Gatsby-19

このサイトは、英語で書かれた物語を一作品、最初から最後まで少しずつ読んでみようという試みです。

取り上げる作品は『The Great Gatsby』です。100年近く前に米国で出版された小説ですが、現代の日本人にも共感したり心を動かされるところが多々あると思います。

ぜひ一緒に、英語の原書を読んでみませんか。

(なお、このコンテンツはその著作者の解釈に基づくものであり、必ずしも正しいとは限らないことをご承知おきください。)

 

前回まで……トムのマイブーム?らしい本の話を、誰も聞きたいとは思っていないのに、トムが一方的にまくしたてていた?ようでした……トムに腹を立てているらしいデイジーは茶化したり皮肉を言うだけでまともに相手にせず、ベイカー嬢はまるで無視、「自分」は…おそらく律儀に聞いていたのでしょうねえ……でも、はたしてトムの期待どおりに「自分」に共感したり味方になってもらえていたかどうか……ただ、とりあえず、しゃべりたいことをしゃべれたという意味では、トム一人が満足しているかも?しれないでしょうか……。それにしても、"俺様が一番偉い"トムに、もしかしたらまわりのみんなが迷惑してる?かもしれません……。さて、今回はデイジーと「自分」の関係に明るい変化が?見られるかも?しれません……そして、まともな会話が?交わされる?……さっそくみていきましょう。

 

原文はOne More Libraryの『The Great Gatsby』を使用します。

第19回の範囲は13ページ末尾から11行目から14ページ10行目まで(There was something pathetic 〜から、pleasant street at dusk.まで)をみていきます。

まず、今回の考えるヒントを上げます。

  • 14ページ8-10行目 each light deserting her with lingering regret, like children leaving a pleasant street at dusk とはどういうことを言っているのか

 

なお、特に断っていなければ、基本的に次に上げる辞書の訳語や定義・意味に基づいて説明します。

主に使用する辞書

『リーダーズ英和中辞典(第2版)』(野村恵造)(研究社 2017)

『Pocket Oxford English Dictionary (Eleventh Edition)』(Maurice Waite) (Oxford University Press 2013)

『岩波国語辞典(第七版新版)』(西尾実 岩淵悦太郎 水谷静夫)(岩波書店 2017)

 

それでは今回の範囲をみていきましょう。

① There was something pathetic in his concentration, as if his complacency, more acute than of old, was not enough to him any more.

「あるものがあったのだけど、それは何か哀れを通り越して滑稽こっけいな感じすらするもので……どこにあったかというと、トムがその本の内容にばかり集中してこだわる様子に……その様子を別の言い方で表現するなら、トムの自己満足が――もっと程度が重く深刻になっていた……以前の自己満足よりも――十分ではなくなっていた……トムにとって……もはや(今にいたっては)」

his と him はすべて前回の最後に口を開いていた Tom を指すのではないでしょうか?

than of old は、(than) his complacency (of old) が省略されているのではないでしょうか?

前回はほぼトム一人でしゃべっていたようでした……その様子をおそらくじっと黙って聞いていたらしい「自分」が感じたところを説明しているようです……pathetic――可愛そうとか気の毒とか同情してもらえるどころか、哀れといえばまあそうだけど、なんだか一人で騒ぎ立てて?深刻ぶって?変だし、おかしくないか?見ようによっては滑稽だし……そうだな、言いかえるならもともとトム一人で納得して満足してれば(他の人がどう思っていようとおかまいなしで)それでよかったみたいだけど、そういうトム自身に酔いしれる?みたいなところがますますひどくなってるな……でもそれだけじゃないぞ……前はトム自身に関わりのあることだけだったから、単なる自己満足でも別にまわりは大してどうってことなかったかなと思うけど、今はなんだか白人だの文明だの、話が大きくなっちゃって、で、まるでトムがその当事者で全責任でも負ってるのか?白人の行く末や文明の存続がまるでトムの肩にでもかかってるのかよ?って突っ込みたくなるような、そんなおもむきすら感じるな……違和感しかないな……もしかしたら、「自分」はそんなことを思った?のでしょうか?……。

 

② When, almost immediately, the telephone rang inside and the butler left the porch Daisy seized upon the momentary interruption and leaned toward me.

