Gatsby-17
このサイトは、英語で書かれた物語を一作品、最初から最後まで少しずつ読んでみようという試みです。
取り上げる作品は『The Great Gatsby』です。100年近く前に米国で出版された小説ですが、現代の日本人にも共感したり心を動かされるところが多々あると思います。
ぜひ一緒に、英語の原書を読んでみませんか。
(なお、このコンテンツはその著作者の解釈に基づくものであり、必ずしも正しいとは限らないことをご承知おきください。)
前回まで……ろうそくの火をめぐって終始デイジーのペースで話が進む中、どうやらトムがデイジーを傷つけたらしいと、にもかかわらずどうもトムは非を認めていないような節が見受けられる、そしてデイジーはトムを責めずにいられないらしいと、さらにベイカー嬢はデイジーの味方のようだ(やはり二人は親しい間柄……)ということがわかりました。前回は「自分」はまったくの傍観者のようでしたが、今回は「自分」の感じたところがいろいろ明かされるようです……。さっそくみていきましょう。
原文はOne More Libraryの『The Great Gatsby』を使用します。
第17回の範囲は12ページ末尾から11行目から13ページ9行目まで(Sometimes she and Miss Baker 〜 から rather surprised by his tone.まで)をみていきます。なお、今回の範囲には、差別的な見解や表現が出てきているようですが、原文を尊重し、そのまま原文に沿ってみていきます。
まず、今回の考えるヒントを上げます。
- 12ページ末尾から2-1行目 in a continually disappointed anticipation or else in sheer nervous dread of the moment itself とはどういうことを言っているのか
なお、特に断っていなければ、基本的に次に上げる辞書の訳語や定義・意味に基づいて説明します。
主に使用する辞書
『リーダーズ英和中辞典(第2版)』(野村恵造)(研究社 2017)
『Pocket Oxford English Dictionary (Eleventh Edition)』(Maurice Waite) (Oxford University Press 2013)
『岩波国語辞典(第七版新版)』(西尾実 岩淵悦太郎 水谷静夫)(岩波書店 2017)
それでは、今回の範囲をみていきましょう。
① Sometimes she and Miss Baker talked at once, unobtrusively and with a bantering inconsequence that was never quite chatter, that was as cool as their white dresses and their impersonal eyes in the absence of all desire.
「ときおりデイジーとベイカー嬢はしゃべった……同時に……その様子はでしゃばってはいなかった……なおかつからかうような意味のない言葉を使っていた……そうした言葉は決してまるっきりおしゃべりになっていなかった……なおかつそうした言葉は冷ややかだった……どれくらい冷ややかだったかというと、デイジーとベイカー嬢の二人が着ていた白い洋服と、デイジーとベイカー嬢の二人の感情が感じられない目と――その目にはあるものがなかった……それは何かを強く望む気持ちが一切なかった――そんな洋服や目(から受ける印象)と同じくらい冷ややかだった……」
she は前回の最後にしゃべった Daisy を指すと思われます。
that はどちらも、a bantering inconsequence を指すのではないでしょうか?
their はどちらも、she and Miss Baker つまりデイジーとベイカー嬢を指すのではないでしょうか?
前回はデイジーがトムをやりこめる場面で終わっていました……今回はがらっと変わって、「自分」の目から見たデイジーとベイカー嬢の様子がまずは描かれているようです……。夕食の席で二人の女子が同時にしゃべりだすこともちょこちょこあるにはあったけど、だからといって、別に二人が積極的にしゃべりたがっていたようではなさそうです……そして二人の女子が口にする言葉が、誰をか何をかはわかりませんが、からかうようなふざけるような言葉で、なおかつその言葉は意味がないもの…聞く価値がないもの…くだらないもの?で……しかもその言葉から冷ややかな印象を「自分」は受けたようです……まるで二人の女子が着ていた洋服の白い色が連想させるような冷ややかさで、なおかつ二人の女子の目を見たときに「自分」が感じた冷ややかさと同じ印象だったようです……その冷ややかな二人の女子の目には感情が感じられず、なおかつ何であれ強く望む気持ちが皆無のように見えたようです……感情を押し殺していたのでしょうか?……。
② They were here, and they accepted Tom and me, making only a polite pleasant effort to entertain or to be entertained.
