Gatsby-31
このサイトは、英語で書かれた物語を一作品、最初から最後まで少しずつ読んでみようという試みです。
取り上げる作品は『The Great Gatsby』です。100年近く前に米国で出版された小説ですが、現代の日本人にも共感したり心を動かされるところが多々あると思います。
ぜひ一緒に、英語の原書を読んでみませんか。
(なお、このコンテンツはその著作者の解釈に基づくものであり、必ずしも正しいとは限らないことをご承知おきください。)
前回まで……灰の谷という"死"を想い起こさせる――ごみ捨て場らしい――場所に、普通の人には見通せないものまでも見通せてしまう?"目"を持っているらしい、監督?監視?にあたる人物がいるようでした……で、その灰の谷が見える場所で電車がよく停まると……そのために、「自分」はトムの女に初めて会ったと……いったいどういう経緯で?……さっそくみていきましょう。
原文はOne More Libraryの『The Great Gatsby』を使用します。
第31回の範囲は20ページ末尾から3行目から21ページ20行目まで(The fact that he had one 〜から、and I followed Tom inside. まで)をみていきます。
まず、今回の考えるヒントを上げます。
- 21ページ8-10行目 The supercilious assumption was that on Sunday afternoon I had nothing better to do. とはどういうことを言っているのか
なお、特に断っていなければ、基本的に次に上げる辞書の訳語や定義・意味に基づいて説明します。
主に使用する辞書
『リーダーズ英和中辞典(第2版)』(野村恵造)(研究社 2017)
『Pocket Oxford English Dictionary (Eleventh Edition)』(Maurice Waite) (Oxford University Press 2013)
『岩波国語辞典(第七版新版)』(西尾実 岩淵悦太郎 水谷静夫)(岩波書店 2017)
それでは今回の範囲をみていきましょう。
① The fact that he had one was insisted upon wherever he was known.
「ある事実が……どんな事実かというと、トムに情婦がいるという事実で……強調された……どこであろうとも……トムが知られているところでは……」
that は「これから文が続く」ことを示し、the fact の具体的な内容を説明していると思われます。
he は(すべて)、前回の最後(20ページ末尾から5-4行目)に出てきた Tom を指すのではないでしょうか?
one は、前回の最後(20ページ末尾から4行目)に出てきた (Tom Buchanan’s) mistress を指すのではないでしょうか?
前回は、「自分」がトムの情婦に初めて会ったということを話したところで終わっていました……続いて、そのトムの女の話が詳しく語られているようです……まず、トムに女がいるという事実が、トムのこと?存在?が知られているところであればどこでも、強調されていたと……なんでしょうねえ……これみよがし?というか、包み隠さず?というか、情婦の存在を誇示するような?感じなのでしょうか……トムが行くところ行くところで情婦を見せびらかす?ようなことでもしていたのでしょうか……。
② His acquaintances resented the fact that he turned up in popular restaurants with her and, leaving her at a table, sauntered about, chatting with whomsoever he knew.
「トムの知り合いが憤慨していた……ある事実に……それはどんな事実かというと、トムが姿を表すことで……どこにかというと、評判の良い料理店に……同伴しているのは、トムの情婦で……そうやってトムが評判の良い料理店にトムの情婦を同伴して姿を表し、それから残していく……その情婦を……(その料理店の)食事の席に……そうやって(その料理店の)食事の席にその情婦を残していった状態で、ぶらぶら歩いてぐるりと回り、おしゃべりをする……誰であれトムが知っている人なら誰でも……」
His は、①と同じく、前回の最後(20ページ末尾から5-4行目)に出てきた Tom を指すのではないでしょうか? 次の he も最後の he も同様ではないでしょうか?
that は、「これから文が続く」ことを示し、the fact の内容を具体的に説明していると思われます。
her は(すべて)、①に出てきた one と同じもの、前回の最後(20ページ末尾から4行目)に出てきた (Tom Buchanan’s) mistress を指すのではないでしょうか?