「何かが起こったとき……何かというと、(前回の最後に)トムが本の話にひと区切りつけてしゃべるのをやめたタイミングからほとんど間をおかずに、電話の鳴る音がした……屋内で……で、屋内で電話の鳴る音がしたので執事が離れた……四人が夕食を取っていたテーブルのあるベランダから……そうやって屋内で電話の鳴る音がして執事が夕食の席に付き従ってお世話をしていた手を止めて夕食の席のあるテーブルの置かれたベランダを離れ屋内に向かったときに、デイジーがある機会をとらえた……どんな機会かというと、ほんのわずかな短い時間だけトムの話の間に割って入って?あるいは執事が夕食の席を離れて屋内に向かったところで別の会話を始める機会を……デイジーがそうやってほんのわずかな短い時間だけ別の会話を始める機会をとらえると同時に、体を傾けた……どのように傾けたかというと、「自分」にデイジーの体を近づけるように……」

the porch は第15回(12ページ7行目)に出てきた a rosy-colored porch を指すのではないでしょうか?

前回の最後にトムがひとしきりしゃべって満足したのか?言葉を切ったところで、「自分」が①のような感想を持っていたら、トムがしゃべるのをやめたと思ったらほどなくしてちょうどタイミングよく?電話の鳴る音が屋内の方から聞こえてきたようです……おそらくその電話を取るためではないでしょうか?…執事が夕食の給仕?をしていた手を止めて、夕食の席を離れて屋内に向かったようです……で、そのタイミングでデイジーはどうやら、チャンス!と思ったようです……①の「自分」の思いに気づいていたのでしょうか?何か感づいていた?のでしょうか……なぜか「自分」の方にデイジーの体を近づけて、おそらく「自分」に何やら話しかけたようです……いったいデイジーは何を思ったのでしょうか?……。

 

③ “I’ll tell you a family secret," she whispered enthusiastically. “It’s about the butler’s nose. Do you want to hear about the butler’s nose?"

「『私は伝える気持ちがあるのだけど……あなたに……何を伝えるのかというと、身内の秘密を』とデイジーが小声で話した……その様子はとても楽しそうな興奮した様子だった……『その身内の秘密は、あることに関するものなのだけど……じゃあ、何に関する秘密かというと、執事の鼻だ……あなたは何かをしたいという気持ちがあるか?……何をしたい気持ちかというと、聞きたいという気持ちで……じゃあ、何を聞きたい気持ちかというと、執事の鼻に関する話を……』」

I は、デイジーのセリフなので、デイジーを指します。

you は、デイジーの話し相手――おそらく「自分」ではないでしょうか?②でデイジーは「自分」に話しかけようとしていたのではないでしょうか?

she は②で出てきた Daisy を指します。

It は a family secret を指すと思われます。

②で「自分」の方に体を近づけたデイジーが、「自分」に話しかけたようです……身内の秘密を教えてもいいのだけど、聞かない?と、「自分」に教えたくてたまらない?聞いてほしくてたまらない?ように思われませんか?……ただ、秘密の話だから大声で話せません…だから小声で……で、その秘密はどんな話かっていうと、あのね、執事の鼻なんだけど……と、ほんの少しだけ打ち明けている?ようです……で、ここで、「自分」にその話を聞く気があるかどうか、確かめているようです……「執事の鼻」の話だけど、いいかしら?と念押ししている?ようにも聞こえるかもしれません……たぶん、ちょっとした軽い冗談?みたいな話なのかな?……どうでもいいくだらない話なんだけど……みたいな想像はつきそうじゃありませんか?……トムの重々しい?テーマを取り上げた息が詰まるような?独演会で場の空気がもしかしたらうんざりするような?重苦しくよどんだような?打ち沈んだような?ものになっていたかもしれません……あーあ、たまんない……とか、もしかしたら「自分」もデイジーも?同じ思いでいた?かもしれない?……そこへデイジーの方が気を利かせて?――これでも一応お客(様)の「自分」を招待した側だし?――ちょっと場の空気を変えるような?一服の清涼剤にでもなるような?軽い話を「自分」に聞かせようと?したのでしょうか……で、ちょうどその場を外した執事をだしにした?のではないでしょうか……夫のトムの話じゃあまりに生臭なまぐさすぎるというか、直接的すぎるというか、重々しくなりかねないというか、下手をすると火に油を注ぐようなことにさえなりかねないし、とにかくいち使用人ならまあ手頃で手軽で(本人にわからなければ)恥をかかせるとか傷つけるとかそういう問題もないし……ということで、執事には申し訳ないけど、犠牲になってもらうわね、許してちょうだい、勘弁してね……なんて思いながら、デイジーは口を開いたのかも?しれません……。

 

④ “That’s why I came over to-night."