「デイジーとベイカー嬢の二人はここに、つまり今夕食を取っている席にいた……なおかつ、デイジーとベイカー嬢の二人は受け入れていた……トムと「自分」を……なおかつ同時に(デイジーとベイカー嬢の二人は)何かをしていたのだけど……それは何かというと、ただ儀礼的に社交辞令として愛想よく努めて、(トムと「自分」を)楽しませるように、そうでない場合は(トムと「自分」に)楽しませてもらっているようにしていた」
They は①で出てきた she and Miss Baker つまりデイジーとベイカー嬢を指すのではないでしょうか? 次の they も同様です。
①でデイジーとベイカー嬢の二人の女子がしゃべっているようでいて本当にしゃべているとはいえないような……そして何よりとにかく"冷ややか"な印象を「自分」は強く受けていたようでした……②ではその二人の女子が、確かに夕食の席にいるにはいるのだけど?……もしかしたら本当にいるとはいえないような印象なのか空気?を「自分」は感じていた?のではないでしょうか……二人の女子は決してトムと「自分」を邪険にしたりないがしろにしていたわけではなさそうですが、かといって、なんでしょうねえ…心からその夕食の席を楽しんでいるようには見えなかった?のかもしれません……表向き?建前だけ?格好だけは?そういう夕食の席にふさわしい対応?を二人の女子は取ろうと努力していた?ようですが、要は、上っ面だけのお愛想?で、それが「自分」の目には見え見え?だったのでしょうか……つまり、トムや「自分」が面白いことを言えば、二人の女子は面白いと思ってなくても愛想笑いをしていた?……トムや「自分」を退屈させないように、一応おざなりでもトムや「自分」に合わせた話をふったり、場合によってはお世辞やおべんちゃら?なんかも交えたり?してたのでしょうか……。
③ They knew that presently dinner would be over and a little later the evening too would be over and casually put away.
「デイジーとベイカー嬢の二人はわかっていた……何をわかっていたかというと、ほどなく夕食は終わるだろうということを……そしてもう少し時間が経てば今晩も終わるだろうということを……なおかつもう少し時間が経てば今晩もさりげなく片付けられるだろうということを」
They は②と同様に、①で出てきた she and Miss Baker つまりデイジーとベイカー嬢を指すのではないでしょうか?
①ではデイジーとベイカー嬢の冷ややかな様子が、②ではその二人の女子が上っ面だけ愛想よく応じている様子が、「自分」の目線から説明されていたようでした……そして③では、その二人の女子が心の奥底では何を考えているのか、「自分」の感じたところが説明されているようです……別に一晩中夕食が続くわけじゃないし、いずれ必ず終わるし、それもほどほどのところで……で、夕食の後まだ何かあったとしても、まあ何があるにせよ、延々とこういう愛想よくしなきゃいけない時間が続くわけじゃない、いずれは今宵の宴?も終わる、どうなるにせよ、いつのまにか今晩のこういうおもてなしの時間も終わりになる、夜が来て、それぞれ家に帰るなり床につくなりして、そうやって終わる……だから?…今だけこうしていればいいのだから、今だけだし、それなら、今だけなら、我慢して?……本当は嫌だけど?こんなことしたくないけど?……それが二人の女子の本音?なのでしょうか……ん? いったい、この夕食の席に「自分」を招いたのは誰なんでしょう?……デイジーは望んでいなかった?というのであれば、トムが?「自分」を招いた?ということなのでしょうか……もしそうなら、トムはどうして「自分」を夕食に呼んだのでしょうか?……前回みたところでは、何やらデイジーとベイカー嬢の二人がタッグを組んで?トムに対抗していた?……トムも負けじと?味方になってくれる人が欲しかった?のでしょうか……もしそうなら、それじゃあ、「自分」は夫婦喧嘩に巻き込まれに呼ばれたようなもの?……そりゃあ、あんまりじゃないでしょうか?……。だけどそう考えると、第9回で玄関先まで出迎えに来ていたのがトムだけだったのも、第11回で二人の女子がお客(様)のはずの「自分」を出迎える気がまったくなさそうだったのも、他にも「自分」をまともに相手にしていないような節々が散見されたのも、すべて、当然?……デイジーとベイカー嬢にとっては「自分」はそもそも招かれざる客だった?から……そういうことでしょうか?……なんとまあ……「自分」はそのことに気づいているのでしょうか?……可哀想なような、気の毒なような、そんな気分になりませんか?……それにしてもトムの奴、"自己中(心)"にもほどがある……こうやって「自分」を味方に引き入れようという魂胆で呼んだのであれば、それこそデイジーに対して非を認める気など毛頭ないのでしょうねえ……どこまでも戦闘態勢?……。
④ It was sharply different from the West, where an evening was hurried from phase to phase toward its close, in a continually disappointed anticipation or else in sheer nervous dread of the moment itself.
