Gatsby-16
このサイトは、英語で書かれた物語を一作品、最初から最後まで少しずつ読んでみようという試みです。
取り上げる作品は『The Great Gatsby』です。100年近く前に米国で出版された小説ですが、現代の日本人にも共感したり心を動かされるところが多々あると思います。
ぜひ一緒に、英語の原書を読んでみませんか。
(なお、このコンテンツはその著作者の解釈に基づくものであり、必ずしも正しいとは限らないことをご承知おきください。)
前回まで……ベイカー嬢に興味津々の「自分」――寝てばっかりでどんな娘なのかわからなかったのが、いよいよやっと起きてくれたので、チャンス?とばかりにジロジロ?観察したようです。そして、ベイカー嬢の方から「自分」に声をかけてくれたようです……でも、やっぱりマイペースで……ベイカー嬢もデイジーも、そしてトムも、みんな「自分」と話をしているようで話していない、「自分」の相手をしているようでいて実は違う……そんなことばかり?のような印象すら受けます……が、それでも「自分」はあくまでも誠意を尽くしているように見受けられませんか? そして、普通の人なら適当にあしらってまともに相手にしないんじゃないかと思うような三人と、「自分」はこれから夕食の席につきます……どんな展開が待っているのでしょうか? さっそくみていきましょう。
原文はOne More Libraryの『The Great Gatsby』を使用します。
第16回の範囲は12ページ10行目から12ページ末尾から12行目まで("Why CANDLES?" objected Daisy, 〜から、"Hulking," insisted Daisy.まで)をみていきます。
まず、今回の考えるヒントを上げます。
- 12ページ末尾から18行目 You did it とはどういうことを言っているのか
なお、特に断っていなければ、基本的に次に上げる辞書の訳語や定義・意味に基づいて説明します。
主に使用する辞書
『リーダーズ英和中辞典(第2版)』(野村恵造)(研究社 2017)
『Pocket Oxford English Dictionary (Eleventh Edition)』(Maurice Waite) (Oxford University Press 2013)
『岩波国語辞典(第七版新版)』(西尾実 岩淵悦太郎 水谷静夫)(岩波書店 2017)
それでは、今回の範囲をみていきましょう。
① “Why CANDLES?" objected Daisy, frowning.
「『どうしてろうそくが?』不服を唱えた……デイジーが……まゆをひそめながら」
“Why CANDLES?" は “Why are there CANDLES?" の略か、"Why are CANDLES lit?" の略か、それとも前回の最後に出てきた言葉を使って “Why did CANDLES flicker?" の略か、とにかく「どうしてろうそくが夕食の席にあるのか」と、まあ理由を聞いたのではなく、不満をあらわにしたようです……"どういうこと? ろうそくは気に入らない"と……。
前回、四人で夕食の席に移動するところで終わっていました……そして移動を終えて夕食の用意されたテーブルのところに到着したようです……で、ろうそくに不満があるとデイジーが言っているようです……表情にまで出して……ということは、ろうそくを用意したのはデイジーではなさそうです……それならば、誰?……トム?……カクテルと一緒?……トムなりに気を利かせている?努力している?のかもしれません……それを、デイジーは気に入らないと、はっきり口に出して否定しているようです……やっぱり、二人がやりあっている?……。
② She snapped them out with her fingers.
「デイジーは指を鳴らすように動かしてろうそくの火を消えた状態にした……何を使ってかというと、デイジーの指を使って……」
She は①で不満を言葉にして口に出した Daisy を指しています。
them は①に出てきた CANDLES を指します。
her はやはり①で出てきた Daisy を指します。
デイジーは①で不満をあらわにしただけでは足りず、自らろうそくの火を消したようです……トムが用意させたろうそくの火を……またもやトムを否定するような行動ではないでしょうか……挑発しているのか?それとも第14回でトムにあてつけがましく嫌味?を言われた腹いせ?仕返し?なのか……どっちにしろ、こうなってくるとどっちもどっちのような気が……トムもデイジーもねえ……。
③ “In two weeks it’ll be the longest day in the year." She looked at us all radiantly. “Do you always watch for the longest day of the year and then miss it? I always watch for the longest day in the year and then miss it."
