Gatsby-25

このサイトは、英語で書かれた物語を一作品、最初から最後まで少しずつ読んでみようという試みです。

取り上げる作品は『The Great Gatsby』です。100年近く前に米国で出版された小説ですが、現代の日本人にも共感したり心を動かされるところが多々あると思います。

ぜひ一緒に、英語の原書を読んでみませんか。

(なお、このコンテンツはその著作者の解釈に基づくものであり、必ずしも正しいとは限らないことをご承知おきください。)

 

前回まで……デイジーのつらさに寄り添おうと、「自分」が真剣に話を聞いていたら、あらら……デイジーが豹変ひょうへん?本性を表した?……なんだ、トムとまるっきり一緒じゃないか……と「自分」が思ったかどうかはわかりませんが、裏切られたような思いを味あわされたのは間違いない?ようです……結局、デイジーは自慢したかっただけかよ……と思ったかどうかもわかりませんが、「自分」は何も言い返さず?何もせず?ただ無言で聞き流した?のでしょうか……例のごとく、やっぱり打ち明け話ってのは当てにならない……そんなことを?もしかしたら思っていた?かもしれません……。

さて、デイジーも「自分」にあてつけて?満足した?ので、二人で邸宅内に戻り、トムとベイカー嬢に合流するようです……さっそくみていきましょう。

 

原文はOne More Libraryの『The Great Gatsby』を使用します。

第25回の範囲は16ページ末尾から4行目から17ページ末尾から20行目まで(Inside, the crimson room 〜から、I had forgotten long ago.まで)をみていきます。

まず、今回の考えるヒントを上げます。

  • 17ページ9-10行目 Her body asserted itself with a restless movement of her knee, とはどういうことを言っているのか

 

なお、特に断っていなければ、基本的に次に上げる辞書の訳語や定義・意味に基づいて説明します。

主に使用する辞書

『リーダーズ英和中辞典(第2版)』(野村恵造)(研究社 2017)

『Pocket Oxford English Dictionary (Eleventh Edition)』(Maurice Waite) (Oxford University Press 2013)

『岩波国語辞典(第七版新版)』(西尾実 岩淵悦太郎 水谷静夫)(岩波書店 2017)

 

それでは今回の範囲をみていきましょう。

① Inside, the crimson room bloomed with light.

「邸宅の中で、深紅色の部屋が輝いていた……明かりで……」

crimson というのは、えんじ色のような濃い赤色のようです。

前回はデイジーの不条理で不合理なあてつけ?で終わっていたようでしたが、さてガラリと場面が変わって、「自分」とデイジーは屋内に入ったようです……深紅色の部屋があったようです……というより、明かりで照らされた部屋の様子が深紅色に見えた?のではないでしょうか……たしか、第22回(15ページ末尾から9行目)では、トムとベイカー嬢は the library 本がたくさん?置いてあるらしい書斎?のような部屋に入っていったと説明されていたように思いますが……。

 

② Tom and Miss Baker sat at either end of the long couch and she read aloud to him from the SATURDAY EVENING POST, — the words, murmurous and uninflected, running together in a soothing tune.

「トムとベイカー嬢は座っていた……長いソファの両端に(それぞれ)……そうやって長いソファの両端にそれぞれトムとベイカー嬢が座っている状態で、ベイカー嬢の方が声に出して読んでやっていた……トムに向かって……サタデーイーブニングポスト誌の(記事の)中から……ベイカー嬢がサタデーイーブニングポスト誌の記事をトムに読んでやっていたときの言葉は、ぶつぶつとつぶやくような、なおかつ抑揚のない読み方で、そのような読み方で読まれる言葉が混ざり合って一つになり感情を静めるふしのようになっていた……」

she は、Miss Baker を指すのではないでしょうか?

him は、Tom を指すのではないでしょうか?

①で明かりのついた深紅色の部屋に入ってみると、そこにあった長いソファーの両端にそれぞれ、トムとベイカー嬢が座っていたようです……そして、ベイカー嬢の方がトムに雑誌?の記事を読んで聞かせてやっていたようです……そうやって読んでいる言葉を聞いていると?ぶつぶつとつぶやくような、なおかつ抑揚のない読み方で、それらの言葉が混ざり合って一つのふし?歌?のようになっていたと……それも感情をなだめる?高ぶった感情を静める?ような節に聞こえたようです……ベイカー嬢がトムのおもり?をしている?……子守り唄?……ねんねんころりよおころりよ?……トムは小さい子どもか……。

 

③ The lamp-light, bright on his boots and dull on the autumn-leaf yellow of her hair, glinted along the paper as she turned a page with a flutter of slender muscles in her arms.

