Gatsby-33
このサイトは、英語で書かれた物語を一作品、最初から最後まで少しずつ読んでみようという試みです。
取り上げる作品は『The Great Gatsby』です。100年近く前に米国で出版された小説ですが、現代の日本人にも共感したり心を動かされるところが多々あると思います。
ぜひ一緒に、英語の原書を読んでみませんか。
(なお、このコンテンツはその著作者の解釈に基づくものであり、必ずしも正しいとは限らないことをご承知おきください。)
前回まで……トムに同行して通称灰の谷のすぐそばにある自動車修理工場・ガソリンスタンドの店に入っていった「自分」――まず、その店の主人?らしき人に会ったようです……なんだか頼りない?元気も活力もなくてしおれたような男だったようで……店の方もさっぱり流行ってない?……そんなだからか、トムにへいこら?というより、トムがまるでジャイアン状態?――おい、お前、俺の言うことが聞けねえのかよ……という調子?……情けない?……で、トムがそんないじめ?にも飽きたところで、とうとう問題の女?が登場――なんでしょうねえ……肉感的?とでも言うような感じ?印象?爆弾ボディ?とでもいうのでしょうか……なんともパワフルな感じで……店の主人と対照的?……ところで、女とその店の主人の関係は?……続きをみていきましょう。
原文はOne More Libraryの『The Great Gatsby』を使用します。
第33回の範囲は22ページ9行目から22ページ末尾から3行目の途中まで(She smiled slowly and, 〜から、I went up together to New Yorkまで)をみていきます。
まず、今回の考えるヒントを上げます。
- 22ページ17-18行目 A white ashen dust veiled his dark suit and his pale hair as it veiled everything in the vicinity とはどういうことを言っているのか
なお、特に断っていなければ、基本的に次に上げる辞書の訳語や定義・意味に基づいて説明します。
主に使用する辞書
『リーダーズ英和中辞典(第2版)』(野村恵造)(研究社 2017)
『Pocket Oxford English Dictionary (Eleventh Edition)』(Maurice Waite) (Oxford University Press 2013)
『岩波国語辞典(第七版新版)』(西尾実 岩淵悦太郎 水谷静夫)(岩波書店 2017)
それでは今回の範囲をみていきましょう。
① She smiled slowly and, walking through her husband as if he were a ghost, shook hands with Tom, looking him flush in the eye.
「やや太い体型の女は、笑顔を見せた……ゆっくりと……そうやってゆっくりと笑顔をみせた後で……歩いて移動し……通り過ぎて……そのやや太い体型の女の夫(のところ)を……その様子は例えるならまるで、そのやや太い体型の女の夫が、ある状態でいるかのようだ……それは何かというと、幽霊だ……そして揺り動かし揺さぶった……手を……誰かと……その相手はトムで……それから目線を向けて……トム(の方)に……まともにじかに……どこに目線を向けたかというと、トムの目だ……」
She は、前回(22ページ3行目)出てきた the thickish figure of a woman を指しているのではないでしょうか? her も同様ではないでしょうか?
he は、直近の her husband を指すのではないでしょうか?
次の him は、Tom を指すのではないでしょうか?
前回現れたやや太い体型の女が、仕事場の戸口のところに立った?状態で?どうやらゆっくりと笑顔を見せたようです……それから、歩いて移動し、その女の夫(のところ)を通り過ぎたようです……ということは、その女の夫とは――この自動車修理工場・ガソリンスタンドの店の主人であるウィルソン!……その夫はスルー?……まるで、その夫つまりウィルソンが幽霊であるかのごとく……つまり、この世に存在しないものとして?……要は、ちゃんとその場にいるウィルソンがまるでいないかのごとくに無視?素通り?したのではないでしょうか……なんとまあ……そして、素通りしてどこに行ったのでしょうか?――どうやらトムのようです……トムと手を互いに握り合って揺り動かす動作?をしたようです……まあ、挨拶といえば挨拶なのでしょうか?……そしてまともにトムの目を見た?ようです……なんでしょうねえ……もうすでにそういう関係なのでしょうから、そういう仲の二人が交わすような手の握り方だったり、目を見る仕草だったりする?のでしょうか……それにしても、どうやらトムの女には夫がいました……そしてその夫は、まるでトムのかも?の状態?……妻の裏切りに、親切面した?男の裏切りに……ねえ……トムはきっと、いい気になって完全にウィルソンのことをバカにしているのではないでしょうか?……もうこうなってくると、人としてどうあるかという倫理観?道徳観?価値観?みたいなものを人それぞれどう持つか、どういう人間であることを自ら選択していくか、みたいな話?になって、たとえ無意識のうちにであっても結果的にはトムはそういう人間であることを選んだようなもの?で救いがたい?手の施しようがない?……何がどうなろうともすべては自業自得?……これじゃあ、人から相手にされなくても――孤独にさいなまれても、孤立しても、当然?無理もない?……いい気になってるトムは、はたから見たら愚かにしか見えないかも?……。
② Then she wet her lips, and without turning around spoke to her husband in a soft, coarse voice:
「それからそのやや太い体型の女は、濡らした……その女の上唇と下唇を……そうやって上唇と下唇を濡らした後、あることをしないままの状態で……それは何かというと、向きを変えることで……どの方向かというと、ぐるりと百八十度後方の方向で……話した……誰に向かってかというと、その女の夫に向かって……どんなふうにかというと、音が低い荒いがさつな粗野な声で……」
she は、①と同じく、前回(22ページ3行目)出てきた the thickish figure of a woman を指しているのではないでしょうか? her も(すべて)同様ではないでしょうか?
