Gatsby-6
このサイトは、英語で書かれた物語を一作品、最初から最後まで少しずつ読んでみようという試みです。
取り上げる作品は『The Great Gatsby』です。100年近く前に米国で出版された小説ですが、現代の日本人にも共感したり心を動かされるところが多々あると思います。
ぜひ一緒に、英語の原書を読んでみませんか。
(なお、このコンテンツはその著作者の解釈に基づくものであり、必ずしも正しいとは限らないことをご承知おきください。)
前回までを振り返ると――ずっと辛抱強くあろうと努めてきた「自分」がギャッツビーとの出会いを通してその努力をやめたようです。いったい何があったのか…… でもその件に触れる前に、「自分」の生い立ちや、おそらくギャッツビーに出会う経緯を説明する必要があるようです。米国中西部で育ち、大学は東部の名門大学に行き、戦後いったん故郷に戻ったものの、就職は東部に出ていくことにしました。そして希望に燃え、いよいよ新生活が始まる……そこまでみてきました。
今回は、第4回で出てきた the bond business の具体的な内容がうかがわれる話や、第5回で出てきた West Egg の話が出てきます。そのあたりに注目しながらみていきましょう。
原文はOne More Libraryの『The Great Gatsby』を使用します。
第6回の範囲は、6ページ第6段落から7ページ11行目まで(There was so much 〜からcontrast between them.まで)をみていきます。
まず、今回の考えるヒントを上げます。
- 6ページ第6段落10行目最後-12行目最初 and become again that most limited of all specialists, the “well-rounded man" とはどういうことを表しているのか
なお、特に断っていなければ、基本的に次に上げる辞書の訳語や定義・意味に基づいて説明します。
主に使用する辞書
『リーダーズ英和中辞典(第2版)』(野村恵造)(研究社 2017)
『Pocket Oxford English Dictionary (Eleventh Edition)』(Maurice Waite) (Oxford University Press 2013)
『岩波国語辞典(第七版新版)』(西尾実 岩淵悦太郎 水谷静夫)(岩波書店 2017)
それでは今回の範囲をみていきましょう。
① There was so much to read, for one thing, and so much fine health to be pulled down out of the young breath-giving air.
「読まなければならないものがたくさんあった――というのが一つの理由としてあったけど――(もう一つの理由としては)ものすごく元気いっぱいだったのもあって…どうしてそんなに元気だったかというと、元気があるものから引き出されていたからで、そのあるものとは新鮮で生命(力)を与えるような空気だった」
for one thing とあるので、おそらく最後の the young breath-giving air の後にfor another が省略されているようです。
二度出てくる so は、②の文につながりがあることを表しているようです。①の文のとおりだから、②の文のような事態になった、と……。
とにかくいろいろ読んで勉強しなきゃいけないということがあったけど、その他にも生命力を与えてくれるような新鮮な空気のおかげでものすごく元気いっぱいだった(前回の最後にまた新たな生命が生まれる兆しを感じる季節がやって来た…というところで終わっていました。)……だから…どうしたのでしょうか?
② I bought a dozen volumes on banking and credit and investment securities, and they stood on my shelf in red and gold like new money from the mint, promising to unfold the shining secrets that only Midas and Morgan and Maecenas knew.
「自分は十数冊の本を買った……それは金融業や信用取引や投資有価証券についての本で……それらの本が自分の(書)棚に収まった様子は色でいうと(目立つのが)赤や金で、たとえるなら造幣局で作りたての真新しいお金(硬貨やお札)のように見えた……それらの本は約束してい(るようだっ)た…すばらしい秘訣を明かすことを…その秘訣とはミダス王やモルガンやマエケナスだけが知っているものだった」
they はa dozen volumes on banking and credit and investment securities を指します。なお、ここの部分が第4回で出てきた the bond business のヒントになります。債券を扱う仕事には具体的にはこれらの知識が必要なようです。
Midas は「ミダス」で『広辞苑』(第六版、岩波書店、電子辞書CASIO XD-Y20000に収録されたもの)にあります。ギリシア神話に出てくる王らしく、触れるものすべてを黄金に変えることができたようです。
Morgan は今でもある米国の金融会社 J.P.Morgan の創設者を指すと思われます。『広辞苑』(同上)には「モルガン」で出ています。
Maecenas は「マエケナス」で『ブリタニカ国際大百科事典』(ブリタニカジャパン、電子辞書CASIO XD-Y20000に収録されたもの)に出ています。古代ローマ時代の人で、自らは資産家で政治家で、豊かな資産を生かして芸術家などを支援していたようです。
①で元気いっぱいで「よしやるぞ!」と学ぶ意欲にあふれていたのでしょうね……だから十数冊もこれからやる仕事の勉強をしようと本を買ったようです…いっぺんに買い込んだ本を自分の本棚に並べてみたら赤色や金色が目についたようです……その様子がまるで新品の硬貨やお札に見えたようです……まあ、金融の仕事だから、そのものずばりでしょうか?……それらの本を読めばすばらしい秘訣が明かされるはずだと…ギリシア神話や古代ローマの錬金術師?や大富豪、そしてこの作品の時代の錬金術師?の例を挙げて、そうした莫大な資産を生み出す秘訣を自分はこれから学ぶのだと言っているようです。 なんだかやたら"大金"のにおい?がするようですが……。ともかく新天地に移り自分の家もでき、さあいよいよ仕事に勉強に頑張るぞと踏み出した様が描かれているようです。
③ And I had the high intention of reading many other books besides.