「照明の明かりが明るく輝き照らし出していたのは、トムのブーツ(の革の表面)で(テカテカ光っていた)、そうやって照明の明かりが明るく輝き照らし出していたのはトムのブーツだった一方で、同時に照明の明かりが届きにくく暗い影のように見えた部分には、秋に黄色く色づいた葉を思わせるような黄色いベイカー嬢の髪が見えた……その照明の明かりはキラキラと光っていた……サタデーイーブニングポスト誌の(外側の)表面(全体)で……ベイカー嬢がサタデーイーブニングポスト誌のページをめくるときに……そうやってベイカー嬢がサタデーイーブニングポスト誌のベージをめくるときに少し揺れて動くものがあったのだけど、それはベイカー嬢の両腕にあるほっそりとした細長い筋肉だった……」

his は、②で出てきた Tom を指すのではないでしょうか? 第9回(8ページ末尾から12-11行目)で「自分」を出迎えに出て来ていたときにも、第21回(15ページ5行目)でベランダに戻ってきたときにも、トムは革のブーツを履いていたのではないでしょうか?

her と she はすべて、②で出てきたベイカー嬢を指すのではないでしょうか?

the paper は、②で出てきた the Saturday Evening Post を指すのではないでしょうか?

①で深紅色の部屋に入り、まず「自分」の目についたのは、②のソファの両端にそれぞれ座っているトムとベイカー嬢のようでした……次にベイカー嬢が雑誌?の記事を読んでやっている声に気づいたようです……そして③で、その部屋の照明に目がとまり、次に照明の明かりで照らし出されて光っているトムのブーツが目につき、それから照明の明かりが届かず暗い影のようになった部分にあるベイカー嬢の髪に目がとまったようです……暗く影になったような中で、ベイカー嬢の髪は秋に黄色く色づく葉の黄色い色に見えたようです……そこまで見てから、今度はベイカー嬢が手にしているであろう雑誌?の外側の表面?に照明があたってキラキラと(反射して?)光っているのが見えたようです……そうやって雑誌の外側の表面がキラキラと光るのは、ベイカー嬢が雑誌のページをめくったタイミングだったようです……雑誌の外側の表面に照明の光が当たる角度によって、キラキラと反射して光る?のでしょうか……で、キラキラ光る雑誌に導かれるように?雑誌のベージをめくるベイカー嬢の両腕に?目がいった?……そしてその両腕にあるほっそりとした細長い筋肉がいくつも少し揺れて動いているのが目についた?……雑誌を読んでもらっているトムの方が明るいところにいて、雑誌を読んでやっているベイカー嬢の方が暗いところにいた?のでしょうか……それにしても、ベイカー嬢の髪を描写している表現がきれいじゃないですか?……なんとなく、「自分」の思い?を感じたりしませんか?……それに、ベイカー嬢のずいぶん細かいところまで、「自分」はよく気づいて?観察している?ようにも思えませんか?……ベイカー嬢の一挙手一投足から目が離せない?……目がいってしまう?……気になって見ずにはいられない?……「自分」完全に?はまってませんか?……ベイカー嬢に……どう思われますか?……。

 

④ When we came in she held us silent for a moment with a lifted hand.

「デイジーと「自分」が(その深紅色の部屋に)入っていったとき、ベイカー嬢がデイジーと「自分」を黙っている状態に維持した……少しの間……持ち上げた片手を使って……」

we と us は、前回ベランダで話した後、①でどうやら屋内に入ったらしい、デイジーと「自分」を指すのではないでしょうか?

she は、③と同じく、②で出てきた Miss Baker を指すのではないでしょうか?