①でトムと手を握り合い、トムの目をまともに見た女が、今度は自らの上唇と下唇を(おそらく舌で)濡らす動きをして見せたようです……それからその女が素通りしたその女の後方にいるはずの夫(ウィルソン)の方に向きを変えないままの状態で、つまり夫に背を向けたままの状態で?夫に向かって何か言ったようです……そのときの声が、低くて荒いがさつな粗野なものに聞こえたようです……声がたまらなく魅力的らしいデイジーと大違い……これらの女の説明は、あくまでも「自分」の目線から見たものという前提はあるとは思いますが、それでも、ねえ……なんだか、この女の魅力?は爆弾ボディ?と身体の中に収めきれないほどの今にも爆発・暴発しそうな活力?生気?元気?だけでしょうか……よりによってなんでまたトムはこんな女と……ねえ……妻のデイジーを怒らせて泣かせてまで付き合う価値があるのでしょうか?……あばたもえくぼ?たで食う虫も好き好き?ではないけれど、トムにはトムのまっとうな理由?それだけの理由があってのこと?でしょうか……だけど、トムもこの女もどっちも相当性質悪くないですか?……デイジーもかわいそう……女の夫のウィルソンなんて、あまりに気の毒?……ところで、ウィルソン、妻にもトムにも裏切られていることを知っているのでしょうか?気づいているのでしょうか?……。
③ “Get some chairs, why don’t you, so somebody can site down."
「『手に入れろ・取ってこい……いくつか椅子を……今命じたとおりにしたらどうか……そうすれば・それで……誰か・ある人・大切な人が、できる……座ることを……』」
you は、②で女が声をかけたらしい女の夫 her husband を指すのではないでしょうか?
③は、②で夫に背を向けたまま夫に向かって何か言ったらしい女のセリフのようです……なんとまあ、完全に命令口調です……いくら親しい間柄だったとしても、これはどうでしょうか?……かかあ天下?……元気も活力もなくてしおれたような夫のウィルソンは、元気いっぱいで身体中の活力・生気が今にも爆発・暴発しそうなほどパワフルな?妻の尻に完全にしかれている?……(さっさと)椅子を取ってこい、と言っている?ようです……そうすれば、椅子に座れる人がいると……逆にいえば、椅子がないから座れないと……そういえば、トムと「自分」は、この自動車修理工場・ガソリンスタンドの店に入ってから、ずっと立ちっぱなし?のようです……仮にも一応はお客(様)のはずですから、お客(様)として応対するのがまあ筋でしょうか?……どうやらその点を?女は指摘した?のでしょうか……ただねえ……自動車修理工場・ガソリンスタンドで、お客(様)に椅子を出す習慣ははあまりないような気がしないでもないような……お客(様)の方でも、自動車修理工場・ガソリンスタンドでそんなこと期待したり当てにしたりしているでしょうか?……なんか、この女って、トムの同類?……夫をいじめて?喜んでる?楽しんでる?……単に、夫に恥をかかせようとした?ようにも思えなくもない?ような?……。
④ “Oh, sure," agreed Wilson hurriedly, and went toward the little office, mingling immediately with the cement color of the walls.
「『ああ、確かに・本当に』と同意・賛成したウィルソンはせきたてられたあわただしい様子だった……それからその場から離れる方向に移動した……どこへ向かったかというと、小さな仕事場だった……混ざって一緒になった……すぐに・ただちに……何とかというと、コンクリートの色だ……何のかというと壁だ……」
③で偉そうに女がウィルソンに命じたのに対して、なんとウィルソンは、素直に従っている?ようです……まるで、気づかなかったウィルソンに落ち度があると自ら認めているようにも?聞こえませんか?……女の言葉にせきたてられるように女に言われたとおりに行動を起こした?ようです……それまでトムと立ち話をしていた場所から動いて、トムと話す前にいたらしい?小さな仕事場の方に向かった(戻った?)ようです……その様子が、周囲の?壁のコンクリートの色と混ざって一緒になったようです……すぐに……壁のコンクリートの色と同じような色の仕事着?だったのでしょうか……そうやって、まるで壁と一体になるように?していなくなった?ということでしょうか……ということは、夫のウィルソンがその場からいなくなったということです……つまり、その場には、「自分」を除けば、トムと女の二人だけ?みたいなもの?……あららららら……まあ、夫の居ぬ間に?……でしょうか?……そうか、ということは、③のセリフは、邪魔な?夫をその場から追い出す?遠ざける?ための口実?だった?……なんとまあ……ねえ……どうなんでしょう……トムもトムなら、その女も女……ねえ……。
⑤ A white ashen dust veiled his dark suit and his pale hair as it veiled everything in the vicinity — except his wife, who moved close to Tom.
「白い灰のようなちり・粉塵・ごみが、覆って隠した……ウィルソンの薄黒い・黒い・濃い暗い色の仕事着とウィルソンの色のうすい髪を……そのときに同時に、その白い灰のようなちり・粉塵・ごみが、覆って隠した……何もかもすべてを……どこのかというと、付近・近辺だ――例外があって……それはウィルソンの妻だ……そのウィルソンの妻は、移動した……近くに……トムの……」
今回の考えるヒントに上げた箇所が出てきました。
his は(すべて)、④に出てきた Wilson を指すのではないでしょうか?
it は、A white ashen dust を指すのではないでしょうか? まずは、この白い灰のようなちり・粉塵・ごみがウィルソンの薄黒い・黒い・濃い暗い色の仕事着とウィルソンの色のうすい髪を覆って見えなくしたのではないでしょうか?……つまり、白いけど灰のようなちり・粉塵・ごみが舞っている?それで煙ったような感じ?で見えにくい?見えない?……だから、ウィルソンが遠ざかれば、そのウィルソンが着ていた仕事着もウィルソンの髪も見えなくなった?と言っているのではないでしょうか?……で、そうやって見えなくなったものは他にもあると……その付近・近辺にある何もかもが見えなくなったと……要は、見えないものだらけ?何も見えないも同然?の状態?……そう表現することで、ウィルソンの存在がその場から消えた?ことを表している?のではないでしょうか?……つまり……夫がいなくなれば、その場には誰が残っているでしょうか?
who は、直前の his wife を指して言いかえていると思われます。
④で周辺の壁の色と一体になるようにしてウィルソンがいなくなり、そして⑤では白い灰のようなちり・粉塵・ごみでウィルソンの仕事着も髪も付近の何もかもが見えなくなったと……ところで、ここにも"灰"が出てきました……やっぱり、"死"を強く想い起こさせる場所である灰の谷との関わりを暗に示している?ようにも?思われませんか?……そうやってウィルソンも他の何もかもも見えなくなったのだけど、例外もあったと……それは――ウィルソンの妻だと……妻の姿は見えたと(おそらく「自分」の目線で……)……そしてその妻――女は、夫の存在が完全に?消えた?タイミングで?動いたようです……トムの近くに……夫がいなくなったから、トムと二人きりになった(ようなものだ)から……ねえ……どうなんでしょう……ねえ……この分だと、ウィルソンは妻とトムの関係を何も知らない?のかも?しれない?……疑いもしていない?……だって、変な言い方ですけど、(④で)妻に従順?ですものねえ……ねえ……トムもその女も……ねえ……どうなんでしょう……。
⑥ “I want to see you," said Tom intently. “Get on the next train."