「債券の仕事に必要なそれらの本を読んで勉強することに加えて、そうした仕事には関係ない他の本も沢山読もうという高い意欲があった」
other は何を除いた他のものでしょうか? ②に出てきた債券の仕事に必要な本を除いた他の本です。
自分が読もうと思っていたのは仕事に必要な本だけじゃなかった…それ以外にもいろんな本を手あたり次第に?読むくらいのやる気にあふれていたようです……。
④ I was rather literary in college — one year I wrote a series of very solemn and obvious editorials for the “Yale News"– and now I was going to bring back all such things into my life and become again that most limited of all specialists, the “well-rounded man."
【One More Library の原書データでは “Yale News."となっておりピリオドがついていますが、Scribner の書籍によれば “Yale News" とピリオドがつかないのが正しいようですので、訂正しておきます。】
「自分は大学にいたときは本を使った文字だけの勉強に相当かたよっていた――一年間(またはある年に)自分は『イェール(大学)新聞』に載せる真面目一辺倒だけど明解で理解しやすい内容の記事を連続して書いていたくらいで――そうした勉強をしてきた経験を生かして今度は、その経験を通して培ってきたものをすべて自分の社会人としての活動に持ちこみ活かし、そしてそれだけではなくさらにあらゆる専門家の中でも(その数が)最も限られた例の専門家、いわゆる『すべてを網羅しバランスの取れた専門家』になろうとしていた」
今回の考えるヒントに上げた箇所が出てきました。
such は rather literary in college や wrote a series of very solemn and obvious editorials for the “Yale News" という勉強や経験を指しています。
that は「例の」「あの」〜と読者の関心を引いています。
specialist とは本来、特定の分野を限定的に専門に取り扱う職業を指します。それなのに “well-rounded man" とは矛盾して聞こえます……そう、だからこそ、most limited of all specialists なのではないでしょうか……。大学では学問で理論理屈ばかりを学んできたようですが、これから自分はその理論理屈にプラスして実際の社会で従事する職業活動を行っていくことになるので、その両方をどちらも究めていくのだという意欲にあふれているようにも聞こえます……。
①②③と本の話ばかり出ていたようでしたが、この④では自分が過去にどんな勉強をしてきたのかを明かし――これまた本ですが……、いやこれからは本にばかり偏るんじゃなくて、実社会の中で必要とされる具体的な仕事にも意欲的に取り組み究めていく意志を示しているようにも思われます。
⑤ This isn’t just an epigram — life is much more successfully looked at from a single window, after all.
「これから言うことは単なる格言ではない(真実だ)が――社会活動というものは単一の切り口のみを基準にそこからながめて評価するのがはるかにその(評価するという)目的にかなっておりその意図した目的をはるかに効果的に達成できるものだ……他にいろいろどんな意見があったとしてもそれが真実だ」
This はこれから言うことに読者の関心を引こうとしています。何を指しているのか――life is much more successfully looked at from a single window, after all です。
④の最後で自分が目指す理想の専門家とはどのようなものか明らかにしていましたが、どうやら⑤は、どうしてそのような専門家を目指すのか、その理由を述べているようです。いろんな角度から多角的多面的に評価するのではなく、一面だけをみていく方法がよい、と言っているようです。ではどの一面か――すべてを網羅しているか、必要とされる要素や要件のバランスが取れているか――という一面だと言っているのではないでしょうか? その一面をみて評価したときに合格点をつけられるのは、すべてを網羅しバランスの取れた専門家だという結論を自分は出しているようです。
⑤によれば、どうもそういう格言らしきものが米国?にはあるようです……。で、自分はその格言が当たっていると思っているようです。実社会の中で行われるいろんな職業の活動を評価するにあたって、複数の視点ではなく、たった一つの基準だけに照らして評価する方がはるかに的確で正確な評価ができると自分は考えているようです。
⑤では格言まで引き合いに出して自分の目指す理想を正当化?した上で仕事と勉強の話にひと区切り付けているようにも思えます……。
⑥ It was a matter of chance that I should have rented a house in one of the strangest communities in North America.