①②③では、屋内に入ってから「自分」が見たり聞いたりしたところを説明しているようでした……そして今度は、屋内に戻ったデイジーと「自分」が、トムとベイカー嬢のいる部屋に入っていったときに、何があったのかを説明しているようです……デイジーと「自分」が入ってきたことに気づいたらしいベイカー嬢が、片手を上げて、デイジーと「自分」に黙っているようにと身振りで?伝えた…というより指図?したのではないでしょうか……おそらく、黙らせておきたい間ずっと、片手を上げたままで……どうして黙らせたかったのでしょうか?……トムに雑誌の記事を読んでやっているからではないでしょうか?……たぶん、キリのいいところまで読もうと思った?のではないでしょうか……今、読んでる最中だから黙ってて…みたいな感じで……。

 

⑤ “To be continued," she said, tossing the magazine on the table, “in our very next issue."

「『続きは』とベイカー嬢が言った……放り投げた雑誌をテーブルの上に置いた……『本雑誌のまさしく次号で』」

she は、③④と同じく、②で出てきた Miss Baker を指すのではないでしょうか?

the magazine は、②で出てきた the Saturday Evening Post を指すのではないでしょうか?

our は、the Saturday Evening Post の雑誌が、読者に親しみを込めたニュアンスで、ぜひまた読んでほしいという思いも込めて使われているのではないでしょうか?

部屋に入ってきたデイジーと「自分」に、④で黙っているようにと身振りで指図?して、おそらくキリのいいところまで読んでから、⑤で、続きは次号で、とベイカー嬢が宣言?したようです……そう言いながら、手にしていた雑誌を、おそらくソファのそばにあったテーブルの上にぽんと放り投げたようです……読み聞かせの時間はこれでおしまい?…といった感じ?でしょうか……。

 

⑥ Her body asserted itself with a restless movement of her knee, and she stood up.

「ベイカー嬢の体が堂々と力強い動きを見せた……ベイカー嬢の膝を動かし続ける動作をして……そうした動作と動きを見せた後で、ベイカー嬢は立ち上がった……」

今回の考えるヒントに上げた箇所が出てきました。

Her と she はすべて、③④⑤と同じく、②で出てきた Miss Baker を指すのではないでしょうか?

itself は、Her body を指しているのではないでしょうか?

assert yourself = behave in a confident and forceful way という意味があるようです……ここでは、itself ですが、ベイカー嬢の体が、それまでソファに沈み込んでいた?のが、⑤で読み聞かせ?が終了したので、動き出した様子を、asserted itself という表現で表しているのではないでしょうか?……その様子は、堂々としていて、力強さを見ている「自分」に感じさせたのではないでしょうか?……そして、restless はとにかく動かし続けていた様子を表しているのではないでしょうか?……knee は、膝上と膝下をつなげている間の部分も指しますが、座った姿勢の場合は、ももの部分を指して使うようです……そうすると、おそらく相当長い時間?ソファに座りっぱなしだった?可能性があるとしたら、立ち上がる前に、ももの部分を左右交互に?上げたり下げたりして?何度も動かす?ような動作でもしたのでしょうか?……つまり、座ったままの状態で足踏みでもしている?ような……そうやって、体を?足腰を?ほぐした?……で、固まった体と足腰をほぐしてから、立ち上がった?……そういう姿や様子を⑥は表している?のではないでしょうか……

⑤で読み聞かせ?にひと区切りつけたベイカー嬢は、これでお役御免ごめん?という気持ちで?⑥で堂々と力強さを感じさせる様子でソファにもたれかかった姿勢から起き上がった?……そして座ったまま左右の足を交互に上げたり下げたりして動かしてから立ち上がった?ようです……「自分」よく観察?していると思いませんか?……それにしても、「自分」の目から見たベイカー嬢の姿を描写する言葉や表現がしゃれている?というか凝っている?というか、なにか「自分」の特別な思いを感じさせる?ものがある?でしょうか……。

 

⑦ “Ten o’clock," she remarked, apparently finding the time on the ceiling. “Time for this good girl to go to bed."

「『十時だ』という言葉をベイカー嬢が口にした……その姿ははたからから見ていると、目に入って気づいた時刻の表示が天井にあったかのようだった……『時間だ……この良い子が床に入る……』」

she は、③④⑤⑥と同じく、②に出てきた Miss Baker を指しているのではないでしょうか?

this good girl というのは、そのセリフを口にしているベイカー嬢自身を指すのではないでしょうか?