「『二週間後に、一年で一番昼間が長い日になる』デイジーが目線を他の三人全員に向けた……晴れやかな表情をしていた……『みんないつも期待しているのか?……何を期待しているかというと、一年で一番昼間が長い日を……そうやって一年で一番昼間が長い日を期待していると同時に、その一年で一番昼間が長い日が来た後はまた、一年で一番昼間が長い日が終わってしまったことを残念に思うのか?……私はいつも期待してるの……一年で一番昼間が長い日を……そして一年で一番昼間が長い日を期待していると同時に、その一年で一番昼間が長い日が来た後はまた、一年で一番昼間が長い日が終わってしまったことを残念に思う』」
it は「時」を表しています。
She は②と同様に①で出てきた Daisy を指しています。
us は「自分」と、デイジー以外の二人、つまりトムとベイカー嬢ではないでしょうか?
you はデイジーが話をしている相手ですが、この場合は夕食の席を囲む他の三人全員を指しているのではないでしょうか?
次の it は、the longest day of the year を指します。最後の it も同様です。
②とはがらっと話題が変わっているようです……二週間もすれば、一年で一番昼間が長い日――つまり夏至?の日が来ると言っているようです……そう話すデイジーの様子は……他の三人を見渡して?なんだか機嫌が良さそう?ではないでしょうか……②でトムの用意させたろうそくの火を消して、つまり仕返しして?満足?でもしたのでしょうか……それから口を開いて言った言葉が「みんないつも夏至を楽しみに待ってる? 夏至の日が終わってしまうと残念になる?」と問いかけているようです……そしてデイジー自身がいつも夏至を楽しみに待っていて、夏至の日が終わってしまうと残念になると言っているようです……ニューヨークの夏至も日本の夏至と同じ日のようなので、ちょうど6月7日頃?ということになるでしょうか……デイジーは夏至の日が好きらしい……そのことを通して作者は何を暗示?しているのでしょうか……明るい昼間が一番長く続く日…太陽が最も高い位置にまで上る日…最盛期?…絶頂?とか最高潮?とか……どうなんでしょうか?……。
④ “We ought to plan something," yawned Miss Baker, sitting down at the table as if she were getting into bed.
「『みんなですべきことがある……何をすべきかというと、計画すること……何を計画するかというと、何かを……』と言ってあくびをした……ベイカー嬢が……(あくびをしながら同時に)腰をかけようとした……テーブルのところにある椅子に……その様子はたとえるなら、ベイカー嬢がどこかに入りかけているようだった……どこに入りかけているかというと、ベッド(寝床)に……」
We はそのとき夕食の席を囲む四人全員を指しているのではないでしょうか?
she は Miss Baker を指しています。
③でデイジーが夏至が来るのが楽しみだ楽しみだと連呼しているので、ベイカー嬢が何か予定でも立てた方がいいんじゃない?と、提案したようです……ただ、その様子が問題?……一応起きたとはいえまだまだ眠くて、どれまたふとんに?もぐりこもうか……なんて様子に、まるでさっきまで寝ていたカウチにまた横になるような具合で、椅子にもたれかかるように?倒れ込むように?座り込んだ?のでしょうか……。
⑤ “All right," said Daisy. “What’ll we plan?" She turned to me helplessly: “What do people plan?"
「『わかった』とデイジーが応じた。『何をみんなで計画するか?』デイジーが向きを変えて「自分」の方に向いた……どうしようもない様子で……『何を普通の人は計画するのか?』」
we はそのとき夕食の席を囲む四人を指しているのではないでしょうか?
