Gatsby-37

このサイトは、英語で書かれた物語を一作品、最初から最後まで少しずつ読んでみようという試みです。

取り上げる作品は『The Great Gatsby』です。100年近く前に米国で出版された小説ですが、現代の日本人にも共感したり心を動かされるところが多々あると思います。

ぜひ一緒に、英語の原書を読んでみませんか。

(なお、このコンテンツはその著作者の解釈に基づくものであり、必ずしも正しいとは限らないことをご承知おきください。)

 

前回まで……タクシーを下りようとしたのに無理矢理むりやり同行させられて、とうとうトムとウィルソン夫人の二人の部屋まで連れて行かれ、どうやらあきらめた?らしい「自分」――それ以上抵抗もせず?二人の部屋に足を踏み入れたようです……もしかしたら?いやきっと?デイジーのことが頭をよぎらなかったはずがない?と思われますが……案外、トムの思惑に反して、デイジーに代わって、ひとつ見ておくか?ぐらいの気持ちも?もしかしたらあった?でしょうか?……それとも、何も考えてない?……まあ、なんにしても、結局ついて行ったわけで……で、入ってみると?……ひと言で言えば、小ぢんまりした部屋だったようです……でもその小さなおうち?に入れ込む?ウィルソン夫人の思いは並々ならぬものが?あったのではないでしょうか?……そんな思いをうつしたような大きすぎる家具の山?……まるで天下でも取ったような?気持ちになっていた?かもしれない?……あの灰の谷のすぐそばにある家との落差が大きすぎる?ことを思えば、無理もない?……こんな夢のような?優雅な時間を過ごさせてくれたトムに絶対服従?するのは当然?……そして、そのトムをなんとしても夫人のものにしようと、妻のデイジーと別れさせようとするのも自然な流れ?……だけど、はたしてトムがそこまで応じるかどうか?……作者はまるで、学のない夫人には学のない灰の谷の夫がお似合いだと言っている?かのようでしたが……それはさておき、三人の他にお客も来るようです……続きをみていきましょう。

 

原文はOne More Libraryの『The Great Gatsby』を使用します。

第37回の範囲は24ページ末尾から13行目から25ページ10行目まで(The only picture was an 〜から、make any sense to me.まで)をみていきます。

まず、今回の考えるヒントを上げます。

  • 24ページ末尾から4-3行目 one of which decomposed apathetically in the saucer of milk all afternoon. とはどういうことを言っているのか

 

なお、特に断っていなければ、基本的に次に上げる辞書の訳語や定義・意味に基づいて説明します。

主に使用する辞書

『リーダーズ英和中辞典(第2版)』(野村恵造)(研究社 2017)

『Pocket Oxford English Dictionary (Eleventh Edition)』(Maurice Waite) (Oxford University Press 2013)

『岩波国語辞典(第七版新版)』(西尾実 岩淵悦太郎 水谷静夫)(岩波書店 2017)

 

それでは今回の範囲をみていきましょう。

① The only picture was an over-enlarged photograph, apparently a hen sitting on a blurred rock.

「唯一の(壁などに飾られている)写真は、過度に拡大された写真で、見たところ……雌の鳥(にわとり)が、すわっている……どこの上にかというと、ぼやけた岩だ……」

トムとウィルソン夫人の二人の部屋――全体に小ぢんまりとした中に、家具が山ほど詰め込まれていたようでした……ただ、家具は多かったけど、飾りもの?は少なかった?のでしょうか?……写真が一枚だけしかなかったようです……まだ二人のこの部屋での生活が始まって日が浅い?ことでも暗示している?のでしょうか?……その写真も、拡大しすぎて、まるでピンボケ?みたいに見えた?……これ、岩かなあ?……鳥?にわとり?雌?がいる?……なんでしょうねえ……部屋の広さに対して大きすぎる?多すぎる?家具にしても、拡大しすぎている写真にしても、どちらもウィルソン夫人が?無理している?ことを暗に示している?のでしょうか?……夫人にはこういう部屋での優雅な生活は無理があると?似つかわしくないと?……そしてトムも、夫人にはふさわしくないと?……作者はそう言いたい?のでしょうか?……。

 

② Looked at from a distance, however, the hen resolved itself into a bonnet, and the countenance of a stout old lady beamed down into the room.