⑥で立ち上がったベイカー嬢が、⑦で、十時だから、もう寝る、と言っているようです……で、そういったときの様子が、天井を見上げて言ったのではないでしょうか?……天井に時計があるわけないので、天井を見ても時刻がわかるはずはないのに、「自分」が見たベイカー嬢の姿は、天井に表示された時刻を見て、十時だと言ったように見えたようです……で、十時といえば、ベイカー嬢のような良い子はもう寝る時間だと……要は、ベイカー嬢はこの晩のささやかなうたげ?を辞する?と言っているのではないでしょうか?……私は今晩はこれで失礼いたしますと……やすませていただきますと……トムのおもりも、デイジーの付き添いも、今日はここまでと……ベイカー嬢の方から切り出している?ようです……こういうところは、しっかりと自分を持っている?きちんと自分を律する?という印象も?……。

 

⑧ “Jordan’s going to play in the tournament to-morrow," explained Daisy, “over at Westchester."

「『ジョーダンは予定があって……トーナメント(競技)に出ることになっている……明日……』と説明したデイジーが続けて……『遠方のウェストチェスターで……』(と言った)……」

Jordan というのは、⑥までしゃべっていたベイカー嬢を指すのではないでしょうか? たしか第12回(10ページ7-8行目)で名字はベイカーというと教えてもらっていたようですが、名前の方はずっと伏せたまま?のようでした……で、デイジーはベイカー嬢のことをジョーダンという名前で呼んでいるようです……。

to-morrow は、第13回(10ページ末尾から7行目)にもデイジーのセリフで出てきましたが、tomorrow のことを、to-で間をおくというか伸ばすというか、デイジーにそういう言い方の癖?でもあるのでしょうか?……それとも、1925年のこの物語の出版当時、そういう言い方がよくされていたのか?……。

Westchester は、ニューヨーク市の北東の方角にある、ニューヨーク州の南東部にある郊外の郡を指すようです(CASIO電子辞書XD-Y20000に入っているオックスフォード米語辞典を参照)。

⑦でベイカー嬢が、私はもう寝ると暇乞いとまごい?したのを受けて、デイジーがフォローしている?ようです……明日トーナメント競技に出る予定になっているから、十時に寝る必要があるのだと……その競技が行われるのは遠方にあるウェストチェスター郡のようです……競技会場は遠いし、競技に備えて早く寝る必要があるのだと、デイジーはベイカー嬢に代わって、そう説明している…言い訳している?のではないでしょうか?……それにしても、何の競技?でしょうか……ここでも作者は引っぱりますねえ……もったいつけますねえ……でも、その方が読者は楽しい?でしょうか……。

 

⑨ “Oh — you’re Jordan BAKER."

「あっ、あなたはジョーダン・ベイカーだ」

you は、セリフの中で BAKER という名字が出ているのですから、ベイカー嬢以外には考えられない――ベイカー嬢を指すと思われます。

さて、⑨のセリフ、いったい誰が口にした言葉でしょうか?……トムもデイジーも当然、ベイカー嬢のことはよく知っているはず……ということは、「自分」しかいません……⑧のデイジーの言葉で、ジョーダンという名前とトーナメント競技に出るという話を聞いて、「自分」は、ベイカー嬢が誰なのかわかった?ようです……そういえば、第15回(11ページ末尾から6行目)で、「自分」はベイカー嬢の顔に見覚えがあるようなことを言っていたようです……ということは、⑧のデイジーの言葉で、なんか見覚えがあるような気がすると思っていた、その心当たりに気づいた?ということではないでしょうか?……フルネームとトーナメント競技という情報で、「自分」の記憶と合致した?のではないでしょうか?……⑧のデイジーの言葉を聞くまでは、第12回でベイカーという名字を教えてもらってから、デイジーに教えてもらったベイカー嬢という認識で、ベイカーという名字を認識していたのではないでしょうか?……それが、⑧のデイジーの言葉で、「自分」の記憶がよみがえり?ベイカーという名字が、デイジーに教えてもらったベイカー嬢という認識ではなくて、「自分」が前から知っていたベイカーという名字の人物という認識で BAKER という名字を口にしているのではないでしょうか?……だから、そういう気持ち?を込めて、BAKER がすべて大文字で表されて強調されているのではないでしょうか?……。

 

⑩ I knew now why her face was familiar — its pleasing contemptuous expression had looked out at me from many rotogravure pictures of the sporting life at Asheville and Hot Springs and Palm Beach.

