Gatsby-38

このサイトは、英語で書かれた物語を一作品、最初から最後まで少しずつ読んでみようという試みです。

取り上げる作品は『The Great Gatsby』です。100年近く前に米国で出版された小説ですが、現代の日本人にも共感したり心を動かされるところが多々あると思います。

ぜひ一緒に、英語の原書を読んでみませんか。

(なお、このコンテンツはその著作者の解釈に基づくものであり、必ずしも正しいとは限らないことをご承知おきください。)

 

前回まで……トムとウィルソン夫人の二人の部屋――山ほどの家具とは対照的に、一枚だけ写真が飾ってあり、(ロー)テーブルには何冊かの雑誌と本が転がしてあった?ようで……夫人はまず犬の面倒を人に見させ、トムは高級?ウィスキーを持ち出してきて、宴会の始まり?……「自分」はそのときのことをはっきりと思い出せないほど酔っ払ったようです……トムの膝の上でウィルソン夫人が電話で人を呼び出している間に、「自分」はタバコを買いに席をはずし、そして戻ってきてみたら、二人がいなくなっていた……で、他にすることもなく?居間のソファ?にでも腰を下ろしてそばにあった本を少し読んだようです……もう相当酔っ払っていたのか、何が書いてあるのかはわからかった?ようですが……さて、他にお客も来るようです……みていきましょう。

 

原文はOne More Libraryの『The Great Gatsby』を使用します。

第38回の範囲は25ページ11行目から25ページ末尾から6行目まで(Just as Tom and Myrtle 〜から、since they had been married. まで)をみていきます。

まず、今回の考えるヒントを上げます。

  • 25ページ17-19行目 but the efforts of nature toward the restoration of the old alignment gave a blurred air to her face. とはどういうことを言っているのか

 

なお、特に断っていなければ、基本的に次に上げる辞書の訳語や定義・意味に基づいて説明します。

主に使用する辞書

『リーダーズ英和中辞典(第2版)』(野村恵造)(研究社 2017)

『Pocket Oxford English Dictionary (Eleventh Edition)』(Maurice Waite) (Oxford University Press 2013)

『岩波国語辞典(第七版新版)』(西尾実 岩淵悦太郎 水谷静夫)(岩波書店 2017)

 

それでは今回の範囲をみていきましょう。

① Just as Tom and Myrtle (after the first drink Mrs. Wilson and I called each other by our first names) reappeared, company commenced to arrive at the apartment-door.

「ちょうど、あることがあったときに……それは、トムとマートル(ウィルソン夫人)が……(あることの後で……それは、最初に飲んだことで……ウィルソン夫人と「自分」は、呼んだ……互いを……何で・どのようにかというと、ウィルソン夫人と「自分」の(下の)名前だ……)……再び現れたことで……来客・同席の人びとが……あることをし始めた……それは、到着することで……どこにかというと、そのトムとウィルソン夫人の二人の部屋の戸口だ……」

our は、Mrs. Wilson と I の二人を指すのではないでしょうか?

前回の最後に、トムとウィルソン夫人の姿が見えなくなっていました……それが、「自分」が本を少し?読んだところで二人が戻ってきたようです……で、どうやら、その頃には?最初の一杯を飲んでから?ウィルソン夫人と「自分」はお互いに下の名前で呼ぶようになっていたようです……で、トムとマートル(ウィルソン夫人)が戻ってきたタイミングで、ウィルソン夫人が呼んだらしいお客がその二人の部屋に到着しだしたようです……一杯飲んで、打ち解けた?のでしょうか?……ところで、トムは酒を飲むために?「自分」を呼んだ?のでしょうか?……なんでしょう……一緒に酒を飲めば、それで仲間?……そういう感覚?価値観?……それがトム流?……人の気持ちというものがまるでわかってない?……というより、そんなもの無視?興味ない?……嫌?不快?不愉快?なんだそれ?そんなもの知らねえよ、俺様が満足してればそれでいいんだよ、黙って俺様の言うこと聞いてりゃいいんだよ……やっぱり、ジャイアン?……俺様がたっけえ酒、飲ませたやったんだからよ、お前、もうこれで俺様の仲間だからな、いいか、俺様に加勢しろよ、お前は俺様の味方なんだからな、いいな……あまりに単純?すぎる?単細胞?ってこういうの?……「自分」きっと黙ってお酒飲んでいたのでしょうけど、内心はどんなだったでしょうねえ……いや、それはまた別の話じゃ……いや、別に酒いらないし……いや、来たくて来たわけじゃなくて……いや、帰りたいんだけど……いや、勘弁してもらえないかなあ……いや、明日仕事なんだけど……いや、電車が……いやあ、困ったなあ……と思ったかどうかわかりませんが、傍若無人で失礼極まりないトムに、きっとあくまでも礼を尽くし、トムに解放してもらえるまで、辛抱強く付き合った?のではないでしょうか?……a super-perfect(?) rose とかって言ってもよくない?ですか?……。