「目線を向けた状態で……その唯一の写真に……どこからかというと、離れたところで……さっきぼやけた岩の上に雌の鳥(にわとり)がいると言ったけど、さっき言ったこととは違うことをこれから言う……それは、雌の鳥(にわとり)が、変えた……その雌の鳥(にわとり)自身を……何に変えたかというと、(頭巾ずきんのような)婦人用の帽子に……そして、顔つきが……何のかというと、でっぷりした・かっぷくのよい年老いた女性で……嬉しそうににこやかに笑っていた……下の方に向かって……どこの中のかというと、そのリビングだ……」

①で説明した写真について、さらに説明を加えているようです……離れたところからその写真の方に目を向けると、①ではぼやけた岩の上に雌の鳥(にわとり)がいるようだと言ったけれど、そうではなくて、その雌の鳥(にわとり)が自らの姿を他のものに変えた――つまり、その雌の鳥(にわとり)の姿が、何か別のものに見えたと言っているのではないでしょうか?……じゃあ、何に見えたのか?――それは、頭巾のような婦人用の帽子だと……で、さらに、おそらくその帽子をかぶっていると思われるでっぷりした・かっぷくのよい年老いた女性の顔つきが、嬉しそうににこやかに笑っていたと……そのリビングの室内で下を見下ろすような?感じで?……たぶん、リビングの壁のどこかにでも写真が飾ってあったのではないでしょうか?……その写真が、もしかしたら?近くで見たときにはピンボケ?みたいに見えた?……で、離れて見たら、年老いた女性の顔つきに見えたのではないでしょうか?……そして、近くで見たときには雌の鳥(にわとり)に見えたものが、どうやら頭巾のような婦人用の帽子じゃないか?と……さらに、その女性は嬉しそうににこやかに笑っていたと……そのリビングの室内を壁の上方から見下ろしているような感じ?だったのではないでしょうか?……ところで、stout という語は、ウィルソン夫人が初めて登場したとき、第32回(22ページ4行目)にも出てきたようです……夫人の体型を説明していたようでした……同じような体型の年老いた女性?……ここは、ウィルソン夫人(とトム)の部屋……じゃあ、この女性は、ウィルソン夫人の?もしかしたら?母親?あたり?でしょうか?……やっぱり、家や部屋の中は、トムじゃなくて、その相手の女のカラーが色濃く出ている?……そういうところは、トムは女のやりたいようにさせておく?ような?感じ?でしょうか?……あれですね、トムって、たしかポロ競技の対戦相手を求めて放浪生活をしている?ようなことが前に書かれていたと思いますが、女もそうやって、いろいろあちこち求めて放浪でもしている?のでしょうか?……なんでしょうねえ……腰を据えて落ち着くといったことがない?……腰を据えて落ち着かない=家や部屋の中に興味がない?……どうせ居座らない?腰を据えない?またどうせ他所よそに行く?……だから、家や部屋の中にこだわらない?トムにはどうせ関係ない?またすぐ他に移るし?だからどうでもいい?……女って、そんなことにこだわるのか……まっ、別に好きにすればいいさ……俺様はすぐにまた他をあたるからな……なんてまさか?そんなこと考えてたり?するの?でしょうか?……いや、まさか⁉……っていうか、まさか幼い娘までそれと一緒じゃ⁉……どうでもいいの?トム本人の娘なのに⁉……いくらなんでもそれは……ありえない⁉……怖いですねえ……。

 

③ Several old copies of TOWN TATTLE lay on the table together with a copy of SIMON CALLED PETER, and some of the small scandal magazines of Broadway.