「その場の様子がはっきりと異なっていた……何と異なっていたかというと、西島の場合と……西島ではふつう晩の時間はせきたてられた……ある状態から別の状態へと次から次に……晩の時間が終わる頃に向かって……そうやってせきたてられて晩の時間が終わる頃にはどういう状態になっていたかというと、絶えずあてがはずれてがっかり失望に終わる予想や見込みとなるか、そうでなければただただ不安でびくびくとおびえた状態――何におびえていたかというとそうやってせきたてられるようにどんどん過ぎていく時間そのものにおびえていた――になっていた」
It は漠然とその場の様子を指します。
its は an evening を指すのではないでしょうか?
itself は直前の the moment を指すのではないでしょうか?
さて、今回の考えるヒントに上げた箇所が出てきました。 夕刻になり、あれもやってこれもやって、あれもやらなきゃこれもやらなきゃ、あれもしたいこれもしたい、そんなふうにいろいろ考えたり予定したりしていたのに、実際にはそんなふうに思いどおりにはとてもいかなくて、ああ、あれもできなかったこれもできなかった、今晩もまたこれができずじまいになったあれもできずじまいで終わった、というように、あてがはずれてがっかりすることばかりが続く状態をa continually disappointed anticipation は表しているのではないでしょうか? そして、そうやってあーあ、うまくいかなかった、と失望しなかった場合でも、とにかくどんどん時間ばかりが経っていくのに思うように進まずいらいらして、ああどうしよう、もうこんな時間、やばい、余裕ないや、時間切れだ、と時間に追いまくられて気持ちがせきたてられるばかりといった状態を sheer nervous dread of the moment itself は表しているのではないでしょうか?
①②③とデイジーとベイカー嬢の様子が描かれていたようですが、④では一転して、「自分」が感じた西島との違いに触れているようです……東島の晩の過ごし方と西島の晩の過ごし方があまりに違っていて、そして時間の感覚までまったく違って感じられたようです……「自分」の住む西島では、晩はとっても忙しいようです……まるで時間にせきたてられるように慌ただしく過ごし、時間もどんどん過ぎ去り、あっという間に夜が来る?のでしょうか……たぶん、西島では帰宅して、夕食の支度をして、食べたら今度は片付けで、それからお風呂?、もしかしたら洗濯物を片付けたり?掃除や洗濯?までしたりも?するのでしょうか……とにかくやることが、やらなきゃいけない家事やら用事やらに追われて過ごすと言っているのではないでしょうか?……ところがこの東島では、たぶん真逆?時間に追われない?……たぶん夕食の支度も片付けもとにかく何もしなくていいから?……家事も用事も何もかも全部使用人?がしてくれる?から……の〜んびりぶらぶらだらだらして過ごせる?のかもしれません……これがお金持ち?……西島と東島の違いって、"庶民"と"お金持ち"の違い?……第14回で「自分」の名前 Nick についてみたとき、ニック(「自分」)は"庶民"の代表という意味合いの名前になっているのではないかと触れましたが、もしかしたら作者は、"西島=庶民=ニック"と、"東島=お金持ち=トムとデイジー(とベイカー嬢)"と対比して描いている?のかもしれません……ところで、この物語のタイトルになっているギャッツビーですが、第7回でみたように、西島のニックの家の隣りにギャッツビーの邸宅があるようでした……ということは、"西島"に邸宅のある"ギャッツビー"は"庶民"の位置づけ?なのでしょうか?……。
⑤ “You make me feel uncivilized, Daisy" I confessed on my second glass of corky but rather impressive claret. “Can’t you talk about crops or something?"
