Gatsby-36
このサイトは、英語で書かれた物語を一作品、最初から最後まで少しずつ読んでみようという試みです。
取り上げる作品は『The Great Gatsby』です。100年近く前に米国で出版された小説ですが、現代の日本人にも共感したり心を動かされるところが多々あると思います。
ぜひ一緒に、英語の原書を読んでみませんか。
(なお、このコンテンツはその著作者の解釈に基づくものであり、必ずしも正しいとは限らないことをご承知おきください。)
前回まで……一見さえない風貌?の白髪交じりの老年の年寄りの男の思うつぼにはまり?まがいものの?犬の子を売りつけられたらしいウィルソン夫人とトム――そんな偽物でも夫人は所有欲を、トムは虚栄心を満たし、一方、年寄りの男は本物の金という最も価値のある?現実の利益を手に入れた?ようです……みなそれぞれに満足して?またタクシーで目的地に――例の部屋に?行こうとのんびりした街中を車を走らせた?ようです……続きをみていきましょう。
原文はOne More Libraryの『The Great Gatsby』を使用します。
第36回の範囲は24ページ7行目から24ページ末尾から13行目まで("Hold on," I said, 〜から、ladies swinging in the gardens of Versailles.まで)をみていきます。
まず、今回の考えるヒントを上げます。
- 24ページ末尾から15-13行目 to move about was to stumble continually over scenes of ladies swinging in the gardens of Versailles とはどういうことを言っているのか
なお、特に断っていなければ、基本的に次に上げる辞書の訳語や定義・意味に基づいて説明します。
主に使用する辞書
『リーダーズ英和中辞典(第2版)』(野村恵造)(研究社 2017)
『Pocket Oxford English Dictionary (Eleventh Edition)』(Maurice Waite) (Oxford University Press 2013)
『岩波国語辞典(第七版新版)』(西尾実 岩淵悦太郎 水谷静夫)(岩波書店 2017)
それでは今回の範囲をみていきましょう。
① “Hold on," I said, “I have to leave you here."
「『止めて(ください)』と「自分」が言った……『「自分」はある状態にある……それは、(離れるから)残していく予定・状態だ……誰をかというと、あなた(方)だ……どこにかというと、ここにだ……』」
セリフの中の I は、「自分」が話している言葉のようなので、「自分」を指すと思われます。
you は、タクシーに一緒に乗っているはずの他の二人、つまりトムとウィルソン夫人の二人を指すのではないでしょうか?
前回の最後(24ページ3行目)は、トムと「自分」とウィルソン夫人の三人がタクシーに乗ってまた移動していたようでした……で、五番街に来たところでしょうか?……「自分」が口を開いたようです……おそらく、タクシーを止めてほしいと……なぜか、「自分」はもうここで別れると……トムとウィルソン夫人の二人をタクシーに残して「自分」は下りると、言ったのではないでしょうか?……そりゃ、どうやら、第34回(23ページ13行目)でウィルソン夫人が口にした the apartment に行くのだろうなというのは想像がつく話なので、そんなトムがウィルソン夫人と住んでいる?部屋?家?デイジーが知ってるのかどうか?あやしい?場所なんて、「自分」が行けるはずがありません……早いこと、逃げるに越したことはない?のは当然?……それにしても、第31回〜第33回でもそうでしたけど、第34回と第35回でも、「自分」はずーっと、黙ったまま、ただ聞いているだけ?見ているだけ?のようでした……まさしく"目撃者"?の役割を仰せつかり、そして読者にそうやって見聞きしたことを伝える"語り部“?の役割をまっとうしている?……。
② “No, you don’t," interposed Tom quickly. “Myrtle’ll be hurt if you don’t come up to the apartment. Won’t you, Myrtle?"