「たまたま成り行きでそうなっただけのことだったが、自分が一軒家を借りることになったのは北米でも最も風変わりな地域社会の一つにあった」
It は that I should have rented a house in one of the strangest communities in North America を指しています。
そして that は「これから文が続く」ことを示しています。
should は「そういう運命をたどった」というニュアンスがあるようです。
先ほどまでは仕事と勉強の話に終始していましたが――自分にとって新生活で一番重要なものが当然仕事と勉強だったのでしょう……、今度は新生活の拠点となる家の話に変わりました。第5回でみたように、職場で一緒になった同年代?くらいの同期?の若者と一緒に家を借りて住もうと話がまとまったのに、結局自分一人がその家を借りて住むことになりました。で、その家というのがどんなところにあるのか――ずいぶん変わった町?にあるようです……。
⑦ It was on that slender riotous island which extends itself due east of New York — and where there are, among other natural curiosities, two unusual formations of land.
「その一軒家はあの細長い形をしたにぎにぎしい島にあった……その島はニューヨークの真東の方角にのびている――そのようにギュイーンと真東にのびているという特徴に加えて、その島には他にも特徴があるのだけど、その特徴は一つではなく自然に関わる普通は見られない奇妙なところがいろいろあったのだけど、中でもそうした特徴のうち顕著なものを一つ上げると、二つの珍しい奇妙な形をした土地があることだ」
It は⑥に出てくる a house in one of the strangest communities in North America を指しています。
that は「例の」「あの」と読者の関心を引いています。
which は that slender riotous island を指して言いかえています。
itself は that slender riotous island を指しています。島が自ら真東の方向へとのびているようなイメージで使われているようです。
where は on that slender riotous island を指して言いかえています。その島にはどんな特徴があるのかという説明が続いています。
other は「何」を除いた他のものかというと、two unusual formations of land という特徴を除いた他の特徴を指しています。
⑦では自分の借りた一軒家がどこにあるのかを説明しています。そして新情報「ニューヨーク」が出てきました。ニューヨークの真東にのびている島にある家に住むらしい……ならば、おそらく職場はニューヨーク? そこから真東にのびる島……おそらくロングアイランド島ではないでしょうか? そしてその島には変わった地形の土地が二つあるようです。
⑧ Twenty miles from the city a pair of enormous eggs, identical in contour and separated only by a courtesy bay, jut out into the most domesticated body of salt water in the Western hemisphere, the great wet barnyard of Long Island Sound.
「ニューヨークからの距離が二十マイル(約三十キロメートル)の所に巨大な卵の形をした対になった土地がある……この対になった卵形の土地は同一の外形(輪郭)で、なおかつこの対になった卵形の土地を分けているのは形式的な入江(便宜上、入江と呼ばれている水域)で、この対になった卵形の土地が突き出しているのが西半球で最も人間に身近に親しまれている海水域、すなわち広大な水の広がる裏庭であるロングアイランド海峡(という海水浴場)である」
the city は⑦に出てきた New York を指します。
⑦で出てきた変わった地形の土地の説明を⑧で加えています。まずその変わった地形の土地がどこにあるのか――ニューヨークから二十マイルほどいったところにあるようです。どんな風に変わっているのか――まず形…卵が二つ対になっているような具合だと……広さは…巨大といってもいいほど広いと……見た目が同じ形のようで……その二つの卵形の土地の間には一応入江という名称で呼ばれる海水域があるようだと……で、二つともロングアイランド海峡に突き出しているようです……。
さて、これはいったいどこを指しているのでしょうか? あくまでも推測にすぎませんが、もしかしたら Hempstead Bay という入江を挟んだ左右の海岸線の地形が、この物語の舞台となる土地に近いのではないかと……。ちょうど逆八の字を描いたような格好で左右対称に近いように見えます……。(土地の形自体はそっくり同じ卵が二つ並んでいるようには見えませんが……。)
⑨ They are not perfect ovals — like the egg in the Columbus story, they are both crushed flat at the contact end — but their physical resemblance must be a source of perpetual confusion to the gulls that fly overhead.