「『その執事の話(こそ)が、理由だ……自分がやってきた……はるばる(ここまで)……今夜……』」

③でデイジーに話しかけられた「自分」がデイジーに応えたセリフと思われます。

That は③でデイジーが聞かないかと尋ねた a family secret about the butler’s nose を指すのではないでしょうか?

I は、「自分」のセリフなので、「自分」を指します。

執事の鼻にまつわる(君の)身内の秘密こそが、「自分」が今夜ここまで出向いてきた理由だと、言っているようです……つまり、③でデイジーがせっかく軽い冗談をふってくれたらしいので、その気持ちに応えて、軽く冗談めかして、その執事の鼻の秘密が知りたくて今夜わざわざ足を運んだんだよ、と答えているのではないでしょうか?……デイジーの粋な?はからいに、「自分」も粋な?返事で応じようとしているのではないでしょうか?……前回のトムのしゃべりとは打って変わって、とっても軽やかで、もしかしたら気持ちが浮き立つような?趣きさえ、二人のやりとりから感じられる?かもしれません……二人とも、トムにうんざりしていた、その気持ちを共有しあい、お互いにいたわりあい、なぐさめあっている?ようにも聞こえる?かもしれません……まあ、トムの相変わらずの傍若無人?なやり方に対して「自分」が律儀に誠実に応じている姿を見ていて、デイジーの(もしかしたらかたくなだった)気持ちがほぐれて?変わることも十分考えられる?かもしれません……。

 

⑤ “Well, he wasn’t always a butler; he used to be the silver polisher for some people in New York that had a silver service for two hundred people. He had to polish it from morning till night, until finally it began to affect his nose —-“

「『そう……今うちの執事をしているさっきの人は、ずっと執事をしてきたわけではない……今うちの執事をしているさっきの人は、以前やっていたこと(職業)があるのだけど……じゃあ、何をやっていたかというと、銀食器類を磨く人(仕事)だった……どんな人(会社)のために銀食器類を磨く仕事をやっていたかというと、ある人(会社)で……そのある人(会社)はニューヨークにいて(あって)……銀食器類を扱う給仕のサービス業を営んでいた……二百人の(お客の)ために……今うちの執事をしているさっきの人は、あることをしなければならなかったのだけど、それは何かというと、磨くことで、何を磨くかというと、銀食器類で……いつやらなければならなかったかというと、朝から夜まで(一日中)で……そうやって一日中銀食器類を磨かなければならなかった生活を続けていたら最後には、ついにそういう生活がきっかけで始まったことが あったのだけど……それは何かというと、影響を及ぼすことだった……何にかというと、今うちの執事をしているさっきの人の鼻に――』」

he はすべて、③で話題に上げた the butler を指しているのではないでしょうか? his も同様です。

that は、some people を指して言いかえているのではないでしょうか?

it は silver 銀食器類を指しているのではないでしょうか?

最後の it は、to polish it from morning till night を指しているのではないでしょうか?