【One More Library の原書データでは、TATTLE.(ピリオドあり)となっていますが、Scribner の書籍では、TATTLE(ピリオドなし)が正しいようですので、訂正しておきます。】

「いくつかの古い複製物が……何のかというと、『街のゴシップ』という雑誌で……位置していた……どこの上にかというと、(ロー)テーブルで……一緒にあったものは、ある複製物で……何のかというと、『(サイモン/)シモン…呼ばれた……(ピーター/)ペテロ』という本で……その雑誌と本に加えて他にもあったのだけど……それは何かというと、若干の数のつまらないスキャンダル雑誌だ……どんなところのかというと、ブロードウェイだ……」

SIMON (シモン)というのは、新約聖書に出てくるらしいキリストの十二使徒の一人で、ペテロ(Peter)と呼ばれていた人の名前のようです。ペテロという名前は、"岩"を表す語に由来するようです。このペテロという人は、イエス・キリストを裏切った?ことがあるようです……その裏切りを象徴するものがどうも"鶏"のようです……①でピンボケみたいに見えた写真は、岩の上にいる鶏?のようでした……なんでしょうねえ……ウィルソン夫人の夫に対する裏切りを象徴的に表している?のでしょうか?……ただ、その岩の上の鶏?に見えたものは、実はウィルソン夫人の母親?の写真かもしれない?……そうすると、ウィルソン夫人は夫人の母親も?母親の信頼をも?裏切っている?とでも言いたいのでしょうか?(作者は……)……ウィルソン夫人が、自らのしている不貞行為を、母親に対して恥ずかしくないのかと?……そう言って責めている?のでしょうか?……なお、ペテロと呼ばれたシモンという人は、そのイエス・キリストを裏切ったことを心からじてあらためた?ようです……なんでしょうねえ……ウィルソン夫人もそうすべきだとでも?言いたいのでしょうか?……で、そういう写真がリビングの壁の上方に飾ってある?……なんだか、本当に辛辣しんらつですねえ……ウィルソン夫人を責めた立てる手をどんどんめ付けている?ような?……もう、ここまできたら復讐ふくしゅう?……そうなんでしょうか?……。

Broadway は、ニューヨークの劇場街やその業界を表すようです。

前回の最後ではリビング全体の話をして、次に①では壁に目をやり、そこにあった写真の話をし、そして今度は②でテーブルの上に目を向けたようです……そこには、まず第34回(23ページ4行目)にも出てきた『街のゴシップ』の古い雑誌が何冊かあったようです……そのすぐ近く?でしょうか?……本があったようです……『(ピーター/)ペテロと呼ばれた(サイモン/)シモン』という書名?のようです……その雑誌と本の他にも、数冊?のつまらないスキャンダル雑誌があったようです……どうもブロードウェイの話題?を取り上げたもののようです……いわゆる芸能界の?ネタを取り上げる週刊誌?みたいなもの?でしょうか?……ウィルソン夫人は、そういうたぐいの雑誌が好き?なようです……small という語に、作者の夫人をバカにしたような思い?が表れているでしょうか?……その程度の女……お前ごときが?みたいな?……それとも、作者に別にそんな他意たいはない?でしょうか?……考えすぎ?……。

 

④ Mrs. Wilson was first concerned with the dog.

「ウィルソン夫人は……最初に……関わった……何にかというと、タクシーで来るときに買ってきた犬だ……」

①②③とリビングの部屋の様子を見た後、(そして同時に、①②③とウィルソン夫人を追い詰めるように夫人を責め立てる小道具?を次々と繰り出した?後に)、今度はウィルソン夫人がどうしたのかという説明をしているようです……我が家?に帰ってきたウィルソン夫人は、最初に、買ってきたばかりの犬の面倒を見た?ということでしょうか?……まあ、そうかもしれません……嬉しくてたまらなかったはずですし、それが自然ではないでしょうか?……。

 

⑤ A reluctant elevator-boy went for a box full of straw and some milk, to which he added on his own initiative a tin of large, hard dog-biscuits — one of which decomposed apathetically in the saucer of milk all afternoon.

「いやがる・気が進まない・不承不承ふしょうぶしょうのエレベーター係の少年・若者が、取りに行った……何をかというと、入れ物を……あるもので満たされた……それは何かというと、麦わらで……その麦わらの入った入れ物に加えて、いくらかの牛乳も……その麦わらの入った入れ物といくらかの牛乳に、そのエレベーター係の少年・若者が加えた……その少年・若者自ら率先して……何をかというと、ブリキ製の容器で……その容器に入っていたのは、大きくて堅いドッグビスケットで――その大きくて堅いドッグビスケットの一つが……分解していた……感情がない状態で・無表情で・黙々もくもくと……どこでかというと、カップの受け皿・台皿で……その受け皿・台皿に入っていたのは、牛乳で……そうやって分解していたのはいつかというと、午後全部の間だ……」

which は、a box full of straw and some milk を指すのではないでしょうか?

he は、A reluctant boy を指すのではないでしょうか? his も同様ではないでしょうか?