She は Daisy を指します。
③のデイジーの言葉に対して④でベイカー嬢が計画でも立てたら?と提案したのに応じて、まずはその提案に同意したようです……で、じゃあ、予定を立てるとして、何の予定を立てる?どんな予定にする?かと尋ねているようです……自分でそう言ってみたところで、おそらくデイジーにはどんな計画を立ててよいものやら見当もつかなかった?のではないでしょうか……大して考えもせずに、あきらめるのが早すぎるように思えますが、とにかく途方に暮れて助けを求めたようで……で、その助けを求めた相手が、どうやら「自分」のようです(トムとは今折り合いが良くない?ようなので聞きにくい?し、ベイカー嬢は④の様子では果たしてあてになるでしょうか?)……「自分」に向かって、普通の人ってどんなことを計画するものなのか、どんな予定を立てるものなのか、と訊いているようです……つくづく都合のよいときだけ、「自分」を利用?してないでしょうか……なんだか"勝手"だなあ……そういう印象も?受けませんか?……。
⑥ Before I could answer her eyes fastened with an awed expression on her little finger.
「何かをする前に……自分が答えることができたよりも前に……デイジーの両目がじっと見た……そのとき恐ろしいものでも見たような難しい表情をしていた……両目の視線が注がれていたのは、デイジーの小指だった」
her はすべて⑤に出てきた Daisy を指すのではないでしょうか?
⑤で「自分」がデイジーから問いかけられたわけですから、「自分」はまたもや律儀に答えようとしたようです……ところが、「自分」が答えを口にできるようになる(つまり、何を答えるかが頭の中で整理される?)よりも前に、どうもデイジーの意識が「自分」以外のものに向かったのではないでしょうか?……デイジーの視線の向かう先が、「自分」の答えなどそっちのけで、デイジーの小指に向かったようです……そしてそのときの表情が、"なんてこと!どうしてこんな!"みたいな?何か思いがけないものを?それもデイジーにとっては望ましくないものを?これは由々しき事態?大変なことになった?と言わんばかり?だったのでしょうか?……いったい、そんな大事?大騒ぎ?するような何を?小指に見つけたのでしょうか?デイジーは……。
⑦ “Look!" she complained; “I hurt it."
「『見て!』デイジーが不平を訴えた……『私は小指を痛めた』」
she は⑥同様に⑤に出てきた Daisy を指すのではないでしょうか?
it は⑥に出てきた her little finger を指すと思われませんか?
⑥で何か重大な異変を発見したらしいデイジー……「見て!」とみんなにその重大な異変を――小指に起きたらしい異変を――知らせているようです……いったい何があったのか……どうやらデイジーは小指を痛めたようです……デイジーにとっては重大な由々しき大事件!のようです……ところで、いったいいつ痛めたのでしょうか?……もし怪我をしたのなら、その怪我をしたときに気づいてもよさそうにも思えませんか?……でもどうも、怪我をしたときには気づいてなかったように思われませんか?……怪我をしたときには痛みを感じなくて痛めたことに気づいてなかったけど、時間が経ってから?なにかのきっかけでふと痛めたことに気づいた?のでしょうか……。
⑧ We all looked — the knuckle was black and blue.
「みんな全員いっせいに目を向けた――デイジーの小指の関節は黒くなおかつ青みがかったような土色だった」
We はやはりそのとき夕食の席を囲む四人全員を指しているのではないでしょうか?
the knuckle は⑥でデイジーがじっと見つめたデイジーの小指の関節を指しているのではないでしょうか?
⑦で見て見てとデイジーがみんなに呼びかけるので、それに応じてみんながデイジーが見せたものに目を向けたのではないでしょうか?……そしてデイジーが見せた小指を見ると、その関節の部分が肌色ではなく、黒くなおかつ青みがかったような土色……要は黒ずんだようなあざになったような?感じでしょうか……デイジーが大げさに騒ぐほどの見た目の変化が確かにあったようです……。ところで、どうしてそんなことになったのでしょうか?……考えられることは……②でデイジーは指を鳴らすような動きをしてろうそくの火を消したようでした……ということは、黒いろうそくの芯を指ではさんだのではないでしょうか?……(よくやけどしないなあ…と思いますが)そうやってろうそくの火を消したときに、どうも小指の関節部分が黒くなったようです……ちょっとやけどに近い状態?だったのでしょうか?……
⑨ “You did it, Tom," she said accusingly.