【One More Library の原書データでは小文字(they)で始まっていますが、Scribner の書籍では大文字(They)が正しいようですので、訂正しておきます。】
「その対になった卵形の土地はきれいな楕円形をしているわけではない――じゃあ、どんな具合かというと、コロンブスの卵の話に出てくる卵のような具合だと……それはどういうことか…その対になった卵形の土地はどちらもつぶれて平らになったところがある……どこが平らになっているのか…コロンブスが卵の底をつぶして立たせたようにちょうど卵の底みたいに他の土地とつながっている端の部分が平らになっていると……。こうやってきれいな楕円形ではなく片側がつぶれた卵のような形だと説明すると、そんなにその形が問題になるだろうか、大したことではないのでは?…と思う読者もいるかもしれないが、それは違っていて、やっぱりその対になった卵形の土地はその形が似ているからこそ、いつだって"どっちがどっちだ?ん?"と混乱して混同する原因に間違いなくなっている……では誰がそんなふうに混乱して混同するのか?…それはその対になった卵形の土地の上を飛んでいるカモメだ」
They は⑧で説明のあった a pair of enormous eggs を指しています。次の they も同じです。その次の their も同じものを指します。
that は直前の the gulls を指して言いかえています。
⑧で出てきた「対になった卵形の土地」についてさらに詳しい説明を加えています。ところでコロンブスといえば新大陸発見、つまりちょうどこの物語の舞台になるらしいロングアイランド島辺り?も含むアメリカ東海岸を発見・探検した人物です……(しかも、コロンブス自身は現在のインドに当たる土地を発見したつもりでいたけれどそれは勘違いで、実際には北米だった……)。コロンブス発見の地にコロンブスの卵の話に出てくるような卵の形をした土地がある…それも二つも…、という舞台を作者はあえて設定?したのかもしれません……。そして勘違いしたコロンブスの名をあえて上げている?のかもしれず、そのあたりにも何か作者の意図が?何かになぞらえようとする意図が?もしかしたらある?かもしれません……。
⑩ To the wingless a more arresting phenomenon is their dissimilarity in every particular except shape and size.
【One More Library の原書データでは小文字(to)で始まっていますが、Scribner の書籍では大文字(To)が正しいようですので、訂正しておきます。】
「翼のない生き物にとっては、対になった土地の形が似ていることよりももっと心をつかまれる現象がある……それはその対になった卵形の土地に似通っていない相違するところがあることで……じゃあ、どんなところが異なるのかというと…それは細かいところが何もかもすべて異なっていて、唯一の例外が形と大きさ(広さ)だけだ」
their は⑧で説明のあった a pair of enormous eggs を指しています。⑨に引き続いて同じものを指しています。
⑨の最後でカモメの目線だと…という話をしていました。そして⑩では空を飛べない生き物、おそらく人間の目線ではどうなのか…という話をしているようです。空を飛べなければ広大な土地の形がそっくりであっても普段は気づかないでしょうから、じゃあ、その対になった卵形の土地に、何か人間の目線で気づくことはあるのか…実は形と大きさ以外の何もかも細かい点がすべて異なっている…そこに人間の目が留まる……ようです。
⑪ I lived at West Egg, the — well, the less fashionable of the two, though this is a most superficial tag to express the bizarre and not a little sinister contrast between them.