①では、トムが情婦の存在を誇示していた?と言っているようでした……そんな有り様を当然?よく思わない人もいたのではないでしょうか?……②では、トムが情婦を連れて評判の良い料理店に姿を表し、その情婦を食事の席に残した状態で、その料理店の中を一人でぶらぶらと歩いてぐるりと回り、その料理店の中にいる人でトムが知っている人なら誰とでもおしゃべりをしていた、という事実にトムの知り合いが憤慨していたと、説明しているようです……そりゃそうでしょうねえ……どうしてそんなわざわざ人目につくようなことをしていたのか、不思議ですねえ……しかも、ただ食事をしに行っているのではなく、わざわざ料理店の中を歩き回って知り合いを見つけてはおしゃべりをしていたようです……なんだかまるで、妻以外に女がいることを自慢?でもしているつもりなのでしょうか……なんでしょうねえ……俺様はモテるとでも言いたいのでしょうか?……これじゃあ、妻のデイジーはまるで立場がない?……いったいトムはどういうつもりでこんなことをしているのでしょうねえ……不思議ですねえ……。
③ Though I was curious to see her, I had no desire to meet her — but I did.
「たしかに認めることがあるのだけど、それは「自分」が関心があったことで……何に関心があったかというと、トムの情婦を(何かの機会にでも)見かけることで……そうやって興味本位でトムの情婦を(何かの機会にでも)見かけることがあったらなと思っていたのはたしかだけれど、でも「自分」は、まったく望んではいなかった……トムの情婦に紹介されることは――そうやって「自分」はトムの情婦に紹介されることは望んでいなかったのだから、普通に考えれば、望んでいなかったことをしたはずはないと思われるだろうけれど、実際には違って、「自分」はトムの情婦に紹介された……」
her は(すべて)、②と同じく、①に出てきた one と同じもの、前回の最後(20ページ末尾から4行目)に出てきた (Tom Buchanan’s) mistress を指すのではないでしょうか?
meet は、be introduced to someone for the first time (誰かに初めて紹介される)という意味があるようです。
did は、meet her を指して言いかえているのではないでしょうか?
①と②では、トムが情婦をどんなふうに扱っているのかが説明されているようでした(隠すよりもむしろ見せびらかしている?)……そして③では、そんなふうにトムが見せびらかしている?らしい情婦に対して、「自分」がどう思っていたのかが説明されているようです……トムがそんなにあちこちで情婦を見せびらかしていたのであれば、「自分」がその情婦をどこかで見かけることがあっても全然不思議ではないかもしれません……そういう可能性をもしかしたら「自分」は考えたのでしょうか?……で、見かけることがあれば、くらいに思っていた?ようです……でも、積極的に会うことは望んでいなかった……まあ、妻のデイジーは「自分」の親戚ですし、普通に考えたら、そんなトムの女なんかと関わり合いになったら面倒なだけじゃないかと思うのが当然?でしょうか……だからまさかトムの情婦に紹介されるなどありえない選択肢だったのではないでしょうか?……それなのに、いったいどういう経緯でそうなったのか、「自分」はトムの情婦に紹介されたと言っているようです……またもや、「自分」は望まないのに、知りたくもない秘密を知らされてしまう……どうして……勘弁してくれよ……ともしかしたら思ったかも?しれません……で、「自分」がトムの女に紹介されてしまった――秘密を知らされてしまった――からこそ、読者も「自分」の目や経験を通して、その女について知ることができる?のではないでしょうか……。
④ I went up to New York with Tom on the train one afternoon, and when we stopped by the ashheaps he jumped to his feet and, taking hold of my elbow, literally forced me from the car.
「「自分」は(家から離れる方向へ)行った……上り方向に……ニューヨーク(都市圏)に向かって……トムと一緒に……電車で……ある(日の)午後……そうやって、「自分」がある(日の)午後トムと電車でニューヨーク(都市圏)に向かって上り方向に行き、それからあることが起きたときに……それは何が起きたときかというと、「自分」とトムの二人が(電車に乗っていて)停まったときで……どこにかというと、ある場所のそばで……それはどこかというと、例の灰が山積みになった所で……トムが飛び起きて、それから、捕らえながら……「自分」のひじを……実際に本当に強引に力づくで「自分」を、あるところから離れる方向に移動させた……それはどこからかというと、電車の車両だ……」
we は、(一緒に電車に乗っていた)「自分」と Tom の二人を指すのではないでしょうか?
the ashheaps は、ash(灰)と heaps (堆積したもの)で、灰が山積みになった状態を表すのではないでしょうか? ということは、前回と前々回(20ページ4行目など)出てきた the valley of ashes を指すのではないでしょうか?
he は、「自分」と一緒に電車に乗っていた、Tom を指すのではないでしょうか? his も同様ではないでしょうか?