「『あなたがデイジーの小指を傷つけた、トム』とデイジーが言った……責めるように」
今回の考えるヒントに上げた箇所が出てきました。
You は、トムに呼びかけているセリフなので、トムを指しているのではないでしょうか?
did は hurt を指して言いかえているのではないでしょうか? そして it は⑥で出てきた her little finger ではないでしょうか? ⑦では"I hurt it" と言っていたものが、ここでは “You did it" に変わっているように思えますが……。デイジーが大げさに?言い立てている小指の異常?は、どうやらろうそくの火を消したときにできたのではないか?と⑧でみました……ところで、ろうそくを用意させたのは誰だったでしょうか?……おそらくトムではないかと①でみました……では、デイジーの気に入らないろうそくに火をつけさせておいたのはトム?ということであれば、トムがろうそくに火をつけさせたからこそ、デイジーは②でろうそくの火を消すことになった……いや、デイジーの理屈?でいえば、ろうそくの火を消さざるをえなくなった?とも言えるのかもしれません……だったら、そもそも、トムが悪いのだと、ろうそくを用意させたトムこそが悪いと、トムさえろうそくを用意させなければ、デイジーはろうそくの火を指で消して小指の関節をやけど?せずにすんだのにと……そういう理屈で、You did it=You hurt (the knuckle) of her little finger と言ってトムを責めた?のではないでしょうか?……。
she は⑦同様に⑤に出てきた Daisy を指すと思われます。
⑧でデイジーは肌の色が黒くあざになったように変色した小指をみんなに見せた後、今度は「あなたが傷つけたんだ、トム」と、いきなりトムに矛先を向けているようです……デイジーの小指があざのようになったのは、トムのせいだと、だってトムがろうそくを用意させたのだから……そう言って責めているのではないでしょうか?……なんだかたちの悪い言いがかりをつけているようにしか聞こえませんが、それにしても、デイジーは果たして本当にろうそくが気に入らなかったのでしょうか?……本当は、ろうそくが気に入らなかったわけではなくて、トムが気に入らないから、トムを否定したくて、その気持ちがトムの用意したろうそくを否定するという形で表にあらわれただけではないでしょうか?……要は、トムの気持ちを逆なでするようなことをわざとやっている?ように見えませんか?……そうやってトムに仕返しして満足して③ではすっかり上機嫌になっていたようでしたが、⑥でふと気づくとトムに仕返ししたときにできたらしい傷の跡が残っている……客観的に見れば自業自得のように思えますが、デイジーにしてみれば、トムが気に入らないという思いがとても強いようですので、その傷を受け入れられない?……同時に、トムが気に入らないという思いは、おそらくトムに責めたくなるところがあるからこそ生まれているのではないか?と考えると、デイジーがここぞとばかりにトムを責める絶好のチャンスを逃さずトムに攻勢を仕掛けた?という見方も?できるでしょうか?……なんだかトムとデイジーの二人はずーっとやりあっているように思えませんか?……しかもヒートアップしている?ようにも思えなくもないような……。
⑩ “I know you didn’t mean to but you DID do it. That’s what I get for marrying a brute of a man, a great, big, hulking physical specimen of a —-“
「『私はわかっている……あなたがそういうつもりではなかったことを……じゃあ、どういうつもりではなかったかというと、デイジーの小指を傷つけるつもりではなかったということを……そのようにあなたがデイジーの小指を傷つけるつもりではなかったのだから、じゃああなたがデイジーの小指を傷つけたことにはならないかというとそうではなくて、あなたは紛れもなくデイジーの小指を傷つけたことに変わりはない……あなたにデイジーの小指を傷つけるつもりがなかったのに実際にはデイジーの小指を傷つけたという事実が、私があることをした代償として得たものなのだけど……じゃあ、何をした代償かというと、結婚したこと……それもけだもののような男と結婚したことで……そのけだもののような男は巨大ででかくて図体の大きい体の見本のような(男)――』」
このセリフは⑨に続きデイジーの言葉ではないでしょうか?