「『あなたが何かをさせる……「自分」に感じさせる……洗練されていないような教養がないような気持ちを感じさせる……デイジー』と「自分」が告白した……何かをしたときに……何をしたときかというと自分の二杯目のグラスをあけたときに……そのグラスには何が入っていたかというと、コルク臭いけれども相当すばらしいみごとなクラレットという赤ワインが入っていた……『できないだろうか?あなたは……話すことを……何についてかというと、乗馬のムチとか何か(そういったこと)について』」
You は、セリフの中で Daisy と呼びかけているので、デイジーを指すのではないでしょうか?
me は、⑤は「自分」のセリフのようですので「自分」を指すと思われます。
最後の you も同様に、デイジーを指すのではないでしょうか?
①②③とデイジーとベイカー嬢の印象について説明し、そして④で西島との違いを感じたところについて説明したところでひと区切り?つけたのでしょうか……⑤では「自分」の方から何かお願いをしているようです……それも、言いにくいことだった?ようで、ワインのグラスを二杯あけたところで、もしかしたら思い切って?言ったように聞こえませんか?……まず、デイジーと話していると「自分」が洗練されていないような気持ちにさせられるのだけど、と前置きした上で、crops のこととか話してもらえないか、と頼んでいるように聞こえませんか?……この crops ですが、乗馬のムチという意味があるようですので、ムチの話というよりは、そのムチを使ってやる乗馬の話をしてもらえないかと言っているのではないでしょうか?……なぜ乗馬かというと、思い出してください――第8回で今はトムがポロという競技をやっていて、その小馬を持っている話が出ていました……ですから、それで、小馬に乗ってやるポロ競技なら、乗馬の話が適当だろうと、「自分」は思ったのではないでしょうか?……
⑥ I meant nothing in particular by this remark, but it was taken up in an unexpected way.
「自分には意図したことは何もなかった……特には……どんな手段によってかというと、たった今(デイジーに向かって)言った言葉によって……だから自分がたった今口にした言葉で自分は特に何も意図していなかったのだから、ふつうは特別な意図があると受け取られることはないはずなのに、そうはならず特別な意図があるように受け取られることになり、その自分がたった今口にした言葉が、興味を持たれた……どんなふうにかというと、予期しないあり方で……」
this は直前のセリフ⑤を指しているのではないでしょうか? remark と合わせて、具体的には “You make me feel uncivilized, Daisy" と “Can’t you talk about crops or something?" ではないでしょうか?
it は this remark つまり上記のセリフではないでしょうか?
⑤で「自分」がデイジーに投げかけた言葉が、「自分」にはそんなつもりはなかったのに、誰かの関心を引いた?……誰かがその言葉に食いついた?ようです……それも「自分」が予期しない様だったようです……要は、えっ、そんなふうに受け取られるとは思ってなかったんだけど、と「自分」が思ってしまうような受け取られ方をした?のではないでしょうか……どんなふうに、そして誰が、そんな「自分」が意外に思うような受け取り方をしたのでしょうか?……。
⑦ “Civilization’s going to pieces," broke out Tom violently. “I’ve gotten to be a terrible pessimist about things. Have you read 'The Rise of the Colored Empires’ by this man Goddard?"