【One More Library の原書データでは、quickly の後で段落が変えてありますが、Scribner の書籍では、quickly の後で段落を変えずにそのまま続けるのが正しいようなので、訂正しておきます。】
「『いいえ、だめだ……お前はしない……俺とウィルソン夫人をタクシーに残して離れない……』と口を出しさえぎって邪魔したのはトムだった……その様子は、急いで・すぐに・直ちに・速く・間髪入れずにというものだった……『マートルがある状態になる……それは傷ついた状態で……もし仮に、お前が、しなければ……何をしないかというと、来ないことで……ある場所に近づく方向へと……それは、例の部屋だ……もし「自分が」例の部屋に近づく方向へと来なければ、そういう(傷ついた)状態になるよな……マートル……』」
you は、①で口を開いた「自分」を指しているのではないでしょうか? 次の you も同様ではないでしょうか?
you don’t の後には、①の最後に出てきた leave you[Tom and Mrs. Wilson/Myrtle] here が省略されているのではないでしょうか?
最後の you は、呼びかけている相手である Mrytle を指すのではないでしょうか? ところで、Mrytle って誰?……タクシーの車内には、トムと「自分」とウィルソン夫人しかいなくて、「自分」はトムに(Chapter 1 で) Nick と呼ばれていたので、ここで呼び方が変わったりするとは思えないので、そうすると、ウィルソン夫人のこと?を指すのではないでしょうか?……トムは、ウィルソン夫人のことを、マートルと呼んでいる?ようです。
①で「自分」がタクシーを止めて一人下りようとしたようでした……すると、トムが間髪入れずに?だめだと……お前は下りないと……なんでしょうねえ……この会話の流れというか、トムの言葉はどう考えても?おかしい?……①で「自分」は、タクシーを下りてトムと夫人の二人とは別れると、いわばそう宣言している?ようなもの?ではないでしょうか?……普通、相手がそう言ったときには、もし引きとめたいにしても、まず何か用があるのかと訊くとか?少しでも時間が取れないかと尋ねてみるとか?お互いに予定だったり譲り合ったり?調整したり?するとか?っていうのが通常の自然な会話の流れ?……ところが、トムは、完全に命令調?それもまるで軍隊の上官?が階級が下の軍人にでも命令するような?調子?……だいたい、「自分」がどういう行動を取るのかを、トムが決めるということがそもそもすでにおかしい?ような……「自分」の行動は当然「自分」にしか決められないものでは?……だから、トムはおかしい……控えめに言って、なんかピントがずれている?……あれですね、トムは人に頭を下げるという習慣がゼロ?皆無?……一緒にいてほしいと頼むとか、そういうやり方を知らない?……これじゃあ、(誰であれ)嫌われて当然では?……よく「自分」は相手にしてますねえ……で、まあ、どう考えてもおかしいのだけれど、この物語の世界では、そんな普通ありえないでしょ⁉ っていうことが、「自分」とトムの間で、まるで普通の当たり前のごとくに起こっているようで……「自分」がトムと夫人の二人とは別れると言っているのに、トムが「自分」はトムと夫人と一緒にいるのだと言って聞かない……駄々っ子か?……で、続けてその理由を?言っているらしく……マートルが傷つくから、もしお前が来なかったら……例の部屋に……そうだろ?マートル、ニックが来なかったらお前傷つくよな?と……今度は、女をだしにしている?……なんだかねえ……つくづくトムって……うんざりしている読者の方もいる?かも?しれない?でしょうか?……作者はどうして、こうまでしてこのトムという人物の嫌な面を?とことん?見せる?のでしょうか……そうした作者の意図や思いにも意識を向けながら、まだまだ先は長そうな?この物語を読んでいきたいと思います……。
③ “Come on," she urged. “I’ll telephone my sister Catherine. She’s said to be very beautiful by people who ought to know."
「『お願いだから……』とマートル(ウィルソン夫人)が迫った……『私はするつもりだ……何をかというと、電話をすることだ……誰にかというと、マートル(ウィルソン夫人)の姉(妹)のキャサリンだ……マートル(ウィルソン夫人)の姉(妹)のキャサリンは、言われている……ある状態だと……それはどんな状態かというと、とても美しい・きれいだと……誰にそう言われているのかというと、みんな・一同だ……そのみんな・一同は、あることをするのが当然である……何をかというと、知ることだ……(そのマートル(ウィルソン夫人)の姉(妹)のキャサリンを……)……』」
she は、②で Myrtle と呼びかけられた、ウィルソン夫人を指すのではないでしょうか?