「『俺(様)はしたいことがある……何かというと、会うことだ……お前に……』と言ったトムは、一心に余念がない様子だった……『乗れ……次の電車に……』」
I は、トムのセリフなので、Tom を指すと思われます。
you は、トムが話しかけている相手、⑤でトムの近くに動いた his wife ウィルソンの妻を指すのではないでしょうか?
⑤でウィルソンの妻がトムの近くに動いてきて、で、トムが⑥のセリフを、そのウィルソンの妻に言ったようです……俺(様)はお前に会いたいと……今、会っているじゃないかと不思議な気がするかもしれませんが、たぶん、あらためて会いたい?という趣旨ではないでしょうか?……だって、今は、見えなくなって存在が消えたようになったとはいえ、実際にはすぐ近くに女の夫であるウィルソンがいるわけですから、厳密な意味で本当に二人きりになったわけではありません……夫抜きで、夫のいないところで、二人で会いたい、と言いたいのではないでしょうか?……で、そう言ったときのトムは、一心に余念がない……どうしても会いたいという強い思いが表に出ていた?のでしょうか?……そして続けて、次の電車に乗れと……あの灰の谷が見える場所に停まる電車のことでしょうか?……次にあの場所に停まる電車に乗れと?言っているのでしょうか?……電車に乗ってどこに行くのでしょうか?……そういえば、「自分」はトムとニューヨーク(都市圏)に向かう電車に乗ってきていたようでしたが……まさか、ニューヨーク(都市圏)と逆方向に行っても、たぶんデイジーがいる邸宅しかない?でしょうから、やっぱりニューヨーク(都市圏)に出る?のでしょうか?……それにしても、トムと女は、なんだか慣れた感じ?……いつもこんなふうに落ち合っている?のでしょうか?……ところで、「自分」はずっと、さっきからトムのまさしく"秘密"の現場を目撃し知り続けている状態ではないでしょうか?……良心と良識のかたまりみたいな「自分」が、果たしてこんな秘密知りたいでしょうか?……いい迷惑だ、はた迷惑なことこの上ない……と思っていたかどうかわかりませんが、またもや望まずして、成り行きで?他人の秘密を知ってしまった?でしょうか……トムも女もはたから見ると、恥知らずにしか見えない?ような気が?する?……だけど、この二人、「自分」にどう思われているか、気にならないのか?興味がないのか?……やっぱり、"自己中(心)"だから、そもそもそんなこと頭に浮かばない?のでしょうか……頭にあるのは、自らの欲望を満たすことだけ?目の前の女と?目の前の男と?……ねえ……どうなんでしょう……だけど、人間とはそういうもの?……。
⑦ “All right."
「『了解』」
これ、誰のセリフでしょうか?……⑥でトムに話しかけられた、⑤に出てきた his wife ウィルソンの妻ではないでしょうか?……やっぱり、慣れてる?……いつもこんな感じ?段取り?で会ってる?……そんな気配?空気?がうかがわれる?でしょうか?……ひと言返事をするだけで、それ以上は何も言う必要がない?……どうなんでしょうねえ……もう相当付き合いが長い?のでしょうか?……う〜〜〜ん……そういえば、女がしゃべったのは、ウィルソンに向かって命じた③のセリフを別にすれば、他には、というより、トムに対しては口を開いてない?……笑顔を見せたり、手を握ったり、目を見たり、近くに行ったりはしているけれど、トムに何かものを言ったのはこれだけ?これが初めて?のような……夫のウィルソンには③で命令口調だったけれど、トムには何も言わず、トムの言うことに従う?のでしょうか?……⑥ではトムの方が命令口調でしたから……ただ、トムはいつでもたぶん基本的に誰にでも命令するスタイルではないかと……命令できないしトムの思いどおりにならない相手には頭にくるような……(たとえば、ベイカー嬢……)……トムはいつでもお山の大将?でいたい?のかも?しれませんね……お山の大将でいられる相手と付き合いたい?し一緒にいたい?のかも?しれません……トムの人付き合いの基準は、トムがお山の大将でいられるかどうか?……いくらなんでも、あまりに意地の悪い見方?でしょうか……他にもいろんな人とのいろんな付き合いがあるけれど、あくまでもこの物語を通して作者が伝えたいことを読者に訴えるためには、トムのそういう、もしかしたら最も嫌な?面を特に取り上げていく必要がある?のでしょうか……。
⑧ “I’ll meet you by the news-stand on the lower level."
「『俺(様)は会う……お前に……ある場所のそばで……それは、新聞雑誌の売店だ……高さが低い方の階・フロアで……』」
I は、このセリフを話していると推測される Tom を指すのではないでしょうか?
you は、トムが話している相手と推測される、⑤で出てきた his wife ウィルソンの妻を指すのではないでしょうか?