「自分が住んでいたのは西側の卵形の土地の方で、いわば――こういう言い方はしたくないような気もするけど、まあいわば、対になった卵形の土地のうちおしゃれではない、いけてない方の土地で、ただ一言添えておきたいのは、さっきの『おしゃれではない、いけてない方の土地』という言い方はこれ以上ないくらいうわっつらだけしか表していない安易なレッテルで、対になった卵形の土地の間にある対照的な違い、それも風変わりで少なからず不吉なものすら感じるような対照的な違いを言葉で表現するのであれば、そのさっきの言い方では足りない。」
this は the less fashionable of the two を指すと思われます。
them は⑧で説明のあった a pair of enormous eggs を指しています。これも⑨⑩に引き続いて同じものを指しています。
さて⑦で自分の住む家がロングアイランド島にあると言っていましたが、その島には変わった地形の土地が二つあるという話をして、形や大きさはそっくりだけど、それ以外の何もかもが違うと、じゃあその違いは何か――ということを説明する前に、自分はその対になった土地のうち西側にある卵形の方に住んでいたと明かした上で、いよいよその違いの説明に入るのですが――一つにはおしゃれかどうか、いけてるかどうか、という点があげられると……でもそんな単純に片付けられるような違いでもなくて、とにかく対照的な違いがあるのだけど、それを漠然と表現するならば、なんか奇妙というか奇怪というか、しかも何か不安でたまらない気持ちにさせるようなものがあると……そう説明しているようです。そんな思いに駆られるような土地に住んでいたなんて……大丈夫なんでしょうか? 読んでいる方もなんだか不安になりませんか?
ところで第5回で出てきた West Egg ですが……、今回の⑥以降の説明でどんなところなのか、そしてどうして West Egg というのか、だいたいのところがつかめたかと思います。卵の形をした土地だから Egg で、そして同じ形と広さの対になった土地だから West という(そしておそらく、対になった土地ですから East があるのでは?)……。だから土地の固有名詞なわけではなく、作者が(そしてこの物語の舞台となる土地の人たちが)そういう呼び方をしているだけではないかと……。⑧で、もしかしたら Hempstead Bay という入江を挟んだ海岸線の辺りではないかと推測しましたが、その入江を挟んでロングアイランド海峡に向かってそれぞれグイッと突き出している、いわば半島のような地形の土地……その西側と東側をそれぞれ通称"西島""東島"みたいな感じで(この物語の中では)呼んでいるのではないでしょうか?
おつかれさまでした。長かったですねえ。
新生活の大きな部分を占める仕事と勉強の具体的な内容、そして新生活の拠点となる住み家のある土地についてみてきました。
今回の考えるヒントに上げたお題ですが……「6ページ第6段落10行目最後-12行目最初 and become again that most limited of all specialists, the “well-rounded man" とはどういうことを表しているのか」……④で説明したとおりです。
第1回でみた冒頭の詩から、金に目がくらむ女とそういう女の気を引こうとする男が出てくるらしいとみましたが、「自分」のやろうとしている仕事はどうも"大金"がからむような気配が感じられませんか? 時代はちょうど好景気にわく米国が舞台の物語らしいので、時代的に誰もがそうやって"拝金"に近いような空気がもしかしたらあったのかもしれません……。そういう空気感の時代に「自分」の住んだ家があったのが、不安でたまらない気持ちにさせられるような奇妙な違いのある対になった土地の一方だったと……。第3回でみたギャッツビーという男……倫理道徳規範に外れるようなことを何かやらかしたようでした……。なんだか不安になりますねえ……。
さて、次回はもう少し「自分」の住む家の話や近所の話などが出てきます。新たな登場人物も(ほんの少しですが)現れます。
ぜひ一緒に読んでみてください。
第7回の範囲は、7ページ11行目から7ページ末尾から10行目まで(My house was at the very tip 〜から、〜spent two days with them in Chicago.まで)をみていきます。【第7回の範囲の始まり「My house」がOne More Library の原書データでは小文字(my)で始まっていますが、Scribnerの書籍によれば大文字(My)で始まるのが正しいようですので、訂正しておきます。】
次回の考えるヒントは……
- 7ページ第2段落末尾から4行目最後-3行目最初 it had been overlooked とはどういうことを表しているのか
次回は建物の位置関係とか描写とかに注意してみてください。
ぜひまた一緒に続きをみていってください。
最後に、物語を読むときに心にとめたいポイントをまとめます。
・どうして作者はその言葉を使用したのか
・それぞれの登場人物に作者はどんな役割を割り当てているのか
・それぞれの登場人物のセリフや物語の展開を通じて作者は何を言おうとしているのか
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なお、今回の範囲の訳文を有料(700円)で掲載いたします。この連載はだいたい250回くらいになる予定なので、毎回訳文を購読いただいた場合には30回で2万円を超え、トータルでは18万円近くになることをご承知おきください。またいかなる場合も返金には応じられません。また購読いただいた訳文にご満足いただけるとは限らないことをあらかじめご承知おきください。なお、問い合わせなどはご遠慮ください。お断りいたします。