I は、ウィルソン夫人が話しているセリフなので、ウィルソン夫人を指すのではないでしょうか? my も同様ではないでしょうか?
She は、直前の my sister Catherine を指すのではないでしょうか?
who は、直前の people を指して言いかえているのではないでしょうか?
ought to は、「なるべくしてなる」つまりここでは、会うべくして会うというニュアンスでしょうか? 当然「自分」も、会うべくして会う人に含まれている?……ということは、「自分」も当然、とても美人・きれいだと思うことになるから、だから会ってちょうだい、というニュアンスでしょうか?
②でトムにだしに使われた?らしいウィルソン夫人が、トムの思いを汲んで?従って?トムに加勢して?「自分」をひきとめている?ようです……行くなと迫った上に、夫人の姉(妹)に電話すると……なんでしょうねえ……呼び出す?つもり?……そういえば、第33回の最後(22ページ末尾から6行目)で、夫人がニューヨークにいる姉(妹)に会いに行っていると夫の方は思っていると言っていたようでした……だから、その姉(妹)ではないでしょうか?……で、さらに、その姉(妹)が、すごい美人なのよーっと……その姉(妹)を知ることになった人はみんな、すごい美人だって言ってるのよーっと……だから一緒に行って?と言っている?ようです……なんでしょうねえ……もしかしたら、ウィルソン夫人の身内にまで会わせていよいよ「自分」をトム側に引きずり込もうとういう魂胆?でもある?かもしれない?……いやいや、勘ぐり過ぎ?……どうなんでしょう?……。
④ “Well, I’d like to, but —-“
「『そうだなあ……「自分」は(トムと夫人と一緒に)例の部屋に来たいという気持ちはあるけれど、だけど――』」
I は、「自分」のセリフと思われるので、「自分」を指すのではないでしょうか?
I’d like to の後には、②でトムが口にした come up to the apartment が省略されているのではないでしょうか?
but は、「自分」にトムと夫人と一緒に例の部屋に来たいという気持ちがあると言っているわけだから、普通に考えると、トムと夫人と一緒に例の部屋に来る流れになるのじゃないかと思われそうだけど、実際には違って、「自分」は――やはり、トムと夫人とここで別れる、その気持ちに変わりはない、と言おうとしている?のではないでしょうか?
②と③でトムとウィルソン夫人がなんだかんだとひきとめるものを、「自分」は丁寧に礼儀正しくお決まりの?社交辞令の言葉を口にしてやんわりと?断ろうとしている?ようです……押しの(無茶苦茶)強いトムとそのトムに完全服従?のウィルソン夫人に対して、こんな決まり文句?じゃあ通用しない?勝てっこない?……どこまでも好青年?紳士?というスタンスを通す?変えない?「自分」……デイジーがいたら、きっと a perfect rose と言って誉め讃えた?かも?……だけど、トムにも夫人にも、その良さが、素晴らしさがわからない……結局、トムに押し切られる?……はあー……思わず「自分」も、そして「読者」も、溜息が出る?……。
⑤ We went on, cutting back again over the Park toward the West Hundreds. At 158th Street the cab stopped at one slice in a long white cake of apartment-houses.
「(「自分」の望みどおりにはタクシーに止まってもらえず)トムと「自分」とウィルソン夫人の三人は、(タクシーで)先に進んだ……(ただ、「自分」が止まってくださいと言ったことでタクシーは一度は止まりかけていたので速度が落ちていたのだけれど、また速度を上げて)疾走していった……疾走していたという元の状態に戻って……再度……そうやって疾走している状態で、あるところを過ぎたのだけど、それはどこかというと、セントラルパークで……それからある方向に向かった……それはどこかというとウェスト・ハンドレッドだ……百五十八丁目で、タクシーが停まった……どこの場所かというと、とある一部分がある所で……何のとある一部分かというと、一棟の長い白いひとかたまりの共同住宅だ……」
We は、トムと「自分」とウィルソン夫人の三人を指すのではないでしょうか?