⑥で俺様のトムが女に、会いたいから電車に乗れと指図して、⑦で女が二つ返事で応じて、そして⑧でもっと具体的に、どこで落ち合うかを指示した?ようです……電車に乗って行くようなので、駅のホーム?にある新聞や雑誌の売店?――キオスク?のようなイメージ?でしょうか?――で、高さが低い方の階・フロアだと指定しているようです……現代日本だと新幹線とか上の階に上がって乗るイメージ?でしょうか……普通の電車は地上と同じ高さというか下の階?を走っているイメージ?でしょうか……地下鉄の場合は当然地下ということになりますが……まあ、とにかく、駅に高い方の階・フロアと低い方の階・フロアがきっとあったのではないでしょうか?……で、そのうち低い方の階・フロアにある売店のそばで会うと伝えた?ようです……その伝え方も、俺様が会うと言ってるのだから、お前は来い、という乱暴な?言い方……売店のそばでいいか?とか、相手の意志を聞く姿勢は皆無……まあ、いつもそうやってるから、いちいちそんなこと訊かないとかっていう可能性もあるかもしれませんけど……でも、やっぱり、トム流は、一方的に決めて、命令して、そのとおりにやれ、と押し付ける……その俺様流が、そのまま⑧の言葉に表れている?ような……トムは、妻以外の女にも、他の人にも、誰にでも、このやり方?(例外はベイカー嬢だけ?――それも、トムが進んで引き下がるわけではなく、あくまでもベイカー嬢には敵わない、ベイカー嬢はトムの思いどおりにならないだけの話……)……トムは、そういう人間で、そういうふうにしかできない?生きられない?のでしょうねえ……。
⑨ She nodded and moved away from him just as George Wilson emerged with two chairs from his office door.
「ウィルソンの妻が、頭を縦に動かして同意・了解した旨を示した……それから移動した……離れる方向へ……どこからかというと、トム(のいるところ)から……そうやってウィルソンの妻が頭を縦に動かして同意・了承した旨を示した後、トムから離れる方向へと移動したのと同じタイミングで、ジョージ・ウィルソンが現れた……あるものを持って……それは何かというと、二つの椅子で……どこからかというと、ジョージ・ウィルソンの仕事場の戸口だ……」
She は、⑧でトムに話しかけられた相手、⑤に出てきた his wife ウィルソンの妻を指すのではないでしょうか?
him は、⑧の言葉をウィルソンの妻に向かって言った、Tom を指すのではないでしょうか?
次の his は、George Wilson を指すのではないでしょうか?
⑧で、駅の?下の階の売店で会うから来い、とトムに言われたらしいウィルソンの妻が、その言葉に対して、またもや了解したというように頭を縦に振り、そしてトムから離れる方向へと動いた?ようです……これまた、ウィルソンの妻は無言?何も言わない?黙ってトムの言葉に従う?……で、落ち合う約束?をしたから、それで話は終わり?後は会うだけ?……ちょうどそうやってウィルソンの妻がトムから離れる方向に動いたタイミングで、夫のウィルソンが、戻ってきた?のではないでしょうか?……④⑤では周囲の壁と一体になり白い灰のようなちり・粉塵・ごみで見えなくなったようでしたから、ここでも、その姿は、いきなりくっきり見えたのではなくて、それまで見えなくなっていたものが少しずつ浮き上がってくる?ような感じ?で見えてきた?のではないでしょうか?……わざわざフルネームにしてありますが……再登場するその存在感を強調する?意味合い?でもあるのでしょうか?……しかも、③で妻に命じられたとおり、椅子を持って来ていて……それも二つです……なんとも……きっと、知らないのでしょうねえ……何も気づいてない……どうなんでしょう……ねえ……それに、椅子持ってきてるけど、はたしてトムは座ったりするでしょうか?……そもそも、女に会うのが目的で来ているのであって、店に用があるわけではなかったようでしたけど……それに、「自分」も、決して自らそうしたくてトムに同行・随行してきたわけではないけれど、厳密にはお客などではなく、あくまでもトムの女、つまりウィルソンの妻に紹介されるために来ているだけであって、そもそもトムも「自分」もわざわざ椅子を出してもらう価値などない?資格などない?のではないでしょうか?……それなのに……「自分」も人がいいけれど、このウィルソンという男も、本当に人がいい?……いや、トムと女の二人が、あまりに人が悪すぎる?でしょうか……はてさて、まあ、トムにこの女、こんなことやってて、今はいいかもしれないけれど、本当に大丈夫?……このまま都合よく運んだりするの?本当に?……どうなんでしょうか……。
⑩ We waited for her down the road and out of sight.
「トムと「自分」は待った……誰をかというと、ウィルソンの妻を……どこでかというと、車道沿いの場所で……なおかつ、(店から)見られないところで……」
We は、第31回の最後(21ページ19-20行目)に、この自動車修理工場・ガソリンスタンドの店に入っていったトムと「自分」を指すのではないでしょうか?
her は、⑥⑦⑧⑨で会うことで話が決まった相手、⑤に出てきた his wife ウィルソンの妻を指すのではないでしょうか?
the road は、第31回(21ページ12行目)に出てきた the road と同じもの、つまり第29回(20ページ1-2行目)に出てきた the motor road と同じものを指すのではないでしょうか?
やっぱり、⑨で女と会う約束ができたらもう用なし?……さっさと帰った?のではないでしょうか?……で、トムと「自分」は女を待ったようです……いったん店を出て……車道に戻ってその車道沿いの場所で?……しかも、店から見られないところ?だった?ようです……そりゃ、見られたら怪しまれる?からでしょうか?……それなりに隠れて?動いている?……それくらいの慎み深さ?は持っている?……それにしても、第31回の最後で、この店に入ってから、この⑩で店を出るまでの間、ずっと「自分」は黙ったまま、ただじーっと目に入るものを見て、耳に入るものを聞いていた?……どんな気持ちだったでしょうねえ……どんなことを思ったり考えたりしたでしょうねえ……じーっと黙ってトムに付き従っている?必要あるのでしょうか?……だけど、「自分」がそうしているからこそ、読者はトムと女、それにその夫の様子も?知ることができる?のでしょうねえ……トムも女も、超がつくほど無神経?……それとも、ただ欲望だけに突き動かされてしまえば誰でもこうなりうる?……周りが見えなくなる?何も聞こえなくなる?何も気づかなくなる?……怖いですねえ……ねえ……。
⑪ It was a few days before the Fourth of July, and a gray, scrawny Italian child was setting torpedoes in a row along the railroad track.