③でデイジーが「自分」に試しに?投げかけてみた軽い誘いに、④で「自分」がデイジーの調子に合わせる?形で粋な?返事をしたので、それなら……と⑤で a family secret about the butler’s nose の話をデイジーが始めたようです……今うちで執事をしているさっきの男性は前は執事じゃなかったみたいなんだと、じゃあ前の職業は?というと、銀食器類を朝から夜(遅く?)まで毎日毎日ひたすら磨いて磨いて磨きまくって、それだけで日が過ぎていくような日々を送っていたと、ところが、そんな毎日を送っていたら、なんと、その男性の鼻に何やら影響が出たらしいと……。銀食器類というものは、現代日本では、もしかしたら結婚式とか?高級ホテルとか?高級レストランとか?そういうところでよく使っている?のでしょうか?……まあ、誰でも好み?で使えるようにも思われるかもしれません……当時のニューヨークには、そういう銀食器類を使って給仕をするサービスがあり、そのサービスを専門に行う会社があったのでしょうか?……で、そうした会社で使用する銀食器類を…おそらく、給仕のサービスに使って汚れたり?いたんだり?したものを磨いてきれいにする仕事?だったのでしょうか?……で、銀食器類を磨いていたら鼻に影響が出たと……金物・金属類を扱うので、そうした関係なのでしょうか?……銀を磨くときに何かを鼻から吸い込むことで何か鼻の具合がおかしくなったり悪くなったりするのでしょうか?……それとも研磨剤の匂いを毎日毎日いでいるうちに鼻の感覚(嗅覚きゅうかく)がおかしくなったのでしょうか?……それにしても、大勢のお客さんを抱えた会社?の銀食器類を磨いていたようですので、さぞかし大忙しの日々だったのではないでしょうか?……で、鼻がおかしくなってきて――とそこまで話したところで、デイジーの言葉が途切れています……誰かが続きをデイジーに代わって言った?のでしょうか……。

 

⑥ “Things went from bad to worse," suggested Miss Baker.

「『事態が変わっていった……悪い状況から、さらに悪い状況へと……』と試しに思いついたことを言ってみた……ベイカー嬢が……」

⑤で執事の鼻に不具合が生じてきたと、デイジーが話したところで、その続きをベイカー嬢がデイジーにかぶせるように?言ったようです……鼻がおかしくなっても、おそらくやっぱり毎日毎日変わることなく朝から夜(遅く?)まで銀食器類を磨いて磨いて磨きまくって日々が過ぎていっていたのではないでしょうか?……で、鼻がおかしくなっているのに、それまでと同じ生活を送っていれば、悪くなることはあっても良くなることなどあるわけがありません……で、案の定、事態は、鼻の状況は、悪化する一方だった、とベイカー嬢が、まるでデイジーと呼吸一つに?一心同体で?話の続きを言った?ようにも聞こえませんか?……あら?ベイカー嬢、いたって、もしかしてしらふ?全然酔っ払ってなんかない?……そうしてみると、前回突拍子もないことを言った?らしいのは、あれはやっぱりトムへの嫌がらせ?不満をぶつけた?トムの邪魔をした?……デイジーと「自分」がいい感じ?少なくともトムみたいな重苦しい感じではなくて、まともな?というより楽しげに?会話が展開しているらしいのに気づいて、そこへ自ら加わった?……そんなふうに思えませんか?……。

 

⑦ “Yes. Things went from bad to worse, until finally he had to give up his position."

「『そうなの……事態が変わっていった……悪い状況から、さらに悪い状況へ……そした最後にはついに、今うちの執事をしているさっきの人は、あることをせざるをえなくなったのだけど……それは何かというと、辞めることで……何を辞めるかというと、今うちの執事をしているさっきの人がやっていた(銀食器類を磨く)仕事を……』」

he と his は⑤と同様に、③で話題に上げた the butler を指しているのではないでしょうか?

⑥でベイカー嬢がデイジーの言葉にかぶせるように?言ったらしい言葉を受けて、⑦でデイジーは、そのベイカー嬢がかぶせてきた?言葉をそのまま繰り返した上で、続きを話しているようです……デイジーとベイカー嬢は同じ思い?……もしかしたら、ベイカー嬢の方がデイジーの味方になり、デイジーの思いに寄り添っている?(だからこそ、デイジーに代わってトムに仕返し?とか邪魔?とかしている?)……デイジーの方も、そのベイカー嬢の思いをありがたく受けている?……とにかく、ベイカー嬢が⑥で言ったとおり、執事の鼻の具合は悪化する一方で、最後にはついに執事は銀食器類を磨く仕事を辞めざるをえなくなったと言っているようです……この小話?はあくまでもデイジーが軽いノリで持ち出した冗談半分のもので、重苦しくなっていた場をなごます?ために話したにすぎないのではないか?と思われますが、でもその内容は――問題のある事態をそのまま放っておいたら、何もせずになりゆきまかせでいたら、最後にはついには行き詰まり、そして状況を一変せざるをえなくなる――もしかしたら、作者はそこに何か思いや意図があって、そうした話をデイジーにしゃべらせている?かもしれません……たとえば、トムとデイジーの仲……今折り合いが良くないようですが、放っておいたら、何もせずにいたら、どうなるのでしょうか?……何かのきっかけで、百八十度好転したりする?のであればいいのですが……。