the Park は、ニューヨークでは、the Central Park を指すと思われます。
第34回(23ページ2-3行目)で、トムと「自分」とウィルソン夫人の三人は、ニューヨーク(都市圏)のとある駅で電車を下りたようでした……それからタクシーに乗って、前回の最後(24ページ3行目)で、五番街に来たと言っていたようでした……その五番街に来たところで、「自分」が下りると言ったけど、下りることができず……で、そのまま先を進んだと……そうやって先を進むと、セントラルパークを過ぎたと……で、そのセントラルパークを過ぎたところで、今度はウェスト・ハンドレッドの方向に行ったと……大ざっぱに言えば、駅からまず西の方に進んだ?それから北の方に向きを変えた?……で、そのまま北の方へとどんどん進んだ?……で、百五十八丁目まで来た?ということでしょうか?
やっぱり、押し切られた?……「自分」はタクシーを下りられず、そのままトムとウィルソン夫人と一緒にタクシーに乗ったままだった……で、おそらく、「自分」が下りると言ったから、一度はタクシーが止まりかけた?のではないでしょうか?……そりゃ、タクシーの運転手だって、①の「自分」の言葉を聞けば、普通、止めるんじゃないかと……むしろ、トムの②のセリフに、内心では仰天?でもしていたかも?しれない?……だけど、偉そうで傲慢なトムに従って?タクシーを止めることはせず、①の言葉を「自分」が言い出す前の状態、つまり疾走していた?状態にまた戻って、先を進んだ?のではないでしょうか?……で、セントラルパークを過ぎたところで、右折?でもして?ウェスト・ハンドレッドの方へと走っていった?……でそのままほぼ直進?で進み続けて?百五十八丁目に来た?……そして、一棟の長い白いひとかたまりの共同住宅の一部分に当たる所で、タクシーがどうやら停まった?ようです……ニューヨークの街の中を寄り道もせずひたすらずばーっと例の部屋目指して走り続けた?のでしょうか?……で、例の部屋は、百五十八丁目にある長い白いひとかたまりの共同住宅の一部?にある?ようです……とうとう「自分」は逃げられなかった……例の部屋まで、デイジーの知らない?トムと女の部屋まで、連れてこられてしまった……あーあ……おかしなトラブルにでも巻き込まれなきゃいいけど……トムってほんっと!はた迷惑!……だけど、女の家に連れていき、そして女と二人でよろしくやっている部屋に連れていき、いったいどこまで厚かましい?のか……恥知らず?厚顔無恥?……良識と良心のかたまり?みたいな「自分」には考えられない?非常識極まりない?感覚?でしょうか?……なんでしょうねえ……トムは、そうやって女と一緒に過ごさせることで、「自分」を仲間に引き入れている?つもり?なのでしょうか?……普通の感覚だと?女がいるという時点ですでにアウト?でしょうか?……なんでしょうねえ……そういう奴かと……そういう目で見る?……それなのに、家?別宅?……ありえない?……二人でやってくれよ……巻き込むなよ……勘弁してくれよ……もしかしたらそんなことを思っていた?かもしれない?……どう思われますか?……。
⑥ Throwing a regal homecoming glance around the neighborhood, Mrs. Wilson gathered up her dog and her other purchases, and went haughtily in.
「投げていた……王者らしい・堂々とした……自宅に帰ってきた(というような)……ちらっと目線を……あるものの周辺に……それはどこかというと、近隣だ……(そうやって近隣の周囲に堂々とした自宅に帰ってきたときのような目線をちらっとなげた後で)ウィルソン夫人は、集めた……全部残らず……ウィルソン夫人の犬とウィルソン夫人のその他の購入物を……そうやって犬と他の購入物を全部集めて手に持つと、タクシーから離れる方向に動いた……偉そうにふんぞり返って……一棟の長い白いひとかたまりの共同住宅の一部分の中へと……」
her は(すべて)、Mrs. Wilson を指すのではないでしょうか?