「その日は、二、三日のときだった……ある日が来るまで……その日とは、四日……七月の……その日は七月四日の二、三日前であり、そういう時期だから、ある状態が見られたのだけど……それは、灰色の醜くやせ細った骨ばったイタリア系の子どもが、据え付けていた……打ちつけて爆発させるかんしゃく玉を……どんなふうにかというと、横方向に並べた状態で……あるものに沿って……それは、鉄道線路だ……」
It は、時(期)を表すのではないでしょうか?
the Fourth of July は、米国の独立記念日のようです。
その日はどうやら独立記念日が近かった?ようです……それで、打ちつけて爆発させるかんしゃく玉を線路沿いに横方向に並べて据えている子どもがいたようです……独立記念日を祝うもの?のようです……その子どもは、見た目が醜くやせ細った骨ばった体型で、イタリア系だったようです……イタリア系の多い地区だったのでしょうか?……そういえば、トムの女はやや太い体型だったようなので、なんだか、どうしてこの子どもはそんなにも栄養失調か?というほど痩せているのか……それも、トムの女がこれから欲望のままの行動に出ようというタイミングで、こんな姿の子どもを登場させるとは……子どもといえば、未来を担う?ものでしょうか……その子どもがこんなにもやせ細って……これで未来を担えるのか?……一方、欲望のままに?生きているらしいトムの女は、やや太い、ぼっちゃり?体型らしい……大人が好き放題やってていい思いをしている?のに、子どもがおろそかになっている?……その余ったぜい肉、子どもにまわしたら?……大人が肥えるのではなくて、子どもにもっと栄養を取らせて太らせてやったら?……しっかりと未来を担っていけるように?……そんな皮肉?でも作者は込めている?のでしょうか?……(ただ、ウィルソンも元気も活力もなくてしおれたような男だったようですが……ウィルソンは欲望のままに好き放題やったりはしてない?でしょうか?……)……そういえば、⑤でもそうでしたけど、ここでもまたもや"灰"色が出てきました……辺りが灰だらけの場所にいる子どもだから、空中を舞っている灰?で子どもも灰だらけ?なのでしょうか?……そして灰だらけ?の周囲とまるで一体?になっている?子どもの未来も、灰色?暗い?灰の谷のようなまるで絶望を思わせる?……やっぱり、"死"を強く想い起こさせる場所である灰の谷とのつながりを感じさせる?気がしませんか?……なんだか、作者は、この物語を書いたとき、未来に悲観していた?のでしょうか?……出版されたらしい1925年という時期は、米国が好景気に沸いていた?ようですけれど……周囲の活況?とは異なる思いを作者は何か抱いていた?のでしょうか……それとも、1925年当時、米国自体は好景気だったけど、地域によってはまるで栄養失調?みたいな恵まれない?子どもでも大勢?いたのでしょうか?……。
⑫ “Terrible place, isn’t it," said Tom, exchanging a frown with Doctor Eckleburg.
「『ひどいとんでもない悲惨な場所だ……そうじゃないか……』と言ったのはトムだった……そういった後、交わした……まゆをひそめた嫌な渋い顔(の表情)を……相手は誰かというと……ドクター(先生)と呼ばれているエッケルバーグだ……」
it は、Terrible place を指して言いかえているのではないでしょうか?
⑩で店から出て車道で女を待っていたらしいトムと「自分」――まずは、そのとき目に入った様子を⑪で説明したようです……そして、そうやって女を待っていたときに、どうやらトムが何か話したようです……ひどいとんでもない悲惨な場所だな、ここは、と……そのとおりだろと……いったい誰に向かって言ったのか?――それが、どうも「自分」ではなかったようです……では誰なのか?――なんと!あの!ドクター(先生)と呼ばれている人物!第31回(21ページ12-13行目)でトムと「自分」が車道沿いに歩いていくのをじーっと見ていた、あの!灰の谷の監督?監視?役?の人物!……そんな仲?……トムはこのドクター(先生)と呼ばれている人物と気軽に?言葉を交わす仲とは!……しかも、ただ言葉を交わしたのではなく、まゆをひそめた嫌な渋い顔(の表情)を交わしたと……交わしたということは、トムもそういう顔(表情)をドクター(先生)と呼ばれている人物に向かってしたし、そのドクター(先生)と呼ばれている人物もトムに向かってそういう顔(表情)をしたということではないではないでしょうか?……お互いに……なんとまあ……まるでいつも挨拶でもしているような、よく知った仲だとでも言わんばかりのやりとり?にも聞こえませんか?……驚きですねえ……トムって、いったい……それに、このドクター(先生)と呼ばれている人物、もしかしたら、トムと女の関係に気づいている?知っている?少なくとも、この二人がこんなふうに自動車修理工場・ガソリンスタンドの店から見えないところで待ち合わせては一緒に出かけていく?姿を、もしかしたら何度も?見たことがある?のでしょうか……なんとまあ……開いた口が塞がらない?(いやいや、そこまでじゃない?)……でも、第31回(20ページ末尾から3行目―21ページ1行目)で、トムはどうやら女のことを誇示するようなことをしていたと説明があったようなので、別にドクター(先生)と呼ばれている人にも何も隠そうとしていなくても不思議はない?とも言える?のでしょうか……だけど、普通の常識的な感覚の人?まっとうな倫理道徳感のある人?からしたら、ちょっとありえない?考えられなかったりする?でしょうか……いやあ、女の家、夫のすぐそばにいつもいる人物ですよ……でも逆に、だからこそ、夫のすぐ近くにいる人だからこそ、トムにしてみたら味方にでも引き入れているつもり?なんでしょうか?……これまた、あきれた感覚?……だけど、果たしてこのドクター(先生)と呼ばれている人が、トムの思惑どおり、トムの味方になってくれているのでしょうか?……ねえ……このドクター(先生)と呼ばれている人も、「自分」と同じように?いや、それ以上に?その何倍も?トムの秘密を知っている?それも知りたくて知ったのではなく、立地上の成り行きで知ってしまった?……他人の秘密を知るというのは、案外そんなもの?……なんだか、すごいですねえ……ねえ……驚きの展開じゃないですか?……ねえ……。
