうしたんだと、いらついたりする?読者の方もいらっしゃるかも?しれない?でしょうか……本っ当に!……主役はギャッツビーのはずで、ギャッツビーの物語のはずなのに、全然出てきてない……とにかく作者は何かにつけて引っぱりますねえ……やきもきしたり?しませんか?……いったい、いつ出てくるんだ、ギャッツビーは……ねえ、いつなんでしょう……それに、「あの夏の出来事」も気になります……まんまと作者の思惑にはまっているかも?しれない?……いらつくし?ちょっと腹が立ったりもする?かもしれませんが、どんな展開が待ち受けているのか、ぜひ一緒にみていってください。
次回は、「自分」が一人になって、トムにデイジー(それにベイカー嬢)と過ごした晩のことを思い返すようです……ぜひ「自分」の感じたところを一緒にみていってください。
第28回の範囲は18ページ末尾から13行目から19ページ9行目まで(Their interest rather touched me 〜から、the silver pepper of the stars.まで)をみていきます。
次回の考えるヒントは……
- 18ページ末尾から3-1行目 Already it was deep summer on roadhouse roofs and in front of wayside garage, where new red gas-pumps sat out in pools of light, とはどういうことを言っているのか
次回は、セリフがなくて、情景描写が多く、もしかしたらわかりにくいところもあるかもしれません……が、ぜひまた一緒に読んでみてください。
最後に、物語を読むときに心にとめたいポイントをまとめます。
・どうして作者はその言葉を使用したのか
・それぞれの登場人物に作者はどんな役割を割り当てているのか
・それぞれの登場人物のセリフや物語の展開を通じて作者は何を言おうとしているのか
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なお、今回の範囲の訳文を有料(700円)で掲載いたします。この連載はだいたい250回くらいになる予定なので、毎回訳文を購読いただいた場合には30回で2万円を超え、トータルでは18万円近くになることをご承知おきください。またいかなる場合も返金には応じられません。また購読いただいた訳文にご満足いただけるとは限らないことをあらかじめご承知おきください。なお、問い合わせなどはご遠慮ください。お断りいたします。