今回の考えるヒントに上げた箇所が出てきました。

which は、large, hard dog-biscuits を指すのではないでしょうか?

④で犬の面倒を見た?らしいウィルソン夫人――どうやら、夫人が自らやったわけではない?のでしょうか?……だから、④で concerned という語が使われている?のでしょうか?……実際に犬の面倒を見たのは、どうも、トムとウィルソン夫人の二人の部屋のある共同住宅の(マンションみたいなところ?)建物にあるエレベーターの係をしているらしい少年・若者?でしょうか?……エレベーター係がいるようです……なんでしょうねえ……けっこう、高級マンション?みたいな?感じ?なのでしょうか?……要は、使い走りをさせている?……それって、そのエレベーター係の本来の仕事?なのでしょうか?……なんとなく、違うような?……だからこそ、そのエレベーター係の少年・若者は、嫌がっている?……なんで、そんなことさせられるんだよ……みたいな?……でもその少年・若者、ウィルソン夫人が連れ帰った犬の子のために、麦わらで満たされた入れ物といくらかの牛乳を――この二つはおそらくウィルソン夫人に持ってくるように言われた?のではないでしょうか?……そして、もう一つ、その少年・若者が気を利かせた?のか、ウィルソン夫人にはムカつく?けど、でも犬の子のために?大きくて堅いドッグビスケットの入ったブリキ製の容器も持ってきたと……で、たぶん、その少年・若者が、そのドッグビスケットを一枚、牛乳を入れた平たい受け皿・台皿に入れた?ひたした?のではないでしょうか?……犬の子のために……それで、その一枚のドッグビスケットが、午後の間中、人間でいえばまるで無表情で黙々と、少しずつ?分解していた状態だった?のではないでしょうか?……牛乳に浸せばビスケットは崩れていく?のでは?……で、そうやって崩れていく状態が、午後の間中続いていたようです……ということは、犬の子は食べなかった?飲まなかった?のでしょうか?……単に多すぎただけ?お腹がいてなかった?……それとも、その犬の子がウィルソン夫人を受け入れていないということを、口をつけずに残っていたらしいクッキーや牛乳を通して、示そうとしている?……ウィルソン夫人の思いどおりにはいかないと?……まるでハンスト?……んなバカな?……なんにしても、その少年・若者は、犬の子が食べやすいようにと、考えた?のかもしれません……良い子ですね……ただ、ここでも、その少年・若者と対照的に、ウィルソン夫人の嫌らしい面がまたもや強調される?でしょうか?……えっ?……夫人が面倒見るんじゃないの?……人にやらせる?……しかも、エレベーター係の少年・若者?……はっ?……なんか、勘違いしてない?はきちがえてない?……エレベーター係って、なんでもやらせられるとか思ってない?……違うからね……それに、お金払ってるの、トムでしょ……夫人じゃないよね……何、大きな顔してえらそうに少年ひと・若者のこと、こきつかってるの……あなた、どう考えても、おかしいよ……しかも、寝床と牛乳しか用意しない気だったの?ねえ?……あの少年・若者が用意してなきゃ、食べるものなかったじゃない……連れ帰っていきなり、餓死でもさせる気?……ちょっと、勘弁してよ……しっかりしてよね……とまあ?夫人の足りない部分をまたもや殊更ことさらにクローズアップさせようとしている?でしょうか?(作者は……)……まさかとは思うけど、よっぽどうらみでもある?……これでもかこれでもかと、とことん徹底的にいじめ抜くつもり?でしょうか?……この物語おはなしの誰よりも、作者が一番怖い?……それとも、やっぱりそれは違う?……いくらなんでもない?……考えすぎ?……。

 

⑥ Meanwhile Tom brought out a bottle of whiskey from a locked bureau door.