⑬ “Awful"
「『すごくひどい、恐怖を覚えるほどだ』」
⑫でトムが投げかけた言葉に対して、ドクター(先生)と呼ばれている人が応じた言葉のようです……terrible の方は、terror(恐怖)という言葉につながりがあるようで、awful の方は、awe([神仏などを]畏れ敬い慎む)という言葉につながりがあるようです……terrible と声をかけられたのに対して、そんなもんじゃない、もっとずっとひどい?というニュアンスで応えた?のでしょうか?……たとえば、幽霊とか恐怖に感じる対象になりそうですが、神の力とか神の怒りとかは、その程度の恐怖ではすまない、もっとずっと恐ろしい、というようなニュアンス?でしょうか?……トムの⑫の言葉は、いわば社交辞令的な軽い挨拶みたいなもの?だったのでしょうか?……それに対して、ドクター(先生)と呼ばれている人は、まともに応えた?……お前さん、軽くそんなこと言ってるんだろうが、そんな生やさしい生ぬるいもんじゃないよ……何もかも灰だらけ、それもほとんど二十四時間三百六十五日ずっと?そんななんだ……その程度の言葉じゃ足りないね……みたいな気持ちが?こもっていたりする?でしょうか?……トムの方も、まゆをひそめた嫌な渋い顔(表情)でドクター(先生)と呼ばれている人の方を見たようですけれど、その顔(表情)は単に、トムが灰の谷に対して感じる不快感を表しただけ?だったかも?しれません……でも、ドクター(先生)と呼ばれている人がトムに向けて見せた、まゆをひそめた嫌な渋い顔(表情)は、単に灰の谷に対して感じている不快感ではない?ような気がしませんか?……このドクター(先生)と呼ばれている人が、ほとんど?二十四時間?三百六十五日?とまではいかないまでも、まあ年がら年中?四六時中?この灰の谷で監督?監視?の任に?ついているとして、そうやっていつも自らの務めを果たしているいわば仕事場?に対して、トムが感じるような不快感を感じているとは思えないような気がしませんか?……じゃあ、どうして、何に対して、まゆをひそめた嫌な渋い顔(表情)を見せたのでしょうか?……それは、もしかしたら、トムじゃないでしょうか?……もっといえば、トムとウィルソンの妻の二人?かもしれない?……なぜか……この二人は、何も知らないらしい人のよい?ウィルソンを裏切って、いわば欲望のままに二人がやりたいように好き放題?やっている?……そのことを、灰の谷でいつもずっと監督?監視?の任にあたっているドクター(先生)と呼ばれている人は、じかに見て知っている?……この二人、ウィルソンの知らないところで、ウィルソンをコケにしているじゃないかと……もしそうなら、もしかして、awful という答えも、灰の谷のことを言ったのではなく、トムとウィルソンの妻の二人がやっていることを皮肉って言った?かもしれない?でしょうか……まさしく、この二人がやっている裏切り行為は、神をも恐れぬ?所業?……もし神の怒りを買うようなことになったら、恐ろしいぞ……みたいな?……もしそうなら、このドクター(先生)と呼ばれている人は、トムにひと言、忠告してやっている?という見方もできる?でしょうか……さすが、ドクター(先生)と呼ばれているだけのことはある?……だけど、そのドクター(先生)と呼ばれている人の真意に、トムが果たして気づいているかどうか……単に、灰の谷のことを awful と言っただけだろうと受けとめて軽く聞き流してでもいたら……せっかく忠告してもらったのに無駄に終わる?……せっかく、ナメてると怖いぞ、痛い目に遭うぞ、と言ってくれたのに……その思いやりを無にする?……"自己中(心)"で常日頃から人の話に耳を貸す習慣などなかっただろうし、何でも自己の立ち位置からしか見ないし考えない癖がついていただろうから、こちらのことを思いやってわざわざ言ってくれてる忠告に気づかないし気づけない……結局、損をしているのはトム?でしょうか……それにしても、このドクター(先生)と呼ばれている人物、すごくないですか?……。
⑭ “It does her good to get away."
「『あることが、してやる・しむける……ウィルソンの妻に……よいこと・利益を……そのあることとは具体的に何かというと、逃げる・のがれることだ……』」
It は、漠然と後から具体的に説明することを表しているのではないでしょうか?
her は、ウィルソンの妻を指しているのではないでしょうか? 今トムは、灰の谷の監督?監視?役?のドクター(先生)と呼ばれている人と話をしているようです……で、この監督?監視?役?の人は、いつもじーっと辺りを見ているから、トムとウィルソンの妻が、ウィルソンに隠れて、ウィルソンの知らないところで、ウィルソンを裏切って二人で出かけていることを知っている……それをこのドクター(先生)と呼ばれている人が知っているという前提で、でもトムと女の関係を考えれば具体的に名前を出すのははばかられるので、her と遠回しな言い方をしている?……いわばイニシャルトークに近い?感覚?でしょうか?……どちらも誰のことを言っているのか承知しているから、いきなり her でも通じる……ということでしょうか?……
⑬でドクター(先生)と呼ばれている人が応えた awful という言葉の真意を、やっぱりトムはわかってない?……灰の谷がある、この辺りは awful だろ?そうだろ?だから、この辺りから逃げる・のがれることが、ウィルソンの妻によいことをしてやることになるだろ?ウィルソンの妻の利益になるだろ?ウィルソンの妻のためになるだろ?と、トムは言っているようです……要は、トムがウィルソンの妻を連れ出すことが、ウィルソンの妻のためになるのだと、トムのしていることはウィルソンの妻を幸せにしてやっていることなのだと、そう主張している?ようです……詭弁?屁理屈?……こんな言葉を聞いていたら頭がおかしくなりそう?ですねえ……それにしても、愚かですねえ……わかってない……ドクター(先生)と呼ばれている人は、この言葉をどんな気持ちで聞いていたでしょうか?……。
⑮ “Doesn’t her husband object?"
「『しないのか……(トムの)女の夫は、反対することを……』」
her は、⑭でトムが口にした her と同じ人、つまりウィルソンの妻(であり、なおかつトムの女)を指すのではないでしょうか?