③で「自分」は望まないのにトムの女に紹介されたと説明していたようでした……④では、その詳しい経緯を説明しているようです……どうやら、ある(日の)午後、「自分」はトムと電車に乗ってニューヨーク(都市圏)に出かけたようです……その途中で、前回と前々回説明のあった、あの灰の谷が見える場所で、電車が停まったのではないでしょうか?――前回の最後(20ページ末尾から6-4行目)では、そのせいでトムの情婦に初めて会ったと言っていました……で、灰の谷のそばで電車が停まった間に?トムが(機敏に?)飛び起きて、「自分」のひじを捕らえて、実際に本当に強引に力づくで「自分」を電車の車両から離れる方向に動かした?ようです……前にも Chapter 1(第15回 12ページ3-5行目)で、まるでチェスのコマでも動かすように「自分」をバラ色の空間から室外へと移動させたことがありました……そのときと同じ要領?……いや、「自分」はモノじゃないし……でもトムはおかまいなし……強引ですねえ……他人でも、俺様の思いどおりに動かすと決めたら動かすと……で、ここでも「自分」は抵抗もせず?逆らいもせず?流れに任せて?されるがまま?だったのではないでしょうか……ねえ……どうなんでしょう……。
⑤ “We’re getting off," he insisted. “I want you to meet my girl."
「『「自分」とトムは(電車を)下りる』とトムが迫った……『俺(様)はお前に会ってもらいたい……俺(様)の女(恋人)に……』」
We は、④に出てきた「自分」と Tom の二人を指すのではないでしょうか?
he は、④で「自分」を強引に電車から下りさせた、Tom を指すのではないでしょうか?
I は、トムのセリフのようなので、トムを指すのではないでしょうか?
you は、トムが話しかけている相手なので、ここでは「自分」を指すのではないでしょうか?
my も、トムのセリフのようなので、トムを指すのではないでしょうか?
④で、灰の谷のそばで電車が停まった間に、トムが「自分」を強引に電車から下りさせ、⑤のセリフを口にした?ようです……下りると……というより、ほとんど下りろと命令しているようなもの?……続けて、俺様の女に会ってもらいたいと、下りる理由を説明しているようです……なぜか「自分」に抵抗の余地はない?……トムはそれ以外の選択肢など考えもしない?……「自分」にも意思や感情があるってことに思いが至らない?……とにかく強引に押して押して押しまくる?という感じでしょうか……「自分」は、辛抱強いがゆえに、嫌だなとか不快だなとか、そういう感情が顔とか態度に表れないのでしょうか?……それとも、表れていても、普通の人なら気づきそうでも、トムは他人の気持ちなど興味がないから、全然まったく意に介さず気にならない?気づかない?のでしょうか……「自分」が気の毒なような……表立って露骨に抵抗したり嫌がったりしない?のでしょうねえ……だからトムもいい気になってますますやりたい放題?……どうなんでしょうねえ……。
⑥ I think he’d tanked up a good deal at luncheon, and his determination to have my company bordered on violence.
「「自分」が思うに、トムは腹を一杯にしていた……ずいぶん……昼食で……そうやってトムは昼食でずいぶん腹を一杯にしていたと「自分」が思うのは、ある事実があったからで……それは何かというと、トムの決意が……どんな決意かというと、ある状態にすることで……それはどんな状態かというと、「自分」の同伴・同席を実現した状態で……そんな決意はあるものに近似していた……それは何かというと、暴力・乱暴だ……」
he は、⑤と同じく、④で一緒に電車に乗っていた、Tom を指すのではないでしょうか? his も同様ではないでしょうか?