 

② The sister, Catherine, was a slender, worldly girl of about thirty, with a solid, sticky bob of red hair, and a complexion powdered milky white.

「ウィルソン夫人の姉(妹)であるキャサリンは、すらりとした・やせた……世俗的な・如才ない……独身女性で……年齢がおよそ三十歳で……その様子は、見た目の形がきっちりと固まった状態のべっとりとした感じのショートヘア・おかっぱの赤い色の髪で……なおかつ、肌の色・顔色が化粧用の白い粉・ファンデーションがつけられた状態でミルキー・ホワイトの色だった……」

The sister は、第36回(24ページ11行目)に出てきた my sister (Catherine) を指すのではないでしょうか?

①でお客が到着しだしたと説明していたようでした……どうやら、ウィルソン夫人の妹?が最初に到着した?のでしょうか?……年齢は三十歳くらいのようなので、たぶん妹?ではないでしょうか?(第32回 22ページ4行目で、ウィルソン夫人は in the middle thirties 三十代半ばと説明されていたようでしたから)……体型はスラリとしてせていた?ようです……人柄?は世俗的で如才ない?印象?……髪は赤い色でショートヘア・おかっぱ――整髪せいはつ料とかできっちりと固めてあった?それでべっとりとした感じがあった?のでしょうか?……顔の肌の色?が化粧用の白い粉・ファンデーション?をつけてミルキー・ホワイトの色?だった……なんでしょうねえ……いかにも都会の女性?という感じ?なのでしょうか?……化粧も髪型もバッチリ?決めてる?……流行はやりをちゃんと押さえてる?感じ?でしょうか?……まるで雑誌に出てくるような女性?みたいな?……時代に乗ってる?今っぽい?見た目?ということでしょうか?……姉のウィルソン夫人やその母親?かと思われる写真の女性は、でっぷりとした・かっぷくのよい体型のようでしたけど、妹は全然違う?ようです……たしかに、ニューヨークという大都会に住んでいそうな?感じの?女性でしょうか?……。

 

③ Her eye-brows had been plucked and then drawn on again at a more rakish angle, but the efforts of nature toward the restoration of the old alignment gave a blurred air to her face.

「ウィルソン夫人の妹であるキャサリンのまゆは、ある状態になっていた……それは、引き抜いて、その後、描かれた状態だ……まるで服を身につけるようにまゆが身につけられたように……(元の生えていたまゆに代わる描いたまゆが)もう一度……どんなふうにかというと、元の生えていたまゆよりも大きな傾斜の角度で……そんなふうにわざわざ元の生えていたまゆを引き抜いて、元の生えていたまゆよりも大きな傾斜の角度で描き直してあるのだから、当然そのとおり元のまゆよりも大きな傾斜の角度になっているのだろうと思いそうなところだけれど、実際には違って、いろんな(抵抗するような?)力が……何のかというと、自然の力で……どういう方向にかというと、復活させる・戻す方向で……何に戻すかというと、元の古い配列で……そういう力が働くことが、あるものを与えていた・生じていた……何をかというと、ぼんやりとした・ぼやけた・不明瞭な・あいまいな……雰囲気・空気だ……どこにかというと、ウィルソン夫人の妹であるキャサリンの顔だ……」

Her は、②で出てきた The sister, Catherine を指すのではないでしょうか? 他の her も同様ではないでしょうか?