ドクター(先生)と呼ばれている人が、⑬で awful と言った真意を何もわかっていないらしいトムに対して、今度は、女の夫は反対しないのか、と尋ねたようです……何を反対しない、あるいは反対するのでしょうか?……それは、⑭でトムがウィルソンの妻を連れ出してやることがウィルソンの妻のためになるのだと言ったことに対して、夫は、つまりウィルソンは、トムがウィルソンの妻を連れ出すことに反対しないのかと、訊いたのではないでしょうか?……要は、遠回しに、よく夫が、ウィルソンがそんなこと許してるなと、皮肉ったのではないでしょうか?……そりゃそうですよねえ……妻がよその男と頻繁に遠出?するのを黙ってほっておくわけがない……普通はそう思いますよねえ……当然、トムと女の二人がウィルソンに内緒でこそこそ出かけているに決まってます……そんなこと、ドクター(先生)と呼ばれている人だって、百も承知の上で、⑮の言葉を言ったのではないでしょうか?……ここでも、やっぱり、いいのか、そんなことしてて……やめた方がいいんじゃないか、それが身のためじゃないか……と忠告してあげているのではないでしょうか?……それも、awful 一語のときよりも、はるかに直接的に?露骨に?わかりやすく?注意?してあげているのではないでしょうか?……愚かなトムがわかってないみたいだから……このドクター(先生)と呼ばれている人――こうした相手のためを思った忠告とか注意とかを(もしかしたら誰にでも?)してあげるからこそ、ドクター(先生)と呼ばれて一目置かれている?のかもしれません……。
⑯ “Wilson? He thinks she goes to see her sister in New York. He’s so dumb he doesn’t know he’s alive."
「『ウィルソンが?……ウィルソンは、思っている……ウィルソンの妻が行くと……何をしにかというと、会いに……ウィルソンの妻の姉(妹)に……どこにいる姉(妹)かというとニューヨークだ……ウィルソンは、とても・あまりに鈍い・ばかな・愚かなものだから、ウィルソンはしていない……知る・わかることを……何を知らない・わかっていないかというと、ウィルソンが生きていることを……』」
最初の Wilson は、Does Wilson object? みたいなつもりで、言っているのでは?ないでしょうか?
He は(すべて)、Wilson を指すのではないでしょうか?
she は、⑭の her と同じ、つまりウィルソンの妻を指すのではないでしょうか? her も同様ではないでしょうか?
⑮でドクター(先生)と呼ばれている人が、her husband ウィルソンは反対しないのかと訊かれたのに対して、トムは、まず、ウィルソンが反対するだって?みたいな感じで聞き返した?のではないでしょうか?……なんだ?なんでウィルソンなんか出てくるんだ?ウィルソンが何を反対するっていうんだよ?と、ウィルソンなんてまるで問題にならないという調子?だったのではないでしょうか?……前回のウィルソンとのやりとりとかウィルソンの様子とかをみても、トムははなっからまるっきりウィルソンのことはバカにしているとしか思えませんでしたから……で、続けて、ウィルソンはな、妻がニューヨークにいる妻の姉(妹)に会いに行ってると思ってるんだと……ということは、きっとウィルソンの妻が夫にそう言って嘘をついているということではないでしょうか?……で、さらに続けて、ウィルソンはあまりに鈍すぎて・愚かすぎて、ウィルソン自身が生きていることがウィルソン自身がわかっていないと……どういうことでしょうか?……要は、ウィルソンの知らないところでウィルソンの妻とトムが特別な仲になっている、よろしくやっている、ということに気づいていないし、疑いもしていないウィルソンのことを、生きているという自覚・意識もない、という言い方でバカにしている?のではないでしょうか?……ウィルソンの妻とトムの関係に気づいていないなんて、鈍いなあと……そりゃ、今回落ち合うような形でいつも会っているのであれば、トムが来ると妻は出かける……というパターンでも出来ている?のではないでしょうか?……ふつう疑うだろうよ、と思うほどだったのでしょうか?……それでも、人のいい?ウィルソンはまったく疑いもせず気づいてもいない?……トムにしてみれば、なんてまぬけな男だと……そう思ったのかも?しれません……で、ありゃ、あんまり鈍すぎるぜと……あそこまで鈍かったら、当人自身が生きてるかどうかさえ、わかってないんじゃないのかと……つまり、当人自身が生きてるかどうかがわかるなら、トムと妻の関係だって当然気づいててもいいけどなと……それほど露骨に?遠慮せず?自由に?二人は会っている?ということでしょうか?……普通人は誰でも当人自身が生きてるかどうか当然わかっているはずですから、そうすると、トムと妻の関係も、とっくに当然ウィルソンが気づいてなきゃおかしいぞと……それくらい、なんでしょう?誰もがみんな知ってる?関係みたいになっている?のでしょうか……知らぬは夫ただ一人?みたいな?……怖いですねえ……あんまりですねえ……しかも、トムは悪びれるどころか、まるっきり完全にウィルソンのことをバカにしたような物言いではないでしょうか?……ひどいですねえ……もしかしたら、トムは思い上がっていたり?するのでしょうか?……それとも、アメフトで最強になって以来?ずっと思い上がったまま?の状態?……思い上がっている状態が通常?デフォルト?……だから"俺様が一番偉い"と思えるし、"自己中(心)"にもなれる?……。
⑰ So Tom Buchanan and his girl and I went up together to New York —
「それで・そういう経緯で、トム・ブキャナンとその女と「自分」は、行った……上り方面に……一緒に……どこへかというと、ニューヨーク(都市圏)へ……」
his は、直前の Tom Buchanan を指していると思われます。
第31回(21ページ3行目)から説明のあった経緯を経て、「自分」は、トムとその女と一緒にニューヨーク(都市圏)に出かけていくことになったと、まとめている?ようです……ところで、そうやってトムと一緒にいる間ずっと、「自分」はひと言もしゃべっていない?のではないでしょうか?……ただ、黙ってついていくだけ?……よくそれで、トムは平然と平気で?いられますねえ……何かが変だ、おかしい、と思わないんですねえ……むしろ、黙ってトムの思いどおりになってくれてる方が好都合?なのでしょうか……そんなだから、孤独?……結局、一人で寂しい思いをする?……だけど、どうしていいかわからない……だから、やりたい放題で気を紛らわす?……で、ますます人が離れていく?……ますます孤独に陥る?……もっと寂しさが募る?……でもやっぱり、どうしていいかわからない……だから、以前にもましてやりたい放題で気を紛らわす?……と、悪循環のドツボにはまる?……ドクター(先生)と呼ばれている人のように忠告とか注意を促してくれる人の言葉を聞き流さず、きちんと受けとめて、やめた方がいいことはやめてみたら、そんな悪循環のドツボから抜け出せる?かもしれない?のに?……だけど、そうしない?そうできない?のがトム?……。
おつかれさまでした。今回は長かったですが……どうでしたか? 盛りだくさんだったでしょうか?