⑤で百五十八丁目にある例の部屋?に着いたようでした……で、たぶんタクシーの中から?その例の部屋があるらしい一棟の長い白いひとかたまりの共同住宅の周辺にちらっと目をやったようです……その様子が、まるで王者のように堂々としていて、なおかつ、自宅に帰ってきたときに辺りに目をやるような具合?だったようです……家に帰ってきて、自宅周辺に変わりがないか、ちらっと目をやって確認した?そんな感じ?でしょうか?……で、誰が?……トム?と思いきや、なんと!ウィルソン夫人のようです……夫人は、さも自宅に戻ってきたという風情で?タクシーから外に目をやった?ということのようです……で、それから犬とその他の購入物――雑誌に化粧用クリームに香水?――を、たぶん犬以外の座席に置いていたものを拾い集めて?手に持ち、で、タクシーから下りて、例の部屋があるらしい一棟の長い白いひとかたまりの共同住宅の一部分の中に入っていった?ようです……そのときの様子が、偉そうにふんぞり返って?……なんでしょうねえ……夫人には、偉そうにふんぞり返るだけの理由がある?かもしれない?でしょうか?……思い出してください……夫人の家は、どんな所にある、どんな家だったでしょうか?……"死"を強く想い起こさせる通称灰の谷と呼ばれる何もかも灰だらけのごみ処理場のすぐそばにある、これまた灰だらけ?同然で廃業?同然?の自動車修理工場・ガソリンスタンドの店のようでした……いつもは?これまではずっと?そういう所に住んでいたのが、ニューヨークの街の中をずどーんっと(大ざっぱに言えば)南から北へと抜けてたどり着いた、白い建物の一部屋が、我が家になったとしたら?……どうでしょうか?……まるで地獄から天国?……それは言い過ぎ?大げさ?……だけど、夫人にとっては、どうだったでしょうか?……警察犬じゃなくても、まっ、(たまらなく)愛らしいし、いっか、とあっさり妥協?したらしい?だけどその犬に至極満足しているらしい?夫人……トムも犬同様に、夫人がもともと望んでいた相手とは違うけど?それでもこんな素敵な?部屋が我が家になるのなら?まっ、いっか、とあっさり妥協?したかも?しれない?でもやっぱりそのトムに至極満足?している?かもしれない?……十分ありうる?気がしませんか?……で、もしそうなら、夫人にしてみれば、偉そうにふんぞり返る気分になるのも無理もない?でしょうか?……だって、あの何もかも灰だらけの近所に灰だらけの灰色の?家から、灰の気配など微塵も感じられない?白い建物の一部屋に移れたら……ねえ……夫人じゃなくても、同じ立場に置かれた人なら、もしかしたら誰でも?ありうる?かもしれない?……同じような気持ちになる?……鼻高々でふんぞり返らずにはいられなかった?んじゃないでしょうか?……。
⑦ “I’m going to have the McKees come up," she announced as we rose in the elevator. “And, of course, I got to call up my sister, too."
「『私は予定している……何をかというと、マッキー夫妻に来てもらう状態になることを……その部屋に近づく方向へ(下から上へ)』ウィルソン夫人が告げた……そう夫人が告げたときに同時に、トムと「自分」とウィルソン夫人の三人は上がった……あるものの中に入って……それは、エレベーターだ……『(そうやってマッキー夫妻に来てもらうのを予定していることに加えて)それから、もちろん、私は、しなければならない……何をかというと、呼び出すことだ……誰をかというと、私の姉(妹)だ……マッキー夫妻に来てもらうことと同じように……』」
I は(すべて)、ウィルソン夫人のセリフのようですので、ウィルソン夫人を指すのではないでしょうか? my も同様ではないでしょうか?
the McKees は、Chapter 1 (第7回 7ページ末尾から12行目)で出ていた the Tom Buchanans (トム・ブキャナン夫妻)と同じ使われ方ではないでしょうか? ここでは、McKee という名字に複数の人を表す 's’ が付いて、その複数の人全部をまとめて指すことを表す the が前に付いて、マッキー夫妻を表しているのではないでしょうか?
she は、ウィルソン夫人を指すのではないでしょうか?
we は、タクシーに乗ってきたトムと「自分」とウィルソン夫人の三人を指すのではないでしょうか?