「『文明が何かに向かって進んでいる……何に向かってかというと、ばらばらめちゃめちゃに崩れる方向へと進んでいる』と不意に叫び声を上げた……トムが……激しい口調で……『俺は変わっている……どんなふうに変わったかというと、ものすごい悲観論者に変わった……何についてかというと、いろいろな事について……お前は読んだか?……何をかというと、『出現すること……何がかというと、有色人種の帝国が』という本を……誰によって書かれた本かというと、この男だ……ゴダードという名前だ』」
トムの発言のようですので、セリフ内の I はトムを指すと思われます。
you はトムが話しかけた相手のようですが、おそらく「自分」(ニック)ではないでしょうか? デイジーやベイカー嬢に、この本を読んだかと訊いているとは考えにくいのではないでしょうか?
this は手近にあるものを指しているのではないでしょうか? たとえば、もしかしたら、トムがその本の裏表紙など?に載っている写真?などを指差して、その本の著者を「自分」に示して見せた?可能性などが考えられないでしょうか? なお、Goddard という著者はどうも架空の人物で、その本も架空のもののようです。
⑤で「自分」の言った言葉が、⑥で意外な受け取り方をされてしまい「自分」がとまどったと説明しているようでした……さて誰がそんな受け取り方をしたのかと思ったら……トムでした――のっけからいきなり、文明が壊れてしまう?などと突拍子もない?ことを言い出しているようです……それも激しい口調で……何をそんな、これまた大げさな?……で、トムはどうやら何事につけてもものすごく悲観的になってしまったそうです――本人の言葉によれば……で、そんなふうに希望を持てなくなった?原因は、ある本を読んだからのようです……その本のタイトルが、なんと『有色人種の帝国出現?』だそうです……思い出してください――この物語が出版されたのは1925年です……ですから、そういう時代だったようです……仮にそういう時代であったとしても、⑤で「自分」は乗馬の話とか、もう少し「自分」にわかるような話をしてもらえないか――そう(デイジーに)お願いしたのではないでしょうか?……それなのに、トムは「自分」の言葉を聞いてない?…それとも「自分」の気持ちなどおかまいなし?……要は、トムが招いたはずのお客(様)である「自分」をもてなすどころか(といっても、そもそもトムの味方に引き入れようと思って「自分」を呼んだだけ?なら、こんなていたらくでも不思議はない?当然?かもしれませんが……)、何から何まで完全にトムのペース?――トムの言いたいことを言って、やりたいことをやって……これまた誰かに似ているような気がしないでもないような……デイジーもずっとそんな感じだったような……要は、やっぱり"自己中(心)"のひと言で片付くような……それにしても、見ようによってはいい気なもん?……④で西島とはまるで様子の違う、ゆったりと余裕のある?東島の優雅な?晩のひとときをみましたが、一見何から何まで恵まれているように見える東島の大邸宅のトムが何もかもに悲観的になり、希望が持てなくなったって?…何それ?どういうこと?…人によっては、ふざけてる?とか突っ込みたくなったり?するかもしれません……ところで、そういえば①でみた二人の女子の様子も、目に力がなかったというか、感情が感じられず、何かを強く望む気持ちが――もしかしたら希望もまったく?見られないと、「自分」が説明していたようでした……妙な具合です……とっても恵まれているお金持ち組の三人が、希望が持てない?状態なのでしょうか?……意味がわからない…そう思われる読者の方がいても不思議ではないかもしれません……。
⑧ “Why, no," I answered, rather surprised by his tone.
「『えーっと、そうだなあ、さあ……、いや、読んでない』と「自分」が答えた……かなり驚かされた……何にかというと、トムの語気や語調に……」
his は⑦で口を開いた Tom を指しているのではないでしょうか?