「その間に……トムは、持ってきた……取り出して……液体を入れる容器・ボトルを……その容器・ボトルに入っていたのは、ウィスキーだ……どこから出してきたかというと、錠のかかった整理ダンスの戸だ……」

bureau は、北米では a chest of drawers という意味があるようです。

④⑤でウィルソン夫人の様子を説明した後、今度はトムがどうしたのかを説明しているようです……夫人が犬にかまっていた間に、トムはウィスキーのボトルを出してきたようです……錠のかかった開き戸?とか?にしまってあった?のでしょうか?……もしかしたら、ガラス戸?とかでしょうか?……うーーーん……高価なお酒?でしょうか?……やっぱり、お客を、「自分」を呼んだから?でしょうか?……あのー……たしか、昼間じゃない?……夏の日の午後だと……日曜日だし、別に昼間からお酒を飲んでも不思議じゃない?のでしょうか?……ただ、トムは毎日が日曜日?みたいなもの?のような?気も?……それはともかく、なんだか……なんか違和感が?ある?……読者の方々はどう思われますか?……別に普通?……でも、なんとなく、そういう錠のかかる場所に大事にしまっておくような高価なお酒を、部屋に着いた途端、もういきなり?最初っから?飲むの?……やっぱり、なんか違和感が?……早くない?……なんか、違わない?……いったい、この部屋に何しに来たのでしょう?……っていうか、「自分」を連れて来たのは、何のため?でしょうか?……酒飲むため?……はっ?……それだけ?……他になんか、もっと大切なことなくて?……ただそれだけのために、「自分」連れて来たの?……うそでしょ?……ありえない?……そんなの、「自分」呼ぶ必要ないじゃん……何それ?……トム、意味わかんない……あなた、おかしいでしょ、それ……どう考えても……「自分」いったいどんな気持ちだったでしょうか?……おいおい、勘弁してくれよ……昼間っから酒なんか飲むために連れて来られたのか?……冗談じゃない……やることいっぱいあるのに……そんな暇ないのに……まったく……どうしようもないな……いいかげんにしてくれよ……と思ったかどうかわかりませんが……「自分」のことを思っても(思わなくても)、トムには、とにかく腹が立ちませんか?……。

 

⑦ I have been drunk just twice in my life, and the second time was that afternoon; so everything that happened has a dim, hazy cast over it, although until after eight o’clock the apartment was full of cheerful sun.

「「自分」は、ある状態になった……それは、酔っ払った状態だ……ただ・わずか二回……いつのあいだにかというと、「自分」の人生で……そうやって「自分」は人生でただ・わずか二回、酔っ払った状態になったことがるのだけれど、そういう前提を話した上で、その二回目(に酔っ払ったとき)が、その(日の)午後だった……今言ったとおり、その(日の)午後酔っ払った状態になったので、すべてが……どんなすべてかというと、起こった出来事のすべてで……今ある状態だ……それは、かすんだ・おぼろげな……かすんだ・漠然とした・不明瞭な……特色・傾向で……何に関してかというと、その起こった出来事のすべてで……これから言う事実があったのに、そんなふうにその起こった出来事の全てに関しておぼろげで漠然として不明瞭な特色・傾向が今あるのだけど……じゃあ、どんな事実があったのかというと、ある時点まで……それはいつかというと、(午後)八時の後で……その部屋は……満たされていた……何でかというと、明るい元気が出るような太陽の光だ……」

that は、今このお話を語っている時点から振り返ったときに、遠く離れた以前の時を指しているというニュアンスで使われているのではないでしょうか?

次の that は、直前の everything を指して言いかえているのではないでしょうか?

it は、everything that happened を指すのではないでしょうか?

although は、in spite of the fact that (that の後に説明するような事実があるにも関わらず)という意味を表すのではないでしょうか?