got to は、もしかしたら、have got to のつもりで使われている?のではないでしょうか?……思い出してください……第32回(21ページ末尾から5行目)で、夫人の夫が don’t he という言葉使いをしていたようでした……これは、夫のウィルソンに学がないことを表していたようでした……で、ここでも、ウィルソン夫人に、夫と同様にやっぱり学がないことを表している?のではないでしょうか?……やっぱり、夫婦だと?……。
どうやら例の部屋があるらしい場所に到着したようで、⑥でウィルソン夫人の様子が説明されていたようでした……そのウィルソン夫人が、偉そうにふんぞり返って一棟の長い白いひとかたまりの共同住宅の一部分の中に入っていき、そして主役は私よ?と言わんばかりに?張り切って?それとも「自分」がトムの大事なお客様?らしい?から張り切って?どっちにしろなんにしろ張り切って?いたのでしょうか?……その思いが、そのまま言葉になって出た?のでしょうか?……私ね、マッキー夫妻に来ていただくように手配しているのよ……それにもちろん、姉(妹)も呼ばなくっちゃね……みたいな?……そんなことを張り切って?しゃべりながら?エレベーターに乗って例の部屋へと?上がっていった?のではないでしょうか?……夫人にしてみたら、もうウキウキだった?のかも?しれない?ですね……だけど、ここで、夫人も夫と同様に学がないことを露呈させているのだとしたら、作者はやっぱり、なかなかに手厳しい?意地が悪い?とさえも?……偉そうにふんぞり返って有頂天?な状態で、でもしゃべってる言葉は学がないことを表していて?……本人は気づいてないだろうけど、はたから見たら愚かでみっともないことこの上ない?……なんでしょうねえ……なんか、作者はこの夫人がよっぽど許せない?のか何かそんな強烈な恥をかかせたい?とか思い知らせてやりたい?とか懲らしめてやりたい?とか、前回もそうでしたけど、何か作者の強い思い?を感じる?ような?……場合によっては、恨みにすら思っている?……まさかとは思いますが、私怨?個人的な恨み?でもあるのかとさえ思ってしまうような?……もしかしたら、作者の私情がこんなところに出ている?……それとも、まさかそんなはずはない?……どうなんでしょう?……。
⑧ The apartment was on the top floor — a small living-room, a small dining-room, a small bedroom, and a bath.
「(トムと女(ウィルソン夫人)の別宅らしい?)例の部屋は、あるところにあった……どこかというと、(一棟の長い白いひとかたまりの共同住宅の)一番上の階だ――小さいリビングに、小さい食事を取る部屋に、小さいベッドルームに、これらに加えてバスルームがあった……」
⑦でエレベーターに乗って上がっていき、例の部屋があったのは、どうやら一番上の階のようです……その部屋の様子は?というと――どの部屋も小ぢんまりとしていた?のでしょうか?……本当に、トムと女が二人だけで過ごす家といった感じ?でしょうか?……でも、ワンルームとかではなくて、いわば 1LDK みたいな間取り?でしょうか?……で、どうやら、この部屋にお客を呼ぶの?……さっき、マッキー夫妻を呼ぶとか言ってたけど……それに妹も……全部で六人が集まる?のでしょうか?……う〜〜〜ん……っていうか、不倫だよね?……その不倫してる二人の部屋にお客を呼んで集まるの?……なんだか……ねえ……どうなんでしょう?……ちょっと感覚がついていけない?ような?……案外、トムは本気でデイジーと別れてウィルソン夫人と一緒になるつもりなのでしょうか?……それだったら、まだわかる?……だけど、それなら「自分」を呼ぶのは……だって、「自分」は仮にもデイジーの親戚……どうなんでしょう?……ねえ……トムって、ほんっと!不可解⁉ ……ウィルソン夫人は、間違いなく?トムと一緒になって夫とは別れる?つもりじゃないでしょうか?……だから嬉々として?はしゃいで?お客を呼んでも全然不思議じゃない?……でも、トムはどうなんでしょう?……ねえ……大丈夫でしょうか?……。
⑨ The living-room was crowded to the doors with a set of tapestried furniture entirely too large for it, so that to move about was to stumble continually over scenes of ladies swinging in the gardens of Versailles.