 

⑧ For a moment the last sunshine fell with romantic affection upon her glowing face; her voice compelled me forward breathlessly as I listened — then the glow faded, each light deserting her with lingering regret, like children leaving a pleasant street at dusk.

「少しの間、最後の太陽の光があたった……どんなふうにかというと、現実ではないような夢のような作用や効果を感じさせるような具合で……どこにあたったかというと、デイジーの意気揚々としてほてったように見える顔に……デイジーの声がやむをえずさせたことがあった……自分に……前方に(自分の)体を傾けることで……呼吸を止めて……そんなふうにやむをえず体を前方に傾けることになったとき、同時にしていたことがあったのだけど、それは自分が耳を傾けていたことだった――ちょうどそのとき、デイジーの意気揚々としてほてったように見えた顔の赤さが薄れた……どの光も離れている……デイジーから……どんなふうにかというと、ずるずるといつまでも残る残念な思いを引きずるように……その様子はたとえるなら、子どものあるときの様子で……どんなときかというと、ある場所を去るときの様子で……じゃあ、どこを去るときかというと、愉快な楽しい気持ちのよい(時間を過ごした)通りを去るときで……その時間帯は夕暮れ時だ……」

her はすべて、⑦で話していたデイジーを指すのではないでしょうか?

⑦でデイジーのちょっとした軽い小話?が終わったタイミングで、「自分」がそのデイジーの様子を観察したところ、そしてそこから「自分」が感じたところも、説明しているようです……思い出してください――こうやって夕食の席を囲んでいる場所は、第15回(12ページ7行目)に出てきた a rosy-colored porch です……バラ色のベランダでした……同じく第15回で説明のあったように、そのベランダから沈む夕日が見えるようでした……ちょうどデイジーが話し終えたらしいタイミングで、夕陽の光が、もうまもなく地平線?それとも水平線?の向こうに沈みそうな太陽の光が、デイジーの顔を(横顔なのか正面からなのか斜めからか…わかりませんが……)赤々と照らしつけていた?のではないでしょうか……その様が、現実とは思えない、まるで夢を見ているような美しさ?色?光景?だったのではないでしょうか……そんなうっとりとしてしまう?ような光景の中で、デイジーの声――思い出してください――第13回でくどくどと?なんともいえない?魅力にあふれた?声なのだという説明がありました(それに、第12回では最後に、小さい声で話す癖?みたいなのがある?……そのせいで悪口を聞いたことがあると言っていました……)……を聞いていると、たぶん、声が小さいのもあってデイジーの方に身を乗り出さないとよく聞こえないというのもあったのではないかと思えますが、たぶん、それだけでもなくて、やっぱり身を乗り出して聞きたくなるような声だった……そう言っているのではないでしょうか?……それも、呼吸を止めて……想像してみてください……思わずじっと息をひそめて?聞いてしまうような声……もしかしたら、「自分」はデイジーの声に聞き入りながら、夕日に照らされるデイジーの顔をじっと見入って?いたかもしれません……でも、刻一刻と日が沈んでいくので、デイジーの顔にも夕陽があたらなくなっていったようです……。