rakish は、傾斜したマストを持った海賊船が多かったことから、船足の速いことを表すようですが、そこから粋なとかしゃれたという意味でも使われるようになったようです……having a dashing, jaunty, or slightly disreputable appearance (かっこよくて、しゃれていて、ちょっとくだけた?悪っぽい?見た目のこと)を表すと……ただ、ここでは、まゆの angle (角度)の話をしているので、かっこよくてしゃれていてちょっとくだけた悪っぽい見た目のまゆなんだけど、そのまゆの角度はというと……rake という語が、傾斜しているものや傾斜している状態を表すようなので、ここでは傾斜している角度を表すつもりで、rakish という語が使われているのではないでしょうか?……もしかしたら、当時のニューヨーク(都市圏)では、傾斜の角度の大きいまゆが流行りだった?のでしょうか?……だから、流行りをちゃんと押さえる都会の女性キャサリンとしては、元々生えている眉を全部抜いてでも、傾斜の角度の大きい眉を描き直したのではないでしょうか?……なんでしょう……海賊船とか海賊がかっこいい、しゃれている、ちょっとくだけた悪っぽい印象があったのではないでしょうか?……そこから、rakish という語が生まれた?のかもしれない?でしょうか?……ここでも、そういうイメージでまゆを描き直そうとしていると言いたいのではないでしょうか?……保守的なトラディショナルな印象ではなく、時代を先取りしたあか抜けたイケてる?印象のまゆ?でしょうか?……。

さて、今回の考えるヒントに上げた箇所が出てきました。

たしかに、元のまゆが抜いてある……傾斜の角度の大きい眉が描き直してある……だけど、自然の力の方が強かった?……キャサリンとしては、なんとか流行りに乗った?傾斜の角度の大きい眉を描こうとしているのだけど、実際には、元のまゆの配列?配置?角度?に引きづられた?のではないでしょうか?……で、結局、元のまゆと大差ない?結果になった?のではないでしょうか?……インパクトの強い?印象に残る?まゆを描こうとしたのに、元のまゆの形に引きづられた?のであれば、インパクトは弱くなり?印象も薄くなる?……そのことをa blurred air という表現で表している?のではないでしょうか?……要は、中途半端?どっちつかずな感じ?……それなら、元の眉のままの方が良かった?ましだった?くらい?……でもまあ、このキャサリンという女性は、そういう努力をしている?そういう都会の女性?だということを説明しているのではないでしょうか?……。

②でウィルソン夫人の妹について、ざっと全体の説明をした後、今度は「自分」の印象に残った?細かい部分を説明しているようです……で、まずまゆが目についたようです……おっと、抜いてあるじゃないか……わざわざ描き直してある……抜いてはあったけど、元の生えていた眉の跡?でも見えた?のでしょうか?(青かった?……)……元の生えていた眉よりも大きな傾斜の角度で描き直してあると……だけど、大きな傾斜の角度のようでいて、元の生えていた眉とそんなに変わらないような……ほとんど一緒?……抜いた意味ある?……描いた意味ある?……どうやらそんなふうに見えた?のではないでしょうか?……。

 

④ When she moved about there was an incessant clicking as innumerable pottery bracelets jingled up and down upon her arms.

「ウィルソン夫人の妹であるキャサリンが動いたとき……あちこち・辺りを……あるものがあった……それは、絶え間のない・ひっきりなしの……カチリ・カチカチ・コツン・ガチャッと鳴っている音だ……その音がしたとき同時に、数えきれない・無数の陶器(類)の腕輪が、チリンチリン・リンリン・ジャラジャラと鳴って……上に動いたり下に動いたりした……どこをかというと、ウィルソン夫人の妹であるキャサリンの両腕だ……」

she は、③と同じく、②で出てきた The sister, Catherine を指すのではないでしょうか? her も同様ではないでしょうか?