「リビングは、混み合っていた……どこまでかというと、戸のところまでで……何で混み合っていたかというと、一組・ひとそろいのタペストリーをかけた家具で……まったく・完全に……あまりに大きすぎる……何に対してかというと、そのリビングで……そんなふうにリビングが戸のところまでそのリビングにはまったくあまりに大きすぎる一組・ひとそろいのタペストリーをかけた家具で混み合っていたので、その結果、動くことが……どこをかというと、その辺りを……ある状態だった……それは、つまづく・ぶつかることで……絶えず・しきりに・頻繁に……あるものの上で……それは、情景だ……何のかというと、淑女で……ぶらんこに乗っている……どこでかというと、庭園で……どこのかというと、ヴェルサイユだ……」
it は、The living-room を指すのではないでしょうか?
that は、「これから文が続く」ことを表し、so の前にある内容の結果、どうなったのかということを詳しく説明していると思われます。
今回の考えるヒントに上げた箇所が出てきました。
Versailles というのは、マリー・アントワネット王妃(けた違いの贅沢と浪費で有名?なフランス革命の原因?となったらしい派手で?華やかな?女性)で有名な宮殿があるところのようです。
⑧で例の部屋全体の説明をした?後、今度は、おそらく「自分」が通されたと思われるリビングの説明をしているようです……とにかく戸をあけた途端?いきなり家具?……で、リビングの大きさに対して家具があまりに大きすぎた?……だから、リビング全体がまるで家具で埋まっているような?状態?……で、それらの家具にはタペストリーがかけてあったようです……そんなリビングの中を歩き回るということは、絶えずつまづいたりぶつかったりしているのと同じ状態だった?と言っているのではないでしょうか?……何にぶつかるのか?――当然、家具に決まってます……で、家具にぶつかっているのだけれど、目に見えるのは家具にかけてあったタペストリーなので、そのタペストリーの柄が目に入った?のではないでしょうか?……その柄が、ヴェルサイユの庭園でぶらんこに乗っている淑女の情景だった?と……なんでしょうねえ……⑥で regal という言葉が出てきていましたが、Versailles という語も、同じようなイメージを想い起こさせる?でしょうか?……王室とか?お城とか?……もしかしたら、このリビングは、ウィルソン夫人を象徴している?のかもしれませんね……めいっぱい?ぎちぎち?に入れこんである?家具は、めいっぱい?思いっきり?ぎりぎりまで余すことなく?この優雅な?生活を楽しもうとする思い?でも表している?でしょうか?……そして、家具にかけられたタペストリーの柄の絵が、これまた優雅に?お城のお庭?みたいなところで?ぶらんこに乗って楽しむ?淑女の姿?になっているのは、さしずめウィルソン夫人がこの部屋で過ごすときの気持ち?気分?思い?でも表している?でしょうか?……だけど、ウィルソン夫人がそのリビングを占領しすぎて?他の人たちは身動きが取れない?……このリビングでは、人が歩けば家具に当たる?……当たっても何もいいことはないけど……ウィルソン夫人はきっと、嬉しくて嬉しくて嬉しくてもうたまらなく嬉しくて……という気持ちだったのでは?ないでしょうか?……あの灰の谷の近所や家のことを思ったら、そりゃ無理もない?気もしませんか?……ねえ……そんな、もしかしたら夫人の人生絶頂?の喜び?をそのまま反映したかのような、山のような家具?……あんまり嬉しすぎて、思いの方がリビングの大きさを越えちゃって、リビングに入りきらないほどの家具の山という結果になった?……まあ、「自分」がこの部屋に来るのは、今回一度限りでは?……他のお客にしても、夫人の姉(妹)はともかく、しょっちゅう来るわけでもないのでは?……だからまあ、実質的にぎっちぎちの家具で窮屈な思いをするのは、まあトム一人ということで……トムなら…ね……トムが自ら選んだようなものだし?……まっ、いんじゃない?別に……当人の問題だし……他人には関係ないし?……問題にするなら、部屋より、トムと夫人の関係の方?……いや、それよりも、「自分」をこの部屋に連れてきたことの方?が問題?……で、この部屋であの犬を飼うと……ウィルソン夫人には、もうあの灰の谷の家は他人の家で、大切なこの部屋こそ、まさしく我が家?なのかも?しれません……。
おつかれさまでした。どうでしたか?