④⑤でトムの傍若無人な?様子を説明していたようでしたが……⑥では、さらに「自分」の推測も含めて詳しい説明を加えているようです……きっとトムは昼食でずいぶん腹一杯の状態にしていたんじゃないかと……どうしてそう思うのかというと、トムがなにがなんでも「自分」を同伴・同席させるという決意が、ほとんど暴力・乱暴に近いものになっていたからだと……お腹いっぱいだからエネルギーが有り余ったような状態だった?……変な言い方ですが、トムは気力体力ともに充実していて万全の状態で、午後の「自分」との外出に臨んでいた?のかもしれません……そして、よし、「自分」を恋人(情婦)に会わせるぞ、と張り切っていた?のかもしれません……その思いが、強い意志が、トムの場合は、「自分」に対して強引がすぎるあまり、ほとんど暴力・乱暴といってもいい形で出てしまった?のかもしれません……それで、「自分」にこんなことを言われてしまった?のではないでしょうか……相手の様子を見るとか、相手に合わせるとか、そういう考えは、もしかしたらトムの辞書にはない?かもしれない?でしょうか……でも考えてみたら、Chapter 1 で、そもそも「自分」を積極的に夕食に呼んだのは、トムのはず?のようでした……よし、俺様にも(デイジーとベイカー嬢に対抗するための)味方を……と張り切っていた?のかもしれません……ところが結局、俺様の思惑どおりには運ばず、予定が、計画が狂ってしまった?のかもしれません……で、この日の午後は、今度こそ!とまた気持ち新たに張り切って臨んで来ていた?のかもしれません……その強い思いが、もうゴリ押しのオンパレード?みたいになって?……とうとう「自分」に暴力・乱暴とまで言われるほどになってしまった?のでしょうか……だけど、Chapter 1 のトムの様子を見ていれば、④⑤⑥のトムもさもありなん…といったところでは?ないでしょうか……別の言い方をすれば、実にトムらしいとも?言えなくもないような?……だけど、周りは迷惑なことこの上ないでしょうが、本人はどうなんでしょう?……思い通りにいってさえすれば至極満足?でいるのでしょうか?……。
⑦ The supercilious assumption was that on Sunday afternoon I had nothing better to do.
「高慢な人を見下した想定が、これから言うことだった……日曜日の午後に、「自分」には何もないと……もっと適切なこと・ましなことが……やるべき……(トムと一緒に過ごすことと比べて)……」
今回の考えるヒントに上げた箇所が出てきました。
that は、「これから文が続く」ことを示し、The supercilious assumption の具体的な内容を説明していると思われます。 ④⑤のトムのやり方、そして⑥で「自分」の使っていた言葉を借りれば、ほとんど violence 暴力・乱暴に近いゴリ押し?を踏まえた上で、どうやらトムは、高慢にも「自分」を見下した想定をしているようだと、「自分」はトムの有り様を皮肉っているのではないでしょうか?……じゃあ、トムはどんな想定をしているのじゃないかと「自分」は思っているのか――日曜日の午後に、「自分」には、トムと一緒に過ごすことと比べて、もっと適切な・ましなやるべきことが何もないと――トムはどうもそう思っているのじゃないか……ということは、裏を返せば、どういうことになるでしょうか?……「自分」には、トムと一緒に過ごすよりも、もっと適切な・有意義な・ましなやるべきことが他にあるのに…ということじゃないでしょうか?……。
⑥で、トムの「自分」に対する押しの強さ?がもうほとんど暴力・乱暴といってもいいほどじゃないかと、「自分」は説明していたようでした……トムがそこまでする、というよりできるのは、きっと高慢にも、「自分」には日曜の午後にやることがないのだと、トムと一緒に過ごすのが一番良いなどと思い上がった考えをトムが持っているからにちがいないと、「自分」は言っているようです……要は、トムに対して、何様のつもりだよ、と批判している?のではないでしょうか……もしかしたら、「自分」は、Chapter 1 の一番最初にみたように、やっぱり父親の忠告を守りたいのか、父親の忠告を守っているうちに何をされても逆らわない習性?でもできてしまったのか、どうしてなのかわかりませんが、とにかく④⑤⑥と、拒否・拒絶するという意志を言葉や態度・行動で示してもいいのではないかという状況でも、何もせず何も言わず、という状態で通している?ようです……ただ、そうしながらも、内心は不満がある?だけどそれを言葉にできない?態度や行動で表せない?……だからこの⑦で皮肉って、「自分」なりに精一杯抵抗する気持ちや意志を示している?……そんな解釈もできる?でしょうか……表面上は、「自分」は黙ってトムに付き合っている(付き従っている?)……だけど、内心ではこんな強烈な?皮肉をトムに向かってぶつけている?……もしかしたら、他の人ならともかく、あくまでもトムの場合は、そうした不満を表に出したところで、トムがまったく意に介さないから、それで「自分」はあきらめている?のか無駄な抵抗はしない?のか……案外、これが一番賢明な対応かも?しれない?……。
⑧ I followed him over a low whitewashed railroad fence, and we walked back a hundred yards along the road under Doctor Eckleburg’s persistent stare.