③のまゆの説明に続いて、今度はキャサリンの腕に沢山つけられた腕輪の説明をしているようです……陶器でできているようで、ぶつかっては音を立てているようです……きっと「自分」の耳についた?のではないでしょうか?……たぶん、ゆるくぶら下がっている?ので、腕を動かすたびに手首の方に移動したり、逆にひじの方に移動したり、ずっとあっちへすべり、こっちへ戻りと動き続けている?のではないでしょうか?……陶器でできているアクセサリー……当時のニューヨークで流行っていたり?したのでしょうか?……日本だと萩焼?とかが陶器?なのでしょうか?……柄がなく地味?なのでしょうか?……簡素で?モダンな?感じ?なのでしょうか?……音は乾いた感じ?あまり響かない?ゴツゴツとぶつかっているような音?でしょうか?……あまり女性らしいフェミニンな感じはない?ような……もっと淡白?というか中性的?な感じ?……なんでしょう……色気は感じさせない?……耳に心地よき響きではない?……何か物がただぶつかっているだけみたいな音がしているだけ?でしょうか?……面白おもしろみもない?……もっと言えば、つまならい?……聞こえない方がいい?……こういうイメージが、このウィルソン夫人の妹であるキャサリンを表している?のではないでしょうか?……これまたデイジーとは対照的?……「自分」には特に声がたまらなく素敵な女性としてデイジーは描かれていましたが、このキャサリンは、ウィルソン夫人と同様に、「自分」にはあまり?魅力のない女性?のようではないでしょうか?……なんでしょう……作者にとって、女性の出す声や音がとても重要?大切?な要素?のような印象を受けませんか?……デイジーは格別に素敵な女性で、他の女子はなんだか問題外?扱い?のような感じも?しないでも?ないような?(ただ、ベイカー嬢は声以前に、その存在そのものだったり、人としての有りようが別格?でしょうか?)……それに、作者は、案外、女性に厳しかったり?する?ような?……とにかく、妹のキャサリンもウィルソン夫人と同様の?扱い?……まあ、姉妹なら似ている方が自然?でしょうか?……。

 

⑤ She came in with such a proprietary haste, and looked around so possessively at the furniture that I wondered if she lived here.

「ウィルソン夫人の妹であるキャサリンが、入ってきた……どんな様子でかというと、とても目についたところがあったのだけど、それは(その部屋が)キャサリン自身の家であるような勢いで急いであわてた様子だったことで……そんなふうに(その部屋が)キャサリン自身の家であるような勢いで急いで慌てた様子で入ってきたことに加えて、辺りに目を向けた様子が、キャサリン自身の家であるような見まわし方に見えたので……そのとき目を向けていたのは辺りの家具で……そんなふうに入ってきたときの様子も入ってきた後辺りに目を向けた様子もキャサリン自身の家であるような勢いだったり見まわし方だったりしたので、「自分」は、もしかしたらこういうことだろうかと思ったことがあったのだけど……それは、ウィルソン夫人の妹であるキャサリンが住んでいるのかどうかだ……この部屋に……」

She は、③④と同じく、②で出てきた The sister, Catherine を指すのではないでしょうか? 他の she も同様ではないでしょうか?

that は、「これから文が続く」ことを表し、such 〜と so 〜の部分がある結果、どうなったのかを説明しているのではないでしょうか?

③のまゆに④の腕輪の音、続いてウィルソン夫人の妹であるキャサリンの振る舞いから受けた印象について説明しているようです……proprietary も possessively も、それぞれその部屋とその家具の所有主であるような振る舞いだったと言っているようです……ということは?……キャサリンはこの部屋に住んで、この家具を使い慣れているのだろうか?という疑問が自然に湧いてきた?のではないでしょうか?……トムとウィルソン夫人の二人の部屋だとばかり思っていたけど、「自分」がそんな印象を持つほど、キャサリンはしょっちゅう、この部屋に来ている?のではないだろうか?と「自分」は思ったのではないでしょうか?……ほとんど、ウィルソン夫人の家?……飾ってある写真も夫人の身内?らしいし、妹もこの部屋にびたっている?……まあ、図々しい?厚かましい?印象も?受ける?でしょうか?……それに、がさつな?印象も?……ここでも女性らしさとか欠けている?……デイジーに見られるような優雅ゆうがさ?とかベイカー嬢に見られるような清々すがすがしさ?とか、そういった印象の良い要素がない?……まあ、「自分」の印象は悪かった、と言っているも同然?ではないでしょうか?……少なくとも、「自分」のお眼鏡にはかなわない?……「自分」目線では、好ましくない?のではないでしょうか?……そして、作者の目から見ても?……。

 

⑥ But when I asked her she laughed immoderately, repeated my question aloud, and told me she lived with a girl friend at a hotel.