ウィルソン夫人が……なんでしょうねえ……すっかり、なりきっている?……まるでトムの妻気分?……もしかしたら、トムのというより、トムじゃなくても誰でも?こんな(ウィルソン夫人にとって)素敵なところで優雅な生活を送れさえすれば?誰でもいい?……肝心なことは、こんな素敵な部屋で優雅な時間を過ごすこと?……夫人が貴族にでもなったような気分になれればそれでいい?……なんだかウィルソン夫人もずいぶんな?描き方をされている?ような?……だけど、まるで挑発するようにデイジーのいる自宅に電話をかけるなんて、やっぱりたいがいな?性格?でしょうか?……なんでしょうねえ……このお話、人間の嫌な面を殊更にクローズアップして強調することで、その姿を通して何を伝えようとしているのでしょうか?……先は長いですけれど、ぜひ一緒に、作者が何を訴えようとしているのか、お話の展開を追っていくことで、確かめてみてください。
さて、今回の考えるヒントに上げたお題 「24ページ末尾から15-13行目 to move about was to stumble continually over scenes of ladies swinging in the gardens of Versailles とはどういうことを言っているのか」 ですが……⑨で説明したとおりです。ソファとローテーブル?とかの間がないも同然?とか?サイドボード?とソファの背の間がものすごく狭い?とか?戸を開けたと思ったら、目の前に書き物机やら椅子やら棚やらがあったりするとか?でしょうか?……気持ちに余裕のない?ウィルソン夫人を反映しているとも?……とにかく、灰の谷の家のことを考えたら、きっとそんな部屋の優雅な生活なんて初めて?だったり?する?……だから慣れてないから?わからなくて?そんなことになる?……そういえば、Chapter 1 で見たトムとデイジーの邸宅も、なんだかデイジーの印象が強いような?感じがしたような?……トムって、箱は用意する?(金を出す?)けど、家の中とかは女に任せる?女の好きにさせる?……トムはあまり手出し口出ししない?……興味がない?どうでもいい?のでしょうか?……そういえば、家はともかくとして、トムは幼い娘にも興味がなかった?ような?……なんだか、考えれば考えるほど、欠陥人間?みたいになる?……トムの娘でしょ?……どうなんでしょうねえ……もう、仕舞いには、人として最低……みたいなことになりそうで…怖い……神は細部に宿る、とかいうみたいですけど、細部を見ればすべてがわかる?というのは、真実?かもしれない?……そうすると、細部どころかどこ見ても、なんだかダメだらけじゃんっていうトムは、もうやっぱり全部ダメ?……救いがたい?……そういう救いがたい人間に対して、作者は、どうしていくのがいいと考えているのでしょうねえ?……そのことも頭に置いて、ぜひ一緒に先を読み進めてみてください。
次回は、トムとウィルソン夫人の二人の部屋で、「自分」の目についたものが説明されていくようです……ぜひまた一緒にみていってください。
第37回の範囲は24ページ末尾から13行目から25ページ10行目まで(The only picture was an 〜から、make any sense to me.まで)をみていきます。
次回の考えるヒントは……
- 24ページ末尾から4-3行目 one of which decomposed apathetically in the saucer of milk all afternoon. とはどういうことを言っているのか
次回は、セリフがなく、描写ばかりのようです……が、ぜひまた一緒に読んでみてください。
最後に、物語を読むときに心にとめたいポイントをまとめます。
・どうして作者はその言葉を使用したのか
・それぞれの登場人物に作者はどんな役割を割り当てているのか
・それぞれの登場人物のセリフや物語の展開を通じて作者は何を言おうとしているのか
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なお、今回の範囲の訳文を有料(700円)で掲載いたします。この連載はだいたい250回くらいになる予定なので、毎回訳文を購読いただいた場合には30回で2万円を超え、トータルでは18万円近くになることをご承知おきください。またいかなる場合も返金には応じられません。また購読いただいた訳文にご満足いただけるとは限らないことをあらかじめご承知おきください。なお、問い合わせなどはご遠慮ください。お断りいたします。