「「自分」は同行・随行した……トムに……あるものを越えて……それは何かというと、低い水性白色塗料の塗られた鉄道の柵を……そうやってその鉄道の柵を越えた後、「自分」とトムは歩いて戻った……百ヤード(約百メートル)……あるものに沿って……それは車道で……あるものを受けた状態で……それはドクター(先生)と呼ばれるエッケルバーグの執拗な凝視だ……」
him は、④⑤と一緒にいた Tom を指すのではないでしょうか?
we は、「自分」と Tom の二人を指すのではないでしょうか?
the road は、第29回(20ページ1-4行目)で説明のあった、線路と交わり、線路のそばにのびる"車道"を指すのではないでしょうか?
④⑤で電車を下りた後、どうしたのかを説明しているようです……「自分」はおそらく黙って?トムに同行・随行したようです……で、普通なら電車を下りてホームから駅の改札に向かいそうなところですが……ところが、どうもここには駅はない?のでしょうか?……灰の谷が見える場所で電車が停まったから下りた……だけど、駅のない?場所だから、ホームも改札もない?……で、どうやら鉄道の柵を越えたらしい?……なんとまあ……トムは電車の乗り降りもやりたい放題?なのでしょうか……本当に何もかも俺様の思うがまま?……で、鉄道の柵を越えたら、たぶん、その線路のそばを通っている車道があったのではないでしょうか?……で、その車道に沿って、たぶん元来た方向つまり西島の方に向かって?歩いたのではないでしょうか?(④でニューヨーク都市圏に向かう上り電車に乗ったと説明していたようでしたから……)……で、そうやってその車道に沿って歩いている間、(たぶん)ずっと、灰の谷の監督?監視?役?らしいドクター(先生)と呼ばれる人が辺りにに向けている監督?監視?の目をじーっと受け続けていた?のではないでしょうか……そりゃまあ、じろじろ見られても不思議はないような気もします……だって、駅がないのに電車から人が下りてきたら普通はおかしな目で見られても当然?のような気がしませんか?……加えて、そのドクター(先生)と呼ばれている人は、おそらく仕事が監督?監視?の目を向けること?らしいので、余計に何か異変があれば?そちらに目を向けるのは当然?にも思われませんか?……トムはもしかしたらこれまた気にならなかったのかもしれませんが、「自分」は、そのドクター(先生)と呼ばれている人にじーっと見られて、どんな気分だったでしょうねえ……普通の人は、駅のないところで下りて、鉄道の柵を越えるだけでも、平気ではない?少なくとも平常心などではない?……それなのに、通称?灰の谷と呼ばれるごみ捨て場の監督?監視?役?らしき人に、誰もが気づくような特徴的な大きなメガネに大きな目で、じーっと見られたら、どんな気分になるでしょうか?……居心地悪くないでしょうか?……なんだか落ち着かない……何も悪いことなどしていなかったとしても、早くどこかに逃げ出したいような気持ちになったり?しないでしょうか?……でも、良識ある常識人の「自分」の気持ちなど、"俺様が一番偉い""何でも思うがまま"のトムにはわからない…のではないでしょうか?……。
⑨ The only building in sight was a small block of yellow brick sitting on the edge of the waste land, a sort of compact Main Street ministering to it, and contiguous to absolutely nothing.