「ウィルソン夫人の妹のキャサリンがその部屋がキャサリン自身の家のような態度や振る舞いを取っていたので、キャサリンはその部屋に住んでいるのかと「自分」が思ったくらいだから、実際キャサリンはその部屋に住んでいたのだろうと思いそうなところだけれど、実際には違って……「自分」がキャサリンに(その部屋に住んでいるのかと)尋ねたとき、ウィルソン夫人の妹であるキャサリンは、笑った……その様子は、節度を欠いていた……それから繰り返して言った……「自分」が尋ねたことを……声に出して・聞こえるように……それから「自分」に言った……ウィルソン夫人の妹であるキャサリンが住んでいるのは……同居者が女子の友人で……場所は(とある)ホテルだと……」

her は、③④⑤と同じく、②で出てきた The sister, Catherine を指すのではないでしょうか? she も(すべて)同様ではないでしょうか?

⑤で浮かんだ疑問を、「自分」は直接ウィルソン夫人の妹であるキャサリンに尋ねたようです……この部屋に住んでいるのかと……そしたら、帰ってきた反応が、まず、笑われたと……しかも、節度を欠いた様子で……なんでしょうねえ……何がおかしかったのか?……バカな質問をするとでも思われたのでしょうか?……それとも、初対面でそんな質問をされたことに違和感でもあったのか?不愉快に思ったのか?……なんにしても、まず、相手を笑いものにするというのは失礼?ではないでしょうか?……そして次に、「自分」の質問をそのまま繰り返して言われたようです……それも、おそらく他の人に聞こえるような声の大きさで……またもや、バカにしてない?でしょうか?……どうしてこんなことをするのか?……ねえ、ちょっと聞いてよ、この人面白いこと言うのよ、あたしがこの部屋に住んでるのか?だって…おっかしい……みたいな?感じ?なのでしょうか?……そうやって人前でバカにしてから、やっと「自分」にまともな答えを返したようです……キャサリンは女子の友人と(とある)ホテルに住んでいると……初対面でこんなふうにあしらわれて、「自分」が気分がいいはずがありません……印象が悪いのも当然では?ないでしょうか?……キャサリンというのは、一言で言えば、(男の目線で)まるで魅力のない女……がさつで遠慮がなくて品もなければ色気もない、おまけに性格まで悪い?……なんだか言い過ぎじゃない?とも?……どうも、作者は、ウィルソン夫人にまつわる何もかもを、このようにこきおろした描き方をしたい?ような?……坊主憎けりゃ袈裟けさまで憎い?……見方によっては、気取ったところがなくて、自然体で正直?……上辺うわべだけ取りつくろうようなことはしない?……そういう女性の姿が見えてくる?でしょうか?……ただ、「自分」やデイジーとは、住む世界が違う?というのはいなめない?かもしれない?でしょうか?……まるで感覚というか価値観が違うかもしれない?……一応「自分」も庶民という位置づけのようですけど、でも、それでも中流?階級?……で、デイジーは上流?階級?……そして、ウィルソン夫人と妹のキャサリンは、下流?と言ってもいい?……そういう育った環境の違い?みたいなものが、それぞれに表れている?……だから、作者は、ウィルソン夫人がトムにはふさわしくない、と主張?している?のでしょうか?……キャサリンには、初対面でも誰であれ、こんなふうにあっけらかんとなんでも遠慮なく思ったことをぶつけるのが当たり前で自然なこと?なのではないでしょうか?……一方、良識と良心のかたまりで、誰に対しても礼を尽くし、親切と思いやりの真心を持って接する「自分」には、キャサリンのようなやり方は考えられない?かもしれない?のではないでしょうか?……で、そんなやり方をぶつけられると、辛抱強かったとしても、不愉快なのは間違いないのでは?ないでしょうか?……なんか、もう、笑われた時点で、心の扉が閉まってしまったり?しないでしょうか?……でも、そうだったとしても、「自分」は責められません……そして、キャサリンも……二人とも、それぞれに、そういう人なのですから、どうしようもありません……こんなふうに、二人の間には違いやずれがあると、ただそれだけのことではないでしょうか?……。

 

⑦ Mr. McKee was a pale, feminine man from the flat below.

「マッキー氏は、青白い顔の女じみた・めめしい・軟弱な男だった……どこから来たかというと、下の階の部屋・フラット・マンションだ……」

第36回(24ページ20行目)に、the Mckees とマッキー夫妻の名前が出ていました。Mr. McKee は、その夫の方ではないでしょうか?