「「自分」が今わかったことがあるのだけど……それはなぜベイカー嬢の顔が見覚えのあるものだったのかという理由で――ベイカー嬢の顔に表れた好ましいけれど人をバカにしたような表情が、目線を向けていた……対象の方へと向かって……「自分」の方に……その表情がどこにあったかというと、数多くの(輪転)グラビア印刷雑誌の写真で……そうした写真の背景はスポーツをしている光景で……具体的な場所で言えば、アッシュビルとホットスプリングズとパームビーチだった……」

her は、⑨のセリフに出てきた Jordan BAKER、つまりベイカー嬢を指すのではないでしょうか?

its は、直近の her face を指すのではないでしょうか?

rotogravure という語は photogravure とほぼ同じ意味を表すようです……グラビアという印刷法の一種のようで、写真に適しているようです。

Asheville は、ノースカロライナ州にある市のようです……国立公園があったり、自然豊かなところ?なのでしょうか……(CASIO電子辞書XD-Y20000に入っているリーダーズ・プラスを参照)。

Hot Springs は、アーカンサス州にある市か……ここも国立公園があり、やはり自然豊かなところ?なのでしょうか……、またはバージニア州にある町か……保養地のようです……(CASIO電子辞書XD-Y20000に入っているリーダーズ・プラス/リーダーズ英和辞典を参照)。

Palm Beach は、フロリダ州にある町のようです……避寒地のようです……(CASIO電子辞書XD-Y20000に入っているリーダーズ英和辞典を参照)。

⑨で「自分」の記憶がよみがえった?ようでした……で、⑩で、ベイカー嬢の顔に見覚えがあった理由を説明しているようです……まずベイカー嬢に特徴的な?表情でしょうか?……好ましいけど人をバカにしたような表情を上げています……その表情に「自分」は見覚えがあったのではないでしょうか?……で、その表情をした顔にある目が、自分の方に目線を向けていた、という記憶があるようです……どうしてか?……その顔があったのが、数多くのグラビア印刷雑誌の写真だったからだと……要は、雑誌に載っていたベイカー嬢の写真を何枚も見たことがあった、ということではないでしょうか?……で、そのベイカー嬢の顔が映っていた写真の背景は、スポーツをしている光景だったようです……しかも、その具体的な場所まで上げられていて……どこもどうも自然豊かなところ?ばかりのような印象?を受けるでしょうか……何の競技なのか、教えませんねえ……引っぱりますねえ……それにしても、雑誌に載る、しかも顔写真が載る…それも何枚も何枚も?……それって、有名人?……あら?そういえば、トムも全国的に名を知られたアメフトの名選手?のようでした(過去の栄光であっても……)……で、ベイカー嬢も何らかのスポーツの有名な選手?……少なくともスポーツ競技を取り上げるグラビア印刷雑誌に写真がたくさん載るような選手?のようです……写真の顔は、印象は悪くないけど人を上から見下みくだしたような表情?……として、「自分」はベイカー嬢を記憶していたようです……。

 

⑪ I had heard some story of her too, a critical unpleasant story, but what it was I had forgotten long ago.

「「自分」は聞いたことがあったことがあるのだけど……それは、具体的には思い出せずわからなくて漠然としているけどベイカー嬢にまつわる何らかの逸話で……だからベイカー嬢の写真を見たことがあっただけでなく、ベイカー嬢の逸話も何か聞いたことがあったのだけど……その逸話というのが酷評する内容の不愉快な話で……ベイカー嬢の逸話が酷評する内容の不愉快な話だというところまで思い出せたのだから、その詳しい内容も思い出せそうに思われそうだけれど、実際には違って、具体的にどんな内容のベイカー嬢の逸話だったかということは、「自分」は忘れてしまっていた……ずいぶん前に……」

her は、⑩と同じく、⑨に出てきた Jordan BAKER、つまりベイカー嬢を指すのではないでしょうか?

what は、具体的な内容・詳細を表しているのではないでしょうか? 本来 it was の後に来るはずなのが前に出ているようです。

it は、some story of her と、これと同じものを表している直近の a critical unpleasant story の両方を指すのではないでしょうか?

what it was は、本来 I had forgotten の後に来るはずなのが前に出ているのではないでしょうか?