「唯一の建物が……見えるところにあるもので……小さなひと棟の(ひと続きになった)建築物だった……黄色いレンガでできた……どの位置にあったかというと、縁・はずれで……どこのかというと、ごみ捨て場で……一種の小型の・コンパクトな目抜き通り(みたいなもの)で、世話をし貢献している……そのごみ捨て場に……そうやって(その建築物は)ごみ捨て場の縁・はずれの位置にあり、なおかつ、隣接するものが、まったく何もなかった……」
a sort of compact Main Street は、a small block of yellow brick がどのようなものなのか、別の言い方で表しているのではないでしょうか?
it は、the waste land を指しているのではないでしょうか?
a small block of yellow brick は、sitting on the edge of the waste land, …… and contiguous to absolutely nothing (ごみ捨て場の縁・はずれの位置にあり、なおかつ、隣接するものがまったく何もなかった)で、その位置関係が説明されているのではないでしょうか?
⑧でドクター(先生)と呼ばれる人の監督?監視?の目をじーっと浴びながら?なんともいたたまれない思い?をしながら、約百メートル歩いていくと、見えてきたものがあったようです……その建物について、⑨で説明しているようです……見えるところにある建物は一つしかなかったようです……小さなひと続きになったひと棟の建築物で、黄色いレンガでできていたようです……その位置は、ごみ捨て場の縁・はずれにあったようです……いわば小さな目抜き通り?つまりお店が並んでいた?ような所だったようです……その建物に隣接するものは何もなかったようです……要は、ごみ捨て場のはずれに、お店があったのではないでしょうか?……そのお店が集まった建物が一つあったのではないでしょうか?……通称灰の谷が見える場所で電車を下りて鉄道の柵を越え、電車から見えた灰の谷と呼ばれるごみ捨て場のそばを歩いていくと、そのごみ捨て場のはずれにある、お店が集まっているらしい建物が見えてきた、ということのようです……ごみ捨て場のすぐそばにあるお店……何のお店でしょうねえ……そのお店は、ごみ捨て場の役に立っている?ようです……。
⑩ One of the three shops it contained was for rent and another was an all-night restaurant, approached by a trail of ashes; the third was a garage — Repairs. GEORGE B. WILSON. Cars bought and sold. — and I followed Tom inside.
「一つは……全部で三軒の店がある中で……その小さなひと棟の(ひと続きになった)建築物が入れていた・含んでいた……貸しテナント募集中で……次に、別の一つは、夜通し営業する料理店で……その料理店に通じていた……何がかというと、灰の跡が……そして最後の三つ目は、自動車修理工場・ガソリンスタンドだった――修理 ジョージ・B・ウィルソン 自動車売買――(という表示があった……)そうやって三軒の店があり、その三軒目の店に、「自分」は同行・随行した……トムに……中へと入り……」
it は、⑨に出てきた a small block of yellow brick を指すのではないでしょうか?
⑨で見えてきた建物に入っているお店の説明をしているようです……全部で三軒あったようです……一軒はどうやら使われていない?ようです……二軒目?は料理店のようです……そして三軒目?が自動車修理工場・ガソリンスタンドのようです……⑨でごみ捨て場の役に立っていると説明されていたようでしたが、料理店は食事が必要だから?ということでしょうか……自動車修理工場・ガソリンスタンドの方は、ごみ捨て場の中を列になって車が動いたりしていたようでしたから、その車のために必要?ということでしょうか……三軒のうち一軒が使われていないのは、それ以上他にお店が必要ない?からかもしれません……この近辺には、どうも灰の谷と呼ばれるごみ捨て場しかなさそうでしたから(第29回 20ページ3-4行目で、a certain desolate area of land (荒涼とした住む人がいない人気のない)という説明がありました……)……で、その使われているらしい二軒のお店のうち、どうやら三軒目の自動車修理工場・ガソリンスタンドの方に、「自分」とトムは入っていった?ようです……前回の最後に、灰の谷が見える場所で電車が停まるせいで、「自分」はトムの情婦に初めて会った、と説明していたようでした……そうすると、今回の流れで行くと、その三軒目の自動車修理工場・ガソリンスタンドに?トムの女がいる?のでしょうか?……ええっ⁉……"死"を強く想い起こさせる場所のすぐそばにあるお店にいる?女……まさか⁉……ウソでしょ⁉……ホントに⁉……。
おつかれさまでした。どうでしたか?