ニューヨークは北緯41度くらい?で、日本だとだいたい函館と同じ?でしょうか?……夏だと、午後八時を過ぎるまで日が沈まなかった?ようです……。

⑥でトムがウィスキーを持ち出してきたようでした……ということは、「自分」もやはり飲むと……で、それもただちょっとたしなむ程度ではなかったようです……「自分」が酔っ払ったのは人生でわずか二回しかないと……その二回目が、このときだったと……通常は酔っ払うほどお酒を飲んだりはしない……それなのに、やることいっぱいあって、お酒なんか飲んでる暇ないのに、無理矢理トムに連れて来られて、さらに酒に付き合わされて、しかもぐでんぐでんに?酔っ払うまで飲まされた?と……ほんっとに!トムってろくでもない?……トムと関わってるとろくなことない?……で、そうやって酔っ払ったから、そのとき起こったことを、どうやら正確に思い出せない?のではないでしょうか?……今思い返してみると、そのとき起こったことがどれもすべて、おぼろげで漠然として不明瞭な感じだと?……ただ、それは、決して部屋が暗かったとかそういう理由ではないのだと……なぜなら、その日は(午後)八時を過ぎるまで、外から入ってくる太陽の光で部屋の中は明るかった?と言っているのではないでしょうか?……部屋の中は明るかったのだから、その部屋で起こったことは何一つ、おぼろげで漠然として不明瞭なはずがないのだと、言いたいのではないでしょうか?……それにもかかわらず、今思い出そうとしても、起こったことがどれもすべて、おぼろげで漠然として不明瞭……ぼやっとしている?……はっきりとくっきりと色とか形とか思い出せない?感じ?でしょうか?……それもこれもすべては、酔っ払ったせいだと……そして酔っ払うことになったのは、お酒を持ち出してきたトムのせいに決まってる?……どうせ、「自分」が飲みたくないと言っても、タクシーで下りると言ったときと同じように、無理矢理押し切って飲ませたに決まっている?のではないでしょうか?……しかも、正確に思い出せないほど……やっぱり、トムみたいなのとは関わるもんじゃない?……あんなのと付き合っちゃいけない?……ねえ……ほんっと!始末に負えない?……ねえ……。

 

⑧ Sitting on Tom’s lap Mrs. Wilson called up several people on the telephone; then there were no cigarettes and I went out to buy some at the drugstore on the corner.

「座っている……どこの上にかというと、トムの膝だ……ウィルソン夫人は、呼び出した……何人かの人を……電話で……そのあと、あるものの状態がまったく切らした状態だった……それは何かというと、タバコで……そうやってタバコを切らした状態だったので、「自分」は、その部屋から離れる方向へと移動した……その部屋から外へと……何をしにかというと、買うことで……何を買うかというと、いくらかのタバコで……どこで買うかというと、医薬品化粧品雑貨店で……その店はどこにあるかというと、その部屋のある共同住宅の近くの角だ……」

⑦で「自分」は酔っ払ったから正確には思い出せないと前置きした上で、⑧からその日の午後のことを説明していくようです……まず、トムの膝の上に座っているウィルソン夫人の姿を思い出したようです……そのウィルソン夫人は、トムの膝の上に座った状態で、電話で何人かの人を呼び出したようです……その電話での会話がおそらく「自分」の耳に入った?のではないでしょうか?……そのあと、「自分」はたぶん、タバコでも吸おうかと思った?のではないでしょうか?……タバコの箱でも取り出そうとした?……ところが、ない……あれ、切らしてるのか……そうか……じゃあ、仕方ない……買いに行くか……ということで、トムとウィルソン夫人の二人の部屋のある共同住宅からいったん出て行き、その共同住宅の近くの角にある医薬品化粧品雑貨店に行ったと……そのとき逃げて帰ればいいんじゃないか?とも思えなくもないような……だけど、「自分」はそうはしなかった……なんでしょうねえ……あきらめていたのか?もう何も考えていなかったのか?すでに酔っ払っていたのか?だから頭がまわらなくなっていたのか?……ただ、タバコ吸いたいと……それだけだった?のでしょうか?……まあ、あまりに礼儀正しい好青年の「自分」には、トムとウィルソン夫人に何も言わずに帰るなどということはできなかった?のではないでしょうか?……帰るという挨拶あいさつをきちんとしたりなんかしたら、絶対に帰らせてもらえるはずがない?……だから、帰るとは言えないし?帰ると言えなければ帰るわけにはいかない?となるのでしょうか?……律儀りちぎですね……でも、こういう人柄だからこそ、人から信頼され、聞きたくもない秘密を聞かされてしまう?……この物語おはなし、「自分」がいなければ、読むのめてるっていう読者の方、けっこういらっしゃったり?するかも?しれない?……「自分」がいるからこそ、まあ読んでみようか?という気になる?……「自分」は、"目撃者"であり、"語り部"であり、そして読者をこの物語おはなしにつなぎとめるという大切な役目を担っている?のではないでしょうか?……。

 

⑨ When I came back they had disappeared, so I sat down discreetly in the living-room and read a chapter of SIMON CALLED PETER — either it was terrible stuff or the whiskey distorted things, because it didn’t make any sense to me.