⑩でまず、見覚えのあるベイカー嬢の顔は、写真で見た顔なのだと思い出したようです……そして⑪では、写真だけじゃない、ベイカー嬢にまつわる逸話も聞いたことあるぞ、と思い出したようです……なんだか酷評されてたような……気持ちのいい話ではなかったような……でも具体的には思い出せないや……そんなことはもうとっくの昔に忘れちゃってるや……ということのようです……「自分」には記憶や印象に残らない逸話だったようですが、でもベイカー嬢は、一般人の「自分」の耳にまで届くような形で逸話が人の口にのぼるほどの人物?ということでしょうか……しかも、ありていにいえば、悪口を言われていたということじゃないでしょうか?……なんか悪口言われてたような気がするけど、でもどんな悪口だったかは思い出せない……そういうことじゃないでしょうか?……案外ちょっと知ってる程度の有名人って、実際に会ってもこんなふうに気づかないものなんでしょうか……「自分」の場合は、雑誌の写真で見たベイカー嬢にはそれほど興味をそそられていなかった?ような印象を受けませんか?……でも、第11回で初めて会ったベイカー嬢にはひと目で心を惹かれて?いなかったでしょうか?……雑誌で見た有名人のベイカー嬢にはたいして興味を引かれなかったけど、実際に会ったベイカー嬢には「自分」の心をつかんで離さない魅力があった?……それとも、出会いのシチュエーションとかもあったのでしょうか?……なんだか幻想的な?非現実的な?不思議な雰囲気?空気感?に惑わされた?可能性も?……まあ、なんにしても、結果は一緒?でしょうか……。

 

おつかれさまでした。どうでしたか?

ところで、ベイカー嬢が何のスポーツ競技の選手なのか、わからないままですねえ……当時の(それに現代の?)米国の人が聞けば、Asheville、Hot Springs、Palm Beach といえば、あのスポーツ競技だ、というようにわかるのでしょうか?……それとも、当時の(それに現代の)米国の人でも、これらの地名を聞いたからといって、何のスポーツ競技か見当がつくわけではないのでしょうか?……もし後者だとしたら、作者はあえてベイカー嬢に謎の部分を残して、読者にいろいろ想像を巡らせたいのか……楽しんでもらいたいという作者の気持ち?なのでしょうか……。

さて、今回の考えるヒントに上げたお題 「17ページ9-10行目 Her body asserted itself with a restless movement of her knee, とはどういうことを言っているのか」 ですが……⑥で説明したとおりです。第14回(11ページ17-18行目)や第15回(11ページ末尾から11-9行目)で見たように、姿勢が良かったり、キビキビとした動きだったり、その辺りも、何らかのスポーツ競技の選手であることが関係している?かもしれませんね……。

そういえば、トムも間違いなくいたはずなのに、まったく存在感がゼロでしたね……完全にベイカー嬢にてなずけられた?のでしょうか……それとも、ベイカー嬢がいたんじゃ何をしたところで勝ち目はない?からおとなしくしていた?のでしょうか……まるで気配を消していたかのよう?……。

次回は、デイジーに「自分」、それにトムの三人の間で会話が交わされます……どんな話をするのでしょうか?……ぜひまた一緒に読んでみてください。

 

第26回の範囲は17ページ末尾から19行目から18ページ5行目まで("Good night," she said 〜から、demanded Tom suddenly.まで)をみていきます。

次回の考えるヒントは……

  • 18ページ4-5行目 “Did you give Nick a little heart to heart talk on the veranda?" とはどういうことを言っているのか

次回の「自分」も、やっぱり a perfect rose です……ぜひまた一緒にみていってください。

 

最後に、物語を読むときに心にとめたいポイントをまとめます。

Point

・どうして作者はその言葉を使用したのか

・それぞれの登場人物に作者はどんな役割を割り当てているのか

・それぞれの登場人物のセリフや物語の展開を通じて作者は何を言おうとしているのか

 

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今回の範囲の訳文を有料(700円)で掲載いたします。

Posted by preciousgraceful-hm