やっぱり、トムはどこまでもトムですねえ……マイペースで……それも他人を巻き込んで迷惑な……でも、トムにしてみれば、もうただただ、(妻のデイジーに対して)不利な形勢をなんとか立て直さねばと焦る気持ちでいっぱいだった?のでしょうか……この前(の夕食のとき)はデイジーにしてやられた感があったから、だから今度こそは!と……だけど、トムは何を考えているのでしょうねえ……どうして「自分」にトムの情婦に会ってもらいたいと思ったのでしょうか?……会ってもらえばトムの味方になってもらえると思った?のでしょうか……どうして会ってもらったら味方になってもらえるのでしょうか?……普通に考えたらそういうことにはならない?ような……トムはこう…やっぱりなんだかこう…体(腕力)で押すばかりで、頭を使って考えるとか心で感じて思いをはせるとか、そういう部分がほとんど欠落している?ような?……トムの思いを通すことしかなくて、しかもそのやり方もただただ強引に押し通すばかり?という感じで……で、そんなだから、誰にもトムの味方になってもらえない?のでは?……案外、トムって孤独?……だから、心に満たされない思いを抱えている?……心が空虚だけど、どうやったらそれを解決できるのかわからない?……わからないから、なんでもいいから気を紛らわせてごまかしてやり過ごす?……でも根本的な解決にはならないので、悪循環の堂々巡り状態?……妻のデイジーの思いを汲んで、デイジーの嫌がることをやめれば、デイジーに味方になってもらえて、トムにも寄り添ってもらえるかもしれない?のに……トムのやってることは結局、自らの首を自ら締めているようなもの?……どう思われますか?
さて、今回の考えるヒントに上げたお題 「21ページ8-10行目 The supercilious assumption was that on Sunday afternoon I had nothing better to do. とはどういうことを言っているのか」 ですが……⑦で説明したとおりです。この程度の皮肉は言いたくなって当然?……Chapter 1(第6回)で、「自分」は債券を扱う仕事を始めようと、本も買い込んで張り切っていたようでした……だから、平日土日を問わず、いろんな勉強でも忙しかったのではないでしょうか?……一方、トムの方は、悠々自適の毎日で、優雅にポロ競技で遊んで?暮らしている毎日……トム自身が大したことしてなくて、大した毎日を送っていないから、他の人もトム自身と同じようなものだろうと、その程度の発想しか浮かばない?……トム自身に大してやることがないから、他の人は違うことがわからない?……だから平気で、「自分」の都合などおかまいなしに、上から目線で、日曜の午後、俺に付き合え、みたいな勝手な要求を押し通せる?のでしょうか……なんでしょうねえ……(ドラえもんの)ジャイアンのイメージとか、近いでしょうか?……。
次回は、登場人物が増えるようです……いよいよ、トムの女も?……ぜひまた一緒にみていってください。
第32回の範囲は21ページ21行目から22ページ9行目まで(The interior was unprosperous 〜から、of her body were continually smouldering.まで)をみていきます。
次回の考えるヒントは……
- 21ページ末尾から17-15行目 It had occurred to me that this shadow of a garage must be a blind, and that sumptuous and romantic apartments were concealed overhead, とはどういうことを言っているのか
“死"を強く想い起こさせる場所のすぐそばにあるお店……どんなところなのでしょうか?……ぜひまた一緒に読んでみてください。
最後に、物語を読むときに心にとめたいポイントをまとめます。
・どうして作者はその言葉を使用したのか
・それぞれの登場人物に作者はどんな役割を割り当てているのか
・それぞれの登場人物のセリフや物語の展開を通じて作者は何を言おうとしているのか
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なお、今回の範囲の訳文を有料(700円)で掲載いたします。この連載はだいたい250回くらいになる予定なので、毎回訳文を購読いただいた場合には30回で2万円を超え、トータルでは18万円近くになることをご承知おきください。またいかなる場合も返金には応じられません。また購読いただいた訳文にご満足いただけるとは限らないことをあらかじめご承知おきください。なお、問い合わせなどはご遠慮ください。お断りいたします。