⑥でウィルソン夫人の妹であるキャサリンの話は終わったようです……続いて、次にやって来たらしい?お客であるマッキー氏の説明があるようです……顔色がよくなかった?ようです……男らしくはなかった?ようです……なんでしょう……頼りない感じ?なのでしょうか?……のび太?とか近い?……いや、違う?……そこまで弱くない?……体は強くなさそう?体力なさそう?腕力もなさそう?気が弱そう?おっとりしてそう?おとなしそう?……どう思われますか?……で、トムとウィルソン夫人の二人の部屋の下の階の部屋に住んでいる?ようです……なんか、トムの好きそうな?タイプ?……"一番偉い俺様"がお山の大将になれて、なんでも俺様の思いどおりにできそうな相手?……だから出入りを許されている?……どこか、ウィルソン夫人の夫に似た感じも?あるでしょうか?……。

 

⑧ He had just shaved, for there was a white spot of lather on his cheekbone, and he was most respectful in his greeting to every one in the room.

「マッキー氏は、ほんのさっきしたばかりだった……何をかというと、ひげることだ……というのも、あるものがあったからだ……それは何かというと、白い汚れ・しみだ……何のかというと、石鹸せっけんの泡だ……どこにかというと、マッキー氏の頬骨ほおぼねだ……そんなふうにマッキー氏はほんのさっき髯を剃ったばかりで頬骨に石鹸の泡の白い汚れがあった状態で、マッキー氏は、最も・非常に・とても……敬意を示す・礼儀をわきまえた様子だった……何をするときかというと、マッキー氏が挨拶あいさつをするときで……誰にかというと、ひとりひとり全員で……どこにいる全員かというと、そのリビングだ……」

He は(すべて)、⑦で出てきた Mr. McKee を指すのではないでしょうか? his も(すべて)同様ではないでしょうか?

⑦で説明のあった、押しの弱そうな?マッキー氏の追加情報を説明しているようです……あれ、きっと髯を剃ってきたばかりだな、きっと……だって、頬骨に白い石鹸の泡が汚れになって残っている(のが見える)から……で、本人は髯を剃ったときの石鹸の泡が頬骨に残っていることに気づかないまま、リビングにいた人ひとりひとり全員に、誰よりも?敬意を示し礼儀をわきまえた様子で挨拶していた?ようです……トムよりずっとまともな?人間って感じ?じゃないですか?……"自己中(心)"の俺様よりもはるかに付き合いやすそう?だったりしませんか?……振り回されるより、おとなしいぐらいの方がよかったり?しないでしょうか?……。

 

⑨ He informed me that he was in the “artistic game," and I gathered later that he was a photographer and had made the dim enlargement of Mrs. Wilson’s mother which hovered like an ectoplasm on the wall.

「マッキー氏が告げた……「自分」に……マッキー氏は、あることを行っていると……それは何かというと、「芸術的な職業」だと……そうやってマッキー氏が「芸術的な職業」にいていると「自分」に告げた後で、「自分」はある情報を知った・推測した……後で……何をかというと、マッキー氏が写真家であることを……そして、マッキー氏が作成したことを……何をかというと、あのかすんだ・ぼやけた拡大写真を……誰のかというと、ウィルソン夫人の母親だ……その写真は、空中にとどまっていた……たとえていえば、心霊体のように……どこでかというと、壁の上で……」

He は(すべて)、⑧と同じく、⑦で出てきた Mr. McKee を指すのではないでしょうか?

that は(どちらも)、「これから文が続く」ことを表し、具体的に何を告げたのか、また知った・推測したのかを、説明していると思われます。

which は、the dim enlargement of Mrs. Wilson’s mother を指して言いかえているのではないでしょうか?