【One More Library の原書データでは、PETER.(ピリオドあり)となっていますが、Scribner の書籍では、PETER(ピリオドなし)が正しいようですので、訂正しておきます。】

「あることが起きたとき……それは「自分」が(トムとウィルソン夫人の二人の部屋に)戻ってきたことで……(そのとき)トムとウィルソン夫人は、消えていた……そうやってトムとウィルソン夫人が姿を消していたので(他にどうすることもできず)、「自分」は、腰を下ろした……慎み深く・控えめに……リビングに……そうやって腰を下ろした後、読んだ……一章を……『(ピーター/)ペテロと呼ばれた(サイモン/)シモン』という本の――それで、どちらかだと思うことがあるのだけど……それは、一つにはその本のその一章が、ひどい・とんでもない・だめな……くず・ひどい代物・がらくただったか、もう一つには、トムの飲ませたウィスキーが、ゆがめたか……何をかというと、(その本のその一章の)事実・実体を……なぜなら、その本のその一章(の内容)が、しなかったからだ……何をかというと、ほんの少しでも意味をなす・なるほどと思える・理にかなうことだ……誰にとってかというと、「自分」だ……」

they は、⑧に出てきた Tom と Mrs. Wilson の二人を指すのではないでしょうか?

it は(すべて)、a chapter of SIMON CALLED PETER を指すのではないでしょうか?

any は、「何も・まったく・ほんの少しでもあたらない・該当しない」というニュアンスで使われているのではないでしょうか?

⑧でタバコを買いに出た「自分」は、ちゃんとトムとウィルソン夫人の二人の部屋に戻ってきたようです……で、戻ってみると、トムとウィルソン夫人の二人が消えていた……で、他にどうすることもできず、「自分」はリビングのソファ?にでも腰を下ろしたようです……それも、遠慮がちに?でしょうか?……他人の家だから?でしょうか?……いかにも、a perfect rose の「自分」らしい?……そして、おそらくソファのそばの(ロー)テーブルの上にあった、『(ピーター/)ペテロと呼ばれた(サイモン/)シモン』という本の一章を読んだと……そうやって読んでみて思ったのが、二つの可能性があると……一つは、その本の「自分」が読んだ一章が、とんでもないひどい代物だった?……そうでなければ、トムの飲ませたウィスキーのせいで(酔っ払って)その本の「自分」の読んだ一章(の内容)がゆがんだ?と……要は、本自体がどんでもないひどい代物か、そうでなければ、ウィスキーのせいで酔っ払って「自分」がその本に書かれていることを正確に読めていなかったのではないか、と言っているのではないでしょうか?……どうしてこの二つの可能性のどちらかだと思うのかというと、その理由は、その本の内容が、「自分」には、ほんの少しでも意味をなさない・なるほどと思えない・理にかなっていなかったからだと……要は、その本の内容が何もわからなかった?理解できなかった?と言っているのではないでしょうか?……本がおかしいのか、それとも酔っ払った「自分」の方がおかしいのか、どちらかわからないけれど、その本には一体何が書いてあるのか、まるでわからなかったと言っているのではないでしょうか?……さて、この本の内容がまったくわからなかったらしい「自分」……そのことが暗示している?のは、ウィルソン夫人が今やっているような裏切り行為とは「自分」が無縁だ?ということではないでしょうか?……だから、その本に書いてあることが理解できないと……そりゃあ、まあねえ……だって、トムとウィルソン夫人に黙って(逃げ)帰ることすらしないんですから……律儀で誠実そのもの……だからこそ、a perfect rose なわけで……逆に、トムやウィルソン夫人は不誠実極まりない?のでは?……だから、あの本がトムとウィルソン夫人の二人の部屋にあったのだと、あの本がトムとウィルソン夫人の二人のものなのだと、作者は言いたい?のではないでしょうか?……そして、ここで、その本の内容が「自分」にはわからなかったと言わせることで、「自分」と、トムとウィルソン夫人の二人との違いをはっきりさせている?という捉え方も?できる?のではないでしょうか?……その本=とんでもないひどい代物=ウィルソン夫人(とトム)……ウィスキー=トムが、事実や実体・いろんな事物・物事・事態・成り行き・出来事などをゆがめる……そんな解釈も?できる?でしょうか?……。

 

おつかれさまでした。どうでしたか?