⑦でこの本を読んだかとトムに訊かれたので、「自分」は素直に応じたようです……でも、当然とまどいますよねえ……いきなりそんな文明の話をされてもねえ……話が大きすぎる?というか、ついていけない、というのが普通の感覚かも?しれません……だいたい、トムって、今は優雅にポロ競技をたしなむ程度のゆったり余裕のある生活を送っているはずで、たしかにアメフト選手としてはすごかったかもしれないけど、でも今やってることって……大げさに文明が壊れてしまうとか言って騒ぐのって、なんか違う?というか、違和感がある?というか、なんでトムがそんなこと大仰に言い立てて騒ぐの?変じゃない?…と突っ込みたくなったり?する人もいるかもしれません……もしかしたら、トムにしてみれば、今、人生冴えない?という自覚がある?からこそ、逆に大きく出たかったり?するのでしょうか……なんにしても、「自分」にしてみれば、はあ?っと驚くばかり……いったい何を言いたいんだか、さっぱり要領を得ない、というのが本音だったり?しないでしょうか……。
おつかれさまでした。どうでしたか?
どうやらデイジーとベイカー嬢はもともと「自分」を歓迎していたわけではなさそうです……そしてトムにしても、劣勢?に立っている夫婦喧嘩で味方が欲しくて?「自分」を呼んだだけ?じゃないかという節がうかがわれるようです……「自分」の立場で見れば、とんだとばっちりじゃないでしょうか?……しかも、「自分」はいろいろあれこれ忙しいのに、暇人の喧嘩に巻き込まれてる暇なんてないのに……。
見方によっては、どう考えても普通じゃない、トムにデイジーにベイカー嬢は、おもしろいかもしれません……。間違いなくこの三人に「ギャッツビー」がからんできて、この物語がどう展開していくのか……普通の人には絶対起こらないような普通じゃない事件が?起こるのかもしれません……。
さて、今回の考えるヒントに上げたお題 「12ページ末尾から2-1行目 in a continually disappointed anticipation or else in sheer nervous dread of the moment itself とはどういうことを言っているのか」 ですが……④で説明したとおりです。西島と東島はぱっと見は同じようでいて、中身は全然違うと……そこに住む人も、片や庶民、片やお金持ち、同じ人間のはずだけど、その中身?生活のあり方?時間の過ごし方?価値観?考え方?人としての有り様?あげれば切りがないけど、何もかもが違う?と……。それにしても、時間に追われて余裕のなさそうな西島の「自分」じゃなくて、時間にもお金にも余裕がありそうで優雅なお金持ちのトムにデイジーにベイカー嬢の方が不幸?で絶望?しているような……なんか奇妙な気がしませんか?……"庶民"の「自分」はたぶん誰とももめてなくて、"お金持ち"のトム・デイジー・ベイカー嬢の三人はどう考えても揉めてるような……これまた奇妙な?……なんだか恵まれてる方が不幸でけんか状態?なんて、あれ?逆じゃない?普通に考えたら……なんだか頭がこんがらがっておかしくなりそう?……作者はいったい何が言いたいのでしょうか?……。
次回も四人の間で会話が一応、展開されます……キャッチボールとは言えないかもしれませんが……。ぜひまた一緒に読んでみてください。
第18回の範囲は13ページ10行目から13ページ末尾から12行目まで("Well, it’s a fine book, 〜から、and all that. Do you see?" まで)をみていきます。
次回の考えるヒントは……
- 13ページ末尾から15-14行目 After an infinitesimal hesitation he included Daisy with a slight nod, とはどういうことを言っているのか
次回はもしかしたら、「自分」を歓迎していなかったデイジーに少し変化が?見られるかもしれません……。ぜひまた一緒にみていってください。
最後に、物語を読むときに心にとめたいポイントをまとめます。
・どうして作者はその言葉を使用したのか
・それぞれの登場人物に作者はどんな役割を割り当てているのか
・それぞれの登場人物のセリフや物語の展開を通じて作者は何を言おうとしているのか
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なお、今回の範囲の訳文を有料(700円)で掲載いたします。この連載はだいたい250回くらいになる予定なので、毎回訳文を購読いただいた場合には30回で2万円を超え、トータルでは18万円近くになることをご承知おきください。またいかなる場合も返金には応じられません。また購読いただいた訳文にご満足いただけるとは限らないことをあらかじめご承知おきください。なお、問い合わせなどはご遠慮ください。お断りいたします。