⑧でマッキー氏がひとりひとり全員に敬意を示し礼儀をわきまえた様子で挨拶したと言っていたようですから、当然「自分」にも挨拶したはずでは?ないでしょうか?……で、おそらく、そうやって挨拶をしたときにでも、マッキー氏は「自分」に、芸術的な職業に就いていると説明したのではないでしょうか?……で、芸術的な職業って、いったい何だろう?と「自分」は思ったのではないでしょうか?……で、挨拶の後、一緒に過ごす中で、わかってきたのではないでしょうか?……そうか、マッキー氏は写真家だと……あの写真――ウィルソン夫人の母親を写したものか――は、マッキー氏が作成したものかと……で、その写真、かすんでぼやけて見えた様子が、壁に心霊体が浮かんでいる?ように見えた?と言っているのではないでしょうか?……いやあ、芸術的な作品?なのかもしれませんが、「自分」には、心霊体のような不気味な?代物?に見えた?ようです……かすんでぼやけて、かえって怖い?……幽霊でもいるみたい?……だけど、芸術作品だということなら……芸術とは、人それぞれ感じ方が違う?から……なんだか、ここでも、作者は「自分」の目や感性を通して、遠回しにウィルソン夫人の美意識?やセンス?を批判している?ような?……あんなものをリビングに飾るなんて、と……なんか縁起でもない……もうあの世に行ってんじゃないのか?みたいな?……夫人にしてみれば、トムと付き合うようになったからこそ住めるようになった部屋で、ご近所に人生で初めて?れっきとした?写真家とお近づきになることができ?夫人の母親の写真まで撮ってもらえて、その作品の善し悪しとか価値はともかく?まるで家宝のように後生ごしょう大事にあがたてまつらんくらいの気持ち?だったかも?しれない?……そりゃ、リビングの一番目立ついいところ?に飾らなくっちゃ?……だけど、作者は、物の良さも価値もわからない(ゲス?)女が上品ぶってみっともない……とでも言わんばかり?かもしれない?……ところで、マッキー氏は芸術家?の範疇はんちゅうに入る写真家?のようです……feminine な印象は、そのあたりと関係がある?でしょうか?……なんでしょう……当たりの柔らかい、繊細な感性の人物像?でしょうか?……神経が細やかで、人当たりも良く、愛想もいい?……ただ、「自分」のような芸術に関しては凡人?普通の人?には良さが理解しがたい作品を作る?ようで……もしかしたら、一般受けよりも、マッキー氏本人のゆずれないこだわりを貫き通す頑固さ?一徹いってつなところも?ある?でしょうか?……当たりさわりのない世間話をするとか、うわつらうすーい付き合いならさして問題ないかもしれないけど、深入りしたりすると、面倒だったり厄介なことになったりする?タイプ?だったりする?でしょうか?……でも、トムよりはるかにまし?じゃない?でしょうか?……。

 

⑩ His wife was shrill, languid, handsome, and horrible.

「マッキー氏の妻は、金切り声で、ものうげで元気・活力がなく弱々しい、美しい、なおかつ冷淡だった……」

His は、⑧⑨と同じく、⑦で出てきた Mr. McKee を指すのではないでしょうか?

horrible には、恐ろしくぞっと身の毛もよだつようなものを表す意味があるようです……そういう意味も、もしかしたら込められている?のでしょうか?

今度は、⑦⑧⑨と説明してきたマッキー氏の妻について説明しているようです……まず、声が……耳障みみざわりな高い声?だったのでしょうか?……聞いていると、もしかしたら頭が痛くなるような?……見た目は、まず、弱々しく見えた?ようです……ウィルソン夫人や妹のキャサリンのような元気や勢いは感じられなかった?ようです……病弱?な感じ?でしょうか?……だけど、顔立ちは端正?端麗?だった?……そして、冷淡だったと……冷たい印象を受けた?のでしょうか?……なんだか、ウィルソン夫人に関わる人たちはみんな、ダメ・クズ・ゲス扱い?……殊更ことさらに欠点ばかりをあげつらおうとしている?感じすら?ある?……。

 

⑪ She told me with pride that her husband had photographed her a hundred and twenty-seven times since they had been married.

「マッキー氏の妻は、話した……「自分」に……得意()な様子で……何をかというと、マッキー夫人の夫が、写真を撮ったと……誰のかというと、マッキー夫人で……それも百二十七回……いつからかというと、マッキー氏とマッキー夫人が結婚したときからだ……」

She は、⑩に出てきた His wife を指すのではないでしょうか? her も(すべて)同様ではないでしょうか?

that は、「これから文が続く」ことを表し、具体的に何を話したのかを説明していると思われます。

they は、She と her husband つまりマッキー氏とマッキー夫人の二人を指すのではないでしょうか?