I はデイジーを指しているのではないでしょうか?
you は⑨でデイジーが呼びかけた相手であるトムを指しているのではないでしょうか?
mean to の後には [mean to] hurt (the knuckle) of her little finger が省略されているのではないでしょうか?
it は hurt (the knuckle) of her little finger を指しているのではないでしょうか?
That は you didn’t mean to but you DID do it を指しているのではないでしょうか?
what は本来なら I get の後に来るはずなのが、前に出ています。for 以下の事実と引き換えに得たものを漠然と表しているのではないでしょうか?
最後の a —– は、おそらく [a] man が省略されているのではないでしょうか?
⑨でここぞとばかりにトムを責め立てたデイジーが、たたみかけるように次なる攻撃(口撃?)に出ているようです……トムにデイジーを傷つけるつもりはなかった、それはわかってる、でもトムはデイジーを傷つけた、それが事実だと、そして、デイジーを傷つける気のないトムがデイジーを傷つけた、そんなことになったのは、デイジーがけだもののような男と結婚したからだと、体が great で big でhulking な体の見本みたいな男と結婚したら、その結婚と引き換えに、傷つける気はなかったと主張したらしい?トムにデイジーは傷つけられたと……そう言っているように聞こえませんか?……要は、トムと結婚してみたら、デイジーはトムに傷つけられたと、そう主張しているようです……。ところで、⑨でデイジーが主張していたらしい?のは、トムがデイジーの小指を傷つけたということのようでしたが、本当にデイジーが言いたかったのは、果たして小指なのでしょうか?……本当に傷ついていたのは、デイジー自身?デイジーの心?気持ち?だったりしないでしょうか?……それに「あなたにそんなつもりはなかったことはわかってる」という前置き……なんだかトムが以前デイジーにそんな言い訳をしたことがあるのではないか?……そんな印象を受けませんか?……要は、よほど恨みに思っていることがあって、この時点でもまだ許せなくて、トムを責めずにいられない?……あてつけがましく嫌味を言わずにいられない?……それでさらにトムの嫌がるような言葉を殊更に強調して、これでもかこれでもかと重ねて続けている?……トムとデイジーの不仲の原因?はこのあたりにある?のでしょうか……。
⑪ “I hate that word hulking," objected Tom crossly, “even in kidding."
「『俺は大嫌いだ……その言葉が……図体の大きいという言葉が』と不服を唱えた……トムが……対抗するように、または(同時に)不機嫌そうに……『たとえ冗談であっても』」
I は、Tom のセリフなので、トムを指しています。
that は「例の」「あの」と強調するニュアンスがあるのではないでしょうか? デイジーが⑩で口にした hulking という言葉をトムはよほど嫌いなのではないでしょうか? もちろんデイジーはそのことを百も承知の上でトムにあてつけてやろうとわざわざ口に出したのではないでしょうか?
⑩でデイジーの口にした hulking という言葉――おそらくトムの一番言われたくない嫌いな言葉なのではないでしょうか?……デイジーはその言葉を口にすればトムを傷つけるし怒らせることをわかった上で、あえて使ったのではないでしょうか?……デイジー自身がそれだけ深く?トムに傷つけられたから…だからデイジーはトムを傷つけたい?……トムの方はそんなデイジーの気持ちをわかっているのかいないのか――とにかくやめてくれと、冗談でも言わないでほしいと、デイジーに抵抗?しているようです……。それにしても、トムもそれなりに自覚があるのでしょうか?トムがデイジーを傷つけたという自覚が……もし⑩のデイジーの言葉が不当な言いがかりでしかないなら、トムは別の言い方で抵抗できたはずでは?ないでしょうか……トム自身に何かデイジーに対して後ろめたい?ことでもある?デイジーの主張はまんざら大げさに言い立てているものではなく、実際トムはそれだけのことを、デイジーがそこまで怒るような、深く恨みに思うようなことを、やった?そしてトムの方もそれなりにその自覚がある?……だから、hulking という言葉だけはやめてくれと、その程度の抵抗しかしてない?ように思えませんか?……そうしてみると、どうやらトムとデイジーの不仲の原因は、そもそもどうやらトムにあるらしい?……そう思われませんか?……ただ、それにしては、第14回のトムの様子を見ると、デイジーに対してあてつけがましいことを言っていたような……要は、トムがデイジーに対して非を認めているようには見えなかったように思えませんか?……どうもトムが何かやらかしたことは間違いないらしい……そのせいでデイジーはとても傷ついた……トムに非があるのは間違いないらしい……トムの方もそこを突かれると何も言えない?……ところが、それなのに、トムはどうもデイジーに対して非を認めていないのではないか?……トムに間違いなく非があるのに、それを認めない……デイジーに責められるから、非を認める気になれないのでしょうか?……なんだかどつぼにはまっている?ようにも思えなくもないような……これはもしかしたら相当深刻?だったりする?のでしょうか……。
⑫ “Hulking," insisted Daisy.