まさかの、既婚者どうしの不倫?……デイジーの方は気づいていて知っているようですが――といっても、どこまで知っているのかは……ベイカー嬢はニューヨークの女と「自分」に言っていたようですが、実際にはニューヨークではなく、むしろ灰の谷のある場所に住んでいるわけですから……女の夫――ウィルソンという男の方は、気づいておらず、疑いもしていない……でも、知らないからといって、愚かだということにはならない?のでは?……どう考えても、そんな夫をバカにしているトムと、そんなトムとグルになっている?女の方こそ、愚かでは?……誰かをバカにしている人がいたら、本当にバカなのはそうやってバカにされている誰かではなくて、そのバカにしている当人こそがバカだというのは、案外そのとおりかもしれない?……あのドクター(先生)と呼ばれている人のお見通し?のとおり?――いい気になっていたら、今に痛い目に遭うぞ……でも、ウィルソンをバカにしているトムと、そしてその女こそ、本物の愚か者だから、ドクター(先生)と呼ばれている人が言ってくれている言葉(忠告・注意)の真意に気づけない、わからない……大事なことに気づいてないし、わかってない、疑いもしてないのは、トムとその女に裏切られてバカにされているウィルソンではなく、ウィルソンを裏切ってバカにしているトムとその女の方……ではないでしょうか?……。
さて、今回の考えるヒントに上げたお題 「22ページ17-18行目 A white ashen dust veiled his dark suit and his pale hair as it veiled everything in the vicinity とはどういうことを言っているのか」 ですが……⑤で説明したとおりです。ウィルソンという男が、灰の谷がある地域に馴染んでとけこんでいる?ことも表している?という見方もできるかもしれません……案外、この男には、こんな普通の人なら嫌がりそうな場所が、性に合っている?気性に馴染む?居心地がいい?落ち着く?のかもしれません……流行らない店も?同様?……トムみたいな嫌な客?もいるけど、でも、前回(21ページ末尾から8行目)言っていたとおり、不満を言うほどではない?と本当に思っているのかもしれません……本音をいえば、そりゃあ、もうちょっと稼ぎがあったらな、とか思わないわけじゃないけど、そりゃあ、できることならもうちょっと稼ぎがあれば助かるんだけどな、とか思っていたかもしれませんが、でも、それも何が何でも是が非でも、というほどのことではなくて、大満足とはいかないけれど、でも足りないこと・ところがあっても、まあまあ、今の生活に満足してる?そこそこ、この程度で十分だと、それなりに満足してる?のではないでしょうか?……なんだか覇気がないという印象は受けますが……一方、身体中で今にも爆発・暴発しそうな生気を持て余している?らしい妻の方は、さて、果たしてウィルソンと同じように感じているのでしょうか?……灰の谷がある地域にも、流行らない店にも、元気も活力もなくてしおれたような夫にも、そんな環境に置かれた生活にも、果たして満足しているのでしょうか?何も不満はないのでしょうか?……否?違うのでは?……だから、トムと?…なのでしょうか?……妻とトムの関係にもまったく気づいていないくらいですから、ウィルソンは、そんな妻の不満にも気づいていない?のではないでしょうか?……ウィルソンがそこそこ満足しているから、妻もそうだろうと単純に思い込んでいる?……そんな夫婦のすれ違い?というか溝?がある?でしょうか……そういう点では、ウィルソンにも非はある?という見方もできるでしょうか?……だからといって、トムとその女のやり方はどうなんでしょう……こうやって、部外者というか傍観者という立場で見ていると、トムと女に腹が立つ?ウィルソンが気の毒?……まあ、知らぬが仏でいられれば、幸せ?なのでしょうか?……ところで、たしかこの女が、トムの自宅に?電話を何度も?かけたんじゃなかったんでしたっけ?……女の方もやってることが露骨ですねえ……まるでデイジーにまるわかり?……いや、わからせようとして?かけてる?……間接的にデイジーを挑発してる?……トムに電話をかけることで……性質悪いですねえ……トムとこの女、救いがたい?……。
次回は、ニューヨーク(都市圏)の駅に着いた後、トムとその女、それに「自分」がどうしたのかが説明されているようです……ぜひまた一緒に読んでみてください。
第34回の範囲は22ページ末尾から3行目の途中から23ページ19行目まで(– or not quite together, for 〜から、as he came to the taxi-window.まで)をみていきます。
次回の考えるヒントは……
- 22ページ末尾から2-1行目 Tom deferred that much to the sensibilities of those East Eggers who might be on the train. とはどういうことを言っているのか
次回は、小物というか小道具というかいろいろ出てくるようです……ぜひまた一緒にみていってください。
最後に、物語を読むときに心にとめたいポイントをまとめます。
・どうして作者はその言葉を使用したのか
・それぞれの登場人物に作者はどんな役割を割り当てているのか
・それぞれの登場人物のセリフや物語の展開を通じて作者は何を言おうとしているのか
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なお、今回の範囲の訳文を有料(700円)で掲載いたします。この連載はだいたい250回くらいになる予定なので、毎回訳文を購読いただいた場合には30回で2万円を超え、トータルでは18万円近くになることをご承知おきください。またいかなる場合も返金には応じられません。また購読いただいた訳文にご満足いただけるとは限らないことをあらかじめご承知おきください。なお、問い合わせなどはご遠慮ください。お断りいたします。