なんだか、次から次へと作者のメッセージが繰り出されてくる?ような?……なんでもないことを描いているようでいて、実はその裏に込められた思い?(恨み?怨恨えんこん怨念おんねん?)が半端なく?怖い?……読者に訴えたいこともあるけど、同時に個人的な恨み?でも晴らしてる?……まさか、そんなことしない?……どうなんでしょう……そこも、ひとつ見どころ?でしょうか?……それにしても、トムって昼間っからウィスキーとか普通に飲むような生活をしているのでしょうか?……まあ、あきれた?……何やってるの?……そんな生活じゃあ、人生さえなくても当たり前じゃん?……っていうか、文字どおり、酒に女?……いいの?そんなので?……案外、そんなだから、そういうところも含めて、人からまともに相手にされてなかったり?するかも?しれない?……なんか、一流大学出てて、一流スポーツ選手やってて、今そんなていたらく?……見方によっては、もったいない?……もっと有意義に過ごせるんじゃないの?って?……でも、一度酒に女にと楽な方に流れたら、戻れない?……ところで、トムとウィルソン夫人の二人は、どこに行ったのでしょう?……「自分」と同じように、何か足りないものでも?あって、買い物とか?なんでしょうか?……なんか、あまりに自由すぎない?……こんな二人なんて、ほっといて黙って帰っても全然構わないような気も?しませんか?……ねえ……どうなんでしょう……本当に……ねえ……。

さて、今回の考えるヒントに上げたお題 「24ページ末尾から4-3行目 one of which decomposed apathetically in the saucer of milk all afternoon. とはどういうことを言っているのか」 ですが……⑤で説明したとおりです。この牛乳に浸したままの状態で、午後の間中ずっと崩れていく状態であったらしいビスケット……もしかしたら、ウィルソン夫人(もしかしたらその夫も?)の今後?未来?を暗示している?……というより、そうなればいいのに、という作者の思いがそこに表れている?……なんでしょう……盤石ばんじゃくに思えた現実も、本人の気づかないところで少しずつ 少しずつ壊れていったりする?……そして最後には、ぼろぼろに跡形あとかたもなくなる?……で、そうなったときには、もうすでに遅い?手遅れ?手のほどこしようがない?……決して元には戻らない?……それにしても、喜んで連れて帰ってきた犬の世話ぐらい、夫人が自らやればいいのに…と思ったりしませんか?……面倒なことは全部人にやらせて、夫人自身は何もせずに、いわばいとこり?……ただただ遊んで暮らしたいだけ?……ヴェルサイユ宮殿のあるじ?だった?マリー・アントワネット王妃?のように?……ちなみに、マリー・アントワネット王妃の最期さいごは、ギロチンにかけられて死んでいるようです……贅沢ぜいたく三昧ざんまいすえにフランス国民の反感を買って、夫のルイ十六世や子どもたちとも引き離されて牢獄ろうごくに入れられて……ただ、王妃は自らの運命を黙って堂々とりんとして王妃という立場にあるものにふさわしい態度で、受け入れたようです……。

次回は、ウィルソン夫人が呼んだというお客が出てくるようです……ぜひまた一緒にみていってください。

 

第38回の範囲は25ページ11行目から25ページ末尾から6行目まで(Just as Tom and Myrtle 〜から、since they had been married. まで)をみていきます。

次回の考えるヒントは……

  • 25ページ17-19行目 but the efforts of nature toward the restoration of the old alignment gave a blurred air to her face. とはどういうことを言っているのか

次回も、セリフはなく、描写が続きます……が、ぜひまた一緒に読んでみてください。

 

最後に、物語を読むときに心にとめたいポイントをまとめます。

Point

・どうして作者はその言葉を使用したのか

・それぞれの登場人物に作者はどんな役割を割り当てているのか

・それぞれの登場人物のセリフや物語の展開を通じて作者は何を言おうとしているのか

 

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今回の範囲の訳文を有料(700円)で掲載いたします。

Posted by preciousgraceful-hm