⑩で説明したマッキー夫人が「自分」に話したことがあったようです……得意気な様子で……夫のマッキー氏が、妻のマッキー夫人の写真を結婚してから百二十七回撮影したと……初対面で、自慢話から入った?ようです……それに「自分」は閉口へいこう?したのでしょうか?……だから、それもあって、horrible なのでしょうか?……勘弁してくれよ、こういう女性は…と?……なんでしょうねえ……デイジーにも"自己中(心)"気味の欠点はあるけれど、これまで出てきた女性では、ただ一人、デイジーだけが高評価?好評価?……ベイカー嬢も、まあ一応こきおろされてはいない?かもしれませんが、他の女性は、すさまじい?描き方?に思えなくも?ないような?……ありていにいえば、ウィルソン夫人はもちろん論外で、そのウィルソン夫人に関わる何もかもすべてが――女性に限らず夫(男)も――ダメ・クズ・ゲス扱い?だったり?する?かもしれない?でしょうか?……なんでしょう……デイジー組=美しい・素敵・素晴らしい・上品……一方、ウィルソン夫人組=みにくい・汚い・下品・最低最悪……作者は、そういう構図?でも作ろうと?している?のでしょうか?……。

 

おつかれさまでした。どうでしたか? 

なんだか、そんなにまで言わなくても……と言いたくなるような?描き方?にも?思えなくも?ないような?……なんでしょうねえ……デイジーはいわばお姫様?……で、ベイカー嬢はそのお姫様のお付き?に近い?存在?なのでしょうか?……そして、そのお姫様を苦しめる悪い女とその一味?を作者は意図的に?登場させている?のでしょうか?……お姫様は何もかもが可愛くて素敵と……悪い女とその一味は何もかもが醜悪しゅうあくだと……トムとウィルソン夫人のどちらが先に手を出した?のかわかりませんが、とにかくどちらにしても、もしかしたら、問題は、ウィルソン夫人がデイジーのいるトムの自宅にまでこれ見よがしに電話をかけるようにになっていたこと?でしょうか?……ウィルソン夫人は、ほぼ間違いなく、トムをデイジーと別れさせようと?していないでしょうか?……だから、お姫様のデイジーを苦しめる悪い女という位置づけ?描き方?なのでしょうか?……ウィルソン夫人を相手にしたトムも悪いはずですが、作者はどうやら、トムよりも、デイジーと別れさせようと実力行使に出た?ウィルソン夫人をすべての元凶げんきょう・悪者として描きたい?ようです……いわば、トムも悪い女に引っかかった?と……だから、悪いのはすべて、ウィルソン夫人ただ一人だと?……もしそうなら、苦しんでいるお姫様のヒロインを救い出す?ヒーロー?の王子様?でも登場するの?でしょうか?……そして、悪い女とその一味をやっつけるの?でしょうか?……悪い女とその一味からお姫様を守るの?でしょうか?……。

さて、今回の考えるヒントに上げたお題 「25ページ17-19行目 but the efforts of nature toward the restoration of the old alignment gave a blurred air to her face. とはどういうことを言っているのか」 ですが……③で説明したとおりです。1925年頃に、米国?ニューヨーク?では、現代日本のファンデーションをつけてまゆを描く習慣がすでにあった?ようです……しかも、まゆを抜いてまで、描き直すほどの……たぶん、化粧とか髪型とかファッションとか、現代日本と変わらない流行もすでにいろいろあったのでは?ないでしょうか?…….というより、現代日本が、1925年当時の米国のようになった?変わった?のでしょうか?……。

次回は、この宴会?の主役?が見せる?かもしれない?……ぜひまた一緒にみていってください。

 

第39回の範囲は25ページ末尾から5行目から26ページ19行目まで(Mrs. Wilson had changed her 〜から、I don’t care what I look like. まで)をみていきます。

次回の考えるヒントは……

  • 26ページ4-5行目 until she seemed to be revolving on a noisy, creaking pivot through the smoky air. とはどういうことを言っているのか

次回は、セリフが出てきます……ぜひまた一緒に読んでみてください。

 

最後に、物語を読むときに心にとめたいポイントをまとめます。

Point

・どうして作者はその言葉を使用したのか

・それぞれの登場人物に作者はどんな役割を割り当てているのか

・それぞれの登場人物のセリフや物語の展開を通じて作者は何を言おうとしているのか

 

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今回の範囲の訳文を有料(700円)で掲載いたします。

Posted by preciousgraceful-hm