「『図体が大きい』と言い張った……デイジーが」
⑪で遠回しにその言葉は言わないでほしいとトムに言われてもかまわず?、いやもしかしたらトムが嫌がるからこそなおさら?、デイジーはトムが一番嫌がる言葉だけを繰り返し言ったようです……それだけデイジーの不服?不満?恨み?の思いが強いのでしょうか……絶対にトムの思いなんかくんであげない、という強い思いが感じられませんか?……やっぱり、トムもデイジーもどっちもどっち?……。
おつかれさまでした。どうでしたか?
今回はとうとう、トムとデイジーが直接やり合うことになってしまいました……デイジーのペースで進んでいたようにみえましたが……どうやらトムが何かやらかしてデイジーを傷つけたらしい……それなのに、トムはもしかしたら非を認めていないのではないか、ということがわかりました。片方は非があるのに非を認めなくて、もう片方は責めるのをやめられない、となると、事態は収拾がつかなくなる?……またもや、大丈夫でしょうか……不安な展開に思えませんか?……。
今回の考えるヒントに上げたお題 「12ページ末尾から18行目 You did it とはどういうことを言っているのか」 ですが……⑨で説明したとおりです。
ところで今回は、ベイカー嬢がおとなしかったと思いませんか?……口を開いたのは、④でデイジーに同調?したときだけのようでした……見方によっては、デイジーがトムを攻撃するのは邪魔しない?……でも第14回のように、トムがデイジーを攻撃するのは邪魔する?……ということは、デイジーの味方?……かもしれません……。
次回は、トム、デイジー、ベイカー嬢と夕食の席をともにしながら「自分」の感じたところが明かされるようで、特に違い?や違和感?が気になったようです……。ぜひまた一緒に読んでみてください。
第17回の範囲は12ページ末尾から11行目から13ページ9行目まで(Sometimes she and Miss Baker 〜 から rather surprised by his tone.まで)をみていきます。
次回の考えるヒントは……
- 12ページ末尾から2-1行目 in a continually disappointed anticipation or else in sheer nervous dread of the moment itself とはどういうことを言っているのか
次回はセリフが少し減るのと、何を言っているのかわかりにくいところがあるかもしれません……が、トムが突拍子もないこと?を言い出したりして、また暴走?するかもしれません……。ぜひまた一緒にみていってください。
最後に、物語を読むときに心にとめたいポイントをまとめます。
・どうして作者はその言葉を使用したのか
・それぞれの登場人物に作者はどんな役割を割り当てているのか
・それぞれの登場人物のセリフや物語の展開を通じて作者は何を言おうとしているのか
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なお、今回の範囲の訳文を有料(700円)で掲載いたします。この連載はだいたい250回くらいになる予定なので、毎回訳文を購読いただいた場合には30回で2万円を超え、トータルでは18万円近くになることをご承知おきください。またいかなる場合も返金には応じられません。また購読いただいた訳文にご満足いただけるとは限らないことをあらかじめご承知おきください。なお、問い合わせなどはご遠慮ください。お断りいたします。