さて、今回の考えるヒントに上げた箇所が出てきました。刻一刻と日が沈んでいきながら、完全に沈みきってしまうまでは、夕陽の光が残っていたはずです……その残っていた光がどれも、デイジーから離れていくわけですが、ただ離れていっているのではなくて、まるで本当は離れたくないのに、ずっとデイジーの元に残っていたいのに、それなのに仕方なく離れていっているようだと、言っているのではないでしょうか?……その光の様子が、別の例えで言えば、外で遊んでいた子どもたちが本当はまだ遊びたいのに、家に戻りたくないのに、日が落ちて暗くなるから仕方なく帰らなきゃいけない……そんなふうに見えたといっているのではないでしょうか?……「自分」は何が言いたいのでしょうか?……夕陽の光ですらもデイジーから離れがたい……それくらい、デイジーは魅力的に見えたということが言いたいのではないでしょうか?……前回のトムの話のことを思ったら、おそらく「自分」にしても、断然今回のデイジーの小話?の方がおもしろかったでしょうし、それに何よりデイジーの話し方?に魅力があるようですから、傍若無人で?自分のことしかなさそうな?トムなんかより、デイジーの方が好印象になって当然?じゃないでしょうか……しかも、デイジーはきっと、「自分」のために、「自分」のことを思って、今回の小話?をしてくれている?のではないかと思われますから、それならなおさら、「自分」がデイジーの肩を持つ?というかデイジー側に傾く?というか、そんなことになっても不思議じゃない?と思いませんか?……感じの悪いトムと、感じのいいデイジー……そう思いませんか?……。

 

おつかれさまでした。どうでしたか?

前回とは打って変わって、対照的な軽やかな雰囲気?だったと思いませんか?……こうなってみると、ますますトムってほんっと、迷惑?……という気分が強くなりませんか?……とりあえず、この段階では、四人の中でトムが一人浮いている?という見方もできなくもない?ような気がしませんか?……「自分」がほんっとに好青年だから、きっとデイジーの心も動かした?ところがあったのではないでしょうか?……トムの思惑とは異なり、「自分」はトムの味方?になる気配はなく、逆にデイジーは思いがけず、「自分」が来てくれて良かったと?思っている?かもしれない?……。

さて、今回の考えるヒントに上げたお題 「14ページ8-10行目 each light deserting her with lingering regret, like children leaving a pleasant street at dusk とはどういうことを言っているのか」 ですが……⑧で説明したとおりです。この描写も含めて、バラ色だったり、瀟洒しょうしゃな?大邸宅?に庭園?だったり、そうしたものはすべて、あるじのはずのトムではなく、デイジーのイメージが色濃く反映されている?ような印象を受けませんか?……トムにはそうしたセンスがないからなのかどうなのかわかりませんが、妻のデイジーの趣味?とか意向?とかセンス?とかでこの夫婦の邸宅が出来上がっている?ように思えませんか?……ただ、マイペースな傾向が強い?のは夫婦そろって似ている?ような気がしないでもないような?……。

次回は、がらっと展開が変わります。何が起こるのでしょうか?……楽しみにしていてください。

 

第20回の範囲は14ページ11行目から14ページ末尾から7行目まで(The butler came back and 〜から、I want to hear what happens."まで)をみていきます。

次回の考えるヒントは……

  • 14ページ16-17行目 I love to see you at my table, Nick. You remind of a — of a rose, an absolute rose. とはどういうことを言っているのか

ところで、この物語の作者は、何を読者の方々に伝えたい、訴えたいと思っているのでしょうか?……作者が読者の方々に伝えたいことを伝え、訴えたいことを訴えるために、その手段として、庶民(代表)の「自分」(ニック)の目線で、どうやらお金持ち(代表)のトムとデイジーが何をやらかしていくのか、そしてそこに、どうも庶民側?らしい?ギャッツビーがどうからんでくるのか、その過程で「あの夏の出来事」が展開していくさまを語ろうとしているようです……そのあたりのことも少し頭においた上で、ぜひまた一緒に読み進めてみてください。

 

最後に、物語を読むときに心にとめたいポイントをまとめます。

Point

・どうして作者はその言葉を使用したのか

・それぞれの登場人物に作者はどんな役割を割り当てているのか

・それぞれの登場人物のセリフや物語の展開を通じて作者は何を言おうとしているのか

 

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なお、今回の範囲の訳文を有料(700円)で掲載いたします。この連載はだいたい250回くらいになる予定なので、毎回訳文を購読いただいた場合には30回で2万円を超え、トータルでは18万円近くになることをご承知おきください。またいかなる場合も返金には応じられません。また購読いただいた訳文にご満足いただけるとは限らないことをあらかじめご承知おきください。なお、問い合わせなどはご遠慮ください。お断りいたします。

今回の範囲の訳文を有料(700円)で掲載いたします。

Posted by preciousgraceful-hm